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プーチンの「特別軍事作戦」に倣い「非戦争軍事行動」を言いだした習近平主席/JBプレス・msnニュース
近藤 大介 2022/06/15 17:00
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e3%83%97%e3%83%bc%e3%83%81%e3%83%b3%e3%81%ae-%e7%89%b9%e5%88%a5%e8%bb%8d%e4%ba%8b%e4%bd%9c%e6%88%a6-%e3%81%ab%e5%80%a3%e3%81%84-%e9%9d%9e%e6%88%a6%e4%ba%89%e8%bb%8d%e4%ba%8b%e8%a1%8c%e5%8b%95-%e3%82%92%e8%a8%80%e3%81%84%e3%81%a0%e3%81%97%e3%81%9f%e7%bf%92%e8%bf%91%e5%b9%b3%e4%b8%bb%e5%b8%ad/ar-AAYtEmB
6月8日、四川省を視察した際、宜賓大学を訪問した習近平主席(写真:新華社/アフロ)© JBpress 提供 6月8日、四川省を視察した際、宜賓大学を訪問した習近平主席(写真:新華社/アフロ)
本日6月15日は、習近平(しゅう・きんぺい)主席の69回目の誕生日である。
2013年3月に政権を発足させて以降、習近平主席の誕生日には、なぜか「凶事」が続いた。
60歳の誕生日はサッカー国際親善マッチで大敗、62歳の誕生日には株価大暴落
初年度の2013年6月15日、新主席は還暦を迎えた。唯一の趣味がサッカー観戦と公言していたこともあって、「格下」のタイ代表チームを招待して、国際親善マッチが組まれた。
ところが中国代表チームは、「1-5」と、よもやの大敗を喫してしまったのだ。その影響かは知らないが、「習近平新時代の中国代表チーム」は惨憺たるもので、今年年末のカタールW杯にも参加資格を得られなかった。
2015年6月15日は、62歳の誕生日だった。当時、中国は空前の株式バブルに沸き立ち、上海総合株価指数は前日の終値で5178ポイントと、8年ぶりの高値を付けていた。
ところが、なぜか習主席の誕生日から、「断崖式跳水」(断崖から海に飛び込む)と言われる大暴落が始まったのだ。以後の3週間で、上海総合株価指数は34%も暴落し、中国メディアは「7000万人以上が平均40万元(1元≒20.1円)損した」と報じた。つまり蒸発した額は、563兆円!
63歳の誕生日には「人民日報」社説から痛烈批判
さらに翌2016年6月15日、習主席の63歳の誕生日の時は、「中南海」(北京の最高幹部の職住地)が騒然とした。その2日前に、中国で絶対的権威を持つ共産党中央機関紙『人民日報』で、「トップのあるべき姿とは」と題した社説が掲載されたからだ。
<あるトップは、自分がナンバー1だと勘違いして、職場を自分の「領地」に見立てて、公権を私権に変えてやりたい放題だ。(中略)このような唯我独尊的な権力の保持は、大変危険であり、そのようなトップは往々にして、「哀れな末期」を迎えるものだ……>
「あるトップ」が誰を指すかは、一目瞭然だった。
こうしたことが続き、第19回中国共産党大会を4カ月後に控えた2017年の誕生日からは、「水も漏らさぬ厳戒態勢」が敷かれるようになった。そのおかげもあってか、ここ5年ほどは「平穏無事」な6月15日を迎えている。
69歳の誕生日には…
そこで、再び5年に一度の共産党大会を数カ月後に控えた、2022年の6月15日である。
この日、動いたのは習近平主席の側だった。「軍隊非戦争軍事行動綱要(試行)」なる指令を施行したのである。新華社通信(6月13日付)は、こう報じている。
<中央軍事委員会主席習近平は先日、「軍隊非戦争軍事行動綱要(試行)」に署名し、命令、発布した。2022年6月15日から施行する。
「綱要」は、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想による指導を堅持し、習近平強軍思想を深く貫徹する。総合的な国家安全観を堅持し、リスクや挑戦を有効に見定め、防止し解決していく。突発事件に応対し処置していく。国民の生命と財産の安全を保護し、国家の主権、安全、発展する利益を維持、保護していく。世界の平和と地域の安定を維持、保護していく。
軍事力の運用方式にイノベーションを起こし、軍隊の非戦争軍事行動組織を規範化し、実施していく。新時代の軍隊の使命、任務に重要な意義を持たせ、有効に履行していく。
「綱要」は計6章59条からなる。任務の実践経験を真摯に総括し、軍地に関する理論的な成果を広範に汲み取っていく。主に基本原則、組織指揮、行動類型、行動保障、政治活動などを系統立てて規範を持って進めて行けるようにする。それによって、部隊が非戦争軍事行動を遂行する際、法規の根拠を提供していく>
以上である。「計6章59条」という「軍隊非戦争軍事行動綱要」の全文は詳(つまび)らかにされていないので、詳細は分からない。
プーチンの「特別軍事行動」と習近平の「非戦争軍事行動」
だが「非戦争軍事行動」などという文言から、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がいまウクライナで起こしている「特別軍事行動」を意識しているのは明白だ。すなわち、「宣戦布告を伴わない(戦争とは呼ばない)軍事行為」である。
そして、ロシアはウクライナに対して牙を剥いたが、中国がこんな「綱要」を作り出した目的が、「台湾統一」にあるのも明確だ。
猛反発する台湾、「中国はグレーゾーン領域の作戦を進めてくる」
実際、台湾は、「綱要」に強く反発している。蔡英文(さい・えいぶん)政権に近い台湾最大紙『自由時報』(6月14日付)は、何澄輝(か・ちょうき)台湾安保協会副書記長のインタビューを掲載した。その要旨は、以下の通りだ。
「中国共産党、政府、軍は一体となって、将来に多くのグレーゾーン領域の作戦を進めてくる。それらは実際にはすべて戦争に導く行為であり、台湾はさらに一層注意していく必要がある。
中国は西側の民主国家とは異なっており、普通の角度から見てはならない。通常の軍事と民間の行為を分離して考えてはならないのだ。中国に言わせれば、いわゆる非戦争軍事行動はすべて、おそらくは軍事的な戦争行為なのだ。
旧ソ連の共産党体制国家も、軍事と非軍事の行為は、厳然と区別されているわけではなく、それらは衝突行為の前段階だった。だからこそロシアは、今回の行為を『特別軍事行動』であり戦争ではないとしているのだ。この行為を中止した際に、戦争行為ではなかったと偽れば、国際法上の責任を逃れられるというわけだ。
こうした衝突は、中国共産党に調整する余地を与え、『綱要』を公布することに意義と存在価値があるというわけだ。中国では政治と軍事は一体だ。台湾の生活経験と教育では、政治と軍事はそれぞれ専門分野として区別される。だが中国では、政治、軍事、警察の任務や各種行為は、すべて国家の衝突行為を進行させる手段にすぎないのだ。
一例を挙げれば、習近平は2015年以降、もともと異なる部門が管轄していた、海軍でない兵力、設備、人員、経常警察などの海上執行任務を、すべて海警局の管理にまとめた。それからさらに一歩、海警の統治を、国務院の管轄から直接の中央軍事委員会、すなわち軍委の管轄へと改編した。
『台湾vs中国 謀略の100年史』(近藤大介著、ビジネス社)© JBpress 提供 『台湾vs中国 謀略の100年史』(近藤大介著、ビジネス社)
中国共産党が言ういわゆる『非戦争軍事行動』はおそらく、『戦争前段階準備』もしくは『平時から戦時への転換』という中間の段階だ。もしも戦争を発動する時には、その行動をカバーするものとなり、続けて不可解な衝突を起こすだろう。
台湾は必ず警戒しないといけない。中国共産党は将来、おそらくは海上の船舶の衝突を利用して、『戦争前段階の準備』に入るだろう。台湾はこうした状況を、単純な漁業の事件と見てはならないのだ」
いずれにしても、ウクライナ危機が台湾危機にどう影響していくのか、注視していく必要がある。
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