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こんなの減税ではない!「自動車税」めぐる政府・自動車業界の謀略
https://diamond.jp/articles/-/189385
2018.12.25 井元康一郎:ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
自動車ユーザーは自動車税の減税を素直に喜べない?(写真はイメージです) Photo:PIXTA
排気量2.5リットル以下の乗用車にかけられる自動車税が引き下げられる見通しとなった。このことについて、自動車業界からは「減税に風穴を開けた」、政府からは「自動車市場の活性化が期待できる」などとステークホルダーから自画自賛の声が続々と飛び出している。だが、最大のステークホルダーである自動車のユーザーにとって、果たして喜べる成果なのだろうか。(ジャーナリスト 井元康一郎)
こんなものは
減税といえない
そもそも、自動車税が減税になったのはこれが初めてではない。業界サイドは1950年に自動車税が創設されてから初めての引き下げを勝ち取ったと主張しているが、バブル爛漫(らんまん)の1990年に排気量2リットル超のクルマの自動車税が大幅減税となったことがある。
それまでは排気量2リットル(税額3万9500円)をちょっとでも超えると問答無用で3リットルまで8万1500円、それ以上だと11万円以上もの自動車税がかかっていた。排気量が小さくとも、車体サイズが3ナンバーだと3リットル車と同様の扱いだった。
特に2リットルと税額の差が小さい2.5リットル車は飛ぶように売れた。中でもまるで恒久減税の実現を読みきったかのようにタイミングよく登場した、三菱自動車の新型ラグジュアリーセダン「ディアマンテ」は爆発的ヒットとなったほどである。税額が8万1500円から4万5000円になったのだから、当然と言えば当然だろう。
3リットル車も5万1000円と、これまた3万円以上の引き下げで、それまでの2リットル超級の大排気量車は「特別な人のもの」という常識は一気に覆され、その後のバブル崩壊とともに終焉(しゅうえん)を迎えた“クルマブーム”の最後に花を添えることになった。
そのときのインパクトに比べれば、今回の“減税”のインパクトははなはだ希薄だ。前回は排気量の大きなクルマが新車だけでなくすべて減税になったのだが、今回減税の恩恵にあずかれるのは消費税増税後に売られる新車だけ。減税のスケールも最も差分の大きい排気量1リットル以下で4500円減、1.5リットルまでが4000円、2リットルまでが3500円、2.5リットルまでが1500円、2.5リットル超は減税なし。
その減税の財源を、同じ自動車分野の税金から持ってきているのも問題だ。エコカー減税の対象車種や減税幅を絞るなどして、実質増税した分を自動車税減税に付け替えているのである。トータルでの税額を減らしていないのなら、朝三暮四そのもの。
こんなものを「減税」と呼ぶこと自体、おかしな話というものであろう。
とどのつまり、政府・行政は自動車からの徴税総額を減らす気などさらさらないのだ。財務省のデータによれば、現在、クルマから上がってくる税は8兆3500億円で、総税収の8%以上を占める。ちなみに消費税を8%から10%に引き上げた場合、消費にそれほど悪影響が出ないグッドケースでも税収増はせいぜい2兆円と試算されている。仮にクルマのユーザーの税負担をトータルで4分の1減らすとしたら、風当たりの強い消費税2%増で得られる2兆円が吹き飛んでしまう。
現状、仮に文句を言いながらであってもユーザーがせっせと納税してくれているものを、財政健全化を至上命令とする財務省や、地方税収をつかさどっている総務省がみすみす勘弁してくれるわけがない。
形だけでも自動車税減税を果たしたことで今後につなげられればいいが、残念ながらこれからもユーザーの負担軽減をタテに減税要求を突きつけたとしても、「財源は?」と突っぱねられ、非自動車分野に財源を求めることもできず、結局クルマの課税トータルの中での配分が変わるだけになるという公算が大きい。
不気味な「保有から使用へ」の文言
対距離課金の新税制を創設か?
政府、行政がクルマからの税収を減らす気がないというスタンスが決定的であることに鑑みて、不気味なのは、税制改革大綱に明記されたという「保有から使用へ」の文言。クルマの税額を何km走ったかによって決めるという考え方で、2021年以降の実現に向けて検討を開始するという(実はもう検討されているのだが)。
カーシェアの普及で台数が減ったり、燃料課税で走行段階の税が取れない電気自動車が増えることに備えるというのが課税権者側のタテマエだが、本当にそれだけか?
カーシェアやEVの普及が名目であるのなら、それだけに適用すれば済む話だ。もともと自動車の税体系は細分化されており、今さら1つや2つ区分が増えたところでどうということはないだろう。
だが、おそらくそういうことではあるまい。
報道によれば、政府は海外で走行距離に課金している事例も参考にしながら制度設計をするという。EVやカーシェアのみならず、クルマ全部について保有税を少し減らし、それにオンする形で対距離課金である道路利用税のようなものを創設するとみるのが妥当だろう。
この“海外の事例も参考に”というのは、行政が良からぬことを考え、それを正当化するときの「決まり文句」である。高速道路の対距離料金制についても、世界で道路に課金するケースを拾い上げて「プライシングは世界の潮流」と主張していたことがあった。
面白いのは、そのケーススタディの多くが極端に偏ったものであるということ。高速道路で行政が喜々として挙げた事例のひとつがフランスだった。
確かにフランスは高速道路料金が結構高額で、日本の半額くらい支払わされる。だが、フランスの道路交通手段は高速道路だけではない。一般道は通常、制限速度90km/hだが、中央分離帯がある片側2車線の幹線道路は制限速度が110km/hと、高速道路の130km/hとそう変わらない移動時間で旅ができる。その“無料高速道路”の延長距離は有料道路よりずっと長いのだ。
そういう情報を封印しながら、ある事例だけを取り上げて「私たちがやろうとしていることは正当なことなんですよ」と大衆を洗脳するのは、ちょっと卑怯(ひきょう)なのではないかと思う
参考にしてはいけない
海外の事例
今回の“海外の事例も参考に”はどうだろうか。
世界の中で自動車税を距離で決めている国があるかどうかだが、これは事実上存在しない。行政が言う海外の事例というのは、GPS計測などで走行距離ごとに課金する制度のことであろう。
例えばニュージーランドでは軽油が非課税であるため、課税されているガソリン車とのバランスを取るため距離課金であるロードユーザーチャージを支払う制度がある。ヨーロッパでは国をまたいで走行する物流トラックに、やはり距離課金が行われている。
これらは自動車税とはまったく性質の異なるものだ。
ヨーロッパで物流トラックに課金するシステムが確立したのは、通過によって道路にダメージが加わるのを補修するためのコストを負担させるため。そうなった事情はヨーロッパをドライブすると一発でわかる。EU発足で域内の物流が活発化したことから道路事情が一変。今日の欧州の高速道路はトラックであふれている。日本の物流トラックのように野放図に走るのではなく、どれだけ低速だろうと渋滞で停止しようと、乗用車の走るレーンに出てこないだけマシだが、とくに国境地帯などでは1車線が完全に大型車にふさがれているような状況である。
オーストリア=ハンガリー国境で並んでいるトラックのナンバーを観察したことがあるが、その多くははるか東方のルーマニアナンバーだった。聞けば、農産物を旧西側諸国に輸送するための需要がものすごいのだという。なかにはオーストリアを飛び越え、最終目的地がドイツやベルギーというトラックもある。その飛び越えのために道路の補修費用がかさんでは、交通の要衝になっている国はたまったものではない。ということで、EUの取り決めとして走行距離に応じたロードプライシングが実施されたのだ。
ここで重要なのは、諸外国で対距離課金をするのはあくまでロードプライシングのためであって、自動車税とは性質が異なるということだ。対距離課金というスキームだけを取り出して徴税にすり替えようとするのは、ちょっと乱暴にすぎるというものではないか。
自動車からの徴税額は
これ以上減らしたくないのが本音?
そのような乱暴な案を出してくる理由は、前述のように自動車からの徴税額をこれ以上減らさないこと以外にないだろう。
ただでさえ、業界ではクルマの購入意欲が旺盛な団塊世代のユーザーがすべて後期高齢者になり、クルマの販売台数が激減するであろうことを“2025年問題”などと称して恐れている状況。カーシェアが増えれば販売台数がますます減り、購入時の消費税、毎年の自動車税、重量税などの税収が落ち込むのは避けられない。
それを跳ね返して税収総額を維持するには、端的な話、1台からより多くのお金を取るしかない。が、これはモビリティにはなはだ悪影響を与えるであろう。
そもそもユーザーにとって、カーシェアにするメリットはコストに尽きる。1台のクルマを分け合えば駐車場代、税金、保険料などがワリカンになる。その代わり、自分の家の庭先や近隣の駐車場にクルマがあってすぐに乗れる利便性、望むときに常に専用のクルマがあって、予約を争わないでいい専有性など、すべてを捨てて「安さ」を追求するのがカーシェアなのだ。
徴税法の変更によって台数減にともなう税収減をカバーするというのであれば、当然1台あたりにかける税額は高くなることが予想される。日本自動車工業会の調べでは、クルマを保有している免許保持者の月間平均走行距離は380kmにすぎないという。新税を決めるとき、税額はこの距離をベースとし、クルマをシェアされても減らないことを前提に計算されるだろう。1kmあたりの税額は現在の我々のイメージよりはるかに高いものになる可能性がある。
万が一そんな税制をカーシェアやEVだけでなく、すべての車両に適用された日には、クルマの走行距離が長くなる地方にとっては消費税2%アップどころの騒ぎではない。生活破壊レベルの負担増になるかもしれない。
自動車業界は
国内市場を完全に見切るのか
ここで気になるのは、自動車業界の意図だ。
こういう話が出てくるときには、必ずと言っていいほど自動車業界の渉外部門がすでに動いており、ある程度合意が形成されているものだ。財務省、総務省にスズメの涙ほどの自動車税減税(その財源は自動車から取った金だが)を引き出した代わりに、将来の対距離自動車税への移行について容認の姿勢を見せているのだとしたら、それは国内市場を完全に見切る「宣言」をするのと同義だという自覚は持つべきだ。
国内市場を何とか維持する唯一の手だては今や、地方分散しか残っていない。よくコンパクトシティなどという話が持ち上がるが、日本ではすでに地方でも主要都市がミニ東京と化し、周辺がそこにすべてを吸い取られて過疎化するという現象が刻々と進行していて、現状ですでにメガシティだらけだ。もちろんクルマは不要になる一方である。
筆者はクルマで全国津々浦々を行脚するのが趣味だが、日本は悲惨なほどの過疎地であっても、砂漠や岩山しかない国の人たちが見れば宝の山にしか見えないような水資源、耕作地、森林資源、海洋資源、そして景観資源に恵まれた場所ばかりだ。
そういうポテンシャルをまるで生かせず、ダメになっているだけだ。そういう場所に人が集い、隣接する町で例えばA町は医療、B町はショッピング、C町は学問、D町は産業などと役割が分散し、連携することで初めて点ではなく面の再発展が期待できよう。
そういう地方創生にこそクルマは不可欠なのだが、対距離自動車税はそうなる芽を完全に摘む。
まさか、「保有するだけで走らなければコストがかからないからクルマを売りやすくなる」などと考えているわけではないだろうが、コストが保有から使用に移行するというのは自動車減税の朝三暮四と同じで、トータルでのユーザー負担軽減にはならない。
「クラシックカーを持ちたい」、あるいは「美しい車が家にあるだけでうれしい」というユーザーは喜ぶかもしれないが、クルマにとって最も大事な、「走る」という機能を使うユーザーに負担を付け回しているだけである。
自動車税制改革の中でも
最高のバッドケース
これは、今後考えられる自動車税制改革の中でも最高のバッドケースである。
「自分はクルマに乗らないからいくらでも対距離課税を増やしてもらって結構」という人はそう主張すればいい。しかし、将来、負担減どころか個人単位では大幅負担増になりかねないタネがまかれていることに納得できない人は、今のうちから声を上げるべきだろう。
本来、こういう要望は製造業者である日本自動車工業会ではなく、ドライバーズクラブである日本自動車連盟、すなわちJAFが強烈な圧力団体となって行うべきなのだが、残念なことにJAFはドライバーの要望を政策に反映させる団体としてはまったく機能していない。
かといって、日本はフランスのジレジョーヌ(黄色いベスト)運動みたいな先鋭化したデモンストレーションを行うような文化もない。案外、このまま行政の思惑通りに事が運んでしまうのかもしれないが、それでも制度設計については性善説に立たず、多くの人が関心を持って見守るが吉ではないか。日本もそういう時代である。
自動車乗りたくなくなるよなぁ。
— うりぼ🐗 (@uribou_rider) 2018年12月24日
自動車に関わる色んな税金をなくした上で、1km1円課税ならまぁ納得かもね。
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こんなの減税ではない!「自動車税」めぐる政府・自動車業界の謀略 #SmartNews
— みーさん (@happybasedays) 2018年12月24日
消費税やら水道やらもだけど
“海外の事例も参考に”
って都合よい部分だけ持ってくる天才揃いだよなぁ
需要予測も含めて伝統芸みたいなもんか https://t.co/q9NiyEFaOE
日本の政治家と官僚は今や詐欺的な営業マンに成り下がっている事をまだ国民は気がつけずにいるから苦しむ事になっていることを気づけない❗
— Shin (@KONOHA7777) 2018年12月24日
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こんなの減税ではない!「自動車税」めぐる政府・自動車業界の謀略 https://t.co/72OR8pnI0Q #スマートニュース
— 福田 朗 (@akirafkd) 2018年12月24日
自動車は、生活の足無いとほんとに困る。カーシェアそんなもん公共交通機関の整っている都会か、遊びでたまに使う人は良いよネ、次の選挙は絶対自民に入れない
こんなの減税ではない!「自動車税」めぐる政府・自動車業界の謀略 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/kdfQ6LY8jO これは、今後考えられる自動車税制改革の中でも最高のバッドケースである。
— ぱんげあ (@pangaeaer) 2018年12月24日
こんなの減税ではない!「自動車税」めぐる政府・自動車業界の謀略
— .v0v☆彡 (@MountTo1225) 2018年12月24日
》こんな腐った自動車関連税にお金払うなら、車なんて持たないこと。その都度、必要な時に借りればよい。もう車を所有する時代は終わった。 https://t.co/7L8oYLQCnI
こんなの減税ではない!「自動車税」めぐる政府・自動車業界の謀略(ダイヤモンド・オンライン)
— yoon (@yoon49209603) 2018年12月25日
嘘、騙し、誤魔化し、裏切りは政府の常!自力で防衛する企業が増えそう! https://t.co/RUbZqkamiV
ほんと税金減らす気ねえ上に経済回す気ねえよな
— 左肩上がり (@junkbassist) 2018年12月25日
海外の事例の抜粋を参考に金巻き上げるなら中国でも参考して不景気なんだから税金下げりゃいいのにhttps://t.co/rh22etvZ5v
本当にこの記事の通り。こんなの全く減税じゃないでしょ😩#自動車税
— ミーさん (@mtrdon326) 2018年12月25日
https://t.co/sWwcklvIPV
この記事に書かれてること、納得できるわ。
— とら@セローちゃん大好き変態マン (@irori05718) 2018年12月25日
若者の車離れがさらに加速すること間違いないな。 https://t.co/iw2tBS1ik0
こんなの減税ではない!「自動車税」めぐる政府・自動車業界の謀略(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース https://t.co/MQq3i0dBOe @YahooNewsTopics
— gipsysoul (@bluewolf_7100) 2018年12月25日
日本人、日本企業は完全に権力に飼いならされてるな‼️馬鹿にされてる事にいい加減気づけ‼️
歯車⚙が
— ささ身 (@haruna19351945) 2018年12月24日
狂った減税だよ‼️ https://t.co/Vqx9wl4jFG
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