2018年7月7日(土) 松本死刑囚の刑執行 オウム事件初 元幹部6人も 法務省は6日、オウム真理教による地下鉄サリン事件など一連の事件で有罪が確定した元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚と元幹部ら計7人の死刑を同日執行したと発表しました。事件をめぐっては、13人の死刑が確定していますが、執行されるのは初めてとなります。 死者29人、負傷者6000人超を出したオウム真理教による全13事件。松本死刑囚は地下鉄サリン事件を起こした1995年に逮捕されました。一審の東京地裁は2004年、起訴された全13事件で有罪とし、死刑判決を言い渡しました。二審の東京高裁は、弁護人が期限内に控訴趣意書を提出しなかったとして06年に控訴を棄却。最高裁も支持し、同年9月に死刑が確定しました。 地裁の公判で、松本死刑囚は「事件は弟子が勝手にやったものだ」などと無罪を主張。殺人を正当化する教義の誤りを認めることはなく、次第に不規則発言や居眠りを繰り返すようになり、法廷で事件の動機などを詳しく語ることはありませんでした。 オウム真理教による一連の事件で起訴された教団関係者192人の刑事裁判が1月に全て終結したことを受け、法務省は3月、東京拘置所に収容されていた13人のうち7人を他の施設に移送していました。 教団をめぐる裁判は終結しましたが、高学歴の若者たちが荒唐無稽な教義を信じ、殺人に手を染めたのかなどの解明は不十分です。サリン事件では後遺症に苦しむ被害者が今も多くおり、補償も不十分です。 1980年代から90年代にかけて、各地で教団施設と地元住民のトラブルが各地で発生。日本共産党の支部と議員らは住民と共に、同教団の危険性を告発してきました。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-07-07/2018070701_02_1.html 2018年7月7日(土) オウム事件 防げなかった責任 警察や行政に 住民と危険性を告発した元上九一色村共産党村議 竹内精一さん オウム真理教の施設があった山梨県の旧・上九一色(かみくいしき)村で住民とともに危険性を告発した竹内精一・元日本共産党村議と宗教ジャーナリストの柿田睦夫さんに、事件の背景と教訓について聞きました。 松本智津夫死刑囚の死刑執行で、事件の主要な真実が明らかにされず終わりになってしまったのが残念です。オウム真理教が、殺人から地下鉄サリンまで起こしたその経緯、多くの若者が入信し平気で人を殺す集団になっていったかは明らかになっていません。行政や警察の対応も、あまりにも悪かった。オウムが悪かっただけではすまされません。どうして阻止できなかったかを反省しなければいけません。 1989年にオウム真理教が上九一色村に進出して以降、廃液の垂れ流しや掘削による騒音、私たちに対する監視や脅迫などいろいろな問題がありました。日本共産党は住民といっしょに、告発し危険性を訴えてきました。 松本サリン事件(94年6月27日)のときにも、私たちは最初から「あれはオウムだ」と訴えてきましたが、警察は被害者の河野義行さんを犯人扱いし、誤認捜査しました。私たちの告発を聞いていれば、地下鉄サリン事件は防ぐことができたはずです。防げなかった責任は、行政や警察にもあります。 松本死刑囚以外の人の死刑を執行していいのだろうかという思いもあります。戦争中の日本の軍隊と同じで、「やれ」と命令されてやったという面があったのでは。 オウムが上九一色村に進出していた当時、信者に対し「あんたたちはここにいるべきではない。帰らないといけないよ」と話してきました。 私は、戦争にいった最後の世代です。中国で、人としてやらなくてもいいことをやっていました。私は戦争の被害者だが、中国の人民にとっては加害者だ、あなたたちもオウムの被害者かもしれないが、信者としては加害者なんだと伝えてきました。 この事件を教訓に、社会の在り方、国民の命やくらしを守る行政や警察の在り方を考えていかなければいけないと思っています。 幕引きにならない 宗教ジャーナリスト 柿田睦夫さん 死刑執行で幕引きにはならないということです。オウム真理教家族の会(旧被害者の会)や日本脱カルト協会が、松本智津夫死刑囚を除く12人の死刑執行を猶予するよう求めていました。命乞いではなく、彼らにはもっと真実を語らせなくてはいけないからです。 なぜ、彼らが、自分の頭で考えることを放棄し、教祖のいうがままに動く人間に変わっていったのか―。いまも絶えないマインドコントロール被害を防ぐための教訓にしないといけないと思います。 オウム事件には多くの謎が残っています。1989年の坂本弁護士一家殺害事件では、当初からオウムの関わりが指摘されていました。もし警察がもう一歩踏み込んでいれば、その後の事件はなかったはずです。松本サリン事件では捜査がオウムに向かわず、誤認捜査をしました。警察が地下鉄サリン事件まで、なぜオウムの捜査に及び腰だったのか、まったく解明されていません。 被害者の家族たちがオウムを宗教法人として認証しないよう求めたのに、東京都は89年に認証しました。山梨県もオウム施設の違法建築について通報があったのに、有効な動きはしませんでした。 「宗教団体だから」「信教の自由がある」は言い訳にはなりません。オウムの犯罪は、宗教法人であるかは関係ないのです。にもかかわらず警察も行政も、地下鉄サリン事件が起きるまで動かなかった。これらの謎が解明されるまで幕引きにはなりません。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-07-07/2018070714_01_1.html 2018年7月7日(土) 松本死刑囚 真相語らず 「繰り返したらいけない」 オウム被害者家族ら傷痕深く 死者29人、被害者6000人超という犠牲を一連の事件で引き起こしたオウム真理教の元代表松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(63)。元幹部ら6人とともに死刑が執行されたものの、なぜ事件を起こしたのか、幹部はなぜ指示にしたがったのか、事件の真相は語られぬまま。地下鉄サリン事件が起きるまで、警察や行政がオウムを捜査、規制しなかった理由も解明されていません。被害をうけた家族、友人、関係者らの傷痕は深く、思いは複雑です。 闇に閉ざされて残念 坂本弁護士所属 横浜法律事務所 オウム真理教に殺害された坂本堤弁護士が所属していた横浜法律事務所は6日、記者会見して談話を発表しました。 談話では、同法律事務所が松本智津夫死刑囚に対して「少しでも人の心、良心が残っているのなら、この判決を厳粛にかつ正面から受け止め、今後は被害者に対する心からの謝罪とともに、真実を自らの口で語るべきである」と求めてきたことを紹介し、しかし謝罪の言葉もないまま死刑が執行され、「事件の核心部分が闇に閉ざされたままになり残念だ」としています。その上で「正当な弁護業務に対する最も卑劣かつ悪質な妨害である坂本弁護士一家事件を決して忘れることなく、弁護士業務への妨害に屈することなく、今後も坂本弁護士の志を受け継いでゆく決意である」としています。 記者会見した小島周一弁護士は「ついにこの時が来たかという気持ちだ」と述べました。電話で話した坂本弁護士の母さちよさんは「突然のことで整理して語られないと言っていた」と複雑な心境だったと報告しました。 小島弁護士は坂本弁護士の人柄を「人間を最後まで信じる人だった。少年事件を起こした子どもたちに対して『人間は変われる』と信じて見捨てない男だった」と語りました。 終わったね 安らかにね 坂本弁護士の母さちよさん 坂本堤弁護士の母坂本さちよさんのコメントは次の通りです。 ◇ 今日、麻原と、その他の幹部に対する死刑が執行されたと聞きました。 麻原に対する裁判が終わったときは「やっとか」っていう気持ちになったし、死刑判決が出てからもいつまでも生かされているということで「なんでいつまでも死刑にならないの」という声も聞きました。 私も麻原は死刑になるべき人だとは思うけれど、他方では、例え死刑ということであっても、人の命を奪うことは嫌だなあという気持ちもあります。 事件が起きてから今まで、長い時間だったなあと思います。堤、都子さん、龍彦には「終わったね。安らかにね」と言ってあげたいです。 息子たちの救出活動に尽力してくれた方々、救出活動の訴えに長い間協力して下さったマスコミの方々には本当に感謝しております。 ただ、今は、体調のこともあり、皆様に直接お話しすることができないことをご理解いただけたらと願っております。 長い間、本当にありがとうございました。 2018年7月6日 坂本さちよ https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-07-07/2018070715_01_1.html 2018年7月7日(土) 事件話してほしかった 地下鉄サリン 遺族が会見 松本智津夫死刑囚らの死刑執行を受け、地下鉄サリン事件被害者の会代表世話人の高橋シズヱさん(71)は6日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見しました。 事件現場の駅の助役だった夫を奪われた高橋さんは、「松本死刑囚の執行は当然と思っていたので、その時が今日だったということ。涙はありません」と淡々と受け止めを語りました。一方、元実行犯らについては「今後のテロ防止で彼らにはもっと(事件のことを)話してもらいたかった。それができなくなったと心残りがあります」とのべました。 事件の風化を問われ、「(死刑執行が区切りで)事件のニュースが減り、人々が思い出す機会が少なくなるのは仕方ないけれど、人生を狂わされた者として、これが繰り返されたらいけないという思いがある。そういう啓発として(メディア報道などに)生かされてほしい」と話しました。 ともに会見に臨んだオウム真理教犯罪被害者支援機構副理事長の中村裕二弁護士は、坂本堤弁護士一家殺害事件について聞かれ、「坂本弁護士とは一緒に司法修習をした仲でした。坂本さんがオウムから救出したかった子どもたちも今回の執行された中に含まれ、救出の機会が永久に失われてしまった。その意味でも首謀者の松本死刑囚の罪は大変重い」と強調。アレフなどのオウム後継団体で松本死刑囚を今も信奉する人たちに「この現実を直視し早くその集団から抜けてもらいたい」とのべたほか、「被害者遺族も高齢化が進んでおり、アレフに一刻も早く損害賠償を履行させないといけない」と力を込めました。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-07-07/2018070715_02_1.html
[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数により全部処理
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