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「全員、正社員にします!」 激変する雇用事情/Nクロ現
2017年11月22日
https://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/059/
2.200人を正社員に 大手クレジットカード会社の決断
非正規雇用だった2,200人を正社員にしたのは、大手クレジットカード会社のクレディセゾン。これまでパート勤務だった麻生陽子さんも正社員になった。ある日の出勤は午前9時半。職場ではもう仕事が始まっている。遅刻かと思いきや、短時間勤務を取っているという。育児のため、パート時代は勤務を5時間半に抑えてきた麻生さん。正社員になっても時間はそのまま。さらにボーナスも支給され、収入は大幅にアップ。仕事も家庭も、かつてより充実しているという。
「正社員になれてうれしい。仕事の内容的には特に変更はなく働いているので、その辺は大丈夫です。」(麻生陽子さん)
この会社では、短時間勤務のほか、週休3日制や在宅勤務制度も導入。有給休暇も1時間単位で取れるようにして、多様で柔軟な働き方ができる正社員像を新たに作り出した。
一方、福利厚生の充実やボーナスの支払いなどで、人件費は年間数億円増加。それでも正社員化を進めたのは、ある危機感からだ。
去年、全社員を対象にアンケート調査したところ、「昇給がない」など非正社員の中に不満がくすぶっていることが分かった。中には、転職をにおわせる記述も。国の試算によると、2030年には労働の核になる世代の人口が500万人以上減少。人材確保はますます難しくなると見られている。この会社では、今いる人材のモチベーションを高め、今後も働き続けてもらうことが不可欠と考えたのだ。
深刻な人手不足は、「人手不足倒産」という驚くべき事態まで引き起こしている。業績が好調なのに人手が確保できず、営業が行き詰まり倒産するようなケースだ。今年に入って特に増え、4年前の約3倍の件数になっている。
こうした危機感の中で広がる正社員化の動き。ただ業種によって温度差はある。採用コンサルタントの谷出正直さんは、流通業やサービス業、小売業といった人手不足が続く業界や、もともと離職率が高い業界では正社員化による人材の囲い込みが加速しているが、銀行やメーカーなど比較的採用が好調な業界の動きは小さいという。
「正社員の責任」に戸惑う人も
正社員になったからといって、メリットばかりとは限らない。これまでにない責任が生じ、戸惑いを覚える人もいる。
クレジットカード会社に勤める川島千枝さん。パートタイムから正社員になったのを機に、新たな業務を担当できないか、上司から打診されている。上司はより難易度の高い仕事も任せたいと考えているが、川島さんは不安だ。仕事をきちんとこなしていけるのか、残業が増えるのではないか、自信を持てずにいる。
「正社員に上がるからには、より高いレベルのことが求められる。業務の幅も広がっていくと不安。」(川島千枝さん)
どうすれば川島さんのような人たちが抱える不安を解消できるのか。カギとなるのは企業による教育や上司のマネージメントだ。一人ひとりの事情に配慮しつつ、仕事のキャリアアップも支援する。川島さんの会社でも、管理職による話し合いが持たれるなど模索が始まっている。
企業の価値観も変化 こんな人材にも熱い視線が…
これまで企業が注目していなかった人材を、積極的に採用しようという動きもある。
都内の雑居ビルで行われた、企業で働くための研修会。参加したのは、中学や高校卒業後地元で働いたり、フリーターをしたりしていたという地方出身の就職希望者だ。半年間泊まり込みで行うこの研修は、その名も「ヤンキーインターン」。
山口県出身の坂元涼さんは、定時制高校を卒業した後、建設会社に就職。しかし、労働環境と賃金に不満があり3年で退職したと言う。
「(地元では)手取りで12万円とか、1か月休みないとかも普通にありました。それが自分が今までしてきたことなので、しょうがないと思っている自分もいたんで、けどそれじゃ納得いかなかった。自分の人生変えようと思って。」(坂元涼さん)
「ヤンキーインターン」が特に力を入れているのが営業研修。多くの企業で営業の人材が不足しているという。この1年間で採用されたのは100人近く。意欲が高く、肝が据わった若者が多いという。最近は研修生に向けて、採用説明会を開かせてほしいという企業からの申し込みが相次いでいる。
大学卒業後すぐに会社を辞めた「第二新卒」や、仕事に就けなかった既卒の若者といった、これまで敬遠されがちだった人材にも注目が集まっている。
常に1,200の企業から求人があるという人材紹介会社では、こうした若者たち一人ひとりとじっくりと面接し、どんな仕事が向いているか、適性を見極める。その結果、次々と就職が決まり、定着率も9割を超えるという。
採用コンサルタントの谷出さんは、学歴や新卒一括採用にこだわってきた企業の価値観が変わってきていると指摘する。
「2013年度卒の新卒採用から、経団連が、卒業しても3年以内の人は既卒として新卒採用と一緒に採用してくださいという指針を出した。そこからだんだん年齢に対する感覚が、企業としても受け入れられるようになってきた。それが今、人手不足、売り手市場ということになってつながり、既卒や第二新卒も、採用するという動きになってきました。」
こうした動きが好景気と人手不足の中での一時的なもので終わるのか。それとも働く人を大切にする意識の高まりや、働き方の選択肢の広がりにつながっていくのか。その行方を注視していく必要がありそうだ。
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