国連:イエメンにおける人権侵害で国際調査委員会の設置を 62団体が国連人権理事会に行動を要請 印刷 GYATA-64 antipersonnel mines cleared by YEMAC from Aden city and its suburbs since Houthi-Saleh forces withdrew from the city in July 2015, March 16, 2017. 展開 GYATA-64 antipersonnel mines cleared by YEMAC from Aden city and its suburbs since Houthi-Saleh forces withdrew from the city in July 2015, March 16, 2017. © Private (ジュネーブ)― 国連人権理事会は、イエメンの全内戦当事者による人権侵害に関し、独立した国際調査委員会を設置すべきであると、ヒューマン・ライツ・ウォッチほか61の国・地域・国際NGOが、人権理事会加盟国へ宛てた書簡内で本日述べた。
内戦当事者は引き続き、国際人道法および国際人権法の重大な違反や侵害を犯している。イエメンでは世界最大級の人道危機が進行中で、少なくとも700万人の人びとが飢饉に瀕し、数十万人がコレラに苦しんでいる。イエメン政府とそれを支援するサウジアラビア主導の有志連合軍は、自軍による人権侵害の中立かつ透明な捜査をこれまでしていない。 ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブ代表ジョン・フィッシャーは、「イエメンでの人権侵害に対する国際的な調査を支持する声が、最高潮に達した」と述べる。「国連人権理事会の加盟国は、自らのマンデートに従ってこれらの呼びかけに耳を傾け、イエメン内戦の特徴となっている不処罰を排除するための体制を整えなくてはならない。」 国連人権高等弁務官、国連人道問題調整事務所所長、および安全保障理事会のイエメン担当専門家パネルも、イエメンでの人権侵害に関する国際調査を求めている。フーシ派の部隊とイエメン政府双方の支配下にある地域から、数十のイエメン団体も呼びかけに加わった。 Jamil Qaid comforts his 8-year-old daughter, Malik, after her arm was amputated. Malik was wounded during one of the Houthi-Saleh artillery attacks on al-Dabou'a neighborhood, Taizz, on May 23, 2017. 展開 Jamil Qaid comforts his 8-year-old daughter, Malik, after her arm was amputated. Malik was wounded during one of the Houthi-Saleh artillery attacks on al-Dabou'a neighborhood, Taizz, on May 23, 2017. © 2017 Khalid Fuad Albanna 国連人権事務所は、2015年3月以来、内戦で少なくとも5,110人の一般市民が犠牲になり、8,191人が負傷したことを具体的に認定。しかし、「全体数はおそらくはるかに多い」と考えている。 2015年3月からサウジ主導の連合軍は違法な空爆を多数繰り返しており、その一部は戦争犯罪に該当する可能性がある。一方、フーシ派の部隊もタイズやアデンといった街の人口密集地域にロケット弾を無差別に発射しており、これも戦争犯罪に該当する可能性がある。双方ともイエメン全土で、イエメン人活動家をはじめとする人びとを嫌がらせや恣意的拘禁、強制失踪の対象にしており、「行方不明」者の数が増加している。両当事者は、紛争終了後も長きにわたり一般市民を危険にさらす可能性から広く禁じられている武器を使用しており、人道支援も妨害してきた。 2015年と2016年に人権理事会は、イエメンでの人権侵害に対する国際的な調査委員会を設置しなかった。代わりに支持したのは2年以上にわたるプロセスで、これまでイエメンの人権侵害の重大性に対処するのに必要な、独立した、公正かつ透明な捜査を提供できずにいる。書簡に署名した57の団体は、人権理事会に対し、独立した国際調査委員会の設置を要請。事実の確立および現状の把握、証拠の収集および保存、長期的な責任追及の実現を見据えた人権侵害疑惑をめぐる責任の所在特定のためのマンデートを、調査委に付与するよう併せて提言している。 フィッシャー ジュネーブ代表は、「人権理事会加盟国は、サウジ主導の連合軍からの圧力に過去2回弱腰となり、くり返される戦争犯罪と世界最大の人道危機を眼前にしながら、原則を貫くことはなかった」と指摘する。「今年9月に各国政府は、政治的圧力に屈することなく、イエメンの人びとを最善のかたちで支援する方法で応えなくてはならない。そして加盟各国は、内戦の当事者に気兼ねすることなく責任追及を促進することにより、自らのマンデートに忠実であるべきだ。」 Region / Country 中東・北アフリカ イエメン Topic 国際的な法による裁き 国連 国連人権理事会
連合軍が誤爆認める、イエメンで子どもら51人死亡 内戦が続くイエメンの北部で先月、空爆があり、多くの子どもらを含む51人が死亡したことについて、サウジアラビアが主導する連合軍は1日、連合軍による誤爆だったと認めました。 イエメンでは先月9日、北部サーダ州の市場で子どもらを乗せたバスなどが空爆を受け、51人が死亡、79人がけがをしました。 イエメンでは現政権を支援するサウジアラビア主導の連合軍とイランが後ろ盾の反政府勢力との間で内戦が続いていて、連合軍側はこの空爆を行ったことを認めつつも「反政府勢力側のミサイルの発射装置を狙ったものだ」と主張していました。しかし、ロイター通信によりますと、連合軍は1日、交戦規定上の過ちがあり、正当化できるものではなかったと表明し、空爆は連合軍による誤爆だったと認めました。 連合軍側が誤爆を認めるのは異例ですが、その背景には国連人権理事会の専門家グループが連合軍側の空爆について「戦争犯罪」の可能性を指摘したほか、サウジアラビアの同盟国であるアメリカのマティス国防長官が市民への被害を抑えるよう求めるなど、国際的な圧力が強まっていたことがあげられています。 イエメンサウジ軍、誤爆認める 民間人死傷に責任 会員限定有料記事 毎日新聞2018年9月3日 東京朝刊 • サウジアラビア • 中東 • 国際 • 紙面掲載記事 イエメン北部の空爆現場で、散乱した子どもたちのリュックサック=8月10日、AP共同 【カイロ共同】イエメン内戦に軍事介入しているサウジアラビア主導の連合軍は1日、イエメン北部で8月9日にバスが空爆され、子ども40人を含む多数の市民が死亡した事件の調査結果を発表した。「交戦規定上の過ち」があったと責任を認め「遺憾だ。被害者の遺族にお悔やみを伝えたい」と表明した。国営サウジ通信が伝えた。
イエメン内戦子供犠牲の空爆やまず「戦争犯罪の恐れ」 毎日新聞2018年8月31日 17時05分(最終更新 8月31日 23時50分) イエメンアラブ首長国連邦速報中東国際 サウジアラビアが主導する連合軍の空爆で重傷を負い治療を受ける子供=イエメン北部サーダ州で2018年8月12日、AP イエメン内戦の構図 【カイロ篠田航一】内戦が続く中東のイエメンで8月に入ってから、子供たちが多数犠牲になる空爆が相次いでいる。国連人権理事会の専門家グループは28日に、内戦に軍事介入するサウジアラビア主導の連合軍と、サウジが支援するハディ暫定政権による空爆が多数の民間人犠牲者を出しているとして、「戦争犯罪」にあたる恐れがあるとの報告書を公表した。 一方、ハディ暫定政権と敵対する親イランの反体制派武装組織フーシについても、拘束者の虐待、子供の徴兵などの行為が同様に戦争犯罪にあたる可能性を指摘。戦闘に関与する全ての当事者を厳しく非難した。 ロイター通信などによると、イエメンでは9日に北部サーダ州で子供たちを乗せたバスが空爆され、少なくとも子供40人を含む51人が死亡。23日には西部ホデイダ州で子供22人と女性4人が死亡する空爆があり、いずれもサウジ側による攻撃だった。 だが今回の報告書ではサウジ側だけでなく、ハディ暫定政権やフーシなど全ての紛争当事者について「市民の犠牲を最小限にする努力がみられない」と批判した。 国連の批判に対し、サウジ主導の連合軍は29日、「報告書は不正確だ。内戦を長引かせるイランの役割に言及していない」と反論した。 イエメンでは2014年以降、ハディ暫定政権とフーシの対立が激化。サウジやアラブ首長国連邦(UAE)などが15年3月に軍事介入を始め、内戦に発展した。中東で覇権を争うサウジとイランの事実上の「代理戦争」の様相を呈しており、フーシ側も度々サウジ領内にミサイル攻撃を加えている。 サウジ主導の連合軍は度々、「市民を標的にしていない」と釈明しているが、中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、内戦下で起きた連合軍による1万6000回に及ぶ空爆のうち、3分の1は軍事拠点に無関係の民間施設が狙われ、病院や結婚式場も攻撃されたという。 関連記事 三重銀行:現金1億円の重さを子供たちが体験 シリア:「最終拠点」緊迫 政権軍、イドリブ県制圧狙う 夏休み:子供の「性被害」防止策は 専門家に聞く カタール:際立つトルコ支援 背景に中東での孤立 国連人権理事会:福島原発 除染作業員の健康被害を懸念
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