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2018年04月28日 「ジャーナリスト同盟」通信
<やっかみの政府とマスコミ論調>
半島の38度線・板門店での南北首脳会談が、予想した通りの大成功で幕を閉じた。終始こぼれ落ちそうな韓国・文在寅大統領のほほが、そのことを世界に発信した。共同記者会見で半島の平和を追及してやまない北朝鮮の金正恩国務委員長に、人類は安堵した。「わが国は地球と共に歩む」 (1993年の超党派議員と同行記者団に対しての金日成発言)との祖父の公約を孫が実行した。本物の春到来である。対する日本政府とNHKなどマスコミは、蚊帳の外に置かれたやっかみ半分の悲壮な解説をして、天下に恥をさらした。
<半島の喜びを共有できない日本政府>
共同記者会見で、両首脳は1、年内の朝鮮戦争の終結宣言2、休戦協定を平和協定に転換させるため、南北米中首脳会談推進3、朝鮮半島の完全な非核化を共同の目標とする、などの平和構築に向けた合意事項を明らかにした。
既に平昌冬季五輪で下敷きが出来ており、確認のための米CIA長官が金正恩とそれらを確認、煮詰めてきている。米トランプ大統領は即座に大好きなツイッターで歓迎する、と書き込んだ。安倍晋三もそれに渋々従いながら、具体的行動を注視すると釘を刺した。
核やミサイルの廃棄は、韓国に展開する米軍の撤収が不可欠である。米産軍体制とトランプの戦いの行方とも関係する。なんとしても米軍を撤収させる必要があろう。その流れを沖縄につなげる努力が、日本の政治の役割となろう。
<南北分断の元凶は日本の植民地支配>
歴史は、常に直視されなければならない。そうしないと、民族の未来は約束されない。
半島の分断は、36年間にも及ぶ日本の植民地支配にあった。日本敗戦で、米ロの主導権争いが半島で繰り広げられて、38度線での休戦協定となったものだ。圧倒する米軍に対抗したのは、ソ連ではなかった。スターリンは毛沢東に押し付けた。
建国間もない中国の東北・第四野戦軍の指揮官・林彪は、朝鮮志願軍について反対した。しかし、毛は彭徳懐に命じて100万の大軍を派遣したのだが、武器はお粗末、着るものも、食べるものもない中、日本軍をせん滅した米軍と対峙した。
<100万の中国・朝鮮志願軍の死闘と日本兵の活躍>
横道にそれるが、この朝鮮戦争に母親と夫、長男と長女を抱えて通訳・衛生兵として従軍した玄愛華さん(94歳)に取材して驚愕した。家族総出の参戦である。夫は参謀部の任務で前線で、米軍の戦闘機や戦車と戦った。中国軍に飛行機・戦車はなかった。
敗戦時の日本の竹やり戦法レベルであった。それでも、夫は今のソウルまで足を踏み入れた。毛沢東は身代わりに長男を派遣、後方の任務をしていたが、米空爆で命を落とした。彭徳懐と北京の周恩来は、これの報告に涙した。
「毎日毎日、任務と言えば、死体運び。看護兵二人で小屋に運び込む。凍てついて棒のようになっている死体を、来る日も来る日も運んだ。これには降伏した日本軍医と看護師も、一緒に作業した。日本の看護師は、毎日泣いている。聞くと、ハルビンから逃走する際、幼子を自分の手で絞殺したと言っていた。戦争は二度としてはならない」
恐ろしい、本当に恐ろしい戦争である。安倍に教えてあげたい。
志願軍の犠牲者はどれほどか。彼らの犠牲で、今日の北朝鮮が存在したことになる。彼らへの報恩は?米軍の捕虜となった志願軍兵士は、凱旋しても冷たくあしらわれたという。これも悲劇である。
こうした史実を知る、今の大陸や半島の人々は少なくなっているだろうが、決して忘却してはならない。特に半島を研究している学者は、いい加減な解説を流布することは、厳に慎むべきだろう。偶然、聞いてしまったNHKに出演した専門家のコメントに違和感を抱いてしまった。
<南北の氷が溶けて大河となる>
筆者は、何はともあれ、半島に本物の春到来に感動している。南北の氷が溶けだして、大河になろうとしている。その様子が目に浮かぶ。どうしてか、それが半島の人々の悲願を可能にするからである。
平和の大河を大きく育て上げる日本に、重大な責任がある。
心臓よ、拉致被害者家族を翻弄する策略を猛省すべきである。確証があるのであれば、急ぎ平壌に飛んでいき、解決に必死で努力することである。この一点だけでも、心臓を止めたい気分に浸る国民は少なくない。心臓よ、猛省せよ!
<アジアから米軍が撤収すれば、繁栄間違いなし>
戦後70年、世界を自在に律してきた米国も、中国を脅威だと感じるように変化している。当然だろうと思う。反共主義に凝り固まっている一部のアメリカ人は、なおさらのことである。それは日本にもいる。
安倍内閣はそのために50兆円もの大金をつぎ込んだ。そのための5年間の外遊の日々だった。
米軍がアジアから撤収することもありうる。そうなると、経済がアジアを律することになろう。日本国憲法の期待する繁栄するアジアである。国家主義はいらない。
<半島から核が消えて、沖縄の軍事基地もいらなくなる!>
もう大胆な推測とは言えない。北朝鮮は近い将来、核を手離すことになる。アメリカとの平和条約締結で、核は不要になる。半島が平和の要塞になると、それは沖縄にも波及するだろう。米中と米ロの軍事対立が起きない限り、何もかもが変わる。
21世紀はアジアの世紀となるだろう。
<21世紀はアジアの希望の世紀>
自然エネルギーが地球を覆うようになれば、中東の石油も地盤沈下する。紛争の火種は消えてゆく。どうだろう、武器弾薬のいらない地球再生となろう。アメリカは普通の国にならざるを得ない。軍事低下は経済の時代を約束する。大陸と半島と列島が連携する東アジア経済共同体が実現する日もそう遠くない。
南北の平和は、時代の大変革を約束している。希望の世紀の到来である。地球再生をも約束するだろう。戦争のない地球も夢ではない。そこへともち込む日本政治でなければならない現在である。知恵の勝負だ。頭を切り替える時代でもある。
2018年4月28日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)
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