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「特定の人がデマの潮流を生み出していた」 ネットにはびこるヘイトの真偽を検証し、立ち向かう動きを追った(東京新聞)
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/445.html
投稿者 蒲田の富士山 日時 2024 年 7 月 15 日 15:08:42: OoIP2Z8mrhxx6 ipeTY4LMlXiObY5S
 

2024年7月15日 12時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/340144

 埼玉県南部の川口市周辺で約2000人が暮らすとされるクルド人へのデマやヘイトが目立つようになって1年余り。その多くがまき散らされているのが、これまでも深刻なレイシズムの温床になってきたネット空間だ。「放っておけばデマが事実だと誤解されかねない」と、ネットをパトロールする人たちがいる。現状を追った。(森本智之)

◆「ネットの中では、まるで犯罪都市」住人が驚く悪質な書き込み
 「『川口』と検索するだけで、ヘイトスピーチが次々出てきます」。川口市で在日外国人支援を続けてきた米山功治さん(55)は交流サイト(SNS)のX(旧ツイッター)を開いて説明してくれた。
 「川口市、発砲事件、犯人はどうせクルド人でしょ」「クルド人は野蛮な人種だから強制送還した方が良い」「クルド人はテロリスト集団」…。事件の報道とクルド人を根拠無く結び付けて犯人視したり、交通事故の現場にいる外国人を撮影した写真をやはり根拠不明のまま「クルド人」と称して揶揄(やゆ)したり。クルド人が暮らすアパートや公園の子どもたちを隠し撮りした動画や写真をアップするケースまである。「ネットの中の川口は、まるで危険なクルド人に占拠された犯罪都市」(別の支援者)というありさまだ。
 だが、こうした印象は現実とはかけ離れている。

◆川口市でクルド人は少数派、中国人の200分の1
 クルド人が暮らす川口、蕨両市は外国人の集住都市。川口は今年1月現在で人口の7%余、約4万3000人の外国人が暮らし、この10年で1.9倍弱に増えた。
 ただ最多は中国人(約2万4200人)で、ベトナム人(約4900人)、フィリピン人(約2900人)などと続き、クルド人を含むトルコ国籍者は約1200人と少数派だ。加えて、2023年の市内の刑法犯認知件数は4437件と、この10年で43%減った。
 確かに騒音やごみ出しなどで生活上のトラブルは起きているし、中にはクルド人が罪を犯すケースもある。しかし、SNSでは個別の犯罪などが繰り返し投稿され、クルド人の犯罪が頻発しているかのように論じられる。クルド難民弁護団の大橋毅弁護士は「どんな民族でも犯罪をする人もいれば、そうでない人もいる。一部の個人の犯罪を理由に民族単位で批判するのは差別そのものだ」と言う。

◆入管難民法が注目されたことで排外主義者の標的に
 米山さんによると、こうした投稿は今年6月以降に再び目立つようになったという。難民申請中でも強制送還を可能にする改正入管難民法が施行され、難民申請者が多いクルド人に関する報道が増えていた。1年ほど前、クルド人へのヘイトが始まったのも、法改正の過程でクルド人がクローズアップされた時期。注目が集まったことで排外主義者の標的になった可能性がある。
 「『きっとそうだろう』『そのようだ』『そうに決まっている』。事実に基づかず犯罪者と決め付ける内容が、圧倒的に多い」。米山さんは時間を見つけてはチェックし、Xの運営会社に通報、反論を書き込む。川口は生まれ育った街。街に根付き、ともに暮らす多くの外国人を知っている。「誰かがやらないとどんどん広がる。このままだとデマをやったもん勝ちになっちゃう」

◆「ひとくくりにして中傷を続けるのが許せない」
 東京都内に住むライターの田口ゆうさんは、自身が今春、川口のクルド人へのヘイト問題を取材したことでXにデマへの反論を書き込むようになった。
 クルド人への批判の「定番」としてよく見られるのが、荷台からあふれんばかりに廃材などを積んだトラックや、改造した乗用車などの写真を「クルドカー」と称して投稿し批判するケースだ。田口さんが投稿された写真を集め、ナンバーを確認すると「浜松」「前橋」「春日部」「佐賀」などだった。「川口市関係ないよね」「投稿している人たちは本当に川口市を思っているのか」と指摘した。
 田口さんはこう話す。「ネットでは川口は危険だと書かれ、取材で市内を歩き回ったけど、平和だった。そのことを記事で書いたら、自分が誹謗(ひぼう)中傷の標的になった。取材では、街のごみ拾いをするクルド人や、地元で支援している日本人も取材したが、支援団体には脅迫メールが届くし、関係者はみんな脅されていた。異常だと思った」
 これまで社会的マイノリティーの人たちを多く取材してきたという。「当たり前だけど、いろんな人がいます。それを『障害者はかわいそう』『ホームレスだからこうだ』と決め付けるのが私は嫌いです。だから、『クルド人は』とひとくくりにして中傷を続けるのは許せないと思った。今もネットでたたかれるのは怖いけど、知ったからには」と力を込めた。

◆不確かな情報発信、それがウケてる現状が怖い
 「電脳塵芥(ちりあくた)」と名付けられた個人のブログがある。その名の通り、電脳空間に漂うごみを拾うかのごとく、真偽不明の情報の検証を続けている。今年6月、難民申請中のクルド人がテレビ局のインタビューを受けた際に映った自宅の様子などから、この一家は、多額の「給付金」をもらっているとして「経済的に豊かな上級市民」「川口貴族と呼ばれているらしい」と揶揄する投稿がXで注目された。
 困窮する難民申請者への公的支援は乏しい。国は「保護費」を支給するが、条件が厳しく支給額も不十分で、「セーフティーネットとして機能していない」と指摘されている。ブログはこうした制度を丹念に調べた上で、「デマ」と結論づけた。
 運営者はメールで取材に応じた。クルド人へのヘイトについては、一部の特定の人物がデマの潮流を生み出していると分析。「精力的に不確かな情報を発信して、それがネットで受けている現状は単純に怖いし、それによって生み出された言論状況の悪化は著しい」と述べた。

◆割に合わなくても「検証情報を残すことが重要」
 一方、ブログを続ける理由について、事実確認をすることの「知的欲求」が大きい、としながら、真偽不明の情報がヘイトの材料として繰り返し拡散する一方、的確な反論がネット上に乏しいと指摘。「ネット上の誰かが反論、検索して調べる際の情報が存在することが重要だと考えている」とつづった。
 SNSでは情報は次々投稿され上書きされていく。どんなデマが流行したのかも含め「情報を残すことが重要」とも述べた。「愚痴を言えば割に合ってるとは言えないし、めんどくさいですが」。質問への回答からは本音も漏れたが、マスメディアが追わないような細かなデマを指摘するなど「個人だからできることがある」と決意がにじんだ。

◆「数の多さには慣れても、ヘイト内容に慣れることはない」
 ネット上のヘイト対策は各地で大きな課題になっているが、有効な手だては講じられていない。
 「ネット上の被害に対応が追いついていない。数の多さには慣れたが、その内容に慣れることはありません」
 川崎市でヘイト被害を受けてきた在日コリアン3世の崔江以子(チェカンインヂャ)さんは6月、会見を開いて訴えた。川崎では、ヘイトスピーチに刑事罰を盛り込んだ全国初の条例が全面施行されてこの7月に4年を迎えた。ヘイト対策の先駆的な試みとして注目され、実際、この4年で条例の規制対象になるような街頭でのヘイトスピーチは抑えられてきたが、ネット上の差別的な書き込みは減らない。
 市は事業者に委託してネット上をパトロール。条例に照らして、川崎市民らへ向けた差別的な書き込みはネット掲示板などの運営者に削除要請する。その数は4年で計386件。年々増えているという。市の担当者は「差別的な投稿自体が増えている印象だ。条例により街頭からヘイトはなくなったが、ヘイトそのものが消えたわけではない」と警戒。「いたちごっことかもぐらたたきと言われる。地道にやっていくしかない」

◆デスクメモ
 外国人が1割を占める街に住んでいた。バーベキューの煙が火事と間違えられるなど文化の違いによるトラブルも起きつつ、豆の料理や言語を教わり、地域で共に生きる隣人であると実感した。クルドの人たちの境遇に思いも寄せず、SNSで流布されるデマや悪意を食い止めたい。(恭)

【関連記事】なぜ今、クルド人ヘイトが増えている? 夜回りや被災地支援など「溶け込む努力している人たちもいること知って」  

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