これが竹中平蔵とCIAをカンカンに怒らせた三橋さんの竹中批判: Posted on 2015年1月31日 09:55 三橋貴明の「列島丸わかり」報告書 ーデフレを呼ぶ指標〜狂った羅針盤〜を導入した男とは…ー 小泉政権期、竹中平蔵経済財政政策担当大臣(当時)の下で、いくつかの「指標」の変更が実施された。
1つ目は、前回の「プライマリーバランス(以下、PB)黒字化」を財政目標として設定したことだ。短期でPBを改善させようとすると、政府はデフレ対策とは逆の、増税や政府支出の削減といった「デフレ化政策」しか取れなくなってしまうのだ。 2つ目はデフレの主因たるデフレギャップ(需要不足)を計算する潜在GDPが「最大概念」から「平均概念」に変えられたこと。 デフレギャップは「潜在GDP─名目GDP(現実の需要)」で計算される。それまでの潜在GDPは、失業率が「完全雇用」状態で、国内の全ての設備がフル稼働した際に生産可能なGDPとされていた。すなわち「最大概念の潜在GDP」だったのだ。国内の全てのリソースが稼働した時点のGDPと、現実の名目GDPの「差」が、デフレギャップだったのである。 ところが、竹中氏の下、「潜在GDP」の定義は「過去の長期トレンドで生産可能なGDP」に変更されてしまった。つまりは「平均概念の潜在GDP」で「過去の失業率の平均」時点のGDPになる。現実には「労働者の余剰」「設備の過剰」が発生している。にもかかわらず、「平均」である以上、余剰人員・過剰設備時点のGDPが「潜在GDP」という定義になってしまう。 わかりやすく言えば、デフレギャップが現実よりも「小さく見える」ように、再定義されてしまったのだ。 決定的なのが「マクロ経済モデル」の変更だ。我が国の財政出動や消費税などの「経済財政効果」を測るマクロ経済モデルが、発展途上国型に変えられてしまった。信じられないかもしれないが、現在の日本はIMFなどが使う「途上国をインフレから脱却させる」ためのマクロ経済モデルを使用しているのである。これは何を意味するのか? 途上国が財政危機に陥りIMF管理下に置かれると、増税と政府支出削減を中心とする「緊縮財政」の実施を強要される。 97年の橋本政権では増税と緊縮財政がセットで行われた。その結果は01年自民党総裁選での橋本氏の言葉で明らかである。 「私が内閣総理大臣の職にありました時、財政再建のタイミングを早まったことが原因となって経済低迷をもたらしたことは、心からおわびをいたします」 途上国型経済モデルでは、財政出動がGDP成長に与える「好影響」や、消費税増税による「悪影響」が、ともに小さくなってしまう。「デフレ」に苦しむ我が国の経済・財政の羅針盤が、途上国型モデルに変更され、常に増税と緊縮財政を指し示し続けているのだ。 14年3月4日。自由民主党の西田昌司参議院議員が、国会でマクロ経済モデルは誰がいつ変更したのかを質問した。内閣府の担当官は「01年11月に変更された。内閣は小泉内閣」であり、その時の担当大臣は「竹中大臣」と回答した。 PB目標、平均概念の潜在GDP、そしてマクロ経済モデルの変更──我が国の政府はデフレを深刻化させる「狂った羅針盤」を今も使い続けている。 狂った羅針盤の全ては、竹中平蔵氏が大臣だった時期に導入されたということだ。不思議な話である。 http://www.asagei.com/excerpt/31692 Posted on 2015年1月24日 09:55 三橋貴明の「列島丸わかり」報告書 ー経済をマイナス成長に叩き込んだ主犯は「竹中平蔵」だー 前回、自民党の「悪魔の公約」ということで、「外国移民政策」について解説した。今回取り上げる「悪魔の公約」は、外国移民受け入れを上回るダメージを日本国に与える可能性がある。 それは、基礎的財政収支(プライマリーバランス・以下PB)目標である。 PBとは、国債の元利払いを除いた政府の歳入と歳出のバランスのことである。短期(単年度)でPBを改善しようとすると、政府は「増税」「政府支出削減」という緊縮財政に走らざるをえない。 自民党の公約では、「財政再建」の項目に、以下のように書かれている。 「2020年(平成32年)度における、国・地方の基礎的財政収支の黒字化目標の達成に向けた具体的な計画を来年の夏までに策定します」 第三次安倍政権は、早くもPB目標を決定している。14年度から15年度にかけ、PBを「各年度」4兆円程度改善。15年度には国・地方を合わせたPBの赤字を対GDP比で10年度の▲6.6%から▲3.3%に半減。そして、20年度には、国・地方のPBを黒字化するというものだ。 そもそも、長期的な経済成長の「結果」であるPBを目標にする時点で奇妙な話だ。そのうえ、日本政府はPB目標を「単年度主義」で達成しようとする。これが最悪なのだ。 政府が短期でPBの改善を図ると、デフレの我が国では間違いなく景気が失速する。14年4月の消費税増税も、もちろん「単年度のPB改善」を目的に実施され、実際に国民経済をマイナス成長に叩き込んだ。 失速の結果、名目GDP(国民が稼ぐ所得の合計)が成長しなくなる。国民は税金を所得から支払うため、税収は名目GDPが原資となる。名目GDPが縮小すると、税収も減少し、歳入減でPBはかえって「悪化」することになる。 逆に、政府が「名目GDPの成長」「デフレ脱却」のみを目標に据え、財政出動の拡大という正しいデフレ対策を実施すると、名目GDPが成長し、税収も勝手に増える。結果的に、歳入増によりPBは改善に向かうのである。 政府の経済政策の方向を「真逆」に向けているPB目標だが、02年の小泉政権下、「ある人物」の判断で導入された。その人物こそ当時、経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏だ。 それ以降、我が国は正しいデフレ対策を実施できなくなってしまい、デフレが長期化した。 さらに、竹中氏が担当大臣だった時期に、デフレギャップ(需要不足)を計算する潜在GDPが「最大概念」から「平均概念」に変えられてしまった。結果、我が国は統計上のデフレギャップが小さく「見える」ようになり、デフレ対策が困難になってしまった。日本のデフレ長期化をもたらした「狂った羅針盤(奇妙な指標)」は、なぜかことごとく竹中氏が大臣だった時代に導入されたのである。 なぜなのだろうか? そういえば、前回取り上げた「外国移民」が実際に日本で増えていき、さらに各種の労働規制の緩和が推進されれば、国内の労働者の競争が激化し、実質賃金が下がり貧困化する。一方、人材派遣会社は大いに儲けることになるだろう。 竹中平蔵氏は、現在、人材派遣大手「パソナ・グループ」の取締役会長である。 http://www.asagei.com/excerpt/31397 Posted on 2015年2月7日 09:55 三橋貴明の「列島丸わかり」報告書 ーデフレを深刻化した「構造改革」でビジネスを増やした人がいたー
小泉政権期に竹中平蔵氏の号令のもと「構造改革」がスローガン化した。しかし、その結果を正確に説明できる人はほとんどいないだろう。竹中氏が今でも大手を振って永田町を歩いていることがその証拠である。
例をあげればキリがないのだが、橋本政権期の緊縮財政、小泉政権期の構造改革により、我が国は97年以前とは「異なる国」に変貌を遂げてしまったのだ。そのプロセスを説明しよう。 デフレーションが深刻化すると、日本に限らず「構造改革」という声が力を持つ。デフレ期には国民所得の総計である名目GDPが伸びず、税収が減る。結果的に、政府の財政は必ず悪化する。そこで「構造改革」の主たちはこう叫んだ。 「国の借金で破綻する!」 こうして、増税や政府支出削減といった緊縮財政がセットで推進された。結果、デフレの真因であるデフレギャップ(=需要不足)は悪化し、デフレ深刻化を招くことになったのだ。 財政悪化とデフレ深刻化が交互に発生し、国民経済が縮小していく状況で、 「日本経済が成長しないのは、構造に問題がある。構造改革だ」 という主張が説得力を帯びるようになった。 そもそも構造改革とは民営化、規制緩和など、いずれも「供給能力を引き上げる」政策だ。供給能力が需要に対し過剰になり、デフレギャップが発生しているにもかかわらず、「需要削減策(緊縮財政)」と「供給能力拡大策(構造改革)」という、間違った政策が二重に実施されることになったのだ。当然デフレはさらに深刻化していった。 緊縮財政と構造改革で国民経済が痛めつけられる反対側で「新たなビジネス」が生まれた。代表的なキーワードは「雇用規制改革」「公的サービスへの民間資本導入」「外資への開放」。 例えば、橋本政権以降の「構造改革」により、日本では非正規雇用が増えていった。特に小泉政権下で「製造業」の派遣雇用を認めた影響は大きかった。 デフレとは利益を出しにくい環境であるため、企業には「いつでも契約を解除できる」派遣社員を雇用したいという需要が存在した。そうした企業の需要に応える形で、労働規制が緩和され、賃金を「中抜き」する派遣会社のビジネスは拡大していった。 政府の財政悪化が続く中、公的サービスに「民間資本の導入を!」という声も高まっていった。PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)やコンセッション方式などにより、本来「公」が担わなければならない分野にまで民間企業が参入していった。信じられないことだが、日本ではすでに一部の「刑務所」の運営までもが、民間企業の「ビジネス」になっている。山口県の「美称」、兵庫県の「播磨」など、いくつかの刑務所がPFI方式で運用されているのだ。 政府の医療サービスへの負担が重くなると、即座に「混合診療の解禁」という話も出てくる。混合診療解禁で自由診療が増えれば、国民の医療費負担は確実に増える。その分、自由診療の「ビジネス」に資本を投じた企業や投資家は儲かる。 竹中氏は、現在、人材派遣大手であるパソナ・グループの取締役会長であることは以前書いたとおりだ。構造改革の裏で「ビジネス」を拡大した人々が、間違いなくいるのである。 http://www.asagei.com/excerpt/32010 地方局の討論番組に出演した竹中平蔵氏(63)。民間議員を隠れみのにした特定企業への利益誘導を追及されるや、カメラの存在も忘れて激怒したのだった! 5月10日、テレビ愛知「激論コロシアム」で、経済評論家の三橋貴明氏(44)が竹中氏をこう追及した。 「なぜ諮問会議などで民間議員という名の民間の経営者が、自分の会社の利益になるような提案をするのか!」 現在、竹中氏は安倍政権の「産業競争力会議」の民間メンバーである一方で、人材派遣会社「パソナグループ」の取締役会長でもある。 三橋氏は、竹中氏がその会議で「解雇自由化」などを提言し、人材派遣会社が儲かるように誘導していることを繰り返し指摘した。急所を突かれた竹中氏は、突然、顔を紅潮させて、こう声を荒らげたのだった。 「根拠のない言いがかりだ。失礼だ! 無礼だ!」 竹中氏が逆ギレした瞬間、スタジオには緊迫した空気が流れ、“放送事故状態”になったという。 その三橋氏が放送中の様子を話す。 「あのあと、コマーシャルに入ったのですが、竹中さんは1回席を立ちかけたのです。帰るのかなと思ったら帰らずに、そのまま出演し続けましたけどね。パフォーマンスで、あんな怒り方しないですよ。激高してしまったから自分でもヤバいと思ったんじゃないですかね。サラッと流せばよかったのに」 この一幕は、動画サイトなどを通じて世間に知られることになった。竹中氏は、 「私はそれ(労働規制緩和)に対して何も参加していない。派遣法についても何も言っていない」 と反論したが、そこには「ウソ」があることも露呈したのだ。 「彼の理論というのは、参加する会議でいくら発言しても、決定の場にいなかったら利益相反にならないだろうというものです。そんなわけねぇだろ! と思いますね。何であなただけ特権的に入って意見を述べているのですか? 何で一般人は意見を述べられないのですか? という話になりますから、彼の主張は通らないと思います。議事録を読めば明らかなのですが、竹中さんは、何度も労働規制緩和などの発言をしていますよ」(前出・三橋氏) その後、話題は「外国人メイド」へと移り、三橋氏と竹中氏は2度目のバトルを繰り広げる。竹中氏の主張は、外国人のメイドを雇って家事をやらせれば、女性が外に出て働くことができるというものだった。しかし、労働者が増えれば、一人当たりの賃金は当然下がることになる。そうした三橋氏の指摘に竹中氏は、 「政治家が実質賃金を切り下げるような政策をやるわけないでしょ」 などと、ごまかし続けたのだ。前出・三橋氏が語る。 「あの人『外国人メイド』が好きなんですかね? 実質賃金が下がるっていう事実は、彼にとって言いたくないことなんですよ。もう1つ問題があって、パソナは『家ゴト コンシェルジュ』という家事代行サービスをやっています。外国人メイドを紹介するサービスをパソナは絶対に作り込んでくるわけで、これは明らかな利益相反でしょ? あまりにも露骨なんですよ」 竹中氏といえば小泉純一郎氏が総理大臣だった時に、「既得権益」という言葉を使って官僚を攻撃していた人物だ。しかし、竹中氏こそ最強の「既得権益」になっていると、三橋氏は解説する。 「竹中さんは『維新の会』のブレーンをやっていましたよね。最近では公務員業務も派遣労働者になっていて、大阪市の公務員派遣労働者の多くをパソナが落札しているんです。一昨年の11月くらいで、竹中さんが維新にいた時です。彼は『これは市場競争でパソナが勝ったんだ』と言うかもしれないけど、やはり通らないでしょう」 竹中氏が所属している産業競争力会議は、安倍政権下でも優先順位の低い会議だった。ところが現在では、最上位にある「経済財政諮問会議」と合同で会議を開くなど、いつのまにか順位を押し上げてしまった。 知らぬ間に発言力を強めた竹中氏だが、いったい何をもくろんでいるのか。 「話はシンプルで、誰かの儲けのためにやっているわけですよ。公務員は公務員法で規制される、政治家は選挙で落とせる。でも民間議員の竹中さんを落とすことはできません。政治家は個人献金を年間最大150万円しか受け取れません。しかし、彼はコンサル料などの名目でいくらもらっても違反になりません。そんなに、政治に関わりたいなら国会議員になるべきでしょ。民間議員としてやるのは汚い」(前出・三橋氏) まだまだ“放送事故状態”は続いているのであった。 http://www.asagei.com/excerpt/23983 ▲△▽▼
三橋貴明 東京都の下水道運営権売却について 2018-01-04 グローバリズムのトリニティとは、「規制緩和」「自由貿易」「緊縮財政」の三パッケージになります。
規制緩和の中でも、レントシーカーたちにとって最も「美味しい」市場は、公的分野になります。 ノーベル経済学者ジョセフ・E・スティグリッツの言葉を引用します。
「アメリカの政治制度は上層の人々に過剰な力を与えてしまっており、彼らはその力で所得再配分の範囲を限定しただけでなく、ゲームのルールを自分たちに都合よく作りあげ、公共セクターから大きな”贈り物”をしぼり取ったからだ。経済学者はこのような活動を”レント・シーキング”を呼ぶ」
米国の経済と社会は、グローバリズムという「鵺」により、レント・シーカーの王国と化していきました。
公共セクターを規制緩和、民営化し、民間の「ビジネス」と化すために必要なものは何でしょうか。答えは、緊縮財政とデフレーションです。
デフレにより、政府の財政が悪化する。すると、緊縮財政。
「今までは官が提供していたサービスだが、緊縮財政の一環として民間に委ねる」 というレトリックが力を持ち、アメリカや日本の公共セクターは「民営化」され、そこに新規参入したレントシーカーが儲けるという構図です。
例えば、地方財政の悪化を受け、「行政窓口」の民営化が実行に移されました。結果的に、パソナをはじめとする派遣会社が、行政窓口の仕事を「受注」し、多いに儲けています。
パソナの取締役会長である竹中平蔵氏が、政府の諮問会議の「民間議員(と称する民間人)」として、民間企業のビジネスを生み出す規制緩和政策を推進しているのはご存知の通り。
これが、経済が好調で、地方財政も潤沢であれば、行政窓口は普通に公務員でいいわけです。
「それでは儲からない」 というわけで、財政悪化を大義名分に緊縮財政。緊縮財政の一環としてとして、政府の公共サービス、公的セクターを民営化するというスキームになっているのです。
もはや、緊縮財政&公共サービスの民営化は一種の「信仰」と化してしまい、今や財政が好調の都道府県までもが、公共サービスの民営化を言い出す有様になってしまいました。
『民間への下水道運営権売却、東京都が検討 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25108280W7A221C1L83000/
東京都は下水道施設の運営権の民間事業者への売却(コンセッション)を検討する。人口減少などをにらみ、包括的な民間委託も含め、経営効率の改善策を探る。災害対応などの課題を点検したうえで、3〜4年後をめどに新しい運営手法に移行する。 下水道のコンセッションは26日の都政改革本部(本部長・小池百合子知事)の会議で検討課題として報告した。今後、老朽化した施設の更新などで事業費が膨らむ一方、人口減少で収入は落ち込む見通し。施設の維持管理など個別業務の委託にとどまらず、幅広く民間のノウハウを取り入れて経営基盤を安定させたい考えだ。 下水道は公共インフラとして確実に維持する必要があるため、下水道法の規定で完全民営化はできない。このため都はコンセッションや包括委託などの形式を想定。2018〜19年に民間事業者の意向調査などを進め、20〜21年ごろから本格的な検討、試行に入る。 下水道分野のコンセッションは浜松市が先行して取り組んでいる。小池知事は都内でも予想される人口減に言及して「コンセッションを真剣に考えてほしい」と話した。』 記事にもありますが、浜松市は下水道の一部をコンセッション方式で民営化しており、浜松ウォーターシンフォニーが受注しました。
浜松ウォーターシンフォニーは、フランスのヴェオリア社、JFEエンジ、オリックス、東急建設・須山建設グループが設立した特別目的会社です。
何と、浜松の下水道コンセッションの時点で、「外国資本」が入っているわけです。つまりは「カネの移動の自由」という意味の自由貿易ですね。
浜松の事例を見ると、緊縮財政、規制緩和(コンセッション)、自由貿易の三つが、シンフォニーを奏でていることが分かります。いやあ、見事なものです。
それにしても、日本で最も財政的に豊かな東京都まで、コンセッションを進めるとは、藤井先生がFBに書かれていた通り、
『民営化をすることが「カッコイイ」というとんでもない勘違いをして、人々に何の役にも立たない(しかし、民営化で受注した大企業だけが儲かる)改革や民営化を進めようとしています。』 という話なのでしょう。 「改革」「民営化」「規制緩和」の多くが、実は日本国民の豊かさには結びつかず、外資系を含めた特定企業の利益拡大にしかならないという現実を多くの国民が理解しない限り、我が国の公共サービスは売られ続け、スティグリッツの言う「贈り物」をレントシーカーたちに搾り取られ続けることになるでしょう。 https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12341669390.html
三橋貴明 水道・下水道の民営化と再公営化 2018-01-05
昨日の続きですが、今年は日本政府による公共サービスの売却(事実上の)という「売国」、一部企業、投資家に対するレントの提供が一気に進みそうな状況です。 『公共インフラの民間売却容易に 自治体の負担軽く https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25291440T00C18A1MM8000/
政府は地方自治体が運営する公共インフラの民間への売却を促すためPFI(民間資金を活用した社会資本整備)法を改正する。上下水道や公共施設の運営権を売却する際、地方議会の議決を不要にし、国から借りたお金を前倒しで返すことも認める。公共インフラの老朽化が進む中、民間の資金を使った低コストの運営に転換し、公共料金の引き下げも視野に入れる。(後略)』 政府は昨年、PFI推進の行動計画を改定し、インフラ売却などの合計額を22年度までの十年間で21兆円とする目標を掲げました。
つまりは、21兆円の「国民の資産」が売り払われ、外資系企業を含む特定企業や投資家の「利益の源泉」と化すわけでございます。
改めて、スティグリッツ教授の言葉を掲載します。
「アメリカの政治制度は上層の人々に過剰な力を与えてしまっており、彼らはその力で所得再配分の範囲を限定しただけでなく、ゲームのルールを自分たちに都合よく作りあげ、公共セクターから大きな”贈り物”をしぼり取ったからだ。経済学者はこのような活動を”レント・シーキング”を呼ぶ」
アメリカでは、すでに相当に進んでしまったレント・シーキングの大波が、今、日本国に押し寄せているというわけです。
ゲームのルール(政府の規制)を自分たちに都合が良いように作り、公共セクターから贈り物を搾り取る。
そのためには、政府の諮問会議(規制改革推進会議など)に経営者(例:竹中平蔵氏など)が「民間議員」として乗り込み、国民の代表である国会議員の頭越しに政策を推進する。
種子法もそうでしたが、「国民の安全や豊かさ」を追求するためには、コストがかかるのです。そこに「利益」という発想を持ち込んではなりません。
日本の種子が素晴らしい(素晴らしかった、と過去形になりそうですが)、具体的には「有料で多種多様な種子」が安価に農家に提供されていたのは、国民の税金で支えていたためです。
あるいは、日本の水道や下水道サービスの品質が素晴らしいのは、「利益」ではなく「国民の生活」を求めて、コストが費やされてきたためなのでございます。
そこに「利益」を追求する民間事業者を参入させる。
いかなる屁理屈をこねようとも、「利益」を追求する限り、公共サービスの品質は下がるか、もしくはサービス料金が上がらざるを得ないでしょう。
というか、その種の事例は世界に満ち溢れており、世界的な趨勢は、水道・下水道サービスの「再公営化」なのでございます。特に、アメリカ、フランス、ドイツなどの先進国において、再公営化が進んでいます。
パリやベルリンといった大都市の水道も、民営化されていたのが再公営化されました。
再公営化の理由は様々ですが、とりあえず水道・下水道民営化の「謳い文句」の嘘が明らかになったことが決定的でした。
具体的には、
● 民営化により管理運営が劣悪になった ● 投資の不足 ● 事業コストや水道料金をめぐる対立 ● 水道料金の高騰 ● 民間事業者に対する監督が困難 ● 財務の透明性欠如 ● 人員削減 ● 劣悪なサービス品質
などになります、
失敗が明らかになっているにも関わらず、日本政府は民営化を推し進めようとしている。
結局、安倍政権が「日本国民」のためではなく、一部のレント・シーカーたちのための政権であることが、種子法廃止や水道・下水道民営化の動きを見ていると分かります。 https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12341929267.html
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