http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/487.html
Tweet |
森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速 注目の人 直撃インタビュー
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/235550
2018年8月20日 日刊ゲンダイ
森達也監督(C)日刊ゲンダイ
1995(平成7)年のオウム真理教信者による「地下鉄サリン事件」から23年。今年7月、元教祖の麻原彰晃(本名松本智津夫、63=執行時)はじめ、死刑囚13人全員の刑が執行された。ドキュメンタリー映画「A」シリーズで信者たちの日常を追い続けた映画監督・森達也氏(62)に、「オウムを通じて見えた日本」について聞いた。
※インタビューは【動画】でもご覧いただけます。
官邸の「指示」ならそれだけ力が強くなった証拠 |
――麻原の口から何も聞けないまま、死刑が執行されました。
最初の頃は雄弁にしゃべっていたけれど、裁判が進行するにつれて英語交じりの不規則な発言が増え、やがて口を閉ざし、弁護団と意思の疎通ができなくなった。1審判決の時は大小便たれ流し状態だった。最初は「詐病」を疑ったが、その後に関係者などから話を聞き、彼の心神が喪失状態にあったと確信しています。今も麻原は「詐病」だったと断言する人はたくさんいる。でも詐病であるからには動機、理由が必要です。裁判の遅延と死刑逃れですね。結果としてどちらも裏目に出ている。麻原法廷は1審だけで死刑が確定し、2審も3審も行われていません。最後の高橋克也の裁判が終わってすぐに、死刑囚の移送など処刑準備が進み始めた。もし僕が麻原なら、これは逆効果だと考えてとっくに「詐病やめます」って言ってますよ。
――執行のタイミングを含め、腑に落ちない人は多いと思う。
執行や死刑囚の情報を開示しない理由として法務省は、死刑囚の命の尊厳を守るためなどと言ってきた。その法務省が、平成で起きた事件だから平成で終わらせるとのロジックを本気で言っているのなら、とても強い違和感がある。「在庫一掃セール」みたい。罪人とはいえ人の命です。上川法相は会見で「個々の事案で」との理由からほとんど質問に答えなかった。個々の事案であることは当たり前。答えられない理由になっていない。でもメディアはそれ以上の追及をしない。この機会を逃すと自民党総裁選後は新たな内閣だから、新任の法相では処刑できなくなる可能性がある。さらに今年後半から天皇の退位絡みでいろんな式典があり、再来年は東京五輪が開催される。逆算すれば、今しかないという判断だと思います。
――今回、死刑執行の情報を政府がメディアに流し、テレビが「ショー」のように扱った。
少し前まで法務省は、誰を処刑したかすら発表しない密行主義でした。それがコペルニクス的に変わって、処刑情報の「大盤振る舞い」でしたね。法務省が単独でこれをやるとは思えない。一説には「官邸の指示」と言われていますが、そうであればよほど官邸の力が強くなったんだなと思う。支持率回復やある意味での目くらましだったとか、そんな説を唱える人が少なくない。そこまでやるだろうかと思いつつも、何らかの戦略が背景にあったのでは、との思いは払拭できません。
――麻原はこれだけ悪いヤツだから、処刑して見せしめにしてやろうと。
「戦争」と「死刑」は究極の「国家の暴力性の発動」であり、公権力の行使です。ならばメディアが監視しなければならない。でもその機能を大手メディアは果たしたのか。「極めて異例な処刑である」「なぜこの間隔で同じ月に13人も」という報道一色ですごく違和感があった。7人を処刑した時、すぐに6人もやるだろうと思った。理由は「同一事件の同罪者は同じように罰を受けなければいけない」という原理原則があるから。間隔が空いたら不平等になる。本来であれば一挙にやらないといけない。でも日本の拘置所の体制では13人同時処刑は物理的に不可能。だから2回に分けた。それは何の問題もない。一人も殺害していないのに処刑された横山真人も含めて、オウムに対しては罰が異常に重いことを問題視すべきだった。
――問題は同じ月に13人の処刑があったということではないと。
本来なら間を置かずに処刑を行うべきなのに、処刑後に西日本の豪雨災害が起きて赤坂自民亭の問題が発覚した。安倍政権が国民から批判され、続けて処刑できないという判断で延びた。ならば自分たちの都合です。なぜメディアはこれを指摘しないのか。「こんな異例な処刑」って処刑そのものは異例じゃない。批判するならもっと前の段階で、20日間も間隔が空いたことを追及すべきです。
強制捜査に隊列を組んで入る大勢の捜査員(C)共同通信社
民衆は「号令」が欲しいから強い政治家を求める |
――オウムとIS(イスラム国)に共通点は感じられますか?
似て非なる部分はたくさんある。でも共に宗教で原理主義であり、宗教の一番危ない側面を露呈したという意味では共通している。どんな宗教も「死後の世界」を担保する。天国であり、浄土であり、輪廻転生であり、教義によって違うけれど「死んだら終わり」という宗教はない。人は自分が死ぬことを知ってしまったから、消えてしまうことが怖い。だから「宗教」という装置が必要になる。でも死と生を転換するわけですから、非常に危険です。今のこの人生がつまらなかったらリセットしようという発想に短絡する。自分の命を軽視するならば、他者の命も軽視できる。この人は周りに迷惑をかけて本人にとっても良くないからリセットしてあげようと本気で思う。これがポアです。決して悪ふざけでもなく、邪悪で凶暴でもない。宗教的に純粋すぎる。イスラム武装派の人たちが簡単に自爆テロができる理由は死後に天国に行けるからです。だからこそ、宗教は虐殺や戦争などと相性がいい。こうした宗教のリスクをもっと知るべきです。
――オウム事件以降、政治の面でも社会は変わったと考えますか。
社会が「集団化」した。皆ひとりが怖くなって、連帯したくなった。連帯は「同質」であることが前提です。だから皆で「異質」なものを探して排除したくなる。異質であることの理由は何でもいい。その典型がヘイトスピーチ。同時に集団は、より強い連帯を求めて敵を探したくなる。集団で同調すると力が強くなる。一緒に行動したくなる。そうすると号令が欲しくなり、「強い政治家」を求め始める。米同時多発テロ以降、世界に広がった現象です。トランプにしてもプーチン、エルドアン、ドゥテルテや習近平にしても、かつてであれば独裁的な政治家として批判されていた指導者が高い支持率を持つようになった。安倍政権も同じ。外敵を探す為政者が支持される。だからこそ北朝鮮や中国に対して強気に振る舞う。
国内の集団化が高まれば外敵を探して攻撃する |
――オウムのときに起きた集団化が、日本で着々と進んでいるわけですね。
政治は国民がどちらを向いているかで変わります。つまり市場原理。これはメディアも同じですが、国民の衝動や欲望に合わせる。国内の集団化が高まれば外敵を探して攻撃する。9・11以降のブッシュ政権が典型だけど、その意識は日本も同じ。だから北朝鮮に対して攻撃的になる。国難だと言って不安や恐怖をあおる。だから日本だけ浮いてしまう。最後は戦争ですよ。この構図が進めばね。安倍政権はそういう連中を利用しようとしている。都合がいいし、支持層だから。「モリカケ」でも何度も「もうこれでゲームオーバー」だとか言われたが、1年以上その状態が続いても終わらない。支持率が2割以下には下がらない。何があっても強硬に安倍政権を支持する人たちです。北朝鮮をやっつけろとか、アジアの安全保障よりも拉致問題解決が最優先だとか、そういう人たちと重なるんじゃないかな。
――そうした集団化を止めるためには、どうしたらいいでしょうか?
リテラシーですね。メディアの情報に対しても、真実か虚偽かって二分化が進んだが、本来は二分できない。グラデーションがある。どこから見るかで変わる。ISだってもし僕が今、カメラで撮れば普通のおじさん、お兄ちゃんだと思いますよ。確かにISの組織自体は邪悪で凶暴です。でもだからといって、そこにいた人が全員邪悪かというと、そうではない。人間は単面的な存在ではないという意識を持ったうえで対処する。そうしたキャパシティーを持たないと、オウムによって始まった社会の善悪二分化がさらに進行する。その危惧をずっと持っています。
(聞き手=佐賀旭/日刊ゲンダイ)
▽もり・たつや 作家、明治大学特任教授。1956年広島県生まれ。立教大卒。テレビ番組制作会社などを経てフリー。98年映画「A」を公開。ベルリン映画祭に正式招待。11年「A3」で講談社ノンフィクション賞受賞。16年佐村河内守のゴーストライター問題を題材にした映画「FAKE」を公開。
映画監督・森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速
【注目の人 直撃インタビュー】映画監督・森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速 https://t.co/hCk7B8zUal #日刊ゲンダイDIGITAL
— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2018年8月19日
森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速https://t.co/4TQS54Fh7o――そうした集団化を止めるためには、どうしたらいいでしょうか? リテラシーですね。メディアの情報に対しても、真実か虚偽かって二分化が進んだが、本来は二分できない。グラデーションがある。どこから見るかで変わる
— Hikaru 星 光一 (@utopia_star) 2018年8月19日
森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速 皆ひとりが怖くなって、連帯したくなった。連帯は「同質」であることが前提です。だから皆で「異質」なものを探して排除したくなる。安倍政権も同じ。 - 北海道は素敵です!! - Yahoo!ブログ https://t.co/kuIrJC4ru2
— 松本 美紀子 (@yuuta24mikiko) 2018年8月19日
>宗教という「装置」
— 須賀院崇徳@宗教家 (@TSugain) 2018年8月20日
それぞれが脆いものであって異質な面(瞬間)も持ち合わせているという自覚・想像が大切と思います。
森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速 https://t.co/APVZQjNq97 #日刊ゲンダイDIGITAL
嫌な世の中だ。住みにくくなった。
— 김영세 金榮世 (@youngsekim77) 2018年8月20日
敵にする対象は少数派であれば何でも良いのね。
森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速 https://t.co/cYysJzWIrr #日刊ゲンダイDIGITAL
《「戦争」と「死刑」は究極の「国家の暴力性の発動」であり、公権力の行使です。ならばメディアが監視しなければならない。でもその機能を大手メディアは果たしたのか。》
— ⛵️motty⛵️ (@novtnerico) 2018年8月20日
森達也氏が危惧 オウム以降の日本社会は「集団化」が加速|注目の人 直撃インタビュー https://t.co/33r6DiqqyV
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK249掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK249掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。