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北朝鮮のICBM試射再開は近い? 米軍機が警戒監視
沖縄・嘉手納基地に飛来した米軍偵察機「コブラボール」
2019.4.4(木) 北村 淳
米空軍偵察機RC-135S コブラボール。計測機器の関係で片方の主翼が黒く塗装されている(写真:MDAA)
先週土曜日(3月30日)の夜、沖縄の嘉手納米空軍基地に米空軍偵察機RC-135Sがインド洋のディエゴガルシア基地から飛来した。
RC-135Sはインド軍の弾道ミサイルによる人工衛星撃破実験を監視するためにインド洋に派遣されていた。
「コブラボール」と呼ばれているRC-135Sは、高性能電子・光学機器を搭載しており、発射された弾道ミサイルの各種データ(MASINTと呼ばれる)をリアルタイムで収集する偵察機である。極めて特殊な任務をこなす偵察機で、米空軍は3機のRC-135S コブラボールを運用している。
コブラボールにより収集されたデータは弾道ミサイル防衛にとって極めて重要である。米ソ冷戦期には、コブラボールは戦略航空軍団に所属してアリューシャン列島のシェミア島空軍基地に常駐し、ソ連の大陸間弾道ミサイル発射実験や弾道ミサイル攻撃に備えていた。現在は、航空戦闘軍団の第55航空団に所属し、ネブラスカ州のオファット空軍基地を本拠地としている。
コブラボールは弾道ミサイル探知と情報収集という高度に専門的な任務を担当するため、第45偵察飛行隊と第97諜報飛行隊(ともに第55航空団に所属する)からの要員によって運用されている。ちなみに沖縄の嘉手納基地には、北朝鮮や中国の弾道ミサイルに対する警戒や情報収集に際してコブラボールに乗り込むために、第97諜報飛行隊のアナリストが配属されている。
なぜ嘉手納基地に立ち寄ったのか?
コブラボールが作戦中に収集するデータは、国家安全保障問題担当大統領補佐官、国防長官、戦略軍司令官に直接伝達され、アメリカの安全保障における最高レベルの意思決定に直接反映される最重要情報の1つとみなされている。
したがって、米軍関係情報網が北朝鮮で弾道ミサイル発射実験の兆候などを察知した場合、コブラボールが嘉手納に派遣され警戒監視に当たるのが常である。
2012年12月の北朝鮮による「光明星3号」発射の際にも、発射の2週間ほど前には嘉手納にコブラボール2機が派遣されて警戒監視に当たっていた。また、2017年の一連の弾道ミサイル発射実験に際しても、嘉手納に派遣されたコブラボールが警戒監視と情報収集に当たっていた。
ただし、55年近くも使用し続けているコブラボールの機体はさすがに経年劣化が目立つようになってきており、第55航空団では極力酷使しないように心がけているということである。
では、なぜディエゴガルシアからオファット空軍基地に帰還する際に、わざわざ遠回りになる太平洋回りルートを経由し、沖縄の嘉手納基地に立ち寄ったのか? 給油のために立ち寄ったとは考え難い。今回も、米軍戦略情報筋が北朝鮮による弾道ミサイル発射実験が差し迫っているとの情報を得たために、コブラボールが嘉手納基地に飛来したことは、間違いないだろう。
ディエゴガルシア基地の位置(印のついた場所)。アメリカのオファット空軍基地に帰還するなら本当は太平洋回りよりも大西洋回りのほうが早い(Googleマップ)
立場が異なるアメリカと日本
トランプ大統領が自らの外交成果として胸を張っているように、2017年12月以降現在に至るまで、確かに北朝鮮は弾道ミサイルの発射は行っていない。その結果、日本の上空を北朝鮮弾道ミサイルが飛び越えることもなくなっている。
しかし、日本の上空を飛び越えて太平洋に着弾する弾道ミサイル実験は、米本土攻撃用の大陸間弾道ミサイルあるいはグアム攻撃用の中距離弾道ミサイルのためのものであり、日本攻撃用の準中距離弾道ミサイルや短距離弾道ミサイルのためではない。
そして、トランプ政権およびアメリカ国防当局が廃棄を求めているのは、核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発であり、核弾頭を搭載していない日本攻撃用弾道ミサイルの廃棄を求めているわけではい。
実際に北朝鮮は日本攻撃用の弾道ミサイルを極めて多数保有しているが、それらによってアメリカ本土はもちろん、ハワイやグアムが攻撃される恐れはない。はっきり言ってアメリカが神経質になる理由はないのである。
北朝鮮の対日攻撃用弾道ミサイルはアメリカには直接関係ない
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むしろ、日本が北朝鮮の弾道ミサイルの脅威にさらされている方が、アメリカ政府にとってもアメリカ軍需産業にとっても都合が良いくらいなのだ。なぜならば、日本政府は弾道ミサイル防衛には惜しみなく金をつぎ込むからである。
日本はアメリカから見て、イージス戦闘システム(日本で建造する駆逐艦に搭載されるシステム自体はアメリカ製)、イージス・アショア、PAC-3といった超高額弾道ミサイル防衛システムやそれらから発射する弾道ミサイル迎撃用ミサイルなどを気前よく購入してくれる「最良の上客」ということになっている。
もちろん日本にとっても、北朝鮮がICBMやグアム攻撃用弾道ミサイルなどを放棄することが望ましい。それだけ、日本政府が頼り切っているアメリカの北朝鮮に対する軍事的睨みが回復するため、結果的に日本が北朝鮮から被る軍事的脅威が減ることになるからだ。とはいえ、北朝鮮の弾道ミサイルの何倍も強烈な中国の弾道ミサイルの脅威が消えるわけではない。
いずれにせよ、コブラボールが嘉手納基地に派遣されている間は、北朝鮮による弾道ミサイル試射の可能性があるということを心に留めておかねばならない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55985
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