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悪魔のような経済政策継続 貧困の閾値は、どこで決壊するのか
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2018年02月13日 世相を斬る あいば達也
東日本大震災を抱えてもがき苦しんでいた民主党政権時よりも、GDP成長率が落ちているとは、呆れてものが言えない。それはそうだろう、地盤・看板・カバンを岸信介、安倍晋太郎から受け継ぎ、安倍晋三は、一人数万円の饗宴を、日ごと夜ごと、幇間マスメディア人と寿司を喰らい、三流芸能人とおだを上げているのだから、月額1万円の攻防で死活問題化している多くの人々の気持ちなど判る筈もない。
教養がある人物であれば、反権力側の識者の書物などを読むことで、僅かずつでも軌道修正する能力が期待できるが、山口何某の「総理」なんて本を山積みにしているのだから、難しい本など読む気力も器量もない。安倍にとっての「適材適所」は、自分にとって都合が良いか悪いかという、ひどくシンプルな基準で決められている。そのシンプルな情報を秘書官が集め、菅官房長官が目を通す仕組みになっているようだ。そこで、首相の気分が落ち込むようなデータはシュレッダーされるようである。安倍を首相にしておくことで、利益を売る連中に囲まれて生きている。
でなければ、生活者の生活困窮が、相当レベルまで悪化しているのに気づかないわけがない。気づいても知らんぷりということもあるだろうが、彼の器量からすると、上がってくる情報を鵜呑みにしている可能性の方が高い。その偏った情報を元に、一休も顔負けの詭弁論者の安倍は自己防御の論を考えつくのだろう。以下の日刊ゲンダイの“消費税を下げろ”は無理だとして、更なる消費増税の延期は考えているかもしれない。
ただ、この決定は、国政選挙等に有利なタイミングで行われるだけに、安倍政権にとっては、勝つためのツールの一つにしか過ぎない。安倍官邸の政治手法は、何でもいいから、味方につける戦術なので、犯罪にまがいの人物でも、味方なら、取りあえず懐に入れるのだ。怪しげな財界人も自称ジャーナリストも、自称三流芸人も、全部味方にしても損はないと云う考えなのだろう。政権政党の矜持、保守政党の矜持、論語で言うところの得など委細構わず、勝てば官軍を地で行進している。まさに、ピーヒャララの長州軍、錦の御旗である。
まぁ、このまま消費税が10%に引き上げられた場合、生活困窮者が続出する。その時、円安傾向が継続していれば困窮度に拍車が掛かることになる。どこに、貧困というものの閾値があるのか明確ではないが、そろそろ爆発する可能性も充分ある。それまでに、緊急事態条項法案を法案化するかどうか、もう競争の世界に入っている。生活者の暴発を防ぐ目的でもある緊急事態条項は、物理的に、国民を牢屋に入れるか、黙らせるかという法律だ。
普通の神経の持ち主なら、安倍的資質の日本人を幽閉した日本と云う国をイメージする。この安倍的日本人は、精々国民の20%にも満たないと思われる。その内、確信的なのは10%程度で、あとは付和雷同型の安倍的人間なので、この安倍的日本人10%がデカイ顔の出来ない国づくりをしなければならない。民主主義と市場原理主義経済とグローバル経済。それにSNSの世界が連動することで、世界は破壊の方向に向かっている。
しかし、筆者は個人的に、人間の気づきに期待している。貧困に閾値があるように、暴政の閾値も存在すると期待している。甘っちょろい見通しだが、その程度には、地球上の人間にも、日本に住む人間にも期待しても良いのではないだろうか。このように考えないと、地球も壊れるし、日本も壊れる。安倍に任せておけば、日本が一番最初に壊れる国になるかもしれない。ただ、屠殺場に運ばれている牛や豚が、お肉屋さん万歳と叫んでいる現状をみるにつけ、ほのかな期待に過ぎないこともひと言加えておく。♪♪ある晴れた昼下がり 市場に続く道……ドナ ドナ ドナ ドナ……勝ってくるぞと勇ましく♪♪哀しい歌が軍歌になった倒錯だ。
≪ 個人消費はなぜ低迷? 賃上げ恫喝よりも消費税減税が先
1989(平成元)年4月の消費税導入から、もうすぐ30年目に突入する。間もなく平成は終わるが、庶民の苦しみをヨソに、消費税の歴史はまだまだ続く。
消費税率の10%引き上げは来年10月の予定だ。教育無償化など使途の方針を打ち出し、安倍首相は「人づくり革命」とかホザいているが、さらなる増税がどれほどの混乱をもたらすのか。増税が当たり前のようなムードがはびこる中、庶民は改めて考えた方がいい。
4年前の消費税率8%引き上げ以降、景気の推移は極めて低調だ。実質GDPの成長率が7四半期連続でプラスを記録。メディアは「IT景気以来約17年ぶり」と強調するが、そのプラス幅はスズメの涙ほどだ。
その結果、2012年末の第2次安倍政権の発足以降の実質GDP成長率平均値はプラス1.5%にとどまる。東日本大震災に福島原発事故と未曽有の危機に見舞われた民主党政権時代の平均値プラス1.8%を下回っているのだ。経済アナリストの菊池英博氏はこう指摘する。
「4年前に消費税増税を国民に押しつけて以来、家庭の消費支出はマイナス続き。加えて異次元緩和の円安政策で円を一時50%も切り下げたため、輸入物価指数は高止まり。輸入食品や水道光熱費の高騰に庶民生活は苦しめられてきた。私の試算によると、異次元緩和に踏み切った13年以降、労働者の実質賃金は年平均15万円も減り続けています。うち8万円が消費増税、残り7万円が円安による輸入物価高騰が要因です。黒田日銀の物価上昇率2%目標が失敗しているから、家計のダメージはこの程度で抑えられているのに、安倍首相も黒田総裁も自分のメンツが大事。今なお物価上昇目標に固執し、庶民に負担増を強いるとは、まるで悪魔のようです」
これでは個人消費が一向に上向かず、景気低迷も当然なのに、安倍は経済失政の責任を棚上げ。“官製春闘”で財界に「3%の賃上げを実現しろ」と迫っているのだから、あきれるほかない。
■3%賃上げは焼け石に水のパフオーマンス
日経新聞の調査によれば、上場企業の半数が賃上げに前向きだというが、日本の上場企業の数は約4000社に過ぎない。日本の全法人数約400万社の0.1%で、さらに、その半数しか賃上げに応じなければ全体の0.05%にとどまる。
「賃上げ目標の3%にもカラクリがあり、実はこの数字には勤続年数や職能による『定期昇給』分も含まれています。純粋な給与の上乗せ分は0.7%から1%だけ。GDPの個人消費を1%増やすには約2兆円分の消費支出の上乗せが必要ですが、すべての上場企業の給与が1%増えても、年間の増加総額は5000億円にも満たない。まったくもって“焼け石に水”です。しょせん、安倍首相の賃上げ要請は『サラリーマンのために頑張っている』というイメージを人々に植え付けるための『印象操作』の効果しかないのです」(経済評論家・斎藤満氏)
安倍が財界に対峙して恫喝まがいに賃上げを迫るのは、恐らく消費増税に向けた地ならし。「3%」という数字を持ち出したのも税率引き上げ分を相殺する狙いだろう。前出の斎藤満氏がこう続ける。
「個人消費がかくも増えないのは、将来の見通しが暗いからです。消費税率の引き上げに限らず、所得税や住民税の控除縮小が相次ぎ、年金保険料は段階的に引き上げられ、旧子ども手当の減額や所得制限の導入も実施。家計が実質的に使える手取りのお金は目減りするばかりです。大和総研の試算だと、片働きの4人家族で年収500万円の世帯で11年に434万円だった手取り所得が、2020年には404万円と30万円減。
年収1000万円なら同期間に768万円から、711万円と57万円も減ります。本気で景気を上向かせるには、国民負担を軽減するしかありません」
安倍は岸田政調会長との国会論戦で、「経済再生なくして財政健全化なし。税収を上げることで財政健全化を進める」と豪語したのだから、なおさらだ。働く人々は無能政権のデタラメを放置せず、声高に負担軽減を訴えるべきだ。
■増税強行は日本に致命傷を与えるだけ
消費税が導入された1989年度と2016年度の税収はともに約55兆円で同額だ。ただ、27年後の税収構成は消費税が14兆円も増えた一方で、法人税は9兆円も減り、所得税も4兆円減った。安倍政権下で法人税率を引き下げ、富裕層の金融資産所得の低い税率を放置してきた結果だ。
多くの国民が思い込まされている「社会保障拡充のための消費税増税」なんて幻想で、法人税や富裕層の所得税軽減のために庶民から満遍なく消費税を巻き上げているのが、実態なのだ。
「法人税をいくら引き下げても経済効果がないことは、史上初めて400兆円を超えた大企業の内部留保が証明しています。低所得者ほど『逆進性』に苦しめられる消費税は、格差の固定化にもつながります。景気回復には、来年の消費税増税を凍結し、いっそ税率を5%に戻すのが近道。その分の税収減は法人税率を引き上げて補えばいい。増税で落ち込んだ個人消費を取り戻すには、消費減税しかありません」(菊池英博氏=前出)
実質賃金や個人消費が低迷する中での消費増税強行は、日本経済に致命傷を与えるだけ。行き詰まったアベノミクスの自爆テロに等しい暴挙である。
≫(日刊ゲンダイ)
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