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春一番の嵐で裁量労働拡大が挫折、安倍政権に立ちはだかる世論の壁
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2018.03.05 広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者) リベラル21
暦が春の季節に変わった3月1日、前日深夜からの「春一番」の嵐が国会に吹き荒れた。各紙朝刊は安倍首相が働き方改革関連法案から裁量労働制の対象拡大を削除する検討に入ったことを一斉に伝え、審議状況は一変した。それだけではない。「一転削除 政権打撃、『働き方』法案 首相、深夜の撤退」(朝日)、「首相『後退』余儀なく、裁量労働 削減検討、総裁3選へ戦略狂う」(毎日)との見出しにもあるように、首相自らが今国会の最重要法案である働き方改革関連法案の修正、とりわけその肝である「裁量労働拡大」部分を削除したことは、安倍政権を直撃する一大ダメージとなって求心力を一挙に低下させた。それ以降、政局は一転して流動状態と化したのである。
紛糾の発端は、安倍首相が「裁量労働制で働く方の労働時間は、一般労働者よりも短いというデータもある」(1月19日)との答弁からだった。3月2日の毎日新聞によれば、この答弁に疑問を抱いた上西充子・法政大教授からの連絡で、長妻氏(立憲)や山井氏(希望)が厚労省にデータを提出させてチエックしたところ、あり得ない異常値が次々と見つかった。その後、厚労省から官邸への伝達では「異常値は最終的に1000件に上る」とまでの状況になり、さすがの安倍首相も答弁撤回と法案削除に追い込まれた――というのである。
裁量労働制をめぐる厚労省の公表資料がこれほどズサンだったとは驚くばかりだが、その背景には厚労省が関連法案を議論した労働政策審議会(労政審)で本来出すべき資料を出さず、間に合わせのデータで議論をミスリードしたことにあるのではないか、という疑惑がその後浮上している。
2月22日の衆院予算委員会で、立憲民主党の岡本議員が加藤厚労相に質した点は以下のようなものだった。
(1)裁量労働制の適用拡大を含む労働法制関連の議論は、2013年6月に閣議決定した「日本再興戦略」から始まった。そこには「労働時間法制の見直し 企画業務型裁量労働法制を始め、労働時間法制について、早急に実態把握調査・分析を実施し、本年秋から労働政策審議会で検討を開始する」とあった。
(2)これを受けて同年9月から労政審で審議が始まったが、委員から裁量労働制の労働時間の実態がよく分からないとの意見が続出したので、同年10、11月に厚労省の委託を受けて労働政策研究・研修機構(JILPT)の「裁量労働制の労働時間制度に関する調査」が実施された。
(3)2014年5月に作成されたJILPT報告書では、企画業務型裁量労働制の労働時間が194・4時間だったのに対し、通常は186・7時間と平均で裁量労働制の方が長いという結果が出た。ところが、厚労省がJILPTに委託した文書には「平成25年度下期に労政審で議論を開始する予定であり、それに間に合うように調査研究の成果をまとめて頂きたい」「労働時間法制の企画立案の基礎資料にする」と記入されていたにもかかわらず、JILPTの労働時間の調査結果は労政審には報告されなかった。
(4)代わって資料として出されたのが、厚労省が閣議決定前の2013年4〜6月に実施した「平成25年度労働時間等総合実態調査」の結果だった。裁量労働制の基礎資料にするためにわざわざ実施された肝心のJILPT調査が報告されず、閣議決定前に厚労省が実施した一般的な労働調査データが示されたのはなぜか。そこには、閣議決定に従って裁量労働制の実態調査を行ったら、労働時間が安倍政権の思惑とは違って長い結果となったので、裁量労働の方が通常労働よりも労働時間が短いことを主張するため、一般的な労働時間調査データを操作する意図があったのではないか。
折しも、安倍首相が敵視する3月2日の朝日新聞1面トップに、「森友文書 書き換えの疑い、財務省、問題発覚後か、交渉経過など複数個所」との記事が掲載された。財務省が森友学園との国有地取引の際に作成した決裁文書の内容と、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した文書の内容に違いがあり、森友学園との具体的な価格交渉に関する箇所や「本件の特殊性」「特例的な内容となる」といった核心的部分が削除されていたというのである。言うまでもなく「本件の特殊性」「特例的な内容」とは、森友学園への国有地売却が「首相夫人マター」であることを窺わせるものであり、安倍首相絡みの案件であることを示唆するものであろう。
この件については3月2日午後の参院予算委でも共産党の小池氏が激しく追及したが、安倍首相はダンマリを決め込み、麻生財務相は大阪地検に告発されている案件なので「答弁を差し控える」との一本やりで一切答えようとしなかった。だが、今回の厚労省データの不適切処理問題や森友疑惑のさらなる拡大を通して、資料の捏造、改ざん、廃棄をものともしない安倍政権のデマゴギー体質は白日の下に暴露されつつある。安倍内閣を支持しない理由のトップをいつも「首相を信頼できない」が占めているように、世論が安倍政権の前に大きく立ちはだかっている。
内閣支持率は移ろいやすく、いつ急変するかわからない。政策の是非もさることながら、政権支持の土台をなすのは首相への信頼だ。「丁寧にウソをつく」人物は信頼されないし、改憲はもとより総裁3選などあり得ない。「信なくば立たず」の日が必ずやってくるのである。
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