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日本国政府よ。核兵器禁止条約に署名し批准せよ。それこそが、被爆国の責務であり、被爆者に対する誠意ではないか。
http://article9.jp/wordpress/?p=10883
2018年8月10日 澤藤統一郎の憲法日記
73年前の8月9日午前11時2分、長崎の上空で核兵器が炸裂し広島に続く阿鼻叫喚のこの世の地獄が出現した。この1発の原子爆弾によって、7万人以上の命が奪われたという。そして、生き残った多くの人々が放射能による不安と苦しみを味わい続けている。 昨日(8月9日)が、長崎の「原爆の日」。祈りの長崎の平和の日でもある。長崎市が主催する原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が執り行われた。 今年の注目点は二つ。 まずは、今年の平和式典に、初めて国連のグテレス事務総長が出席したこと。もう一点が、国連での核兵器禁止条約が採択されて1年。いまだに署名・批准を拒む日本政府に、どう怒りの声をぶつけるか。 グテレス事務総長は、式典での挨拶で、核廃絶を平和と軍縮の課題と一体のものとして、国連の最優先課題と明確に述べた。そして、こうも述べている。 「核兵器保有国は多額の資金を費やして核兵器の最新鋭化を図っています。2017年には1兆7000億ドル以上を軍事費に使い、冷戦終結以来最大となっています。それは世界の人道支援に必要な金額の80倍です。」「一方で、軍縮の過程は遅れ、停止するに至っています。多くの国は昨年、核兵器禁止条約を採択して、その不満を示しました。」「あらゆる兵器の削減が急ぎ求められていますが、ことに核軍縮が必要です。そのことを背景に、私は5月、全世界の軍縮提案を行いました。」「軍縮は国際の平和と安全の維持の推進力です。国家安全保障を確保する手段です。」「私が軍縮で掲げる課題の根拠となっているのは、核による絶滅の危険を弱め、あらゆる紛争を防止し、兵器の拡散や使用が市民にもたらす惨害を減らすような具体的措置です。」「核兵器は世界の、国家の、人間の安全保障を損なうということです。核兵器の完全廃絶は、国連が最も重視する軍縮の優先課題です。」 そして、核兵器禁止条約批准の問題である。 田上富久市長の「長崎平和宣言」は、市民の声を背に政府に対して厳しい。昨年(2017年の平和宣言では、こう言っている。 「核兵器を、使うことはもちろん、持つことも、配備することも禁止した「核兵器禁止条約」が、国連加盟国の6割を超える122か国の賛成で採択されたのです。それは、被爆者が長年積み重ねてきた努力がようやく形になった瞬間でした。」「 ようやく生まれたこの条約をいかに活かし、歩みを進めることができるかが、今、人類に問われています。」「核兵器を持つ国々と核の傘の下にいる国々に訴えます。安全保障上、核兵器が必要だと言い続ける限り、核の脅威はなくなりません。核兵器によって国を守ろうとする政策を見直してください。核不拡散条約(NPT)は、すべての加盟国に核軍縮の義務を課しているはずです。その義務を果たしてください。世界が勇気ある決断を待っています。」「日本政府に訴えます。核兵器のない世界を目指してリーダーシップをとり、核兵器を持つ国々と持たない国々の橋渡し役を務めると明言しているにも関わらず、核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください。日本の参加を国際社会は待っています。」 さて、同じ田上市長による今年(2018年)の長崎平和宣言である。 「核兵器を持つ国々と核の傘に依存している国々のリーダーに訴えます。国連総会決議第1号で核兵器の廃絶を目標とした決意を忘れないでください。そして50年前に核不拡散条約(NPT)で交わした「核軍縮に誠実に取り組む」という世界との約束を果たしてください。 そして世界の皆さん、核兵器禁止条約が一日も早く発効するよう、自分の国の政府と国会に条約の署名と批准を求めてください。 日本政府は、核兵器禁止条約に署名しない立場をとっています。それに対して今、300を超える地方議会が条約の署名と批准を求める声を上げています。日本政府には、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たすことを求めます。」 被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げた田中熙巳さんも手厳しかった。 「2017年7月、「核兵器禁止条約」が国連で採択されました。被爆者が目の黒いうちに見届けたいと願った核兵器廃絶への道筋が見えてきました。これほどうれしいことはありません。 ところが、被爆者の苦しみと核兵器の非人道性を最もよく知っているはずの日本政府は、同盟国アメリカの意に従って「核兵器禁止条約」に署名も批准もしないと、昨年の原爆の日に総理自ら公言されました。極めて残念でなりません。」 「紛争解決のための戦力は持たないと定めた日本国憲法第9条の精神は、核時代の世界に呼びかける誇るべき規範です。」 アベは、これらの声を何と聞いただろうか。いたたまれない思いをしなかっただろうか。それとも、何とも思わぬ鉄面皮? 本日の赤旗の報じるところでは、「米西海岸カリフォルニア州の最大都市ロサンゼルス(約398万人)の市議会は8日、昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約を支持する決議を全会一致で採択しました。」とのこと。「全会一致」というのがすごい。 なお、アベが頼りの朝鮮半島緊張は、大局的に見て雪解けの展望を開きつつあるではないか。この事態での、核のカサ必要論固執はなかなかに苦しいものがあるではないか。田口市長はこの点にも触れている。 「今、朝鮮半島では非核化と平和に向けた新しい動きが生まれつつあります。南北首脳による「板門店宣言」や初めての米朝首脳会談を起点として、粘り強い外交によって、後戻りすることのない非核化が実現することを、被爆地は大きな期待を持って見守っています。日本政府には、この絶好の機会を生かし、日本と朝鮮半島全体を非核化する「北東アジア非核兵器地帯」の実現に向けた努力を求めます。」 アベよ、広島の声を聞け。長崎の声を聞け。被爆者の声を聞け。原爆で亡くなった20万の人の声を聞け。そして、侵略戦争の犠牲となった隣国の人々の声に耳を傾けよ。悔い改めて、核兵器禁止条約に署名と批准を決意せよ。まだ間に合う。遅過ぎることはない。 (2018年8月10日) |
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