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(回答先: ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」 投稿者 中川隆 日時 2020 年 1 月 19 日 21:55:49)
ワーグナー 舞台祝典劇 「ニーベルングの指輪」
ワーグナー《ワルキューレ》第1幕(全曲) クナッパーツブッシュ指揮 - YouTube
Wagner: Wotan's Farewell - George London; Vienna Philharmonic Orchestra/Knappertsbusch (1958)
Wagner "Siegfried" -- Knappertsbusch -- Windgassen -- Hotter -- Varnay -- Stolze 1958
Wagner "Götterdämmerung" -- Knappertsbusch -- Windgassen -- Varnay -- Grümmer 1958
Wagner - Götterdämmerung, Knappertsbusch, Bayreuth '51
ニーベルングの指環A クナッパーツブッシュ 1956バイロイト
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ワーグナー 舞台祝典劇 「ニーベルングの指輪」2016 APR 18 by 東 賢太郎
https://sonarmc.com/wordpress/site01/2016/04/18/ワーグナー-舞台祝典劇-「ニーベルングの指輪」/
この作品をいちブログにするのは日本書紀や三国志をいちページに書く愚挙で、思ったこともない。ところがきのう、あることからその気になった。
4作をまとめて約15時間かかる人類最長の曲の一つだ。これを4晩かけて踏破するわけだが、聞くというよりやるという感じだ。クラシック好きにとって四国八十八ヶ所巡礼みたいなものだろう。まだ1度しかできていないがそれが94年7月、ヘッセン州立ヴィースバーデン歌劇場(右がそのフォイヤー)でオレグ・カエタニ指揮だった。これは「体験experience」だ、英国でそうのたまう人がいてガガーリンの地球は青かったみたいに響いた。悔しいが演奏日が週末だけというセッティングはなく職業柄むりだ。そうしたら92年にドイツ勤務になった。つくづくこれは僕の人生にとって天の恵みだった。
ドイツを去る時、もうしばらくはできないな、隠居したらまたやろうと誓った。それがまだ二度目の機会すらない。CDじゃだめなのだ、これは舞台の空気まで含めた一大ページェントであって、三人の乙女といっしょにラインの川底に潜らないと始まらない。あの時の4つのプログラム(左)、まだ手に質感が残っていてなんともうらめしい。神々のたそがれ、あの最後の和音が消えた時のどっしりと重たい感動というのはやはり4日の聴体験による。そう思ってあきらめ、家ではもっぱらダイジェストCDでサワリだけつまみ食いする習慣になった。これがまたおいしいが満腹に至らない。かえって欲求不満で体に悪いんじゃないかと思いだす始末だった。
きのうTVで児玉 宏指揮大阪交響楽団をきいて驚いた。それが冒頭の「あること」だ。4作を80分にまとめて交響詩のようにしてしまう。そういう試みは珍しくないが、児玉版はかつて聴いたなかでまぎれもなく最高、神々の最後で4日がんばったヴィースバーデンのあの日を思いだしたなんてことはかつてない。この編曲は脈絡に添っていてストーリーを追えるし選んだ箇所のセンスもいい。歌はないが管弦楽だけで原曲なみの満腹感をいただくというのは想像もしなかった。
オケも非常に真摯に音を紡ぎだしており、こんな感動的な演奏はそうそう聴けるもんじゃない。児玉氏はこれが大阪交響楽団最後の定期だったそうで惜しい。本物の音楽家だ。ミュンヘンにお住まいだそうでこれからどうされるのか、このリングを録音して残してほしいものだ、時間のない僕にはかけがえないイコンとなるのに。
読者でリングにおなじみでない方もおられると思われます。「ラインの黄金」、「ワルキューレ」、「ジークフリート」、「神々のたそがれ」の楽劇4つ、計15時間をじっとがまんできる方以外は順番に聴くのはおすすめいたしません。さりとてワーグナー芸術の最高峰ですからクラシック通としては素通りすることもできません。
誰でも簡単にできるアンチョコ・マスター法をお教えします。ダイジェスト版(オイシイところを抜粋したセレクションCD)を何度も聴いて、覚えてしまうことです。歌はあってもなくても良し。「名所」は決まっていて、実にわかりやすく覚えやすいのです。そしてそれらは動機となって全曲の各所に出てきますから、実演を聞いてもなんとか4−5時間もちます。
ワーグナーは余程のワグネリアンでない限り8割は退屈な部分で、それでも2割があまりに魅力あるのできいてしまう。そう割り切っておられればいい。2割で3時間ですね、つまりその半分ぐらいがいろんな選曲法で(上掲の児玉宏版みたいに)ダイジェストになってCD1枚に入っているというわけですから、その3時間分を記憶してしまえばほぼマスターしたも同然なのです。それが聴くたびに5割、8割になっていきますから。
僕がまず2割を覚えるのに使ったCDをご紹介しましょう。
ジョージ・セル / クリーヴランド管弦楽団
最もスタンダードな選曲であり、これを知らなきゃ話にならんというのが全部はいってます。オケは最高にうまく録音も明快。ということで「教科書」には最適であります。ジョージ・セルに楽劇の全曲正規録音がないのは彼が米国亡命したユダヤ系であるのと無縁でないと想像しますが惜しいことです(「魔の炎の音楽」など歌が恋しくなります)。セルが冷たいと思われる方は「ジークフリートのラインの旅」をお聴きになれば印象は変わるのでは。このストレートな音楽性は彼の方法論であって決してドライではなく、ブーレーズに比べればその背景に19世紀的な感性を豊かに感じます。
ズビン・メータ / ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団
セル盤とほぼ同じ選曲であり、「魔の炎の音楽」のバリトンが入っています。メータは音楽をわかりやすく聴かせるのがうまい人で、セルの筋肉質とはちがいますがもってまわったところがなくオーケストラを魅力たっぷりに鳴らしてくれます。ワーグナーを聞いたという満足感が高いのです。全部が名曲なのですが、ここはこうやってほしいよねという最大公約数的なものをちゃんと抑えているという意味で、これも教科書に好適です。セルと聞き比べると曲のイメージがより鮮明に焼きつくでしょう。
ダニエル・バレンボイム / バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団
91年のバイロイト音楽祭からの2枚組の抜粋で、ここに至っていよいよリングの全貌に近づくのですが、「教科書」で学ばれたみなさんはもう怖いものはありません。アンチョコ・マスター法の威力を実感していただけるはずです。これが3時間分と思われればいいのであって、これは管弦楽版でない「生リング」のダイジェスト版ですからオペラハウスへ行かれればこれを耳にするのです。ちょっと抜粋に無理はあるが妥協案としてはほぼ満足。バレンボイムは当代としては随一のワーグナー指揮者であり、僕は彼のトリスタンは感動して東京とミラノ・スカラ座で2度聴きました。これを覚えてしまえばリング征服は目前。がんばってください!
どなたも聞き覚えがあるでしょう(ワルキューレの騎行)
https://sonarmc.com/wordpress/site01/2016/04/18/ワーグナー-舞台祝典劇-「ニーベルングの指輪」/
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