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外国人輸入激増による国内賃金低下は明白
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2018年11月14日 植草一秀の『知られざる真実』
日本でいま最も深刻な問題は何か。 答えは明確だ。 人口減少である。 人口が減ったら外国人を輸入すればよいというのは、短絡的な発想だ。 日本人が減り、外国人が激増すれば、日本はこれまでの日本ではなくなる。 日本の主権者が、その道を選ぶのなら、それはそれで日本の主権者の選択になる。 これを否定する必要はない。 しかし、主権者の意思を確認せずに、その施策を強行するべきでない。 なぜ人口が減っているのかを考える必要がある。 最大の理由は、子孫を残す経済的余裕がなくなっていること、未来に向けての明るい展望が消滅していることにある。 結婚し、子どもを産み、子どもを育てるという「選択」が極めて「狭き門」になっていること、子どもの未来に明るい展望を持てないことが問題なのだ。 生き方は多様であって当然だから、結婚しない選択、子どもを産まない選択は、当然にあり得るし、その選択は認められるべきだ。 しかし、日本が直面している問題は、結婚し、子どもを産み、育てる希望を持ちながら、この希望が、多くの人々において、経済・社会的要因により実現不可能、選択不可能であると判断されている点にある。 この根本の問題に何の取り組みもせずに、企業が「人手が足りない」と言っているから、外国人輸入を激増させるというのは、あまりに愚かな対応だ。 人手不足が深刻だと言われている業種では、仕事の厳しさに対して、賃金が低い。 きつく、汚く、危険な仕事であれば、高い賃金が提示されなければ人は集まらない。 低い賃金を固定しておけば、この賃金なら、これだけ人を雇いたいと企業が判断する。 しかし、その賃金では、仕事に就きたいという人は多くは現れない。 その結果、求人数が求職者数を大幅に上回ることになる。 これを企業が「人手不足」と称している。 しかし、提示する賃金を引き上げてゆけば、必ず求職者が増える。 労働供給は賃金と正の相関を持つ。 賃金上昇に連れて求職者数が増え、賃金低下に連れて求職者数が減る。 他方、賃金が上昇すれば求人数は減ることになる。 これを「市場原理」に委ねると、当初より高い賃金水準で、求職者数と求人数が一致する。 これが経済学でいうところの「均衡」であり、人手不足にはならない。 要するに、「人手不足」なのではなく「賃金不足」が問題なのだ。 いま、安倍政治がやろうとしていることは、高くならなければならない賃金を低い水準に据え置いたままで、「人手不足」を解消するために、「外国人を輸入する」ことである。 外国人を輸入すると、低い賃金でも労働力を提供する者が出現する この結果、低い賃金のままで、人手不足が解消される。 これをやろうとしている。 このことは何を意味するのかというと、外国人を輸入せずに求職者数と求人数が一致する「均衡」の賃金水準よりも低い賃金で、国内の労働者が働かなければならない状況が生み出されることである。 賃金を不当に低い水準に固定させて、その結果生まれる人手不足を、外国人の輸入によって解消すると、国内労働者は、本来得られるはずの高い賃金を得られなくなる。 国内労働者にとっての損失になるのだ。 日本にいま必要な政策は、すべての主権者が将来に「夢と希望」を持つことができる状況を生み出すことである。 一番大切なことは、すべての主権者が享受できる所得・労働の最低ラインを引き上げることなのだ。 具体的には、最低賃金を大幅に引き上げること。 そして、さまざまな事情で働くことのできない主権者には、国が、豊かさを実感できる最低生活水準を保障することなのだ。 ところが、安倍政治は大資本の利益だけを優先して、日本の主権者を切り刻むことしかしない。 その結果、圧倒的多数の主権者が未来に「夢と希望」を持てなくなっているのだ。 究極の亡国政治としか言いようがない。 |
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