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岸井成格さんが闘った安倍政権の言論弾圧とメディアの堕落
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229226
2018年5月17日 日刊ゲンダイ 文字起こし
最期まで記者の原則を全うした岸井成格さん(C)日刊ゲンダイ
「情けない!」――。昨年暮れ、最後となった出社の際、絞り出すような声で訴えたという。毎日新聞特別編集委員の岸井成格さんが15日、亡くなった。73歳だった。
岸井さんの逸話といえば、2016年3月の「NEWS23」(TBS系)降板騒動である。以降、07年に公表した大腸がんとの闘病も相まって、メディアへの出演機会は激減。16日の毎日で、政治部の後輩の与良正男専門編集委員はこう書いていた。
〈民主主義とジャーナリズムの危機を強く感じていたにもかかわらず、テレビ出演もままならず、その思いを発信できない。無念だっただろう。もっと戦いたかったろう〉
安倍政権が集団的自衛権を容認する安保法制の成立に邁進していた15年。岸井さんはアンカーを務めた23で「変わりゆく国」というシリーズを組み、40回も安保法制の問題を取り上げた。その動機について、本人は16年7月の日刊ゲンダイ「注目の人直撃インタビュー」でこう語ってくれた。
「自衛権という言葉に騙されてはいけません。米国のために出ていくのですから。しかし、こういう議論を国会できちんとしていないでしょ? だから、番組で何回も取り上げた」
至極まっとうな意見だが、政権批判を許さない安倍サマ一派に目をつけられた。15年11月、いきなり読売・産経両紙に岸井さんを名指しで糾弾する全面意見広告が掲載。安倍応援団の文化人による意見広告の体裁を取っていたが、ウラには安倍官邸のにおいがプンプンしたものだ。
■降板騒動は器の小さい首相の証明
彼らが問題視したのは、安保法制の審議が大詰めを迎えた同年9月16日の放送で、岸井さんが「メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と発言したこと。この発言が放送法4条が定める「政治的公平」に違反するとし、その後も本人やTBSに公開質問状を送付するなど執拗に攻撃。ついに降板に追い込んだのだ。
なぜ、彼の番組だけが「偏向報道」と名指しされたのか。岸井さんとは慶大で同じゼミに所属して以来、50年の交流がある評論家の佐高信氏はこう言った。
「岸井くんは父子2代で毎日の政治部長を務めた骨の髄からの記者気質。決して『左派』ではないけれど、記者としての権力監視の原理原則を守り続けた。その原則に従って、権力で言論を抑えつける政治手法を批判していたのに、大半のメディアが安倍政権になびき、批判精神の原理を失い、当たり前の批判をぶつける彼だけが目立ってしまった。彼の降板騒動は、メディア腐敗の象徴です。彼は特定秘密保護法などに表立って抗議しましたが、あれだけ気骨あるキャスターは今や消えた。中立を装い、政権への逃げの姿勢を隠しているキャスターたちは『彼を追い込んだのは君たちだ』と自覚して欲しい」
安倍の父・晋太郎氏は毎日政治部OBで、岸井さんの先輩。晋太郎氏が外相時代、岸井さんはよく顔を出し、当時、秘書官を務めた「デキの悪い息子」が叱られる姿を何度も目撃していたという。安倍にとって、若い頃の「恥」を知る岸井さんは最も煙たい存在だったに違いない。
岸井さんの降板騒動は政権の言論弾圧とメディアの腐敗と同時に、安倍の器の小ささも物語っている。
遺志を継ぎ、民衆の力で退陣を(C)日刊ゲンダイ
権力監視を全うした「憤死」を無駄にするな |
岸井さんの降板と前後し、古賀茂明氏の「I am not ABE」騒動による報道ステーション(テレビ朝日系)のコメンテーター降板を皮切りに、報ステの古舘伊知郎氏やNHKの国谷裕子氏ら政権に批判的なキャスターたちは、軒並み番組を降ろされた。
反安倍派が一掃されたテレビの光景は異様だ。安倍ベッタリの日枝久元会長が今も隠然たる影響力を発揮するフジテレビの日曜朝は、よしもとの“元カリスマ芸人”が、ニュースアンカーのように振る舞う。安倍がピンチに陥れば、フジはニュース番組に出し、言いたいことだけ言わせて、ロクに追及もしない。
今のメディアに岸井さんが亡くなるまで順守した権力監視の原則はみじんもない。だから、安倍はますます図に乗る。放送法4条撤廃の検討も、なめ切っている証拠だ。
放送法は戦前の反省から権力の介入を排除するために作られた。岸井さんも前出の本紙インタビューで「政治的に公平中立な放送を求めているのは、権力側の介入を許さないためで、偏向報道かどうかを権力側が決めるなんてことはありえない」と語っていた。
ところが、安倍やその応援団にそんな原則は通用しない。岸井さん攻撃でも持ち出したように、放送法4条を番組介入の“武器”にしてきた。その撤廃の検討は放送界を完全に手なずけ、こんな武器はもう必要ないという自信の表れ。安倍にそう思わせるほど、メディアは政権にかしずき、完全に腐敗しているのだ。ジャーナリストの斎藤貴男氏はこう嘆く。
「メディアが自壊した以上、徹底的になめられるのは当然です。表現の自由は、メディアにジャーナリズムの矜持があってこそ成立しますが、今のメディアにそれはない。政治権力やスポンサー企業が自由主義社会における報道の役割を理解していることも条件ですが、それも今の日本にはない。表現の自由の大前提が欠落した状況で、放送法4条をなくせば、権力にへつらう自由を唱えるメディアが確実に現れる。そちらに政権と一体化する経団連企業がスポンサーとして流れれば、今の惨状を見ると、他局も広告料欲しさで政権擁護になだれを打つのは間違いありません」
行き着く先は、全局総“安倍チャンネル”化である。
■「メディア側の政権忖度」への強い危機感
通信と放送の融合に向けた規制緩和と称して、安倍政権は通信業者を前提に放送界への新規参入も目指している。
「報道の矜持と無縁の通信業者が参入すれば、ますます総安倍チャンネル化に拍車がかかる。儲け第一主義で、『働かせ方改革』のようにスポンサーの経団連企業に都合のいい政策のPR番組や、アンチ反戦活動のフェイク情報を垂れ流したDHCの『ニュース女子』のようなスポンサー制作の“もちこみ番組”が氾濫しかねない。この流れは当然、憲法改正にも及び、改憲派の洗脳メッセージがCMどころか、ワイドショーや野球中継の合間に織り込まれてしまう。そのうち『企業が儲けるため、手っ取り早く戦争を始めろ』なんて暴論・洗脳番組を垂れ流すことになりかねません」(斎藤貴男氏=前出)
ここまで巧妙に安倍サマ一派による政治介入に拍車がかかる危機的状況に、メディアは無力だ。前出のフジの痴態をはじめ、いまだに大マスコミは忖度ばかりの自殺行為を続けている。
「岸井くんは最期まで、今の政界に『まともな保守』が消えたことを嘆いていました。偏向報道は取り締まるのが当たり前のような『偽りの保守』をのさばらせたのも、腐敗メディアの責任です。彼と私の最後となった共著は『偽りの保守・安倍晋三の正体』。キツい書名を彼が承諾したのも、この国への危機感の表れ。岸井くんの『憤死』を残念がっている暇はない。彼の遺志を継いで、民衆の力で全ての元凶である安倍首相を引きずり降ろすしかありません」(佐高信氏=前出)
岸井さんは本紙インタビューで「(安倍政権が)国家統制、監視社会の強化の方向に向かっているのは間違いない」「そういう時にメディア側が萎縮していていいのか、権力側に忖度していていいのか。強い危機感を覚えます」と危惧していた。メディアに関わる者は皆、がん闘病に苦しんだ記者魂の持ち主が、命を賭して訴えてきたことを肝に銘じるべきだ。
2016年3月25日のニュース23。
— Tad (@CybershotTad) 2018年5月15日
この日でアンカーを終える岸井成格さん。
「何よりも真実を伝える。権力を監視する。そういうジャーナリズムの姿勢を貫くことがますます重要になってきていると感じます」 #news23 pic.twitter.com/c393C7o1ZJ
日刊ゲンダイ
— 但馬問屋 (@wanpakutenshi) 2018年5月17日
【岸井成格さんが命を賭して訴えてきたこと】
『それは政権の言語弾圧とメディアの腐敗』
「なぜ彼の番組が新聞広告で偏向報道と名指しされたのか。安倍サマ一派による巧妙な政治介入はますます図に乗り拍車がかかっているのにいまだに大マスコミは忖度ばかりの自殺行為を続けている」 pic.twitter.com/WYfqRYGcFx
■@アベ様に「厳しい立場だった人」達は偶然の一致なのか?(https://t.co/UzPJ7AEYJh) 【岸井成格さんが闘った安倍政権の言論弾圧とメディアの堕落】(https://t.co/lFUnSwc8Hp)/《「情けない!」――。昨年暮れ、最後となった出社の際、絞り出すような声で訴えたという。毎日新聞特別編集委員…》
— AS (@ActSludge) 2018年5月17日
岸井さんの死は、相当ショックでした。
— クラブはPHYZ (@tsukurin51) 2018年5月17日
現政権に真正面からぶつかるジャーナリストがまた減ってしまった。
日曜日のサンデーモーニング、好きだったのに。
ご冥福をお祈りいたします。合掌。
岸井成格さんが命を賭して訴えてきたこと それは政権の言論弾圧とメディアの腐敗 なぜ、彼の番組が新聞広告で偏向報道と名指しされたのか。安倍サマ一派による巧妙な政治介入はますます図に乗り、拍車がかかっているのに、いまだに大マスコミは忖度ばかりの自殺行為を続けている(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/akaytC0eGZ
— KK (@Trapelus) 2018年5月17日
「日刊ゲンダイ」5月18日付。「岸井成格さんが命を賭して訴えてきたこと」「それは政権の言論弾圧とメディアの腐敗」「権力監視を全うした『憤死』を無駄にするな」 pic.twitter.com/vDrIKokNlx
— 中村正男 (@nakamasa0225) 2018年5月17日
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http://www.asyura2.com/18/senkyo244/msg/691.html
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