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安倍政権の醜悪につき合う中で 世界は確実に変貌している
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2018年10月18日 世相を斬る あいば達也
つい先日、第4次アーミテージ・ナイレポート(CSIS戦略国際問題研究所)が報告されたと、朝日新聞等々が報道していた。提言の内容は、安倍政権の外交安全保障姿勢と似通った傾向を持ち、もしかすると、安倍官邸が下書きをしたためて駐日米大使館に送付、返送されてきた書類のような内容で、一顧だも出来ない内容の代物だった。
昔から、ホワイトハウスは二つあると言われてきたが、最近では三つ四つになっているらしい。前述のCSISレポートなどは、その他提言に類するもので、直近の世界情勢から考えてみて、荒唐無稽な情勢分析をもとに、持論を正当化しようと、メディアリテラシーのない、後進国の住民へのプロパガンダにもなっていないもので、お笑としかいいようがないが、日本のメディアは、それなりの待遇で報じている。
この報告書全体に流れている前提は、日米安保マフィア連中の戯言だが、この戯言に準じて、安倍政権の利権的日米同盟の方向性が決定される可能性は強いので、戯言だと馬鹿にしているわけにもいかない。この提言においては、ありもしない危機が創造され、その創造的危機に対応するために、日本は準備しなければならないと云う構図を示し、日米の軍産複合企業の飯の種を提供するように仕掛けられている。如何にも、神の啓示によく似ている。しかし、最近の世界情勢全般に目を向ければ、この創造的危機が荒唐無稽なものであることは歴然としている。
それだけに、今回のアーミテージ・ナイレポートがまがい物であることが歴然としたことは、タイムリーに悪いことではない。筆者の想像だが、ジョセフ・ナイは名義貸しに過ぎないようにさえ思える。もしかすると、アーミテージまでが、その類かもしれない。ドナルド・トランプ政権とも違うし、NYT紙が報じたホワイトハウス官僚らとも異なる、日米安保マフィア政権による、捏造レポートである可能性は非常に高い。ただ、不運なことに、安倍政権においては、同調的論説なので、このCSIS的創造的危機に対応すべく国家予算が浪費される可能性は高い。
しかし、アメリカ大統領にドナルド・トランプが選ばれた現実は直視すべき現象だ。彼の個性的言動が注視されるあまり、米国民の原罪的問題点が軽視されている嫌いがあると云うことだ。米国が自由の国であると云う、或る意味で間違った言説を、我々は信じ切るとか、勘違いしている面が多々あると云う事実を考えるべきかもしれないと云う点だ。端的に言うと、国境のある自由主義と、国境がない自由主義は、まったく異なるものと云うことだ。
つまり、ケインズ的ものと、フリードマン的ものの違いについてだ。結果的な結論だが、明確に国境をもって経済発展を目指すのか、国境の垣根を超えて自由に経済発展すべきか、と云う問題だ。その意味で、トランプの進めている方向はケインズ的である。かなりの試行錯誤はみられるが、フリードマン的なグローバル経済時代の副作用を治そうと云う意志は伝わる。大航海時代から大陸時代への転換点が垣間見えることから目を背けてはならない。
トランプ大統領のキャラクターに目を奪われていると、彼の背後にあるアメリカ人の意志を見逃す危険が大いにあると云うことだ。たしかに、トランプ大統領の言動すべてを非難や揶揄する報道がメインストリームを歩いているが、それは、現在までが、フリードマン的グローバル経済が、スタンダードに成立しているに過ぎないことを前提とすべきである。つまり、現時点でのトランプ大統領は異端だが、ケインズ時代には、ハイエクやフリードマン的思想は異端だった。
英国のEU離脱に象徴されるように、ギリシャ危機的問題が、今では第三位の経済国イタリアを襲っている。このままでは、EUをドイツ一国で抱えることになるわけだが、ドイツ・メルケル首相の影響力にも陰りが見られ、漸く政権を維持しているのが現実だ。ロシアの経済は、そもそもが小さいので、経済低迷は目立たないが、中国の経済成長が鈍化し、米中経済制裁の攻防が体力を奪うのは確実だろう。トランプの北朝鮮融和路線とイラン敵視政策は矛盾な面も見られるが、世界経済に大きな影を落としている。
米・イスラエルの中東の代理人であるサウジアラビアの経済は行き詰まりを見せ、オカルト的王子の政権は、世界に挑戦的だ。駐トルコ大使館内で、反政権ジャーナリストを、生きたまま切断したなどと云う血みどろのオカルト的行為が世界を揺るがしている。あきらかに、現在進行形の出来事は、時代の転換を予感させる。後にして思えば、あの時、トランプの出現こそが、グローバリズムの終焉であったと、歴史に刻まれるのかもしれない。そして、世界は第二ケインズ経済世界に戻っていくのかもしれない。
こんな時代に転換点に、わが国では、安倍晋三というグローバル経済主義者で歴史修正主義者な愚か者が現れたのも、最終的には時代のあだ花と言えるような気がする。国家神道を標榜する日本会議なるものが跋扈する現象も、フリードマン的ものの終焉と、ケインズ的ものの再生が起きる過渡期に生まれた良性の癌くらいに考えるのも、いまの日本を考える時、必要かもしれない。このあだ花の洗礼なくしては、次なる日本のフェーズには進めないと思えば、良性癌のひと暴れは過ぎ去るのを待つのも選択だ。そう云う意味で、コラムの更新もモチベーション不足になっている。
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