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大宅賞作家も指摘…国家戦略特区の“権力私物化”“利権構造”
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229070
2018年5月15日 日刊ゲンダイ 文字起こし
この5年半で17回もゴルフと会食(C)日刊ゲンダイ
“腹心の友”が国家戦略特区で実現した加計学園の獣医学部新設をめぐり、安倍首相のウソやデタラメを裏付ける物証や証言がどんどん集まっている。にもかかわらず、野党は何を攻めあぐねているのか。安倍が出席した、14日の衆参予算委員会の集中審議は先週参考人招致された元首相秘書官の柳瀬唯夫経産審議官の答弁が焦点だったが、歯がゆい展開に終始した。
柳瀬氏の説明によると、2013年5月に河口湖近くにある安倍の別荘で加計孝太郎理事長や学園事務局長と初顔合わせ。そこで一緒にBBQやゴルフに興じたのは偶然なのか、意図されたものなのか。15年2月から6月ごろにかけて官邸で加計学園幹部らと3回面会したのは、アベ友案件だったからではないのか。疑わしいことばかりだ。この期に及んで愛媛県や今治市職員との面会はスットボケ、愛媛県文書に記載された「本件は、首相案件」との発言をめぐる苦し紛れの釈明には愛媛県の中村時広知事が猛反発。県職員が交換した柳瀬氏の名刺を公開して「すべての真実を語っていない」と批判する事態になった。
世論の8割が柳瀬答弁に「納得できない」 |
こうした流れを受け、週末に実施された報道各社の世論調査で約8割が柳瀬答弁を「納得できない」と答えたのは当然だ。
不信を強める世論を追い風にできず、野党は似たような質問を投げるばかりで切れ味ナシ。安倍は加計学園の計画を知ったのは「17年1月20日」とした答弁を変えず、論点ズラシの十八番答弁で逃げ回った揚げ句、柳瀬氏を「誠実に答弁した」と評価。「誰ひとり私から何らの指示も受けていないことがすでに明らかになっている」と繰り返し、「すべて私の指示で行っているかのごとく言われるのは承服しがたい。いつどこで指示したか明確に示していただきたい」とイキリ立つ始末だった。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏がこう言う。
「野党の準備不足は明らかで、ハッキリ言って集中審議の体をなしていませんでした。大半の国民が加計問題の背景に巨悪の存在を嗅ぎ取り、疑念をますます強めている。野党はそれに応え、まとまって論陣を張るべきなのに、こぞって新しいネタに飛びついたので質問はバラバラ。中途半端な追及にしかならず、審議は堂々巡りの平行線をたどってしまった。安倍首相は高笑いでしょう」
また論点ズラシで逃げ回り(C)日刊ゲンダイ
国家戦略特区は1%が99%を支配する政治装置 |
数え上げたらキリがないほど加計問題をめぐる疑惑は積み上がっているのに、安倍は平然と居直りを続けている。一体なぜなのか。ドリルで岩盤規制に穴を開けるとうそぶき、規制改革の道具として生み出した国家戦略特区の構造を知り尽くしているからだ。
〈器さえできれば、ここにいろんなものを入れていけばいい。あらゆる規制改革が強力な権限によって推進されるお膳立てが整ったということです〉
安倍政権が13年12月に国家戦略特区法をまとめた直後、「月刊日本」(2014年2月号)のインタビューでこう喝破していたのが元日経新聞記者でジャーナリストの佐々木実氏だ。国家戦略特区は合法的な国家私物化を可能にさせる究極のお手盛りシステムとして生まれたのである。
規制緩和の対象や実施地域は内閣府に設置された特区諮問会議が決定するが、トップの議長を務めるのは首相で、議員の資格を持つのは官房長官、特区担当大臣、首相が指定する国務大臣。構造改革に反対する大臣は外すことができる。さらに、有識者議員も構造改革派しかなれないカラクリになっている。特区法第33条4項でこう定めているからだ。
〈経済社会の構造改革の推進による産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に関し優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者〉
諮問会議で加計学園が獣医学部新設事業者に決まった行政プロセスについて、安倍は衆院予算委で「形式上は私が座長」「私が座長をしているのは事実だが、実際は有識者が決めていく。私がいちいち事業者を見て選定することはまったくない。決まったことを覆したことはない」とイケシャアシャアと言っていたが、安倍と諮問会議は一体化しているのだ。安倍の息が掛かったバリバリの構造改革派でメンツを揃えているのだから、俎上にさえのせてしまえば異論が差し挟まる余地なんかない。
佐々木氏はこうも断じていた。
〈かつては、企業利益の拡大のために、国会議員に頼んで政策を変えようとしてきました。それがしばしば贈収賄事件を引き起こしたわけですが、いまや構造改革派の面々が議員より上の立場で政策を決めるようになり、贈収賄をしなくても済むようになったとも言えます〉
〈国家戦略特区は、いわば「1%が99%を支配するための政治装置」なのです〉
国家戦略特区の悪魔的な利権構造を振り付けしたのが、小泉政権時代から利権屋として暗躍してきたあの竹中平蔵氏だ。推して知るべしである。
規制緩和で出来上がった行政の利権化 |
ノンフィクション作家の森功氏も国家戦略特区の正体を看破していた。加計問題を徹底取材した新著「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文芸春秋)で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞したのだが、日刊ゲンダイのインタビュー(4月20日付)でもこう指摘している。
〈特区という規制緩和によってある意味、行政の「利権化」のパターンが出来上がってしまった。その結果、加計学園のように首相との関係を背景にしたエコヒイキが生まれ、その利権をうまく利用した業者が甘い汁を吸う。それがまさしく「行政の歪み」の構造というわけです〉
森功氏は言う。
「小泉政権の構造改革特区は地域がアイデアを出して国に提案するボトムアップ型だったのに対し、国家戦略特区は上からのトップダウン方式。しかも、結論ありきの強烈なトップダウンを実現したので友達優遇、エコヒイキが容易に横行する構造なのです」
規制改革を是とする大マスコミはこうした実態をてんで報じないし、野党も規制改革そのものには賛同の立場だ。衆院予算委で国民民主党の玉木雄一郎共同代表が「問題は岩盤に穴を開けたことではなく、開いた穴は総理のお友達しか通れないのではないか」と追及する一方、「われわれも規制改革は賛成です」「獣医学部が50年間できなかったのが問題。それは進めればいい」と容認していた。そうした下地があるから、加計問題にとらわれて自縄自縛に陥り、斬り込み不足になる。国家戦略特区で跋扈する恐るべき巨悪による周到な悪事に迫れないのだ。安倍の悪辣な本質を国民は知らないから、こんな状況であっても内閣支持率が下げ止まっているのだ。
加計問題はある意味、安倍のイカサマを暴く突破口に過ぎない。ここで徹底的に膿を出し切り、国家ぐるみの不正を止めなければ、クビ切り自由の“解雇特区”の復活もあり得る。1%に支配される99%側に置かれた真面目なサラリーマンの奴隷化は歯止めが利かなくなる。
日刊ゲンダイ
— 但馬問屋 (@wanpakutenshi) 2018年5月15日
【国民は知らない“国家戦略特区”悪魔の利権構造】
『だから内閣支持率は下がらない』
「国家戦略特区で跋扈する恐るべき巨悪による周到な悪事…この構造をつくったのが安倍内閣なのである」
「加計をキッカケに国家ぐるみの犯罪をとめなければ真面目なサラリーマンはやってられない」 pic.twitter.com/3yfDX1yBsB
国家戦略特区は包丁と同じで本来の料理だけでなく殺人にも使えるもの。本来の理念では既得権益を潰して国家国民のために自由化しようとする開放的制度であったはずが安倍によって一部の連中の利権のための道具に成り下ってしまった。包丁の凶器化である。
— 産経新聞とネトウヨが大嫌いな保守 (@wanpakuamatsuka) 2018年5月15日
そもそも竹中平蔵氏発案の、“国家戦略特区”というものは、タテマエが「規制緩和」で、本質は「利権構造」、つまり人を刺す方しか目的はなかった気がします。
— 但馬問屋 (@wanpakutenshi) 2018年5月15日
「構造改革特区」で15回、ずっと申請却下され続けたので、国家戦略特区で“加計学園”のみに岩盤突破。
〈かつては、企業利益の拡大のために、国会議員に頼んで政策を変えようとしてきました。それがしばしば贈収賄事件を引き起こしたわけですが、いまや構造改革派の面々が議員より上の立場で政策を決めるようになり、贈収賄をしなくても済むようになったとも言えます〉佐々木実氏 https://t.co/9436TjFp6F
— 北野慶(反原発・アベ辞めろ!) (@keikitano) 2018年5月15日
国民は知らない「国家戦略特区」悪魔の利権構造 だから、内閣支持率は下がらない 大マスコミは報じず、野党も実は賛成だから、全然、斬り込み不足になっている国家戦略特区で跋扈する恐るべき巨悪による周到な悪事 この構造をつくったのが安倍政権なのである(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/NUn5HF0Xmk
— KK (@Trapelus) 2018年5月15日
安倍政権が設立した国家戦略特区を野党が本気で批判しない理由は、利権の打出の小づちであるため官僚を敵にまわすからだろう。
— 烏山 (@karasuyama_xx) 2018年5月15日
官僚を敵にまわすと国会運営がまったくできなくなる。
結局は野党も官僚には逆らえない。
この国の本当の支配者は官僚だから。
大宅壮作家の森功しが看破したように、加計をキッカケに国家ぐるみの不正をとめなければ、まじめなサラリーマンはやってられない 国家戦略特区は1%が99%を支配する政治装置 規制緩和で出来上がった行政の利権化(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/IzK8xXRsy7
— KK (@Trapelus) 2018年5月15日
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