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拉致問題 憎しみを超えて――ニーバーの祈りを礎として
XI 拉致問題の解決はどのようなかたちでありうるのか?
http://serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-19.html
伊勢崎賢治『日本人は人を殺しに行くのか』にこのような記述があります。
「「拉致被害者を全員返せ」という強硬なスタンスではなく、「真実の究明」に、
北朝鮮との交渉のハードルを一つ下げることです。
「過去のことで北朝鮮首脳部を罪に問わないから、
その代わりに、一緒に真相を解明しましょう」と持ちかける。
これは、拉致被害者のご家族の気持ちを逆なでする行為かもしれません。
しかし、もっと多くの犠牲と遺恨を残した国際紛争の現場では、
このように交渉のハードルを一つ下げることを打開例にした例があるのです。
過去の紛争処理のケースでは、「真実と和解」と言われるように、
「真実」の究明が和解の条件として捉えられ、
妥協の結果として傷つけられる「正義」に対する「落とし前」とされてきました。」(P190-191)
北朝鮮と日本は海を隔てた隣国です。
どちらかが引っ越すことはできず、
永久に没交渉・敵対関係でいることもできません。
隣国だから必ず友好関係でいなければならない訳ではありませんが、
いつかは和解し、国交正常化を果たし、交流をしなければなりません。
いや、した方がよいのです。
その際、一方が完全な善、一方が完全な悪、
という前提からはまともな関係は生まれません。
なんらかの妥協が必要となります。
当然妥協が受け入れられない場合も多々あるでしょう。
そこで上の
「真実の究明が、妥協により傷つけられる正義に対する落とし前とされてきました」のです。
もちろんこれも一つの案に過ぎませんが、
仮に目標を「拉致被害者の全員一括帰国」にするにせよ、
「真実の究明」はどう考えても先にやらなければなりません。
同時進行などただの言葉遊びです。
そう。
「願望の押し付け」ではなく、「真実の究明」をしなければ、物事は何一つ進まない。
分かり切ったことです。
それなのに「真実の究明」そっちのけで「願望の押し付け」に邁進するのは、
拉致問題を解決させないためにやっていると言うべきです。
なんの根拠もなく拉致被害者は全員生きている、と断言し、
拉致被害者家族を「願望の押し付け」政策のための道具として使っている。
そのやり方は、実におぞましいものです。
それに比べれば、一時的に家族の気持ちを逆なでするかもしれませんが、
「真実の究明」の方が遥かに「人として正しい」やり方です。
その結果、拉致被害者の中にもうお亡くなりになった方がいたことが判明したとしても。
もちろん北朝鮮の罪を免罪しようということではありません。
互いの罪を明確にし、その上で償えるところは償い、
償えない所は二度と繰り返してはならない罪として、
共に背負い語り継ぎ、そして乗り越えていく。
もちろんきれいごとです。
しかしそうでなければ新しい関係は築けません。
拉致問題の解決とは
「生きて帰ってくれば解決」「死亡していれば未解決」
といった単純なものではありません。
いや、これからの国際関係を考えていく上で、
そのような単純なものであってはならないのです。
どんな解決であるべきか?
それは常識通りの普通のやり方をするべきです。
事実を事実として受けとめた上で、互いにとってよりよい解決に向けて、
「対話し」「交渉すれば」いいのです。
そうすればもっと早く拉致問題は解決していたはずです。
しかし、余りにも長い時間が無駄に費やされ、
日朝関係が断絶したまま放置され続けたせいで、
最近北朝鮮サイドから伝わってくる声は、
「拉致問題はすでに解決済み」というものだけです。
少なくとも政府認定拉致被害者に関しては生存者ゼロという話もあります。
仮にそうだったとすれば、どうすればいいのでしょうか?
机を蹴って交渉を打ち切るべきなのでしょうか?
今後とも没交渉であるべきなのでしょうか?
そうではありません。絶対にそんなことをしてはなりません。
先に述べたように、常識通りの普通のやり方をすべきです。
仮に生存者ゼロの報告書であったなら、
それでもそれを一旦受け取り、「十分時間をかけて」精査する。
そしてその行間から生存者アリの手ごたえを得たならば、
相手のメンツを立てた上で「よく調べたら生存者がいました」
と共同で発表できる方向にもっていく。
それが「仮に」生存者がいた場合の救出の、一番確実な方法ではないでしょうか。
そういった「事実に立脚した」作業をするために政府は存在するのではないですか。
感情的なパフォーマンスをする政府など有害無益です。
*受け取った調査書にたとえ「横田めぐみ・田口八重子」両氏の名前がなくとも、
北朝鮮が日本へ帰す「意志」のある人が何人かいれば、
それは受け取り、帰国を望んでいるなら実現させるべきであるし、
そうでないなら日朝の往来でもなんでも
再会をはたすことを可能にすればよいでしょう。
逆に両氏の名前がないから受け取らないなどということは、
それ以外の被害者とその家族への、許しがたい背信行為です。
では十分精査した上で、本当に生存者がいなかった場合はどうするのか?
それについては今までの記述の中で何度か触れました。
北朝鮮に何らかの形で償って頂く必要は当然あります。
それは国際間の法的な問題として、粛々と行う必要があります。
「人道上の罪」は、また別な問題になります。
「愛する家族を返せ!」と言う気持ちは当然のことです。
しかし愛する家族を失うことは、
「唯一無二の」拉致問題だけの話ではなく、
悲しいことですがさまざまなかたちで起こることです。
それがどの問題であれ、原因となった相手を許せない、
という気持ちは部外者からはどうすることもできません。
「愛する家族を失うこと」「原因となった相手を許せないこと」は苦しいことです。
しかしその人たちは何らかのかたちで「癒される」権利はあり、
周囲の人々はできるだけ傷ついた心を癒せるよう努力する必要があります。
しかしそれには決まったやり方はありません。
ただはっきり言えることは、憎しみを煽ることは
「癒す」こととは正反対のことである、ということです。
あくまでも「癒し」は「和解」へ向かう方向にしかないのです。
さて上に述べた「常識通りの普通のやり方」は、
本来2002年の日朝交渉の時にやるべきことでした。
5人生存8人死亡の情報が来た時、
「あくまで北朝鮮はそう主張している」という建前で一旦受け取り、
その上で精査すべきだったのです。
なぜそうしなかったのでしょうか?
なんと私たちは無駄な時間を過ごしてきたのでしょうか!
今からでも遅くありません。
2002年で止まった「和解に向かう」時計を、
再度動かし始める必要があるのです。
『めぐみへの遺言』に以下のような記述があります。
「滋:2008年8月の瀋陽での日朝協議以降は、
拉致の進展といえるものは何もない。
去年だったか、外務省アジア大洋州局長の時、
小泉訪朝の道をつけた田中均さんが新潟に来られて
日朝交渉の裏話ということで講演された。
小泉訪朝の1年前の2001年には、
なんと26回もミスターXと話をしたと言うのです。
小泉さんと二人だけで進めていって、他には誰も知らせなかったと。
交渉を重ねるうちに、
やはり拉致という悪いことをしたのだから返せと言っても絶対返してこないから、
向こうにもメリットを与えなければだめだと分かってきた。
そのメリットというのが国交正常化で、
拉致が解決すれば実現できるという風にもっていったと。
北朝鮮の誰か信用できる人とちょっと話をして、
急にパッと小泉さんが行ったわけではないんです。
石高:少なくとも金正日が、
拉致被害者13人の生死について答えれば
国交樹立は成ると信じ込んだのは間違いないでしょう。
だから、北朝鮮は北朝鮮で、拉致を認めて5人返したのに国交樹立できない。
最初の段階で騙されたと思っている。
滋:日本は日本で死亡確認書がデタラメだったとか、
めぐみの遺骨がニセモノだとか騙されたと思っている
。向こうは拉致を認め、新しいものを出せば出すほど日本が遠くへ行くと考えている。
そういう金縛り状態になって、それがずっと続いているのです。
そこを突破するには、制裁一辺倒ではなく話し合いに向けて動くしかない。」
この対談は2012年。今から6年前のものです。
今横田滋さんは人前で話すことのできない状態になっています。
滋さんの思いを、私たちはしっかり受け止めなければなりません。
補足説明
*アメリカ人学生オットー・ワームビア氏を思い出してください。
2017年6月、昏睡状態のまま北朝鮮から米国に搬送され、
その約1週間後米国内にて死去された方です。
私達はこのニュースに接した時、
こうした「方法」で「解放」することもあり得ると考えました。
日本人拉致被害者の中にもこのような方法で
帰国させられる方がいてもおかしくはない。
北朝鮮に都合の悪い事情を帰国後話されては困る場合でも、
この残虐な方法で帰国させることは可能ではないか、と。
このような「方法」が可能にも関わらず、死亡したと言い続ける北朝鮮。
つまり、
このような「方法」でも帰国をさせることができないということではないのか?
・本当に死亡しているので返せない
・生存していても、北朝鮮としては絶対に表に出すわけには行かない
帰国させることはできないという北朝鮮側の強い意志がある
ということを読み取ることはできないでしょうか。
帰国予定者リストに、
日本側が期待している名前がないから受け取らないということは
リストに記載された方々の帰国の機会を奪うことになります。
私達国民は、期待している名前がリストにない場合も
その事実を受け容れなければならないのではないでしょうか。
「世論」が許さないから、「そのリスト」は受け取らない
ということがあってはなりません。
リストに名前の無かった家族には大変つらい現実となります。
悲しみだけではなく、
北朝鮮への怒り、恨みと言った負の感情が溢れることでしょう。
しかし、私達は家族の悲しみに共感・同情はしても
少し冷静にならなければなりません。
怒り・恨みといった負の感情に引っ張られてはなりません。
「その名前」が無かったとしても、
帰国可能性のある方々の機会を奪ってはならないと思います。
「世論が納得しないから、このリストではダメだ!
全員一括帰国以外は認めない。」
という言葉で誰かの「機会」を奪ってはなりません。
終わりに
http://serenityprayer323.blog.fc2.com/blog-entry-18.html
日本が歪んだ言論空間に安住している一方で、世界は急激に動いています。
先日(2018年4月27日)韓国と北朝鮮の間で南北首脳会談が行われました。
これからアメリカと北朝鮮の間で米朝首脳会談が行われる予定です。
「全て安倍首相の筋書き通りだ」などという言論人もいますが、皆さんの中で納得される方はほとんどいないでしょう。
北朝鮮から首脳会談の呼びかけがあったにも関わらず、安倍首相は予定通り中東訪問に旅立ち、それに何も言わずに救う会・家族会関係者は恒例のアメリカ訪問に向かいました。
その後も「なぜ直接言ってこないのか」という金正恩の発言から、安倍首相は逃げ回り続け、その姿勢を批判する救う会・家族会関係者は誰もいません。
「拉致被害者の全員一括帰国」という表向きの目標から見ると、全く愚かで理解しがたい行動ですし、実際そう言っている方(拉致問題関係者以外)も大勢います。
しかし「北朝鮮の脅威に対抗するため、軍事大国アメリカとの絆を強固にする必要があることを主張し、日米の軍事的な共同歩調を正当化する」という真の目標から見れば、この行動はよく理解できます。
2018年5月18日の東京連続集会で、ある拉致被害者家族はこのような発言をしています。
「だから私は4月10日にアメリカ大使館でハガティさん(大使)に、「日米同盟があるんだから助けてくださいよ。日本は武力を使えないんです」と言った。
使えるのはアメリカですから。そのために日米同盟があるとすれば、国民も、政治的な問題はなかなか難しいですが、国民のためにも日米同盟というものは大事にしていかなければならないということにつながっていくと思います。」本間勝(田口八重子さん兄)氏発言。
ものすごく分かりやすいですね。
問題はアメリカ自身が、あくまでも東アジアについてだけですが、そのような目標を日本と共有しなくなった、ということです。
だから今となっては真の目標から見ても、彼らの行動は、愚かで理解しがたいものなのです。
世界は日々動いています。
もう私たちは偽りの空間でマインド・コントロールにかかっている場合ではありません。
現実と向き合わなければならないのです。
「現実の拉致問題」と正面から向き合い、解決していこうではありませんか。
もちろん現在マインド・コントロールを行っている人々以外の手で。
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