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(回答先: ベトナム戦争、ニクソン・ドクトリン 隠れたものが見えて来た”会談”、そして愚劣なピエロ 投稿者 影の闇 日時 2018 年 6 月 18 日 15:45:49)
ところで、以上の様に見てきたら、軍事戦略的にさして意味の無い処への軍の強い拘りとか執着の背景には、かっての日本軍とっての満州の同様、自分達が多大な犠牲を払って獲得したものという意識が在るように思えます。
私は、戦後の日本を満州国−「海の満州国」と思ってるのですが、そこからすれば極東(在日・在韓)米軍は「海の関東軍」と言えると思うのです。
言うならば、日本軍にとって満州は”聖域”であったように、極東(韓国、日本)は米軍にとっての”聖域”、米国の歴代大統領が「撤退」を手掛けながら、結局、断念したのも、この軍の”聖域”に踏み込むことが出来なかった、ということでしょう。
かくして、北朝鮮が万難を排して核や長距離弾道ミサイルを手にした本当の理由も見えて来ます。
米軍の”聖域”の為の、生かさず殺さず、蛇の生殺し状態にされておくのを拒否し、グアムやハワイ、更にはアメリカ本土まで射程に入れることにより、”聖域”という幻想そのものを無化する。
今回、殆ど全ての人が、”会談”に対する北朝鮮の目的を「体制保証」と思ってる様ですが、まことに一面的、かって北朝鮮と交渉した元担当官が(北朝鮮は)「体制保証」には然程関心はないようだったと証言しておりますが、「非核化」と「体制保証」はコインの表裏、本質的な問題は米朝間の信頼をどのように作り上げていくのか?というところにしかないからです。
そこからすれば、米朝の接点というか、北朝鮮の立場の収束点は、畢竟、米軍の慰みものになるのは拒否するが、米軍自体は拒否しない、というところになる。
もし私の見方が正鵠を射てるとするならば、今回、表向き「非核化」ではあっても、その本当の処は、詰まるところ、在韓米軍の処遇に行き着かざるを得ない。 即ちそれは、本来の視点から言えば、「ニクソン・ドクトリン」のソフトランディングか?ハードランディングか?ということになります。
アメリカにとって望ましいのは、米軍存在を韓国国民が支持し、承認するということでしょうが、沖縄における米軍と同様、国民多数が「半島平和の妨害」と感じてる以上、北朝鮮と強引に戦端を開き、結果、否応なく出て行かざるを得ないことになるハードランディングか?又は、それこそ段階的に撤退して行くにせよ、名存実亡状態に成って行くということになるソフトランディングか?ということですが、しかしながら、そこに上の北朝鮮の立場を付き合わせると、その中間のグレーゾーンも出て来ることに気付くのです。
「米韓安保」を極端に薄めると同時に、「米朝友好」を最大限にするーそれを通して、北東アジアの<バランサー>なり<調停者>として、「在韓」よりも「極東米軍」として、名実ともに、北東アジアの「国際公共物」的な地位に押し上げて行く。
そうして、この様に見て来れば、今年初めまでの、トランプ大統領の一連の軍事強硬発言も別の色を帯びていたことに気付かれるでしょう。
表向き北朝鮮に向けられたものではあっても、その実、在韓米軍に対して、このままではハードランディングだぞ!って言ってるのに等しいものだったのですから。 そうしてそれは、考えられる限りアメリカにとって最良の選択であると思える、北東アジアの<バランサー>なり<調停者>の地位を永久に失うことを意味するのです。
金大中・廬武鉉政権と、10年続いた「南北融和路線」で、”聖域”が色褪せるのとは反比例して、米軍存在が浮いたものとなり、それ故に”半島危機”を最大限演出し、そこに、佐藤政権以来40数年ぶりに、今度こそ「安保路線」の時節到来と錯覚したアベのジャパンが参加することによって、北東アジア全体に”危機”が拡大され、それを韓国にブローバックさせて、かっての如く右派や親米派有利の状況を招き寄せるー
斯かる目論見も、「南北融和路線」の継承者、文在寅氏が登場することによって、敢え無く、潰え去って行きました。
即ち「安保危機」を演出すれば必ず右派や親米派有利に傾く日本とは異なり、”危機”を煽れば「半島ナショナリズム」=南北融和に傾く傾向がよりハッキリとしたことをそれは意味します。
しかもそこに、”コスト”を声高に唱えるトランプ氏が登場して来たのです。 「在韓米軍はコストパフォーマンス上無駄」、事情通とか薄々感付いてる人には共通認識を敢えて口に出すことによって、状況の大転換を図ろうとする。
”コストパフォーマンス”はアメリカ国民の共感を得る為であろうし、本音は「在韓米軍は無駄」という処に在ると思えます。
つまり、これは、結果的に、「ニクソン・ドクトリン」の後始末をすることになるのです。
そうして私には、もしかしたらこれは、トランプ氏が「ベトナム戦争世代」であることに深い処で繋がっているのかも知れない、と思うのです。
同年齢のクリントン元大統領は反戦運動に参加していた様ですが、政治的立場がどうであれ、世代的当事者として、ベトナム戦争とその敗北の意味を他の世代以上に意識せざるを得ない。
何で太平洋の遥か向こうまで出て行って、戦いに負け、深く傷付いて帰らなければならなかったのか?という思いは、個人レベルにおいても、澱の様に沈殿していったと思われます、否応なしに。
そうして、思想的、又は理性的な答えというものには縁遠い多数派、米国白人の最大公約数的な結論は、結局は、”野蛮人”を遠ざけよor”野蛮人”から遠ざかれーというものであろうと考えられるのです。 例のメキシコ国境の”壁”でも中東からの移民への対応を見ても。
その一大転機となったのがベトナム戦争なのだから、その思いはひと際強烈に刻印されている、と思えるのです。
従って、ベトナム戦争敗北からニクソン・ドクトリンへの経緯は知らなくても、その流れ(アジアからの撤退)は必然と感じ取っていたでしょう、別けても「ベトナム戦争世代」には。
もしかしたらトランプ氏から見た「在韓米軍」という存在は、ベトナム戦争の残された最後の「遺物」の様に見えているのかも知れません。
今回、”会談”に前のめりになるトランプ氏について、個人的な野心とか資質の問題として論じられていますがーむろん、それを否定はしませんがー私にはむしろ、「在韓米軍の撤退」にまで言及する彼の姿勢に、澱の様に溜まっていた「世代のつけ」、更には「NATO不要論」が持論であることも考え合わせたら、無駄に、無意味に拡大を続けた20世紀アメリカの落とし前をつけようとする意識が心の何処かに在る、と考えるのは穿ち過ぎでしょうか?
かくして、昨今の北東アジアの政治状況は、1970年代初めに順接したかのように、一方で20世紀の(熱戦の)後片付けがあるとするなら、他方では、大叔父のリベンジよろしく、「日米共同声明」路線の復活を夢想した動きが確かに在る。 周知の如く、40数年前は、田中政権登場による電撃的な日中国交回復によって、外交姿勢を180度転換し、近隣諸国との融和路線に踏み出したわけです。
もしもあの時、佐藤政権か若しくはその亜流が続いていたら、日中関係は遅れに遅れ、結局、アメリカの後塵を拝することになったでしょう、アメリカの狙い通りに。
つまりは、アベに支配された日本は、これからその仮定を上書きすることになるのです。
この男には、大叔父に止まらず祖父のリベンジ、更にはそれを越えて、この百年を端折り、実質自分達、長州が主導した”明治の栄光”に順接したいという欲求に支配されたルサンチマンがあるのでしょう。
彼が政権復帰の際、大文字で唱えた「日本を取り戻す」というのはそういう意味なのです。
そしてその”明治の栄光”が、当時の覇権国家、大英帝国の世界戦略に国策を合わせて達成したことに倣って、アメリカの世界戦略に国策を合わせて、その再現を夢想するー私は、あらゆる機会を通じて、それが妄想に過ぎないことを論証しようと思っております。
既に、この間の北朝鮮を巡る状況の中で、この男は、妄想の儘に、醜悪にして、愚劣なピエロの役回りを演じたのですから。
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