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2023年2月20日 17時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/232109
中国南部・雲南省昆明とラオスの首都ビエンチャンを結ぶ高速鉄道「中国ラオス鉄道」が開通して1年が経った。中国の新型コロナウイルス対策「ゼロコロナ」が終わり両国間の往来が自由になったのを機に、ラオス北部のルアンプラバンから昆明まで乗車した。車両や駅舎はじめ、切符購入の仕組みまでハード面もソフト面もいわば、「中国流」だった。(ルアンプラバンで、新貝憲弘、写真も)
◆総工費の7割を中国が負担、ラオス分も大半は中国からの融資
同鉄道は総距離1035キロで2021年12月に開通した。だが、両国を結ぶ直通列車は中国の防疫対策の影響で未開通で、実際は国境で乗り換える必要がある。事前に調べたところ、ルアンプラバンから国境のボーテンまでは現地購入しかできないことが分かり、中国国内のモーハン(磨憨)—昆明区間のみネットで事前購入した。ただビエンチャン発着分はネット予約ができるようで、報道ではスマホのアプリでの購入も可能になるという。
ラオス国内分の乗車券を買うために1月下旬にルアンプラバンにある「ラオス中国鉄道会社列車切符販売所」を訪ねると、開店の午前10時には、すでに数十人の行列ができていた。
身なりや会話を聞いている限りでは、半分ほどが中国人、次いでラオス人が多い印象で欧米系の人もちらほら。ラオス国内区間の422キロは全単線ということもあり、今のところ列車はビエンチャン—ボーテン間を1日2往復(特急と各駅停車の1往復ずつ)、ビエンチャン—ルアンプラバン間を特急が1往復する。
ルアンプラバンは1995年の世界遺産登録を機に世界各地から観光客が訪れるようになり、ビエンチャンまでの列車は当日分はもとより翌日分の購入も難しい場合があるようだ。購入のために並んでいた中国人男性は「仲間数人とビエンチャンの手前にある街に向かう。当日分が欲しいが無理なら明日分を買うしかない」と話していた。
中国紙「人民日報」によると、1月末までの累計乗客数は1030万人(うちラオス区間は160万人)と1000万人を突破。同「環球時報」によると、昨年1〜10月にラオスを訪れた観光客約34万人の85%が列車を利用したという。
一方、総工費は約60億ドル(約7800億円)で7割を中国が負担、残りのラオス分も大半は中国からの融資で「債務のわな」に陥る懸念が指摘されている。ラオス区間のみでは建設費の償還は厳しいこともあり、中国側は路線をタイ・バンコク、将来的にはシンガポールまで伸ばして東南アジアの大動脈とするのが目標とされる。
◆人家のない山中に巨大な赤い三角屋根の駅舎が…
乗車券は1時間ほどかかって2日後の2等車(普通席)が購入できたが、転売防止のためパスポートなど身分証の提示が必要で、中国国内と同じ仕組み。しかも現金は使えず、支払いは中国政府主導の決済サービス「ユニオンペイ(銀聯)」か中国系電子マネー「ウィチャットペイ」のみで、支払い通貨も人民元で271元(約5280円)だった。
後で聞くと駅では現金が使えるほか、乗車の1週間前から電話予約ができるそうだが、駅は街中から10キロほど離れており、電話予約も言葉の壁がある。このため確実なのは手数料を払って旅行業者を利用することだが、出発2日前までに申し込んだ方が良さそうだ。
乗車当日、タクシーで30分ほど走ると、人家のない山中に巨大な赤い三角屋根の駅舎が現れた。中国国内でも高速鉄道の駅はしばしば市街地から離れた所に建設されるが、人口700万人ほどのラオスだと一層浮いた印象を与える。それでも駅舎わきの切符販売窓口には販売所以上に長蛇の列ができていた。入り口で手荷物のエックス線検査を受ける仕組みや待ち合いスペースの造りも中国国内とほぼ同じだが、食堂や売店はなくガランとした印象だ。
◆車内はラオス国内では静か、中国国内に入ると騒然
列車到着20分前に改札し、ホームで並んで待つよう指示される点も中国と同じで、しばらくすると「瀾滄らんそう(メコン)号」が静かに入ってきた。車両はラオス国旗と同じ白と青、赤の3色で塗装されていたが、見た目も内装も中国製そのもの。車内はほぼ満席だったが、ラオス人はあまり会話しないのか車内が静かだったのは良かった一方、トンネルが多くて景色を楽しめなかったのは残念だった。設計速度は時速160キロとされているものの、実感は100キロほどで中国より明らかに遅い。
隣席は広東省深圳から来た会社員、葉嵩ようすうさん(33)。行きも帰りも列車を利用したそうで「国境で乗り換えることなく直通でラオスに行けるようになればもっと便利になる」と期待する。葉さんと会話しているうちに1時間半がたちボーテン駅に到着。やはり中国式の巨大駅舎で、葉さんは「大きい割には何もないんだよなあ」とぽつり。私が国力を誇示するための「メンツプロジェクトだね」と応えると「その通り」と苦笑した。
中国の雲南省と接するボーテン駅の周辺は、ルアンプラバンと違いビルやホテルなどの建設ラッシュ。10年前に来た時はビエンチャンを代表する黄金の塔、タート・ルアンをほうふつとさせる検問所以外は平屋の食堂や商店が数軒あるだけだった。ただ、新型コロナの影響か建物の多くは未開業で、ゼロコロナの終了を機に人やモノの往来が回復すれば国境の街としてにぎわうのかもしれない。検問所で出国手続きを済ませた後、中国側で入国手続きを行いモーハンに入った。
モーハン近くのホテルに1泊してから深圳に戻るという葉さんとはここで別れ、タクシーで5分ほどのモーハン駅へ。中国部分613キロの多くは複線区間で、4時間半余りかけて昆明へ。満員の車内は騒然としていて中国に戻ってきたことを実感した。
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