2020年01月12日 非英国的プリンセスの離脱 黒木 頼景 http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68795154.html 我が儘なプリンセスとプリンス
(左 : エリザベス女王と同席するサセックス公爵夫妻 / 右 : ケムブリッジ公爵夫妻) 日本の皇室と英国の王室は、本質的に違うけど、イングランドの王侯貴族を観察することは、我々にとって非常に参考になる。なぜならば、我々は国家や皇室を使った社会実験は絶対に出来ないので、外国での社会実験を眺めることで、どんな結果になるのかを知ることができるので、とても有益だ。 今月初旬、サセックス公爵のヘンリー王子とメーガン妃は、間もなく高位の王族から引退し、今後は王室の公務に係わらず、北米や英国を行き来する民間人の暮らしをするという。つまり、サセックス公爵は、王位継承権には未練が無く、煩わしい役目はもう厭だよ、と述べた訳だ。ところが、この異例の事態にエリザベス女王は大激怒。本当かどうか定かではないが、ヘンリーとメーガンは前もって女王の諒解を取っていなかったのだ。バッキンガム宮殿の報道官によると、一応、サセックス公爵夫妻との話し合いはあったが、まだそれは時期尚早で、二人の要望を検討している最中であったらしい。それなのに、ヘンリーとメーガンは王室の裁決を待たず、「既定事実」にしてしまおうと、一方的に発表してしまったのだ。とても信じられないが、エリザベス女王のみならず、父親のプリンス・チャールズ、兄のウィリアム王子も皆「寝耳に水」で、TVを観て初めて知ったという。(Rebecca English, Sam Greenhill, Sebastian Murphy-Bates, Jack Elsom, Danyal Hussain, Roy Tingle and Terri-Ann Williams, "The Queen's fury as Harry and Meghan quit", Daily Mail, 8 January 2020.) (左 : アーチーを抱くメーガンとヘンリー王子 / 右 : エリザベス女王と家族)
もし、これが本当だとしたら、ヘンリー王子はとんでもない馬鹿息子である。高位の王族を離脱するのは重大事項で、王室関係者とよく相談し、女王の許可を得ると共に、各方面に根回ししてから、公的発表にするのか普通だ。それなのに、いきなり「上級王族引退宣言」なんて、開いた口が塞がらない。こんな電撃発表を聞けば、イギリス人じゃなくても驚く。王室に仕えるある執事は、この発表に衝撃を受け、「まるで背後から刺されたような気分だよ」と語っていた。おそらく、ご立腹のエリザベス女王は二人を引き留めようとはせず、「好きにしなさい !」と突き放し、「その代わり、痛い目に遭うわよ!」と仄めかしたに違いない。エリザベス女王は君主としての義務に忠実で、王室の権威失墜を殊のほか恐れている。だから、ダイアナ妃がエジプト人の成金と交際した時に憤慨したし、ヨーク公爵夫人、すなわちアンドリュー王子と離婚したサラ・ファーガソンが、恥じらいも無くTV宣伝に出演し、いかがわしい銭儲けに関与したことを酷く怒っていた。第二次世界大戦中、ドイツ軍による本土攻撃にも耐え、敗戦後のブリテン国民を鼓舞してきた女王にとって、王室の栄光は如何なる犠牲を払っても守らねばならない。国民から侮蔑され、生き恥をさらしながら統治するなんて、誇り高きエリザベス女王には無理。堪えられない。(だから、ダイアナ妃を殺しちゃったのかも。) (左 : ドディーとダイアナ妃 / 右 : アンドリュー王子とサラ・ファーガソン)
厄介な公務におさらばし、煩わしい連中から遠ざかりたい、と願うヘンリー王子夫妻だが、果たして彼らの望みは叶うのか? たとえ、上級王族を引退したって、特ダネを求めるパパラッチは追跡を止めないし、ヘンリーとメーガンの護衛費だって不要になる訳じゃない。むしろ、手薄になった警護の隙を附いて、今まで以上の藝能記者が押しかけるし、カメラを掲げたパパラッチも負けてはおらず、毎日毎日執拗に追いかけ回し、至る所でシャッター・チャンスを窺うはずだ。したがって、二人の生活費は引退前と同じくらいかかるだろう。まぁ、ヘンリー王子には“ある程度”の蓄えがあるらしく、昨年は父親から490万ポンドの資金をもらったそうで、さらに別口、つまり不動産と遺産で2,000万ポンドを得たらしい。 今回の件を耳にしたブリテンの一般庶民は、「本当にヘンリーとメーガンは経済的に自立できるのか?」と心配したそうだが、たぶん彼らは何とかやって行けるだろう。既に、二人は幾つかの収入源を持っていて、そこそこの稼ぎになるそうだ。例えば、大手の出版社と契約を結び、私生活や王室のことを書けば、ベストセラーになる確率が高い。一例として、大統領職を退いたオバマは、出版大手のランダム・ハウスと契約を結び、6,500万ドルを手にしたそうだ。ビル・クリントンは自伝『My Life』を書いて1,500万ドルの前金を貰っていたし、女房のヒラリーは2003年に『Living History』を書いて800万ドルの前金を得ている。そして、2014年に『Hard Choice』を書いたら1,400万ドルの報酬を得たという。だいたい、このクリントン夫妻は金の亡者で、鮫よりも素早く行動し、猟犬よりも鼻が利く。ユダヤ人の前で土下座する連中だから、支那人やアラブ人からの裏金だって構わない。優雅な生活を勝ち取った方が勝ち組だ。天使のように貧民に同情するのが悪魔の手口である。 (左 : バラク・オバマとミッシェル夫人 / 右 : ビル・クリントンとヒラリー夫人) ヘンリー王子夫妻には、他にも期待できる収入源があって、TV出演に講演ツアー、ファッション・ブランドによる著作権料など結構ある。噂によると、既にヘンリー王子は有名司会者のオプラ・ウィンフリーとタッグを組み、精神面での健康をテーマにしたドキュメンタリー番組を手掛けるらしい。また、夫婦揃ってアフリカに赴き、「ハリーとメーガンのアフリカ旅行」といった娯楽番組を制作するようだ。黒人に親近感を覚えるメーガンにとっては、まさに“もってこい”の企画で、ブリテンやアメリカ、カナダ、オーストラリアなどに住む有色人種も大喜びだ。こうなりゃ、『世界不思議発見』とか『世界まるごとHow Much』みたいな番組を作って、司会者になったらどうなんだ? 鳳啓助と京唄子みたいでいいじゃないか。ヘンリーとメーガンで英国版の『唄子・啓助のおもろい夫婦』とか、「林家ハリー&メーガン」と称して世界各地を巡り歩き、現地の写真を撮って個展を開く、とか色々ある。それにもし、桂三枝が引退したら、テレ朝が『新婚さんいらっしゃい!』の司会を頼むかもしれないぞ。「でも、英語が・・・」と心配なら、出演者は楽天やユニクロの関係者にすればいい。みんな英語が得意だから ! 日本人は「講演会で稼ぐことが出来るのか?」と疑問に思うが、歐米の有名人は目玉が飛び出るほどのギャラを要求するから大丈夫。ホワイトハウスを去った黒人の大統領は、ひと講演につき40万ドルを手にするそうで、女房のミッシェル夫人は1回につき20万ドルらしい。まさしく、濡れ手に粟。日本人は「腹黒い奴め!」と侮蔑するが、オバマなら「だって黒人だも〜ん」と開き直るだろう。それに、オバマは黒人にとって、「数少ない英雄」なんだから、文句を垂れてもしょうがない。 (左 / ジョージ・W・ブッシュ) 他方、ジョージ・W・ブッシュ元大統領だと、1回の出演で約10万ドルから17万5千ドルくらい取るそうだ。ガメついのはクリントン夫妻の方で、亭主が大統領を辞めた2001年から、女房の大統領選があった2016年までの間に、約1億5,300万ドルを稼いだみたい。この夫婦は1回現れるだけで、少なくとも10万ドルを手にしたそうだ。リベラルの連中って、普段は貧乏人や労働者に同情するけど、自分のギャラとなったら途端にシビアになる。心優しい「平和の鳩」が、ピーチク喋るときは、銭ゲバの「禿鷹」に豹変するとは、カメレオンも真っ青だ。著名人の出演料に詳しい「Talent Bureau」のジェフ・ジェイコブソンによれば、ヘンリー王子クラスの有名人なら、1回の出演で50万ドルくらいは取れるらしい。 ヘンリー王子の場合はもっと有利で、たとえ王室から離れても、ダイアナ妃の息子でエリザベス女王の孫という事実は変わらないから、何をしたって注目されるだろう。しかも、半分民間人のような暮らしをするから、何らかの失態やスキャンダルに陥ることだってある。こうなればマスコミの餌食だ。メーガンだって失敗を犯す可能性が高いから、パパラッチは骨までしゃぶるつもりだろう。王室の庇護が期待できない二人は、藝能記者から質問攻めに遭い、有ること無いこと、あらゆるゴシップで辱めを受けるはずだ。ヘンリーとメーガンは名声を利用して儲けようと考えているが、意地汚いマスコミはそう甘くないぞ。 破局だらけの王族たち ヘンリー王子の引退宣言もショックだが、英国王室にはスキャンダルが尽きない。これまで、女王の周辺では次々と王族が離婚している。こんな調子だから、エリザベス女王とフィリップ殿下は、何かと頭が痛い。チャールズ王太子とダイアナ妃の離婚は大々的に報じられたから日本でも有名なんだけど、妹のアン王女と弟のアンドリュー王子も実は離婚経験者。日本人だと「王族の道徳教育は一体どうなっているんだ?」と尋ねたくなる。アン王女が最初に結婚したのは、陸軍のマーク・フィリップス(Mark Phillips)大尉で、殊のほか乗馬が大好き。ところが、「じゃじゃ馬馴らし」は苦手だったのか、彼は1992年に王女様と離婚。ところが、陸軍士官と別れたアン王女は、失意のドン底どころか、とある海軍士官に目を向け、職業軍人のティモシー・ローレンス(Timothy Laurence)中将と恋仲になった。そして、王女は1999年にティモシーと再婚する。 (左 : 若い頃のアン王女 / 中央 : アン王女とマーク・フィリップス / 右 : アン王女とティモシー・ローレンス )
一方、サラ・ファーガソン夫人と別れたアンドリュー王子は、顔を背けたくなるほどのスキャンダルだらけ。離婚に関する慰謝料では揉めに揉め、泥沼状態に陥って二進も三進も行かない様子。しかも、アンドリュー王子は致命的な過ちを犯す。ユダヤ人ブローカーのジェフリー・エプシュタイン(Jeffrey Epstein)と知り合い、彼から当時17歳の少女、ヴァージニア・ロバーツ(Virginia Roberts)を“紹介”され、「裸の付き合い」にのめり込んだ。「性奴隷」にされたと訴えるヴァージニアの証言によれば、アンドリュー王子はベッドの中でハッスルする時、大量の汗をかくそうだ。(本人は否定したが、直ぐにバレてしまった。) 被害者は嘗て恨みをいつまでも抱いているもんで、エプシュタインの「商品」だったヨハンナ・ショバーグ(Johanna Sjoberg)も表に現れた。彼女は当時、アンドリュー王子に乳房を鷲摑みにされました、と証言する。まさしく、「泣きっ面に蜂」とはこのことだ。もしかしたら、スケベ心満載のアンドリュー王子は、バッキンガム宮殿で女王蜂にも刺されたりして・・・。(それにしても、英国の王子様は、かなりの美人好みなんだなぁ〜。) (左 : アンドリュー王子とヴァージニア・ロバーツ / 中央 : 窮地に立たされたアンドリュー王子 / 右 : ヨハンナ・ショバーグ )
もう、死にたくなるほどの「赤っ恥」であるが、母親のエリザベス女王はもっと恥ずかしい。まさか、生きている内に、これほどの屈辱を味わうとは。こうしたスキャンダルを耳にすると、「日本の皇族は本当に真面目だなぁ〜」としみじみ思う。いくら皇族に「自由な人」がいても、女衒と親しくなって、若い娘を手込めにする者はいない。たとえ存在したとしても、二人の記念写真まで撮るバカはいないだろう。まともなブリテン国民は、アンドリュー王子の淫行と破廉恥に愛想を尽かした。(ちなみに、捕まったエプシュタインは当初、拘束中に「自殺した」と報じられたが、最近になってようやく「暗殺」ということが発覚した。詳しい事はいずれ述べたい。それにしても、イスラエルによる「ハニー・トラップ」は巧妙だよねぇ〜。) 日本ではエリザベス女王の妹、マーガレット王女についてはあまり報道されないが、「スノードン伯爵夫人(Countess of Snowdon / マーガレット王女の身分)」も離婚経験者だ。若い頃は結構美人だったマーガレット王女は、フッション業界で活躍する写真家のアンソニー・アームストロング=ジョーンズ(Anthony Armstrong-Jones)と1960年に結婚した。後に彼は初代スノードン伯爵となっている。しかし、二人は1978年に別れた。真の理由は定かでないが、マーガレット王女の浮気も原因の一つだった。しかし、懲りない人は洋の東西を問わず何処にでもいるようで、この王女様は1966年にワイン業者のアンソリー・バートン(Anthony Barton)と付き合い、次にスコットランドの貴族でジャズ・ピアニストでもあったロビン・ダグラス・ホーム(Robin Douglas-Home)と交際したという。 ( 左 : アンソニー・アームストロング=ジョーンズ / 中央 : マーガレット王女とその子供達 / 右 : ロビン・ダグラス・ホーム ) だが、ロビンとの肉体関係は無かったらしい。それでも、別れたロビンには相当なショックであったらしく、彼は破局後に鬱病を発症し、最後は自ら命を絶つことになった。マーガレット王女が起こした恋愛沙汰は数知れず、交際相手の中にはローリングストーンズのミック・ジャガー(Mick Jagger)や俳優のピーター・セラーズ(Peter Sellers)、極左俳優のウォーレン・ビーティー(Warren Beatty)などがいたそうだ。そんな王女も病には勝てず、2002年、71歳の若さで息を引き取った。 (左 : 若い頃のマーガレット王女 / ミック・ジャガー / ピーター・セラーズ / 右 : ウォーレン・ビーティー )
悩みの種が尽きないエリザベス女王にとって、唯一の救いは末っ子のエドワード王子と妃のソフィー(Sophie Helen Rhys-Jones)だ。「ウェセックス伯爵夫人」となったソフィーは、父方の血筋でモルズワース子爵家(Viscount Molesworth)に繋がっており、その祖先を遡るとヘンリー4世に辿り着く。初代のロバート・モルズワース子爵は、アイルランド貴族で枢密院顧問官を務めていた。ソフィーとエリザベス女王の仲は良好で、このサセックス伯爵夫人はブリテン連邦はもちろんのこと、他のアジア・アフリカ諸国を歴訪し、英国の王族としての公務に励んでいた。彼女は様々な慈善活動やイベントに参加し、しばしば女王の名代を務め、君主からのメッセージを伝えていたそうだ。王室に嫁いだプリンセスはこうでなきゃ。派手な衣装に身を包み、公金を使って豪華なアヴァンチュールじゃ、王党派のブリテン国民だって頭にくる。何より、ソフィー妃はメーガン妃と決定的に違っている。ウェセックスの公爵夫人は、まさしく“サクソン人”らしい容姿を持っているから、一般国民からの好感度を得やすい。(「ウェセックス」は元々、サクソン人がブリテン島西部に建てた王国で、アルフレッド大王が君臨したことでも有名だ。) (左 : ソフィー妃 / 中央 : エドワード王子とソフィー妃の結婚式 / 右 : エドワード王子の家族写真 )
ちなみに、ソフィーの親戚にはスペンサー家のダイアナ妃や、女優のオリヴィア・デ・ハヴィランド(Olivia de Havilland)、その妹で女優のジョアン・フォンテーン(Joan Fontaine)がいるそうだ。オリヴィアとジョアンの父親であるウォルター・デ・ハヴィランド(Walter de Havilland)は日本と縁が深い。というのも、彼は東京帝國大学の「御雇外国人」であったからだ。一般には知られていないが、英語を教えるイギリス人教授であった。彼は日本で妻となるリリアン・フォンテーン(lilian Fontaine)と出逢い、1914年、勤務先の東京で結婚したという。だから、二人の娘オリヴィアとジョアンは日本生まれとなっているのだ。しかし、ウォルター先生はリリアンと上手く行かず、1925年、二人は離婚する破目に。そして、彼は1927年に再婚するが、そのお相手というのは、家政婦の「ユキ・マツクラ」であった。ところが、異人種間結婚というのは、どうも破局する確率が高く、1958年、ウォルターはこの日本人妻と離婚。再び独身となったウォルターは、1960年にローズマリー・コナー(Rosemary Connor)という女性と再婚したそうだ。 (左 : ウォルター・デ・ハヴィランドとリリアン夫人 / 中央 : オリヴィア・デ・ハヴィランド / 右 : ジョアン・フォンテーン ) 他方、父親と別々に暮らす二人の娘は、映画界でそれぞれの道を歩むことに。姉のオリヴィアは超大作『風と共に去りぬ』でメラニー・ハミルトン役を演じ、ハリウッドで浮名を流す女優となった。付き合った男がこれまた凄く、大富豪のハワード・ヒューズ(Howard Hughes)、人気俳優のジェイムズ・スチュアート(James Stewart)、名監督のジョン・ヒューストン(John Houston)と大物ばかり。妹のジョアンもそこそこの経歴を持つ。一応、巨匠アルフレッド・ヒッチコックが手掛けた『レベッカ(Rebecca)』に起用され、名優のローレンス・オリヴィエ(Laurence Olivier)と共演することができた。同監督作品の『断崖(Suspicion)』では、これまた大物俳優のケリー・グラント(Cary Grant)が相手役。実に運がいい。ところが、姉と同じくジョアンも恋多き女性で、生涯で4回も離婚を経験したというから、いかにもハリウッド女優らしい。エリザベス・テイラーと似ている。大女優のテイラーは生涯8人の夫を持ったが、結婚は9回。なぜなら、俳優のリチャード・バートンと2回結婚しているから。 (左 : ハワード・ヒューズ / ジェイムズ・スチュアート / ジョン・ヒューストン / 右 : ローレンス・オリヴィエ )
脱線したので話を戻す。英国王室の伝統や公務、およびイングランドの風潮に馴染めなかったメーガン妃は、嫁ぎ先のイングランドを離れて、出身国のアメリカやカナダに戻りたいと望んでいる。だが、本当はブリテン人の愛国者から嫌われていると判っていたから、プリンセスの座に嫌気が差したんじゃないか。このサセックス公爵夫人は、2012年、自身の人種的形質、つまり両親から受け継いだ遺伝子と“よりフレンドリー”な世界を求めて、議論を交わしたことがある。そして、この討論を録画したビデオが最近になって再び脚光を浴び、当時女優だったメーガンが、「憎しみを消去する(Erase The Hate)」というキャンペーンに参加し、かつての共演者であるパトリック・アダムズ(Patrick J. Adams)と一緒になって、「偏見をなくそう」と呼びかけていたことが話題になった。 (左 : 幼い時のレイチェル・メーガン・マークル / 中央 : 父トマス・マークルと一緒のメーガン / 右 : 母 ドリア・ラグランドと少女時代のメーガン ) 結婚前、テレビ女優として活躍していたレイチェル・メーガン・マークルは、白人の父トマス・マークル(Thomas Merkle)と黒人の母ドリア・ラグランド(Doria Ragland)との間に生まれた。浅黒い混血児として誕生したメーガンは、成長過程で様々な苦痛を味わったという。現在、アーチーという息子に恵まれたメーガンは、2012年当時、「私はレイシズムに我慢がならない !」というスローガンを印刷したTシャツを着て、自分の人生を振り返っていた。下記の発言は彼女の心情を理解するうえで、とても役に立つ。 (左 : メーガンが嫌う従来のイギリス人家庭 / 右 : メーガンが理想とするアフリカ的ブリテン学校)
私は両方の親から受け継いだ遺産を誇りに思っています。私は自分が歩んできた場所と、これから歩む場所に誇りを持っている。しかし、私が子供を持つ頃までに、人々が物事の変化に対して心を開き、混成の世界を受け容れる状態になっていることを願っています。("Meghan Markle reveals her wish for her future children to born into a world where mixed race people are no longer discriminated against", Daily Mail, 23 December 2019.) さらに、彼女は自身の体験を回想し、こう語っていた。 私は二つの人種から成っているのよ。でも、大抵の人は私の中で何が混ざっているのか判らない。私は壁にタカる蠅のような気持ちで、人生のほとんどを過ごしてきたの。侮辱的な言葉だって耳にしたし、不愉快な冗談や名称だってあったのよ。本当に傷ついたわ。二、三年前の事なんだけど、誰かが私のママを「Nワード(Nigger / 黒ん坊)」で呼んだのを聞いたことがあったわ・・・今、私達が住んでいる国の風景を観ていると、世界がもっと良くなればいいなと思います。 メーガンは人種を問題にする人々に恨みを持っている。「ある人々は私を直接見ずに、私を黒人女とか、二重の人種(biracial)とみなすのよ」。事実、メーガンは奇妙な人間と思われていた。彼女は子供の頃のエピソードを話す。昔、メーガンの家族は、祖父に従ってオハイオ州のクリーヴランドから、カルフォルニア州のロスサンジェルスに引っ越したそうだ。しかし、この新天地での生活は快適なものではなかった。例えば、食べ物を買いに行くときは、いつでも裏口のドアから出なければならなかったという。既に、過ぎ去った日々の出来事ではあるが、未だに忘れられない記憶になっている。たぶん、彼女の家族は人種的に隣人と異なっていたから、一軒だけポツンと孤立していたのだろう。 ついでに言っておくと、よく歐米の有色人種は、集会や演説の席で「私は両親から受け継いだものを誇りに思っています」と自慢する。まさしく、多民族主義者が喜びそうな“決まり文句”を口にするが、彼らは本当に親から貰った遺伝を気に入っているのか? 何となく怪しい。例えば、ミッシェル・オバマやコンドリーサ・ライスもそうだけど、メーガンはどうして母親から受け継いだ黒人の遺伝子を「誇り」にせず、嫌いな白人を真似て、自分の縮れ毛を直毛にしたのか? メーガンが幼い時に撮影された写真を見てみると、彼女の髪はチリチリで、いかにもアフリカ人らしい風体だ。もし、彼女が母親から受け継いだ肉体を誇っているなら、黒人であることに劣等感を抱かなず、髪の毛も「自然な縮れ毛」で通したはずだ。ところが、メーガンはずっと白人らしく装っている。 (左 : 少女時代のメーガン / 中央 : プリンセスになったメーガン /右 : 大統領夫人になったミッシェル・オバマ )
一方、アングロ・サクソン人の白人女性は、本当に親から貰った遺伝子を誇りに思っている。例えば、南アフリカやコンゴに住んでも、西歐白人であることに劣等感を持たず、イギリス式の生活様式を貫く。多少は現地の言葉を覚えるが、基本的には英語で生活し、唇に皿を嵌め込んだり、オッパイ丸出しでうろつくことはない。たとえ、現地の黒人から「あっ、肌が白い! 髪が金色だ! 目玉も青いぞ!」と笑われても平気だ。こうしたイギリス人女性は、現地人と肉体的に異なっていても悩むことはないし、土人から称讃されたいがために髪を黒く染め、パーマで縮れ毛にすることもない。つまり、イギリス人はアフリカ人から「仲間はずれ」にされようが気にしない、というこだ。北米や歐洲に住むアフリカ黒人とは大違いである。(ちなみに、「ソバージュ / sauvage」という名称は、「野生の」という意味だ。たぶん、アフリカの野生児みたいにチリヂリ、ボサ〜とした髪型を指した言葉なんだろう。筆者の同級生で「ソバージュ」にした女の子がいたけど、何となく不格好に見えてしまった。本人には悪いから言わなかったけど、周囲からの評判は良くなかったぞ。) (左 : 御少女時代と公爵夫人になったキャサリン・ミドルトン / 右 : 「イギリス人」らしいキャサリン妃の子供達、左側からジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子)
また、メーガンは“心温まる”昔話を紹介していた。彼女が7歳の時だ。バービー人形のボックス・セットが欲しくて、親にせがんだことがあるという。これは「ハート・ファミリー(Heart Family)」という名の商品で、箱の中には母親の人形と父親の人形、そして子供の人形が二体入っていたそうだ。まさしく核家族を象徴するような人形セットで、白人用と黒人用のヴァージョンがあったらしい。メーガンはどちらでもいいから、このボックス・セットが欲しかった。ある年のクリスマスのこと。朝起きると、彼女は念願の「ハート・ファミリー」を目にする。さっそく彼女がプレゼントの箱を開けてみると、そこには白い父親の人形と白黒二つの子供人形があった。メーガンの父トマスは白と黒のボックス・セットを二つ購入し、白い子供人形と黒い子供人形をペアにして、プレゼント・ボックスに入れていたのだ。たぶん、母親の人形は「黒人」の方を選んでいたと思うが、「カスタマイズ」するために2セットも購入するんだから、混血児用のクリスマス・プレゼントは高くつくものだ。 (左 : クレシンダ・ボナス / 中央 : ダイアナ妃 / 右 : ソフィー妃 ) このように、白人社会に怨念(ルサンチマン / ressentiment)を抱くメーガンは、ブリテン白人が暗に投げかける誹謗中傷に敏感だ。一部のブリテン国民は、彼女の私生活を槍玉に挙げて、「公費の無駄遣いだ!」「もう藝人じゃないんだぞ!」「派手な服装を慎め! お前のドレスが、いくらすると思っているんだ!」「豪勢な休暇を取りやがって、何様のつもりなんだ!」と非難囂々、事あるごとにメーガンを非難する。だが、こうした文句の根底に黒人への嫌悪感があるとは誰も言及しないから、偽善としか言い様がない。もし、サセックス公爵夫人が浅黒いメーガンではなく、イギリス人らしい元の恋人クレシンダ・ボナス(Cressida Bonas)みたいなお妃なら、ブリテン国民も多少の出費は黙認するだろう。なぜなら、クレシンダはケンブリッジ公爵夫人(キャサリン妃)やウェセックス伯爵夫人(ソフィー妃)、故・プリンセス・オブ・ウェールズ(ダイアナ妃)と同じ種族に属しているからだ。以前、女優のナオミ・ワッツが伝記ドラマの中で、故・ダイアナ妃の役を演じたが、本当にソックリだった。もし、メーガンがその役を演じていたから、観客から大ブーイングの野次を受けていたはずだ。たとえ、「ブリテン人女優」でも、ラシャナ・リンチ(Lashana Lynch)やナオミ・ハリス(Naomie Harris)みたいな女性だと、同じ結果になると思う。 (左 : 亡くなったプリンセス・ダイアナ / ダイアナ妃に扮したナオミ・ワッツ / 「007」になり得るラシャナ・リンチ / 右 : ナオミ・ハリス )
人間は本能的に“違うモノ”を嫌う傾向がある。我々には同族に対する親近感が生まれつき備わっており、異質な容姿の人間を目にすると、往々にして嫌悪感を持つ。歐米諸国の心理学者は、幼児が異なる人種を目にして、どのような「好き・嫌い」を示すのか、つまり、どんな人種に親しみを覚え、どの人種について拒絶反応を示すのか、といった実験を行っている。大抵の場合、白人の子供は白人の保母とか西歐系の女性に好意を抱き、褐色のアラブ人とか真っ黒なアフリカ人、能面のようなツラをした東洋人には親近感を持たない。だいたい、黒人の子供だって、日本人より黒人の保母さんの方を好むじゃないか。したがって、ブリテンの白人は「メーガン妃がイングランドを去る」と聞いても「哀しい」とは思わないし、「戻ってきて!」とせがむこともない。ただし、ヨーロッパのパパラッチは別。彼らは歐米諸国の有色人種を念頭に置いて一攫千金を狙う連中だから、メーガン妃は金の卵を産む鶏だ。彼女が何処へ行っても尾行するし、必死でスキャンダル写真をモノにしようとする。でも、アングメ・サクソン系やケルト系のブリテン国民にしたら、“どうでもいい”つまらぬ事だ。メーガン妃が居なくなっても、別に困ることは無いから、却って「清々した!」という気分なんじゃないか。 (左 : アフリカ人の子供達に囲まれて幸せそうなメーガン / 右 : 「多民族主義」が浸透したブリテンの小学校)
英国のヘンリー王子は、所詮、ウィリアム王子やジョージ王子の代用品、すなわち万が一に備えて取っておく「血のスペア・パーツ」程度だからいいけど、日本の悠仁親王殿下が異人種とご結婚なされたら大変だ。たとえ、将来のプリンセスが「日本国籍保有者」でも、その母親が帰化鮮人とか支那人、あるいは日比混血児であったら、何割かの日本人は幻滅するだろう。もちろん、皇室を尊敬する気持ちに変わりがないが、悠仁親王殿下と一緒に現れる「お妃」に手を振る気持ちにはなれない。日系人の一般国民は、はっきりと言葉に出せないが、何となく歓迎できない気分になってしまうのだ。やはり、皇室のプリンセスは、日系日本人の女性がいいよねぇ〜。 http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68795154.html
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