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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/943.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 3 月 04 日 21:49:10: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: チャイコフスキー バレエ音楽 『白鳥の湖』 投稿者 中川隆 日時 2020 年 3 月 03 日 23:05:07)

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番ニ短調op.30


Rachmaninov Plays his Concerto No 3 (1939/40) Ormandy/Philadelphia





Piano Concerto No. 3 in D minor, Op. 30
Performed by: Philadelphia Orchestra
Composed by: Sergei Rachmaninov
Conducted by: Eugene Ormandy
Sergei Rachmaninov, piano
Recording date:
4 December 1939 [2nd and 3rd movements] and 24 February 1940 [1st movement]


セルゲイ・ラフマニノフ独奏、オーマンディ指揮フィラデルフィア管(1939年録音/NAXOS盤) 


作曲者本人の演奏を聴くことができるというのは大変な参考になります。
後年の演奏家がこの録音を聴かずに演奏することはまず考えれらません。


ラフマニノフの弾くテンポは大変な快速なのですが、少しも性急に聞こえないのはさすがに自分の曲です。第2番の演奏と同じように、ロマンティックな部分での歌い回しもごく自然に心に浸みこんできます。
伴奏指揮はオーマンディに変わったので幾らか甘さが控えめになりました。
NAXOS盤のSP盤からの復刻は、やはり明確な音質です。
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/op30-9bce.html


▲△▽▼


ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30 は、ロシアの作曲家、セルゲイ・ラフマニノフが作曲した3番目のピアノ協奏曲である。1909年の夏に作曲され、同年11月にニューヨークで初演された。


ピアノ協奏曲第2番と同様に、ラフマニノフの代表作のひとつであり、演奏者に課せられる技術的、音楽的要求の高さで有名な作品である。
演奏会で取り上げられる頻度やCDリリース数においても、第2番と同様、高い人気を誇っており、ピアノ協奏曲の分野における名曲の一つとの評価を得ている。


作曲の経緯


1909年の夏にタンボフ州イワノフカの別荘で、同年秋に予定していた第1回アメリカ演奏旅行のために作曲された。全曲の完成は同年9月23日のことだった。時間の制約からラフマニノフはこの作品をロシア内で練習することができず、アメリカ合衆国に向かう船の中に音の出ない鍵盤を持ち込んで練習を仕上げたという[1]。同年11月にアメリカで初演された後、1910年にグートヘイリ社により出版され、作品はヨゼフ・ホフマンに献呈された。


後にラフマニノフはこの曲をカットして演奏するようになった。1939年から翌年にかけて行われた録音でも、カットした版で演奏している。かつては他のピアニストもこれに倣って一部をカットして演奏することが多かった。


演奏史
ニューヨークでの初演
初演は1909年11月28日に作曲者自身のピアノと、ウォルター・ダムロッシュ指揮ニューヨーク交響楽団との共演によりカーネギーホールにて行われた。さらに1910年1月16日にはグスタフ・マーラー指揮ニューヨーク・フィルハーモニーとの共演により二度目の演奏が行われた。リハーサルの際、当時スラヴ系の音楽の演奏・解釈に不慣れだった楽団員がざわついたために、マーラーが「静かにしなさい。この曲は傑作だ。」と言ってオーケストラをなだめ、この演奏の為に時間になっても団員を帰さず、完璧を目指して長時間の練習を続けた。そのマーラーの根気にラフマニノフも感銘を受け、後にオスカー・フォン・リーゼマンに「ニキシュと同列に扱うに値する指揮者はマーラーだけだ。」と語った。


初期の演奏
このアメリカでの演奏への評価は、その長さと技術的な困難さに留保をつけるものだった[1]。この曲は当初は演奏するピアニストは多くなく、当作品を献呈されたヨゼフ・ホフマンも演奏することはなかったという[2][注 1]。


そんな中でこの作品を「私の曲」と呼んで愛奏したのはウラディミール・ホロヴィッツである[4]。


アメリカ・デビューとなった1928年1月のコンサートの4日前にはラフマニノフと初対面を果たし、この作品を2台のピアノのための版で演奏した(ホロヴィッツがソロを弾き、ラフマニノフが伴奏パートを受け持った)[2]。以後この二人のピアニストは親しく交流するようになった。


1930年にはアルバート・コーツ指揮によるロンドン交響楽団との共演でこの曲の世界初録音を行った。
ホロヴィッツはこれ以後もフリッツ・ライナー指揮によるRCAビクター交響楽団との共演(1951年)や、オーマンディ指揮によるニューヨーク・フィルハーモニックとの共演(1977年)など、この曲の録音をいくつか残している。


この曲を早い時期に演奏したもう一人のピアニストがヴァルター・ギーゼキングである。
彼は後述の第1楽章の2種類のカデンツァの難しいほうのオッシアを弾いていた数少ないピアニストの一人である[5]。
ギーゼキングも1940年にウィレム・メンゲルベルク指揮によるアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)との共演でこの曲の録音を残している。


後年ラフマニノフはこの曲の演奏をホロヴィッツやギーゼキングなどより若い世代のピアニストに委ね、自分では演奏しなくなったという[1]。
ただし彼は1939年から翌1940年にかけてこの曲をユージン・オーマンディ指揮によるフィラデルフィア管弦楽団との共演で録音している(カデンツァはオリジナル版)。
これは現代においてもCDとして入手可能で、決して音質的には良くないものの、ピアニストとして、そして作曲家としてのラフマニノフの片鱗に触れることの出来る貴重な録音である。


1943年にラフマニノフが亡くなった後には、ウィリアム・カペルやレフ・オボーリン、モーラ・リンパニー、エミール・ギレリス、ラザール・ベルマン、マルタ・アルゲリッチ、バイロン・ジャニスといったピアニストがこの曲を録音している。

クライバーン以後
この曲がより広く演奏されるようになったのは、1958年に開催された第1回チャイコフスキー国際コンクールで、ピアノ部門で第1位となったヴァン・クライバーンが本選でこの曲を演奏したことがきっかけだった。


クライバーンは本選で共演したキリル・コンドラシンを伴って凱旋帰国すると、コンドラシン指揮によるシンフォニー・オブ・ジ・エアーとの共演でこの曲をステレオ初録音した。このコンクールでのクライバーンの活躍により、この作品のみならずラフマニノフ作品全般はクラシック音楽のトレンドとなったといえる[6]。


これ以後はウラディーミル・アシュケナージやエフゲニー・モギレフスキー、 アレクシス・ワイセンベルク、ラザール・ベルマン、マルタ・アルゲリッチ、ヴラジーミル・フェルツマン、エフゲニー・キーシン、ミハイル・プレトニョフ、小山実稚恵、ラン・ランなど、多くのピアニストによって演奏・録音されるようになった。特にアシュケナージはピアニストとしてこの作品を4度録音しており[7]、自身ライナーノートを書いたり、2種類のカデンツァを弾き分けていることも特徴的である[8]。


楽器編成
第2番と同様に2管編成が採られているが、スネアドラムが追加されている。
独奏ピアノと共に配置される管弦楽の編成内容を以下にて示す[9][10]。なお、ティンパニ以外の打楽器は第2楽章の終盤と第3楽章に於いてのみ使用される。


作品構成
ピアノ協奏曲第3番は一般的な協奏曲の形式を採用し、全3楽章から構成される。


第1楽章 Allegro ma non tanto
ニ短調、自由なソナタ形式。
静謐でロマン的な雰囲気の中に激情が秘められている。オーケストラによる短い序奏の後にピアノがオクターヴで奏する第1主題(右図参照)が全体を貫く共通主題となっており、全曲を統一する役割も持つ。通常の協奏曲における慣習とは異なり、展開部から再現部への移行部に第1主題の再現を兼ねたカデンツァが置かれている。ラフマニノフはこれを穏やかな短いもの(「オリジナル」もしくは「小カデンツァ」)と、重厚な和音を使った派手なもの(「オッシア」もしくは「大カデンツァ」。右参照)の2種類を用意しているが、難易度の高い後半部は共通であり巷間でいわれている難易度の差は無い。再現部の後、短いコーダが続いて静かに終わる。
尚、版によってはAllegro ma non troppoと速度指示表記されているものも存在する。


第2楽章 Intermezzo. Adagio
ニ短調〜嬰ヘ短調〜変ニ長調〜変ロ短調〜嬰ヘ短調〜ニ短調、三部形式と変奏曲の2つを合わせ持つ形式。「間奏曲」(Intermezzo) とあるが、それ以上の役割を果たす非常に神秘的な楽章である。
オーボエで提示される憂鬱だが美しい旋律を中心に、その他様々な重要な素材を扱って進む。中間部には第1楽章の第1主題が変形して現れるが、一度聴いただけでそれを判別することは難しい。ワルツ風のエピソードを経て冒頭の主題が再帰し、悲痛に高揚した後、激しい独奏とオーケストラによる色づけ (L'istesso Tempo) によって盛り上がり、アタッカによって休みなく第3楽章へ続く。


第3楽章 Finale. Alla breve
ニ短調〜ニ長調、それまでの抑制された雰囲気を振り払う、力強く決然とした楽章。自由なソナタ形式と言えるが、ラフマニノフ独自の形式である。


ピアノで提示される第1主題(ニ短調)は劇的で、ピアノ技巧をふんだんに盛り込んだもの。オーケストラによって確保された後、またもピアノによってト長調の抒情的な第2主題が提示され、更に展開部では第1楽章・第1主題を基にした楽想が現れる。静寂の後に独奏ピアノとオーケストラが融合したような凄まじい再現部(ただし調性変更あり)になる。再びの静寂の後、一気呵成にカデンツァに向かう経過句、ピアノのごく短い下降音型カデンツァを経て、ニ長調で美しく昇華された第2主題 (Vivacissimo) が続く。頂点を形成した後はコーダになり、テンポを上げて一気に盛り上がり (Piu vivo→Presto)、その頂点で派手な軍楽調の終止に全曲を閉じる。この賑やかな軍楽的な終結はラフマニノフの作品の典型的書法(交響曲第2番やピアノ協奏曲第2番)で、「ラフマニノフ終止」と呼ばれるものである[12]。約13〜15分。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ピアノ協奏曲第3番_(ラフマニノフ)
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
1. 中川隆[-13094] koaQ7Jey 2020年3月04日 22:01:40 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[439] 報告


ギーゼキング

Rachmaninoff: Piano Concerto No. 3, Gieseking & Mengelberg (1940)






Walter Wilhelm Gieseking (1895-1956), Piano
Joseph Willem Mengelberg (1871-1951), Conductor
Concertgebouw Orchestra Amsterdam (Royal Concertgebouw Orchestra)

Rec. 28 March 1940 (Live Recording)

____________

Great Piano Concertos - Walter Gieseking plays Rachmaninov Concerto No. 3 in D minor Op. 30


Philarmonic Symphony Orchestra
cond. John Barbirolli

live recording, 1939
2. 中川隆[-13091] koaQ7Jey 2020年3月04日 23:24:14 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[442] 報告


ホロヴィッツ

Horowitz-Coates: Rachmaninoff, Concerto No. 3 (1930)


Albert Coates, conductor
London Symphony Orchestra

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Vladimir Horowitz plays Rachmaninov Concerto N°3 op 30 in New York 15.02.1940 live


February 15, 1940: Carnegie Hall, New York City, New York
Vladimir Horowitz
John Barbirolli
New York Philharmonic Orchestra



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Concerto No 3, Horowitz:Rodzinski NYPO, live, 1943


This is one of the rarest treasures in recorded history! It's Vladimir Horowitz playing Rachmaninov's Piano Concerto #3 with Rodzinski in 1943.

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Rachmaninoff: Piano Concerto No. 3, Horowitz & Reiner (1951)





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Horowitz plays Rachmaninoff Concerto No 3 NYP Ormandy 1978


Vladimir Horowitz
New York Philharmonic Orchestra
Eugene Ormandy

ウラディミール・ホロヴィッツ独奏、オーマンディ指揮フィラデルフィア管(1978年録音/RCA盤) 

これはカーネギーホールで開かれたホロヴィッツのアメリカ・デビュー50周年記念コンサートのライブ演奏です。
奇しくも伴奏を務めるのは40年前にラフマニノフ盤の伴奏をしたオーマンディ/フィラデルフィア管です。それだけでも記念碑的な演奏だと言えます。

ホロヴィッツの演奏は非常に貫禄が有りますし、3楽章の終結部の迫力などは相当に凄まじく圧倒されます。但し残響の少ない会場での録音条件の悪さが全体の印象に少々マイナス影響しているのが残念です。


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Horowitz Rachmaninoff 3rd Concerto Mehta NYPO 1978




Horowwitz plays the Rachmaninov 3rd Piano Concerto in Avery Fisher Hall, New York, 1978 with Zubin Mehta ( His last recording ever of this concerto and maybe the last time he played it. Horowitz was 75 years old in this recording!!!)

3. 中川隆[-13090] koaQ7Jey 2020年3月04日 23:43:25 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[443] 報告
アルゲリッチ

Argerich - Klee | Rachmaninov: Piano Concerto No.3 (1979 - LIVE)


Rare recording. Argerich performs Rachmaninov's Piano Concerto No.3 with Radio Philharmonie Hannover des NDR, under the battom of Bernhard Klee.


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Rachmaninoff Piano Concerto No. 3, Argerich HQ COMPLETE 1982








Riccardo Chailly
Martha Argerich
Radio Symphonie Orchester Berlin
live recording December 5th, 1982
Martha Argerich


マルタ・アルゲリッチ独奏、シャイー指揮ベルリン放送響(1982年録音/フィリップス盤) 

ベルリンでのライブ演奏です。
1楽章は遅めにゆったりと開始されます。デリカシーに溢れた歌いまわしに非常に魅了されます。感情の大きな波が徐々に高まってゆく表現が素晴らしいです。一方、フォルテ部分ではロシア人ピアニストにも負けないほどの豪快さで、女性でこれだけ力強く弾ける人は他にはまず居ないでしょう。

シャイーの伴奏指揮もロシア的ともアメリカ的とも違いますが、ロマンティックな情緒に富んでいてとても美しいです。
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/op30-9bce.html
4. 中川隆[-13089] koaQ7Jey 2020年3月04日 23:56:01 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[444] 報告

ガヴリーロフ


Andrei Gavrilov plays Rachmaninoff Piano Concerto 3


____










Orchestra: Philadelphia Orchestra
Piano: Andrei Gavrilov
Conductor: Riccardo Muti


アンドレイ・ガヴリーロフ独奏、ムーティ指揮フィラデルフィア管(1986年録音/EMI盤) 

明るくゴージャスな響きのフィラデルフィア管をムーティが歌わせると、まるでハリウッドの映画音楽みたいです。ここにはロシアの土の香りは全く有りません。

ガヴリーロフは冒頭はゆっくり入ってきますが、徐々に高揚してゆき、中間部の両手で和音を叩きつける部分は驚異的な高速で凄まじい迫力をもって弾き切ります。ここは思わず鳥肌が立ちます。

ですが一転して2楽章のようにデリカシー溢れる部分も実に見事です。そして3楽章のピアノとオケのからみの迫力の凄いこと。ここまで徹底されると脱帽です。

以上の中で一番凄いと思うのは、ガヴリーロフ/ムーティ盤です。ピアノの余りの凄まじさとオーケストラのゴージャスな音と表現力が有無を言わせません。

ピアノのみに関してはデリカシー溢れるニュアンスが抜群のアルゲリッチにも強く惹かれます。
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/op30-9bce.html
5. 中川隆[-13088] koaQ7Jey 2020年3月05日 00:02:51 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[445] 報告

クラシック音楽 一口感想メモ
セルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Vasil'evich Rachmaninov1873 - 1943)
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/ラフマニノフ

メランコリックな曲の大家。独特の感情的な力学に基づいた曲の構成が素晴らしい。
大ピアニストでもあり、ピアノ協奏曲が何より素晴らしい。

しかし、協奏曲とピアノの独奏曲のレベルの差が大きい。長い曲で感情のうねりや浮き沈みを表現するのに長けているので、小品では良さが生きないのだろう。

交響曲

第1番 ニ短調 作品13(1895年)
3.3点
全4楽章。この曲はラフマニノフらしいメランコリーも聴き手を喜ばせるサービス精神も無い。聞き手を突き放すような媚びない難解さがあり、攻略が難しい。特に1楽章から3楽章はラフマニノフ作曲と当てるのに苦労するほど異質である。その代わり、通俗性が低く、芸術的な真剣さや響きの質のよさはかなりのものである。分かりやすいメロディーは無いし、客観的にみて名曲の範疇とは思えないが、しかし19世紀の国民楽派の独自の新しい世界を切り開いていること、ラフマニノフの根っこにある詩魂を生々しく発揮している点、何よりあのラフマニノフがこんな曲を書いたのだという点で重要で興味深い作品である。

第2番 ホ短調 作品27(1907年)
3楽章 5.0点
その他3.8点
雄渾なロシア情緒満載の曲であり、他の2曲の交響曲と違い非常に分かりやすい。メランコリックな感情の力学的な起伏など、ピアノ協奏曲と似たような情緒と構成を持っているためラフマニノフ初心者にも聞きやすい。1時間の大作であり、3楽章以外は冗長だが音楽の流れに身を任せるようにして聴けば良い。他の楽章もなかなか良いのだが、この曲は3楽章が非常に素晴らしい。素晴らしかった思い出を回想する気分をそのまま音にしたような音楽である。中間部の盛り上がりの後に、ひとつずつの楽器が順番にテーマを演奏する場面は、まさに様々な思いが湧いては消えていく様をそのまま楽器で表現している。ヒューマンドラマ系の超上質な映画音楽のようであり、その系統の音楽の元祖の一つなのかもしれない。音だけで楽しめるドラマとも言えよう。

第3番 イ短調 作品44(1936年)
3.0点
アメリカに移住してからのラフマニノフらしい作風。ロシア的なねちっこさが減り、響きが近代的になったが、メロディーの魅力は減った。
1楽章は、第2主題こそ分かりやすい映画音楽のようだが、他は決して分かりやすい曲ではなく名作とも思えない。2楽章はスケルツォと緩徐楽章が合わせられたようで一番面白い楽章。3楽章は2番の4楽章を楽天的すぎず奥ゆかしく表情豊かにした感じで、2番より改善されている。
全体に交響曲としての楽章構成や長時間の大きな流れに身を任せられる楽しみはあるが、晩年の作品群の中では交響的舞曲やパガニーニの主題による狂詩曲ほどの名作ではないと思う。

管弦楽曲

交響的幻想曲「岩」作品7(1893年)
2.0点
基本的に渋い。所々チャイコフスキー的な劇的表現が垣間見れる。若書き感あり。

ジプシー狂詩曲 作品12(1894年)
2.5点
後年の管弦曲の萌芽がおおく感じられるので面白いし。いい曲という程ではないがファンなら聴いて損はない。

交響詩「死の島」作品29(1909年)
3.0点
メロディーがほとんど無い。低音が響き続けて重苦しく、厳然とした自然の厳しさのような雰囲気の音楽が延々と続き、情報量が少ない。客観的に見ると冗長な失敗作のようにも思うが、一方でこの厳しさと雰囲気が心地よくて一種の快感になり、また聴きたくなるという面もある。

交響的舞曲 作品45(1940年)
3.5点
晩年の作品だがところどころ魅せる箇所があるのでそれなりに聴き映えする。つまらない箇所も多いが。


ピアノ協奏曲・協奏的作品

第1番 嬰ヘ短調 作品1(初稿:1891年、改訂稿:1917年)
3.5点
マイナーだが、1917年に改訂されているため、なかなか優れた作品。特に一楽章は正統派であり充実している。ただ、盛期ロマン派のまとまり感が強く、2番以降の後期ロマン派らしい自由さと華やかさが不足しているのが物足りないところ。ちなみに、作曲者本人の演奏が凄い。1楽章のカデンツァの豪快さは見事。

第2番 ハ短調 作品18(1901年)
6.0点
自分がクラシックを聴くきっかけになった曲。全編にわたりメロディーが情熱的で濃密で叙情的であり強く心を動かされる。とにかく圧倒的にメロディーが良い。それに加えてピアノの音の透明な美しさと表情の豊かさと沢山の音数による楽しさ、後期ロマン派らしく肥大化して構成が自由になっていること、深く強く心を動かすロマン的感情、オーケストラの重厚さ、ピアノとオケの絡み方など、多くの点で非常に完成度が高く内容が充実しており19世紀の協奏曲を凌駕している。ラフマニノフの他の作品と比較してこの作品はずば抜けて構成が緊密であり無駄がなく、ほぼ完璧であると思う。ピアノ協奏曲を代表する逸品である。

第3番 ニ短調 作品30(1908年)
4.5点
ピアノがオーケストラを従えて前面に出て大活躍する曲。難曲として有名であり、ピアノの機能と楽器としての「器」の大きさの限界が引き出された曲。

スケールの大きさやレンジの大きさ、音の多さや派手な活躍度など、1台のピアノが活躍できる限界に到達したという点でピアノ音楽の頂点の一つと言える。

そのため、完成度が高くメロディーが秀逸だが綺麗にまとまり過ぎている2番とは違い、3番は何度聴いても受け止めきれないパワーがあって飽きない。1楽章と2楽章は良いのだがやや冗長な部分がある。圧倒的な超絶テクニックを存分に堪能できて冗長な場面がほぼない3楽章がこの曲の聞きどころである。

第4番 ト短調 作品40(初稿:1926年、最終決定稿:1941年)
1.5点
残念ながら他の協奏曲と比較してかなりの駄作である。聴いていて良いと思える部分がかなり少ない。メロディーに冴えがほとんどない。

パガニーニの主題による狂詩曲 作品43(1934年)
第18変奏 5.0点
その他 4.0点
第18変奏に関しては有名なだけあって本当に珠玉のように美しくて輝かしいメロディーである。その他の変奏も全般的にかなりの力作でありピアノ派手に活躍しつつ様々なやり方でオケと絡みバリエーションの豊富さがあるため聞き飽きない。前半も正統派な変奏曲も十分に楽しめるが、18変奏以降の自由で華やかな展開が聞きどころと思う。ピアノ協奏曲として歴代でも上位に入る出来の名作だと思うし、鑑賞して楽しい変奏曲という点では、大変秀逸だと思う。

室内楽曲

チェロとピアノのためのロマンス ヘ短調(1890年)
2.5点
ごく短い曲だが、チェロのもつ渋い悲哀やロシア的情緒の表現力の発揮に既に成功している。ピアノ伴奏の貧弱さに、作曲年代の若さが感じられるが、チェロについてはメロディーセンスが良くて、もっと後の作品でもおかしくないくらいだと思う。

チェロとピアノのための2つの小品 作品2(1892年)
1.5点
1曲目は柔らかい曲だがたいした特徴はない。2曲目は民謡のような民族的な旋法が耳につく。

ヴァイオリンとピアノのための2つの小品 作品6(1893年)
2.5点
唯一のヴァイオリン曲だが、どちらもわりとよくて、特に2曲目がなかなか面白くていい曲。ラフマニノフにヴァイオリンソナタを書いてほしかったと思った。

悲しみの三重奏曲第1番 ト短調(1892年)
2.0
「悲しみの」をつけているだけあり、まさに悲痛を感じる曲なのだが、ピアノ三重奏の良さを生かしている感じでないし、メロディーもさえない。生前未出版なのも当然か。

悲しみの三重奏曲第2番 ニ短調作品9(1893年)
1.0点
1楽章は無駄に長くてひどい駄曲。2楽章は少しましだがいい曲ではないし、やはり無駄に長い。3楽章もダメ。ラフマニノフ最大の駄作だと思う。聴く価値なし。

チェロ・ソナタト短調 作品19(1901年)
3.5点
わかりやすいラフマニノフ節と、管弦楽向け以外の曲ではあまり聴けない雄大なスケールが発揮されており、ラフマニノフらしさが十分に発揮されていて、聴く人の期待に応える作品。


ピアノ連弾、2台のピアノのための作品

組曲第1番「幻想的絵画」作品5(1893年)

舟歌 ト短調
3.0点
二台ピアノが舟の波のような効果を倍にひきたてている。

夜−愛 ニ長調
3.0点
親愛さをはらんだ感動を厚い音に乗せて表現している

涙 ト短調
3.5点
同一動機の繰り返しを二台ピアノが増幅して慟哭を表現し、強い印象を心に残す。

復活祭 ト短調
3.0点
同一動機をひたすら繰り返し神秘的な輝きを放っている。

4手のピアノのための6つの小品作品11(1894年)
舟歌
3.5点
穏やかな波の上を漂う小舟の情景を非常に鮮やかに描写している。

スケルツォ
3.5点
ムソルグスキーを彷彿とさせる、おどけた面白さと土臭い粘っこさを併せ持った曲。

ロシアの歌
3.0点
素朴なロシアの民謡風の曲。シンプルな書法で書かれており、間奏曲のような位置付け。

ワルツ
3.5点
エキゾチックな雰囲気満載のワルツ。音の運動や、ロシア臭とフランスのサロン風の融合が面白い。

ロマンス
2.5点
他の曲が良いのでこの曲も良い気分で聞けてあまり悪く感じないが、単体でみるとラフマニノフによくある哀愁の雰囲気だけの曲。

栄光
3.0点
メロディーの良さはあまりないものの、曲集の締めくくりとして、書法の優秀さで楽しんで聴ける曲。それほど野暮さを感じないのが良い。

組曲第2番作品17(1901年)

序奏 ハ長調
2.5点
ノーマルな曲で、音は分厚いが二台が相乗効果は発揮していない印象

ワルツ ト長調
2.5点
音が多くて充実しているが、曲として魅力は不十分。

ロマンス 変イ長調
2.5点
二曲目と同様で、音は多くて響きは充実しているが曲として魅力が足りない。

タランテラ ハ短調
2.5点
タランテラの魅力や二台の共演の楽しさはあるものの、いい曲だと感じるような曲ではない。

その他の作品

2台のピアノのための「ロシアの主題による狂詩曲」(作品番号なし、1891年)
2.5点
若書きなのが聴いていて分かる。多くのものが詰め込まれた意欲的な作品ではあるが、まとまりがない。

ピアノ独奏曲
4つの小品(1887年?)
3.5点
【ロマンス 嬰ヘ短調、前奏曲 変ホ短調、メロディー ホ長調、ガヴォット ニ長調】
ラフマニノフ初期の作品でスクリャービン初期と同様にショパンの影響を感じるも、ラフマニノフらしい情緒や鐘の響きも出現する。何より未成熟だが力作で聞き応えあって驚いた。自身の手で当初は作品1と番号がつけられていただけのことはある。

幻想的小品集 作品3(1892年、第3曲と第5曲は1940年に改稿)

悲歌 変ホ短調 3.5点
前奏曲 嬰ハ短調 4.0点
メロディ ホ長調 2.5点
道化役者 嬰ヘ短調 2.5点
セレナード 変ロ短調 3.0点

前奏曲はラフマニノフの小品の最高傑作。一曲目の悲歌もいい曲だが、曲集の後半は内容が落ちる。

サロン的小品集 作品10(1894年、第5曲のみ1940年に改稿)

夜想曲 イ短調 2.5点 
やりたい事は分かるがもったりすぎ

円舞曲 イ長調 2.5点
いかにもサロン風の曲。中間の技巧は面白い

舟唄 ト短調 2.5点
最後どんどん技巧的になるのが面白い

メロディ ホ短調 2.0点
雰囲気だけのラフマニノフの典型的ダメ小品

ユーモレスク ト長調 1.5点
おもしろくない

ロマンス ヘ短調 1.5点
いいところが特にない。

マズルカ 変ニ長調 2.0点
ラフマニノフ流大作マズルカだが曲のサイズとタイトルから期待するほどでない

楽興の時 作品16(1896年、第2曲のみ1940年に改稿)

1曲目 2.5点
短いフレーズを即興的につないで感情が連綿と息長く続く曲にした感じ。長いが小品のような内容
2曲目 2.0点
技巧的で聴き映えはする。フレーズは息が長い。
3曲目 2.5点
ラフマニノフらしい悲痛感をたたえた情熱が現れた曲
4曲目 3.0点
技巧と情熱的な旋律の組み合わせがスケールの大きさを持って表現されている
5曲目 2.5点
激情の余韻を表したような曲
6曲目 2.5点
ピアノをスケール大きく鳴らす曲


10の前奏曲集 作品23(1901年 - 1903年)

1 嬰ヘ短調 2.5点
夢の中のような曖昧でもやもやした曲。

2 変ロ長調 3.0点
滝のように轟々と水が流れるような曲

3 ニ短調 1.5点
あまり面白くないのにわざわざ三部形式

4 ニ長調 2.5点
ショパンのノクターン8番のような夢見るような曲。雰囲気はいいが平板。

5 ト短調 4.0点
軍隊的な力強いマーチは非常に印象的。叙情的な中間との対比も鮮やか。

6 変ホ長調 3.0点
ふわふわとした浮遊感のある叙情的な曲。

7 ハ短調 2.0点
よくある暗めの雰囲気で右手が早めのパッセージ。

8 変イ長調 2.0点
右手が早めのパッセージのもやもやした曲。

9 変ホ短調 2.5点
ショパンの練習曲のようなパッセージと雰囲気

10 変ト長調 2.0点
もやもやとしてはっきりしないまま霧の中に消えていくような曲

13の前奏曲集 作品32(1910年)

1 ハ長調 2.5点
力強く開始を告げる技巧的な曲

2 変ロ短調 2.0点
短い動機を執拗に繰り返す曲

3 ホ長調 2.5点
音を畳みかけるように積み重ねて盛り上げる中間が少しよい

4 ホ短調 2.5点
音の絵に含まれていそうな技巧的で映像的な要素のある曲。

5ト長調 3.0点
黄色い夕焼けのような美しい情景が描かれている曲。

6 ヘ短調 2.5点
華々しい技巧を見せてすぐにあっさり終わる

7 ヘ長調 2.5点
遠くの方で事象が起きているかのような儚い曲

8 イ短調 2.5点
憂鬱を基調とするテクニカル曲

9 イ長調 2.5点
最初はもやもやとしているが、それが輪郭をつくりながら大きなスケールに至る。

10 ロ短調 3.0点
荒涼とした岩の世界を思い浮かべる映像的な曲。冗長だがラフマニノフが管弦楽で得意な暗闇のような渋い雰囲気がある。

11 ロ長調 3.0点
何か愛おしさを感じる音の動きが前の曲とのつながりも良くて、耳をひく。

12 嬰ト短調 4.0点
ロシア的な憂鬱さと霧の街のような情景が合わさった情緒が見事に表現された素晴らしい曲。

13 変ニ長調 2.0点
曲集の締めの曲らしい情緒は表現されていて感動的ではあるが冗漫すぎる。

練習曲集『音の絵』作品33(1910年)

1 ヘ短調 3.0点
ゴツゴツした岩のような曲。叙情的に締める。

2 ハ長調 3.5点
憂鬱さを帯びた、夕焼けのあと夜の帳が降りるような曲。

3 ハ短調 3.0点
力強い感動を秘めたレティタティーボから静かで叙情的なメロディーに移行。

4(削除、改作して作品39-6に)

5 ニ短調 3.0点
舞曲的要素を持つ力強い曲。

6 変ホ短調 3.0点
かなり難しそうな練習曲

7 変ホ長調(「市場の情景」) 2.5点
ファンファーレが鳴る賑やかな曲

8 ト短調 2.5点
憂鬱なレティタティーボ。

9 嬰ハ短調 3.0点
轟々と響きわたる音が印象的。左手の低音の使い方が印象的。

練習曲集『音の絵』作品39(1916年 - 1917年)

1 ハ短調 3.0点
多くのパッセージががっつり詰め込まれた意欲的な作品。

2 イ短調(「海とかもめ」) 3.5点
冬の海のような冷たさと重たさを詩情として潜ませている。キラキラとした水面のようなフレーズが印象的。

3 嬰ヘ短調 3.5点
前曲に続き冬の大自然のような厳しさを感じさせる。

4 ロ短調 3.5点
同音連打が印象的。おとぎ話的な雰囲気、エキゾチックさ、厳しさを感じさせる面白くていい曲。

5 変ホ短調 3.5点
荘重な悲劇性を持った主題から展開されるスケールの大きな曲。鐘のような効果も活用されている。

6 イ短調(「赤ずきんちゃんと狼」) 3.0点
ユーモアがあるイントロの後の、テクニカルにたたみかけるところはいい感じで面白い。

7 ハ短調(「葬送の行進」) 2.0点
この曲集で唯一いまいちな曲。重いレティタティーボ。長い。

8 ニ短調 3.0点
美しい冬をまたしても感じさせる曲。

9 ニ長調(「東洋風行進曲」) 2.5点
唯一の長調だが、単純な曲ではなく、展開はめまぐるしい。華々しく終わる所はかっこいい。

大曲

ショパンの主題による変奏曲 作品22(1903年)
3.5点
前半部分4.0点
前奏曲20番の主題。この重々しい曲を主題に選ぶのが彼らしい。大作で内容が濃密で素晴らしく独奏曲の中では最高傑作の一つだと思う。特に最初の7分位はパガニーニ狂詩曲の前半部分のように霊感にあふれているかなりいい曲。何気にラフマニノフは変奏曲の才能が凄い。しかし曲全体はとしては長すぎて内容はいいのだが集中力が続かない。

ピアノ・ソナタ第1番 ニ短調 作品28(1907年)
3.5点
2番と比べてマイナー。長くて音数が多いし退屈な部分もあるので聴くのは大変。しかし外面的効果狙いを感じる2番と比較してファウストを題材にした1番は芸術的な真摯さを感じる充実した力作である。とはいえ、1楽章などはモヤモヤした雰囲気が時間とともに変容していくだけで音楽が進んでいく、良くないラフマニノフ作品の典型例かもしれない。3楽章は交響曲のようなスケールと雄大さとメロディーの充実感においてラフマニノフの大作ピアノ曲の中の最高峰だろう。3楽章の途中に現れる手を交叉させて演奏される神秘的で魔術的なメロディーが大変印象的である。

ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 作品36(1913年、改訂1931年)
3.5点
この曲は作曲者による2つの版があるが、私はオリジナル版は冗長であり、改訂版は逆に削り過ぎで良さが失われていると考えている。このため間をとったホロヴィッツ版はちょうど良いと思う。基本的には派手な演奏効果を楽しむ曲であり外面的で深さが足りないのだが、所々に十分に美しい箇所はあるため侮れない。

コレルリの主題による変奏曲 作品42(1931年)
3.0点
ショパンの主題の方と比較すると壮大さや傑作感はやや劣ると思うが、変幻自在で分厚い重みもあり聞き応え十分な変奏曲。


その他

前奏曲 ニ短調(作品番号なし、1917年)

オリエンタル・スケッチ(作品番号なし、1917年)
2.5点
前奏曲的なスケッチ作品。


声楽曲

「ヴォカリーズ」作品34の14(1915年)
5.0点
ヴォカリーズとは、歌詞がなく母音のみで歌われる歌曲。非常に分かりやすい旋律美で多く楽器で演奏して親しまれている。美しくて陰影のある小品であり、どの楽器で演奏しても楽しめる曲としてかなり魅力的である。

合唱交響曲『鐘』作品35(1913年)
3.5点
3人の独唱者・合唱・管弦楽のための作品。充実の力作で聴き応えがある。

聖金口イオアン聖体礼儀作品31(1910年)
3.8点
荘重で、キリスト教の儀式の音楽らしい神秘的な超越的雰囲気に満ちている。無伴奏合唱だが、伴奏があるかのように音は充実している。様々なイメージが現れるので、長い曲だが飽きる事はない。
徹夜禱ほどの感動的な衝撃は無かったが、この曲もラフマニノフとは思えないほどの本格性があり、天才的な霊感に満ちていて大変素晴らしい。

徹夜禱作品37(1914年 - 1915年)
4.3点
ラフマニノフの無伴奏合唱の宗教曲。1時間の大作。大半の人にとっては期待を完全に上回る素晴らしさに驚くだろう。ロシアの民族性や、ロマンティックな感情コントロールや、質量の大きい骨太さなど、ラフマニノフの才能が見事に結晶している。全く飽きないし、次々と魅力的な場面が登場してゾクゾクする。ときどき神秘的な輝きと内容の素晴らしさにヴィクトリアを思い出す。ラフマニノフに頻出の安易さが全くない。

https://classic.wiki.fc2.com/wiki/ラフマニノフ

6. 中川隆[-12989] koaQ7Jey 2020年3月06日 11:52:25 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[545] 報告

ラフマニノフ論

自分が生まれて初めて強く心を揺さぶられるような感動を体験したクラシック音楽は、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番である。

したがって、今でも彼の音楽には自分の音楽鑑賞の原点という想いを持っている。


メランコリックなメロディーの魅力と、感情の力学という他に類を見ない独特の音楽構成において、彼の音楽は高い価値がある。

大衆迎合的ということで生前は高く評価されなかったラフマニノフであるが、完成度が傑出して高い作品もあるし、表現力の高さはやはり特筆するべきものがある。

同時代には古くさいとされたロマンティシズムを保ち続けて、時代を超えた本質的品質の高い音楽を作ったことは、特筆するべきことであろう。


しかし一方で、いかにも感覚が鈍く野暮であり、なんとなく作ったようなぼんやりとした雰囲気をだらだらと続けたりするなど、芸術を鑑賞する際に刺激してほしい感性を刺激しない、つまらない音楽である作品が多いことは、認めざるをえない事実だと思う。

したがって、生前に大衆的人気はあったが専門家からはあまり高く評価されなかったのは、当然であるといえよう。

自分はラフマニノフの音楽は基本的に好きだが、そのような欠点は目をつむって聴いているのは認める。その欠点がほとんど無いと言っていいのは、ピアノ協奏曲2番くらいのものだ。


とはいえ、ラフマニノフ独特の感情力学やメランコリーが、ラフマニノフにより発見され前人未踏で後継者もいないほどの孤高のレベルに到達したことの価値が、その欠点よりもはるかに重要である故に、現在においても高い人気と評価を得られていると考えられる。


もうひとつの重要点は、ピアノに楽器としてのスケールの大きさを最大限に生かす音楽を書いたことだ。

ピアノ協奏曲3番における、オーケストラと対峙し、極端な音数による圧倒的なピアノの潜在的な器の大きさ開拓したことは、特別な成果である。

ピアノはさまざまな面がある楽器である。作曲家によって使い方が大きく異なってくる楽器であり、多くの作曲家が新しい楽器の可能性を開拓してきた。

ラフマニノフの場合は、たとえば重音による鐘のような効果や、音数によるテクニカルな圧倒性による巨大さを開拓した。


この2点を追求しなければ、ラフマニノフの評論にはならないだろう。

https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E5%AE%B6%E8%AB%96

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