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安倍首相が実現させた公約はひとつもない 本当にやりたいのは"憲法改正"だけ
https://president.jp/articles/-/26699
2018.11.19 ビジネス・ブレークスルー大学学長 大前 研一 PRESIDENT 2018年12月3日号
石破氏に投じられた45%の多くは「反安倍」票
2018年9月の自民党総裁選は特段の盛り上がりもなく、大方の予想通り、安倍晋三首相の3選ですんなり決着した。地方票の約45%を獲得した石破茂氏を「善戦」と評する向きもある。しかし、石破氏に投じた党員が本当に石破氏を推していたのかどうかはわからない。一般党員は国会議員よりもずっと安倍首相を「嘘つき」と感じている民意に近い。石破氏に投じられた45%のかなりの部分は「反安倍」票だったのではないかと私は見ている。
安倍首相が3選を決めた2018年自民党総裁選。(AFLO=写真
従って前回地方票で安倍首相を上回った石破氏が今回は敗れているわけで善戦したとは言えない。善戦できなかった最大の理由は、総裁選の争点になるような政策提言ができなかったことだ。
たとえば安倍首相は第1次政権のときから「憲法改正」を政権課題として訴えてきた。そのために苦労して国民投票法を成立させて改憲の下地を整えてきた。早ければ秋の臨時国会に自民党の憲法改正案を提出し、残り3年で憲法改正の総仕上げをしたいという主張は首尾一貫している。
なぜ地方創生相として結果を出せなかったのか
これに対して石破氏は「拙速に改正を行うべきでない。丁寧な議論が必要」と訴えた。「手順が違う」などという筋論は党の長老かニュース解説者が言うことだろう。
石破氏は自民党の次期総裁候補=次期首相候補に手を挙げたのである。憲法改正は自民党立党以来の党是なのだから、「憲法のここに問題があるから自分はこう変える」「安倍首相の改憲とはここが違う」と示さなければ挑戦者とは言えない。
総裁選で石破氏が公約の柱に掲げたのは「地方創生」だった。自ら初代の地方創生担当大臣を務めて何の成果も出せなかったにもかかわらず、だ。しかし中央集権的な安倍政治の対抗軸としては悪くない。ただし、それならば自身が地方創生相として結果を出せなかった理由をもっと見つめるべきだったと思う。
呪縛の根源になっているのは「憲法第8章」
日本の地方が創生、あるいは再生できないのは、地方に自立する意志も体力も構想もないからだ。連邦国家のアメリカやドイツ、あるいは省ごとに大きな権限が与えられている中国は、州(省)にさまざまな権限があり、州が世界に直接アクセスしている。ところが日本は中央政府が大方の権限を独占しているために、地方は特色ある政策を実行できない。この呪縛の根源になっているのが、「憲法第8章」である。
詳しくは拙著『君は憲法第8章を読んだか』(小学館)に譲るが、「地方自治」という括りでありながら憲法第8章に「地方自治体」(自治の権能を持つ地方団体)という言葉は出てこない。
都道府県や市町村は「地方公共団体」、つまり地方で公共サービスを行うことを国から認められた団体としてしか規定されていないのだ。連邦国家の州のように日本の地方に「立法」「行政」「司法」の三権はなく、国から分権された範囲で条例を定めることしかできない。
もっと終わっているのは野田聖子氏と岸田文雄氏
「安倍首相が憲法改正に舵を切るなら私も受けて立つ。ただし私は9条改正を後回しにしてでも、まずは地方創生を妨げている憲法第8章を改正するべきと考える。地方創生大臣をやらせてもらった経験から言えば、結果を残せなかったのは私自身の力不足もあるが、本質的な問題は8章にある。8章を書き換えて、中央省庁が握っている三権を大幅に地方に委譲していく。それが疲弊した地方を救い、日本経済を再生させる唯一の方法である」
石破氏がこのように訴えていれば、「なぜ地方創生なのか」「なぜ憲法改正なのか」をわかりやすく説明できて安倍首相との“違い”が鮮明になっただろうし、地方議員の目を開くことができたのではないかと思う。それができていれば、消化ゲームのような総裁選でも対抗馬としての爪痕は残せたはずだが、もはや石破氏の出番は回ってこないだろう。挑戦者としての政治家・石破茂はもう終わった。
もっと終わっているのは、ポスト安倍に強い意欲を示しながら出馬しなかった野田聖子総務大臣(当時)であり、岸田文雄政調会長である。
自民党で派閥を超えて禅譲されたケースは1度もない
野田氏は前回の総裁選に続く2度目の出馬断念で、今回は自身が関係するスキャンダルが原因で20人の推薦人すら集められなかった。岸田氏は安倍政権で4年以上も外務大臣を担当して、ポスト安倍レースの有力候補に浮上した。自らの希望で党三役の政調会長に就いたのは次期総裁選を睨んでのことと言われてきたが、結局は出馬を見送り、安倍支持を表明した。
自民党きっての名門派閥である宏池会(岸田派47人)の会長なのだから20人の推薦人を集めるのはわけない。しかし、岸田氏は立たなかった。兵を挙げるというのは勇気が要ることだ。負ければ推薦人や派閥の仲間が冷や飯を食うことになりかねない。もし石破氏の得票を下回ればポスト安倍は一気に遠のいて、世代交代を迫られる可能性もある。
それならば逆らわずに勝ち馬に乗って禅譲に期待する腹づもりだったのかもしれないが、そんな甘っちょろい考え方で総理総裁の椅子に座れるわけがない。ときには負けを覚悟してでも仲間を集めて旗を掲げなければならない。岸田氏にとって今回の総裁選がそれだったと思う。岸田氏は安倍首相と同期当選で関係は良好だが、禅譲されるようなポジションではない。そもそも自民党で派閥を超えて禅譲されたケースは1度もない。権力はやはり奪うものなのだ。
前外務大臣の岸田氏とは対照的にここへきて存在感を高めているのが現外相の河野太郎氏で、今後のポスト安倍レースは小泉進次郎氏と河野氏を中心に動くと見る。
6年間で繰り出されたスローガンは数知れず
「戦後日本外交の総決算を行いながら、平和で安定した日本を確固たるものとしていく。さらには、いよいよ憲法改正に取り組んでいきたいと考えている」
3選を果たした安倍首相はこう語って憲法改正に強い意欲を示した。アベノミクスの「三本の矢」に始まり、「新三本の矢」「女性活躍」「地方創生」「一億総活躍社会」「働き方改革」「人づくり革命」など第2次安倍政権の6年間で繰り出されたスローガンは数知れず。しかし実現したものは何1つない。幼少のみぎりから安倍首相が本当にやりたかったのは「憲法改正」であり、他は一過性の標語にすぎないのだ。
では安倍政治の本丸、総決算とも言える「憲法改正」は、あと3年の任期中になしうるのか。私は上手くいかないと思っている。
公明党を騙して国民投票に持ち込む可能性はなくはない
安倍首相は今秋の臨時国会に自民党の改憲案を提出して、改憲案の発議を実現したいという。改憲案の国会提出というのは、通常の法案提出とは違っていて、衆議院で100人、参議院で50人の賛同が必要になる。これは自民党単独でも十分にできるだろう。
国会に提出された改憲案はまず衆参両院の憲法審査会で審査される。両院とも過半数の賛成で可決されれば、本会議に提出。さらに衆参の本会議でそれぞれ3分の2以上の賛成が得られれば可決、国会が憲法改正を発議して国民投票にかけられる。国民投票で過半数が賛成すれば憲法改正案は成立する。
「衆参本会議で3分の2以上の賛成」という発議要件は相当ハードルが高い。しかし「自主憲法制定」が党是の自民党に在籍する以上、自民党議員の多くは賛成せざるをえないし、安倍首相に忠誠心を示さなければ「次の選挙で公認を外されるかもしれない」という恐怖もある。公明党を騙くらかして国民投票に持ち込む可能性はなくはないと思う。
新しい9条でも南スーダンに自衛隊を送り込むつもりなのか
しかし国民投票にかければ国民的議論が巻き起こって、否決される可能性が高い。各種世論調査を見ていると改憲の是非について世論は割れているが、「安倍政権下の憲法改正」には抵抗感が強い。国民投票は国会発議後、60〜180日以内に実施される。その間、国会やメディアで国民的議論がなされて、改憲案は揉まれることになる。自民党の改憲案は9条に自衛隊を明記したいという安倍首相の意向が色濃く反映されたものになるだろうが、その内容、本質が厳しく問われるのだ。
その際、これまでの自衛隊の海外派遣の実績と自衛隊が参加していない世界の海外派兵の事例を重ね合わせて整理するといい。
たとえばドイツはNATOの一員として派兵するようになり、アメリカが始めたアフガニスタン紛争では多数の兵士の命を失っている。「自民党の改憲案では、ドイツのようにアフガニスタン紛争に派兵するのか」と迫ったら自民党はどう答えるのか。あるいは“紛失”した自衛隊の日報に「戦闘」と書かれていた南スーダンPKO。明らかに紛争地域に自衛隊を派遣したにもかかわらず、政府はとぼけて安保法制の実績にした。新しい9条の下でも南スーダンに自衛隊を送り込むつもりなのか。
このように1つひとつの事例を丁寧に取り上げて、「これまでの憲法とどこが違うのか説明しろ」と野党やマスコミが攻め立てたら、改憲勢力はとても持たない。従来と変わらないというなら「改憲の必要なし」。そうでないなら「9条改悪」の印象が強くなる。どちらにしても安倍政権下での国民投票は通らない運命にある、と私は見ている。
(構成=小川 剛 写真=AFLO)
アベノミクスの「三本の矢」に始まり、「新三本の矢」「女性活躍」「地方創生」「一億総活躍社会」「働き方改革」「人づくり革命」。安倍首相が実現させた公約はひとつもない 本当にやりたいのは"憲法改正"だけ:PRESIDENT Online - プレジデント https://t.co/FFPtrb4qIf @Pre_Onlineから
— 投資家@しんごろー (@shingoror456) 2018年11月19日
自民党員の45%が反安倍だった。
— 佐々木和男 〜 ABE 👋カウントダウン 1095 S 2018.9.20F 〜 (@nabe10101948) 2018年11月19日
理由『嘘つき』https://t.co/TNfZ2XvaAT
その「憲法改正」も、自身の支持拡大に繋がらなければ「やらない」
— 涼介 (@Hermes_Gnostic) 2018年11月19日
というのが安倍首相の本音です
結果オーライで構わないので、ロシアとの「平和条約締結」は性根を入れて取り組んで頂きたい https://t.co/QIE4CeZY9v
安倍政権は、改憲のために政治をしている。嘘も白と言い張ったり、数字もごまかしたり、質問に答えなかったり。
— ぺこ (@Pekorinao) 2018年11月19日
安倍首相が実現させた公約はひとつもない 本当にやりたいのは"憲法改正"だけ:PRESIDENT Online - プレジデント https://t.co/NSkBgHsidF @Pre_Onlineから
やりたいのは憲法改悪のみ。それ以外は一過性の標語に過ぎない。
— Photographer Hiro 猫の生活が第一 (@hibiki2489) 2018年11月19日
安倍首相が実現させた公約はひとつもない 本当にやりたいのは"憲法改正"だけ:PRESIDENT Online - プレジデント https://t.co/aXO6anHewR @Pre_Onlineから
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