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子女の命と健康を守らない日本の学校教育現場
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2018年7月19日 植草一秀の『知られざる真実』
7月17日、愛知県豊田市梅坪町の市立梅坪小学校で校外学習先から戻った1年の男子児童の意識がなくなり、救急搬送されたが間もなく死亡した。
重度の熱中症である熱射病と診断された。
児童は公園に向かっている途中から「疲れた」と話し、ほかの児童からも遅れ気味になっており、教諭が手を引いて歩いたと伝えられている。
この校外学習では、この男子児童にも3人の女子児童が体調不良を訴え、1人は保護者と一緒に早退したという。
この日は最高気温35度以上が予想される「高温注意情報」が気象台から出されており、学校はこの事実を把握していた。
同小の籔下隆校長は記者会見で
「これまで校外学習では大きな問題は起きておらず、気温は高かったが中止するという判断はできなかった。結果として判断が甘かったと痛感している」
と述べた。
集中豪雨で河川氾濫の惧れがあるときに、児童を川遊びに連れてゆき、濁流に呑まれて児童が死亡した場合、学校の責任が問われることは言うまでもないことだろう。
この児童が、公園に向かう往路で「疲れた」との意思表示をし、集団から後れをとっていたなら、この時点で参加を取りやめさせるか、校外活動そのものを中止させる必要があった。
そもそも、高温注意報が発令されているなかで校外学習を実施したことが誤りである。
担任教師に学校行事の中止を決定する権限があるとかないとかの議論があるが、担任教師は保護者から児童を預かっている責任ある立場である。
熱中症で多数の死者が発生している昨今の情勢を踏まえれば、高温注意報が発令されているなかでの校外学習の是非など、判断に迷う余地すらない問題である。
メディアの取材によれば、学校から公園までの道のりは約1キロメートルで、児童の歩行速度では片道20分ほど要するという。
帽子は着用していたとのことだが、直射日光をさえぎるものはなかったという。
また、公園には日陰をつくる大きな木などの障害物がほとんどなく、まんべんなく直射日光が降り注ぐ状況であったという。
公園はあまり広くもなく、かつ遊具も少なく、今回の校外学習では約110人の児童が遊具の前に列を作って並んでいたという状況だったという。
東日本大震災の津波で84人の児童と教職員が犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校の児童の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟では、仙台高裁が14億円超の賠償を命じている。
判決は、学校管理の最高責任者である校長をはじめ、教頭や教務主任らによる組織的な防災対応の不備を明確に指摘している。
石巻市が作成していたハザードマップでは、大川小学校は浸水予想区域外にあり、石巻市側は、これを根拠に津波による被害を予見できなかったと主張したが、判決はこの主張を退けた。
学校は児童の安全に直接かかわる以上、校長らは、地域住民よりもはるかに高いレベルの知識に基づいてハザードマップの信頼性を検討すべきだったとして石巻市の責任を認定し、損害賠償を命じたのである。
児童の保護者は、学校が児童の生命を守る意思と体制を備えているとの前提で子弟を学校に送り出している。
学校側は、地球よりも重い命を預かっているという認識の下に、万全の対応を取る責務を負っている。
また、気温が35度を超す日が大量に発生している昨今の気候事情を鑑みれば、学校施設の冷房設備は必要不可欠のものになっている。
首相官邸や国会議事堂に冷房設備がない状況を想定するべきだ。
血税の単なる無駄遣いであるオスプレイやイージスアショアを購入する前に、各地の公立学校の冷房設備を整備することが先決である
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