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2023年9月22日 06時00分
<PFASを追う>
https://www.tokyo-np.co.jp/article/278934
東京・多摩地域の住民を対象に昨年11月から開始されたPFAS(ピーファス)濃度を調べる大規模な血液検査は21日の報告で全容がまとまった。791人分の検査で明らかになったのは、多摩地域で汚染が広がり、特に米軍横田基地(東京都福生市など)の地下水の下流域とされる東側の自治体で深刻だったことだ。識者は「行政は市民団体の血液検査を活用し、健康被害調査を実施するべきだ」と指摘する。(松島京太)
◆血中濃度と水道水の関係は
「横田基地から東側の地下水の汚染度が高い地域に、PFAS血中濃度が高い住民が集中していると言える」。会見にオンラインで出席した京都大の原田浩二准教授が、血中濃度が高かった地域を色分けした地図を示しながら説明した。
調査から分かったのは、PFASの血中濃度上昇に水道水が関与している可能性が高いことだ。
都水道局によると、2005年から水道水源の井戸から高濃度のPFASが検出されており、19年以降に7市の40カ所の井戸で取水を停止した。井戸の位置はいずれも横田基地の東側。多摩地域の地下水は西側から東側に流れているとされることから、汚染源の「容疑者」が横田基地だった。
横田基地は12年に約3000リットルに上る大規模なPFASを含む泡消火剤の漏出したことを認めており、容疑は強まる。「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」事務局の渋谷直さんは「最大のポイントは横田基地への立ち入り調査だ」と語り、国や都に対応を求めていく方針だ。
◆住民の健康影響、調査はこれから
汚染源の特定に加えて、重要になるのが、PFASを取り込んだ住民の健康影響をどう調べていくかだ。
一般的に、環境中の化学物質の健康影響を調べるためには、動物実験のほか、人間の集団を対象とした疫学調査を実施する必要がある。単発的な調査では、疾病との因果関係を判断するのが難しいため、特定の集団を長期間追跡することが求められる。
疫学調査としては、環境省が2010年度から進める「エコチル調査」がある。PFASも分析対象で、全国の母子10万組を追跡する。ただ、都内は調査地域から外れており、子どもの発育に関する研究が主な目的だ。米国で実施されたPFASの疫学調査で関連が分かった発がん性などの疾病は、エコチル調査では明らかになりにくい。
21日の会見では「PFAS相談外来」を訪れた住民で、脂質異常症の治療をしている割合が高いことが示されたが、PFASが原因であると結論づけることはまだ困難だ。
◆疫学調査には高いハードル
環境省はPFASへの関心の高まりを受け、今年から2つの専門家会議を設立。省内には「PFAS対応チーム」を編成するなど少しずつ動きだしてはいるが、十分とはまだ言えない。
来年度予算の概算要求では、PFASの有害性を調べるための動物実験などに4億7000万円を計上した。ただ、新たな疫学調査の方針はない。担当者は「疫学調査は予算の関係でハードルが高い。エコチル調査と動物実験の両輪で健康影響を調べる」と説明する。
環境中の化学物質について詳しい群馬大の鯉淵典之教授(環境生理学)は「汚染地域で毎年、血液検査と健康調査を実施してリスクを調べることが現実的に今できる対応だ」と語る。
その上で、汚染地域を特定する方法として、今回の多摩地域での血液検査も踏まえ「市民団体による調査も参考にするべきだ」と指摘する。
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PFAS 泡消火剤やフライパンの表面加工などに使われてきた有機フッ素化合物の総称。4700種類以上あるとされ、PFOSやPFOAは人体や環境への残留性が高く、腎臓がんや脂質異常症の発症リスクが上がるとして国内外で規制が進む。血中濃度の指標は日本にはなく、米国では7種類のPFAS合計値で「血液1ミリリットル当たり20ナノグラム」を超えると健康被害の恐れがあるとしている。
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