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大丈夫か…メーカーの要望で農薬残留基準が緩和されていた 外資の餌食 日本の台所が危ない
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/240870
2018/11/03 日刊ゲンダイ
農薬の安全性に“絶対”はない(C)PIXTA 日本は、世界の農薬規制の流れと逆行している。 問題は、政府が昨年12月25日、コッソリ公布した「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件」という告示だ。驚くべきはその内容で、食品に残る農薬の基準値が大幅に緩和されたのである。 例えば、米モンサントの除草剤「ラウンドアップ」に含まれるグリホサート。グリホサートは、世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関が「おそらく発がん性がある」と指摘している化学物質だ。ところが、厚労省は昨年12月、小麦に残っても大丈夫なグリホサートの基準を改正前の6倍に、ソバについては150倍に緩和したのだ。厚労省食品基準審査課の担当者は、「動物実験などの試験の結果、(基準値の)安全性は担保されている」と話すが、消費者の不安は置き去りだ。 そもそも、農薬の残留基準が緩和されるキッカケは、国内外の農薬メーカーが要望したからだ。 「メーカーなどから、農薬の使用方法を変更したいという申請がありました。申請された使用法でどれだけ農薬が残るかを示したデータに基づき、厚労省へ安全評価をお願いしました」(農水省農薬検査班担当) 要するに、消費者よりもメーカーが優先されているというワケ。しかし、世界を見渡せば、欧州などでは農薬について“規制強化”が趨勢だ。農業問題に詳しいアジア太平洋資料センターの内田聖子氏が言う。 「欧州は、環境や生命に重大な影響があると疑われるものを禁止する『予防原則』の立場をとっています。『絶対に安全・安心』を裏付ける研究がない以上、使用できないという考え方。日本と違って欧州では農薬の取り扱いが厳格で、免許を持っていないと使用できません。日本は、惰性であらゆる農薬を使ってきたし、農薬を日本に売り込みたい多国籍企業の意向をはね返す力がないのでしょう」 農薬は、収穫前の農産物にかけてわざと枯れさせ、乾燥の手間を省くためにも使われるが、元農水大臣で弁護士の山田正彦氏はそうした使い方の拡大に懸念を示す。 「米国で広く行われている『プレハーベスト散布』と呼ばれる方法で、日本でもすでに、一部の民間企業が大豆の収穫において推奨しています。今後、この方法が、国産のコメにも適用されるかもしれません」 同じ農薬を使い続けると、害虫や雑草に耐性ができてしまうため、より濃度の高い農薬が使われることがあるという。そして、農薬に耐性を持つ新たな遺伝子組み換え作物が開発されていくのだ。 気付かぬうちに大量の農薬を摂取してしまうことになりかねない。 =つづく (取材=本紙・生田修平、高月太樹)
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