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シリアでの戦争を「内戦」だと言い張る侵略勢力(その2)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201809070001/
2018.09.08 櫻井ジャーナル
1991年はCIA人脈がKGBの中枢と手を組み、ソ連でクーデターを成功させた年だ。これは本ブログでも書いたことがある。ハンマー作戦だ。その勢力に操られたボリス・エリツィンは1991年12月にソ連を勝手に消滅させてしまった。
ソ連が消滅したことでネオコンたちはアメリカが唯一の超大国になったと認識、自由に世界を侵略できる条件が整ったと考え、単独行動主義へ傾斜、国連を無視するようになる。そして1992年2月、国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成した。旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなど潜在的なライバルを押さえ込むと同時にエネルギー資源を支配しようと考えた。中国が残された中の国で最も警戒するべき対象と考えられたことから、東アジア重視が打ち出される。
このプランはウォルフォウィッツ次官を中心に作成されたことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれているが、その基本的なアイデアは国防総省内部のシンクタンク、ONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャルが考えたと言われている。冷戦時代、マーシャルはソ連の脅威を誇張した情報を流してCIAの分析部門と対立していた人物で、ソ連消滅を受けて中国脅威論を叫び始めた。
ブッシュ・ジュニア政権の終盤、アメリカ支配層の想定と違ってロシアの軍事力が強いことが判明、バラク・オバマ大統領は2010年8月にPSD-11を出してムスリム同胞団を使った侵略計画を承認した。そして「アラブの春」が始まる。
この計画に基づき、2011年2月4日にNATOはカイロでリビアとシリアの体制転覆に関する会議を開き、2月15日にはリビアで侵略戦争を開始、3月15日にはシリアでも体制転覆を目指して戦争を始めた。この侵略戦争でアメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、トルコ、カタールが地上兵力として使ったのがムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵である。その後、様々なタグがつけられるが、基本構造に変化はない。
シリアを侵略する口実として「民主化運動の弾圧」が掲げられていたが、2010年シリアで活動を続けているベルギーの修道院のダニエル・マエ神父は住民による反政府蜂起はなかったと語っている。したがって、政府による弾圧もなかった。これは現地を取材したジャーナリストも指摘している。
「民主化運動の弾圧」という幻影を信じさせるために使われたのがシリア系イギリス人のダニー・デイエムやSOHR(シリア人権監視所)。その話に飛びつき、アメリカの侵略を受け入れた人もいるようだ。
ところが、デイエムの発信する情報が信頼できないことを示す映像が2012年3月1日にインターネット上へアップロードされた。この日、ダニーや彼の仲間が「シリア軍の攻撃」を演出する様子が流出したのだ。つまり彼の「現地報告」はヤラセだった。
2012年5月にシリアのホムスで住民が虐殺されるると、西側の政府やメディアはジハード傭兵と同じように、シリア政府軍が実行したと宣伝する。これを口実にしてNATOは軍事侵攻を企んだものの、宣伝内容が事実と符合せず、すぐに嘘だとばれてしまう。その嘘を明らかにしたひとりが現地を調査した東方カトリックの修道院長だった。
現地を調査したローマ教皇庁のフランス人司教は侵略軍のサラフィ主義者や外国人傭兵が住民を虐殺したと報告、それを教皇庁の通信社が伝えた。その司教は「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」と書いている。
また、現地で宗教活動を続けてきたキリスト教の聖職者、マザー・アグネス・マリアムも外国からの干渉が事態を悪化させていると批判していた。シリアにおける住民殺戮の責任を西側の有力メディアも免れないと言っているのだ。(つづく)
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