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2023年1月30日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/228065
日本の農協に相当し、中国の計画経済時代を象徴した「供銷社きょうしょうしゃ」が再び存在感を増している。時代に取り残された農村の「よろず屋」だったのが、都市部に進出して食品スーパーや不動産、高級車販売まで手掛け、中国ネット大手並みの事業規模に。「計画経済への回帰か」との見方すらある供銷社復活の理由を探った。(北京で、新貝憲弘、写真も)
北京市中心部の住宅地にあるスーパー「中国供銷合作社便民服務中心」。店内は野菜や果物が整然と並べられ、「売れ残った野菜は売りません」の表示も。シンプルな装飾やデザインは高級感すら漂い、近所に住む60代女性の李さんは「新鮮で値段も手ごろ。私が若いころの供銷社とは全然違う」と話す。店員によると、以前は別のスーパーだったが、供銷社が商品の供給などを手がける店として昨年7月末に開業した。
中国メディアによると、供銷社全体の2021年販売額は前年比18.9%増の6兆2600億元(約119兆円)で、この15年で8倍以上に。中国を代表するネット大手のアリババ(22年の取引額8.3兆元)に迫り、末端組織数は12年の約1万9000から20年の約3万7000とほぼ倍増した。
供銷社の正式名称は「中華全国供銷合作総社」で、もともとは農業用品や農業資材、生活用品の販売や農産品の流通などを手掛け、日本の農協的な組織として人民公社などと並び計画経済時代の農村を支える存在だった。
一方で商品不足や汚職腐敗、横柄な対応などの弊害も指摘され、1980年代以降に市場経済化が進むと赤字化し、52年に約3万5000あった末端組織は06年には約2万2000まで減少した。
時代に取り残された遺物とみられていたが、14年に国務院(政府)が河北と浙江、山東、広東の4省を経営改革の試験地として選定。このうち浙江省では従業員の持ち株制導入や自動車販売や不動産業など多角化が進められ、ある高級車ブランドの販売台数で全国2番目を誇る会社も誕生した。
さらに20年9月に習近平しゅうきんぺい国家主席が「長い歴史と栄えある伝統があり、わが国の農業農村の発展を進める重要なパワーだ」と供銷社を評価したことで復権に勢いがついた。
国内外メディアの一部では「計画経済の復活か」と懸念する見方もあるが、徐旭初じょきょくしょ浙江大学教授は「供銷社の復活は全国的に統一されたものではなく、ましてや計画経済の古い路線の繰り返しではない」と否定する。
理由として徐氏は供銷社の組織や経営形態の特殊さを挙げる。供銷社は80年代以降の経営難で末端組織が解散してなくなった地域も多く、運営主体も農業関係者だったのが所有権の移転を繰り返し「誰のものかはっきり分からない」(徐氏)複雑な経営形態になったという。全国組織と末端組織の間に資本関係もないため統一的な対応も取れない。
習政権が供銷社に期待を示すのは、中国が抱える「三農(農業、農村、農民)」問題の解決に、農村に昔から根付いた組織として利用したいという思惑があり、就職問題解決の一助にもつながるとの指摘もある。時代とともに経営形態や事業内容を変えながら生き残ってきた供銷社は「社会主義市場経済」という国家統制と市場の論理が組み合わさった中国らしい存在ともいえそうだ。
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