国家破綻の現実: 飢餓で苦しむギリシャの子供たち 2013 年 5 月 11 日 2010年に国家破綻状態となりECB/IMFから救済されたギリシャですが、今ギリシャの経済状況についてあまり知られていません。
ギリシャの失業率は27%(1930年の大恐慌のアメリカより悪い)で、ギリシャでは仕事が全くない状態となっています。仕事がなくなれば、収入がなくなり、そして貯蓄もなくなる。 お金がなくなれば食べるものもなくなる。 今悲しいことに、ギリシャでは失業して食料が買えず飢餓で苦しんでいる子供が急増しています。NY Timesの記事で、飢餓で苦しむギリシャ子供たちの『現実』が綴られています。 ギリシャにある小学校校長のニカス氏は子供の遊ぶ姿や笑顔、将来を夢を見てきた。 それが、最近では子供の姿が様変わりしてしまったという。
ゴミ箱から食べ物をあさる少年、 空腹でしゃがみこむ11歳、 友達から食べ物を盗む子供。 「彼らは家では何も食べていない」と校長先生はいう。 アテネ大学のリノス教授によると、2012年にはギリシャの小中学校生徒の10%が食料不足(空腹と栄養失調のリスク)があるといわれている。 「食料不足でいえば、ギリシャはアフリカの国のレベルまで落ちてしまった」という。 ある学校職員は生徒280名中少なくとも60名が食料不足となっていると指摘する学校もある。 ぺトラキス家では父が去年12月に解雇された。 フラットスクリーンのテレビにプレーステーションで遊ぶ子供がいる一般的な家庭だった。12月に解雇された父はその5ヶ月前から給与の支払いが停止。家賃の支払いもできず今年2月に貯蓄がなくなった。 父は新しい職を見つけることもできず、食料は不足になった。 父は食べることをやめて、体重は劇的に減った。 「去年の夏に仕事していたときは、あまったパンを捨てていた」父はいう。 「今では、どう生き残っていくかの戦いだ」と涙を流す。 http://uskeizai.com/article/357282064.html ▲△▽▼ ギリシャ国民の集団大虐殺 http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/post-87b7.html
2018年8月24日 マスコミに載らない海外記事 2018年8月21日 Paul Craig Roberts 欧州連合や他の政治声明が、ギリシャ危機は終わったと発表し、ギリシャ国民集団大虐殺の政治とマスコミによる隠蔽が、昨日(8月20日)始まった。 それが意味するのは、ギリシャはもう終わりで、死んで、おしまいだということだ。ギリシャは限界まで搾取され、死骸が犬に投げ与えられたのだ。 350,000人のギリシャ人、主に若い専門職の人々がギリシャから去った。出生率は、残った人口を支えるのに必要な率より遥かに低い。EUやIMFやギリシャ政府によってギリシャ国民に課された緊縮政策が、ギリシャ経済の25%もの縮小をもたらした。減少はアメリカ大恐慌にも等しいが、ギリシャでの結果は最悪だ。フランクリン・D・ルーズベルト大統領は、社会保障法や、預金保険や公共事業計画など社会福祉の他の手段で、大量失業の影響を緩和したが、ギリシャ政府は、IMFとEUの命令に従って社会福祉手段を剥奪し、大量失業の影響を悪化させた。 伝統的に、腐敗、誤った運営、不運、予想できない出来事なりのいずれかで、主権国家が、債務を返済できなくなった場合、その国の債権者たちは、債務を負った国が返済できる水準まで債務の帳簿価格を切り下げる。 ギリシャの場合、状況が一転した。ジャン-クロード・トリシェ率いる欧州中央銀行と国際通貨基金が、ドイツやオランダやフランスやイタリアの銀行が保有しているギリシャ政府国債の利子と元金の全額を、ギリシャは支払わなければならないと裁定したのだ。 一体どうして、こういうことが実現したのだろう? いずれも危機を悪化させた二つの理由が、現在のギリシャを、ほぼ十年前の危機の始めにそうであったより遙かに酷い立場におくことになったのだ。 “危機”の始めなら、ギリシャ債務はギリシャ国内総生産129%で、債務金額の一部を切り下げることで、容易に解決できていたはずなのだ。現在、ギリシャ債務はGDPの180%だ。 一体なぜだろう? 債務者が一セントたりとも失わずに済ませるため、ギリシャの債権者に利子を支払うべく、ギリシャは更に融資を受けたのだ。売女経済マスコミが“緊急救済措置”と呼んだ追加融資はギリシャにとっての緊急救済措置ではなかった。ギリシャの債権者にとっての緊急救済措置だったのだ。 緊急救済措置を期待して、ギリシャ債務のクレジット・デフォルト・スワップをアメリカの銀行が売っていたため、オバマ政権は、この緊急救済措置を奨励した。緊急救済措置が無ければ、アメリカの銀行は賭けに負け、ギリシャ国債のデフォールト保険を支払っていたはずなのだ。 更にギリシャは、外国人への公共資産売却や、例えば、最低限の生活以下への年金引き下げや、病人が治療を受ける前に亡くなるほどになった実に劇的な医療引き下げなど、ギリシャの社会福祉削減を要求された。 記憶が正しければ、中国はギリシャの港を買収した。ドイツは空港を買収した。様々なドイツやヨーロッパの企業がギリシャ各都市の水道会社を買収した。不動産投機家連中が、ギリシャの保護された島々を不動産開発のために購入した。 このギリシャ公共財産略奪は、ギリシャが負っている債務を減らす方向には向かわない。あらたな融資と同様、利子の支払いに使われたのだ。 かつてない膨大な債務はそのままだ。債務を負っているギリシャ国民同様、経済は、かつてないほど小さい。 ギリシャ危機が終わったという宣言は、外国銀行の儲けのために、ギリシャ国民から搾り取れるものはもはや何もないという声明にすぎない。ギリシャは急速に沈没しつつある。港や空港や都市公益事業や強制的に民営化された他の公共財産にまつわる収入は今や外国人のものとなり、彼らがお金をギリシャから奪い取り、更にギリシャ経済を悪化させる。 ギリシャ人は彼らの経済的な未来を奪われてしまっただけではない。彼らは主権も失ってしまったのだ。ギリシャは主権国家ではない。EUとIMFに支配されている。2013年の私の著書、The Failure of Laissez Faire Capitalism第III部、“The End of Sovereignty”で、これがいかにして行われたかを私はご説明した。 ギリシャ国民はツィプラス政権に裏切られたのだ。ギリシャ国民には自分たちを国際銀行家連中に売り渡した政府に反乱し、暴力的に打倒するという選択肢があった。そうはせずに、ギリシャ国民は自らの破滅を受け入れ、何もしなかった。ギリシャ国民は本質的に集団自殺したのだ。 2008年の世界金融危機は終わっていない。アメリカやEUやイギリスや日本の中央銀行による膨大な貨幣の創造によって、隠されているだけだ。貨幣の創造は実際の生産の成長を遙かにしのいでおり、“実際の条件”が維持可能なものを超えて、金融資産の価値を押し上げている。 この危機が一体どういう展開になるかは、見ていなければわからない。欧米文明の崩壊という結果をもたらしかねない。食うか食われるかなのだろうか? ギリシャの後はイタリアやスペインやポルトガルやフランスやベルギーやオーストラリアやカナダで、最後は誰もいなくなるのだろうか? 欧米世界丸ごと、自分たちの権益に役立つよう強力な既得権益経済集団が醸成するウソの中で暮らしている。オンラインのものを除き、自立したメディアはなく、そうした独立メディアは悪者扱いされ、アクセスできないようにされつつある。情報が管理されている世界に暮らしている人々は、自分たちに一体何が起きているのか全くわからずにいる。それで、彼らは自分の利益のためにある行動ができずにいるのだ。 Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。 記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/08/21/genocide-of-the-greek-nation/ ▲△▽▼
2015•07•02 ギリシャ危機の原因はドイツ
ここ最近、またギリシャ危機が騒がれ始めました。
私のブログのアクセス解析でも、【ギリシャ人 働かない】なんて検索ワードで訪れてくださる方がチラホラと。 しかし、前にも投稿で書いたことが有るのですが、今回のギリシャ危機の主な要因は、ドイツに代表されるEU内の先進国です。 ユーロという枠組みは、通貨を統合して政治的には統合しないという不思議な枠組み。 このシステムで一番得をしたのが、ドイツです。 そもそもドイツは、国際競争力の高い高級車等が主力商品の工業国。 売っている商品のジャンルこそ違えど、日本と同じ様な貿易黒字国です。 貿易黒字国の宿命として存在するのが、通貨高。 通貨高になってしまうと、優れた商品を作っても他国から見れば割高な商品となってしまう為、競争力は失われてしまう。 ではどうすれば良いのかといえば、そもそも通貨が変動しなければ良い。 ユーロという枠組みを作って、ヨーロッパ圏内の通貨を統一してしまえば、通貨変動によって競争力が変化しない。 よって、ドイツがどれだけ黒字を出そうが、ヨーロッパという市場では競争力が変化しない事になる。 またこの枠組みを作ることで、ドイツにとってもうひとつ有利な点が生まれる。 それは、通貨安。 ドイツが貿易黒字を出すと、通貨高の要因になるのは先ほど書きました。 では、ユーロという枠組みを作り、貿易赤字を垂れ流している国を引き込めばどうなるでしょうか。 赤字と黒字がユーロ経済圏内で相殺し合い、上手く行けば通貨安に誘導できる。 ユーロという通貨が安くなれば、世界市場で販売しているドイツ車の国際競争力は更に増し、ドイツ経済にとって良い影響を与える。 つまりユーロという枠組みは、ドイツのような貿易黒字国にとっては良いことづくめと言える。 しかし、経済だけを統一して国を統一しないと、問題が起こってきます。 それは、一部の都市のみが発展し、地方が衰退してしまうという現象です。
ヨーロッパという地域で考えると、イマイチ『ピンッ!』と来ないという方は、日本という枠組みで考えれば分かりやすいでしょう。 日本も、東京一極集中で、地方が衰退しています。 しかし日本の地方は、むかし夕張等で破綻が起こりましたが、それ以外は比較的安定しています。 何故かと言うと、国が地域差を是正する為に再分配を行っているからです。 具体的には、東京で稼いだ税金を吸い上げて、地方交付税という形で再分配をする。 もし、この日本の中で東京が 『地方は怠け者で働かないから発展してないだけだ。 何故自分達の税金が、関係のない地方に配られるんだ! 東京で稼いだ税収は東京のためだけに使うべき!』 と言い出したらどうでしょうか。 東京都地方の格差は、更に拡大することになります。 潤沢な資金が有る東京は、有り余る資金で最新設備を設けた大学などを何個も創ることが出来ます。 そうなれば、日本中の優秀な若者は、地方から東京に移住することになります。 東京という地域には人が流入し、経済的にも更に発展。 更に増額した税収で、住民サービスは良くなります。 すると、地方の引っ越しが出来る程の財力が有る人達は、発展していて住民サービスも良い東京に移住した方が得になるので、また、住民の移動が起こってしまう。
結果として、経済的・学力的に東京の大学に行けない若者と、引っ越す財力のない人達が地方に取り残されることになる。 この様な人たちは収入も少ない為、地方の税収は更に下がる。 財政を維持する為には、緊縮政策を取らなければならない。 つまりは、住民税の増額と公共サービスの削減・低下につながる。 簡単に表現すると 富める者はより裕福に。 貧しい者はより貧しくなってしまう。 この流れを避ける為に行われるのが、同じ経済共同体内での再分配です。 しかし、EUはこのが機能していない。 ドイツ人達は、『何故ギリシャ人の為に、自分達の税金が使われなければならないんだ!』と主張し、ギリシャに金を貸すことはあっても、再分配という形で分け合うことはしていない。 もしEUの要求通りに、ギリシャで緊縮財政が起こればどうなるのか。 先程日本で例えた際の、【東京】と【地方】の関係と同じようなる。 やる気があってまじめに勉強をしているギリシャ人の学生は、ドイツの大学に進学してドイツの会社に入社する。 当然、税金もドイツで支払い、ドイツはより潤う事になる。 その一方でギリシャは、公共サービスが低下して、税金も上昇。 EU国内では国民は移住が自由である為、余裕のある人はサッサとドイツに移住してしまう為、主な収入源の富裕層が国を出て行くことになる。 こうなると、更に税収は激減する。 つまり、ギリシャにとっては緊縮財政を採用しても借金を踏み倒しても、どちらにしても地獄ということ。 これは、ギリシャが悪いというわけではなく、EUという制度に致命的なエラーが存在するということ。 因みにこの話は、私が考えた机上の空論では有りません。 この話を、日本に留学で来ているスエーデン人の方に話した所、大きく頷き、ドイツに全て搾取されているといった事を話されていました。 その方の話によると、ドイツは経済状態も良く、物も大量に消費される為、物価自体が安いそうです。 どれぐらい安いのかというと、スエーデンでビールを購入するより、ガソリンを使ってデンマーク経由で陸路でドイツに渡り、トランクに詰めるだけ積んでスエーデンに戻った方が安いそうです。 ここまでモノが安いと、ドイツ周辺国の人は皆、ドイツで買物をすることになり、ドイツの税収が上がる一方で周辺地域は疲弊してしまう。 これが成り立つのも、再分配が行われていないからです。 今回のギリシャ危機は、どのような形で処理するかによって、EUという枠組みそのものが存続できるかどうかという重要な問題です。 ギリシャの意見を聞き入れ、再分配を真面目に考える事ができれば、存続できる可能性はあるでしょう。 しかし、ギリシャを切り捨てた時点で、EUという枠組みは近いうちに空中分解することでしょう。 http://kimniy8.hatenablog.com/entry/2015/07/02/193000 ギリシャ危機、金融メディアが語らない10のこと http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598 ギリシャ人たちが危機に陥っているのは、彼らが怠け者で借金を踏み倒す連中だからだ、というのは正しいか?
結局のところ、彼らは1年に10カ月間しか働かず、14カ月分の支払いを受け取っている。25歳で引退し、カフェにたむろしてウーゾ(アニスの香りがするギリシャの蒸留酒)をあおっている。ドイツからの施しで生活し、税金をごまかす。欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)のトロイカが繰り返し支援しようとしたが、彼らは聞く耳をもたない。そして今や、極端なリベラルに走り、借り入れたカネをびた一文返そうとしない。 それは正しいか? 全く正しくない。 ギリシャ危機について皆さんが教えられているほとんどあらゆるものは、完全なたわごとである。以下はその理由だ。 1.ギリシャ人は既に要請されている以上に緊縮している。5年前の救済取り決め以降、ギリシャ政府は支出を削減し、増税し、そして基礎的財政収支(プライマリーバランス)を240億ユーロの赤字から30億ユーロの黒字に転換した。同国は実際には救済側の要求以上に債務を削減した。IMF自体が緊縮対策は「どんな基準でみても異例だ」と述べ、改革面での彼らの「重要な進展」を称賛したのも無理はない。 2.本当の問題はトロイカの薬が効かなかったということだ。IMFは当初、緊縮政策を採用すれば、ギリシャは2011年から「V字型」の経済回復に入ると予測していた。「信頼感の効果と、市場アクセス再開」が期待されたのだ。だが、現実にはそうではなかった。これらは10年の救済文書から引用したものだ。IMFは、14年までに経済成長率が3%を超え、「失業率は12年までに15%近くでピークになるだろう」と予測した。何たることだろう。つまるところ、ギリシャ政府が債務を削減する間、経済は一段と縮小しただけだった。 3.引用される「専門家」の発言は、皆バイアスがかかっている。確かに、TVやインターネット上では大勢の賢人たちがあれこれ非難したり警告したりしている。問題はどこにあるか。彼らがおおむね金融部門で働いている点だ。したがってその関心事は株式、債券、その他の金融資産であって、アテネやテッサロニキのような諸都市の雇用や世帯収入など日常生活の実態ではない。金融は実際に大切かもしれないが、それがすべてではないことは確かだ。 4.ギリシャは既に破局している。わたしにとって開いた口がふさがらないのは、ギリシャはトロイカへの返済を停止したり、ユーロから離脱したりすれば、経済的な災厄に直面すると別の専門家が主張する時だ。国内総生産(GDP)は8年間で25%減少した。輸入は40%減少した。公式の失業率は25%だ。災厄だって?それは既に発生している。 5.国というものは、財政緊縮でマネーを「創出」できない。ギリシャとトロイカの話し合いは、ギリシャ政府がどれほど増税ないし支出削減すべきかをめぐって決裂した。これは「単式簿記」システムの誤りに基づいている。それでも、広い範囲(尊敬すべき報道機関をも含む)で繰り返されている。ある国が増税ないし支出削減しても、全体としてマネーを創出しない。それは、一つの手から別の手にマネーが移動するだけだ。 6.本当は、ギリシャのドラクマ再導入は極めて容易だ。容易でないとする恨み言は、全く偽りだ。この種の措置は以前にも実行されたことがある。例えば、ベルリンの壁崩壊後の多くの東欧諸国がそうだ。当時、IMFとその他国際機関は手を差し伸べたし、新通貨への移行は成功し、比較的痛みも少なかった。彼らがギリシャを助けるのを拒否するなら、それは意図的な悪意ある行為だろう。 7.本当は、ユーロ無しでもギリシャはやっていける。英国がそうだし、ポーランドがそうだし、スカンジナビア諸国がそうだ。アイスランドは自国通貨の管理ができることもあって、2008年の通貨危機から回復した。実際、IMFは、ギリシャが今もドラクマを使っていてそれを切り下げてさえいれば、このような不況を回避できた可能性があると認めている。ギリシャがユーロを必要とするという考えはくだらないのだ。 8.ギリシャだけがこの危機の原因だったのではない。非は「ダボスの寵児たち」にある。彼らはお気に入りの「ユーロ」構想を誰にでも売り込んだ。その中にはユーロは不釣り合いなギリシャなどの国も含まれていた。これが過去10年間の膨大な債務バブルを膨らませる一因になった。それ以降、ダボスの寵児たちは自分たちの専売特許のパンと水と粥(かゆ)という治療食を強く勧めた。だが、効果は全くなかった。皆さんは、ダボスの寵児たちが自分たちのこの治療法を自分で試そうとするほど間抜けでないことに気づくだろう。ブリュッセル、フランクフルト、ロンドン、ワシントンでは、食事のメニューはこのような治療食ではなく、ロブスター・テルミドール、オイスター・ロックフェラー、そしてシャトー・ディケムだ。 9.パニックになるな。今回のギリシャ危機は他の世界にとって大きな問題にならないはずだ。ギリシャ経済の規模は米アラバマ州のそれと同じくらいだ。市場は既にギリシャの金融資産の大半を償却している。ギリシャ危機が「伝染」するのは、海外の政策担当者がそれを放置した場合だけだろう。わたしは良いパニックを好む人がいることは評価しているが、彼らは気持ちを落ち着かせる必要がある。
10.トロイカの提案する「治療薬」は無意味だ。トロイカが提案するように、ギリシャは年金制度を改革すべきか?課税基盤を広げて簡素化すべきか?港湾を民営化すべきか?確かに。よろしい。しかし、これらはどれも100万人規模の人々を職に復帰させ、カネを稼がせ、消費させるのに全く助けにならない。弾丸による負傷を「食事と定期的な運動」で治療しようとするようなものだ。それらの処方が悪いのではない。完全に的外れなのだ。
(筆者のブレット・アレンズはマーケットウォッチのコラムニスト)
原文:Opinion: 10 things they’re not telling you about the Greek crisis http://www.marketwatch.com/story/10-things-theyre-not-telling-you-about-the-greek-crisis-2015-07-01 http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598 ▲△▽▼
日本より長い労働時間 「ギリシャ人=怠け者」は大ウソだった 2015年7月8日 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/161509 「緊縮財政計画」を拒否したギリシャに対し、EU各国は呆れ果てている。もともと、ギリシャ人を「怠け者」と軽蔑していることもあって、「あいつら働きもしないで」と怒りを強めているようだ。
しかし、本当にギリシャ人は怠け者なのか。意外にもギリシャ人の労働時間は、日本人より長いという。ギリシャ人の労働実態について「東短リサーチ」が詳細にまとめている。チーフエコノミストの加藤出氏がこう言う。 「ギリシャ人が怠け者というのは、勝手な思い込みです。OECDの2013年の調査では、ギリシャ人の年間労働時間は、2037時間と世界2位。 1位は2237時間のメキシコ。日本は1735時間で16位でした。 この調査結果を疑った英BBC News Magazineが、フルタイムやパートなどさまざまな切り口で統計を見直したのですが、やはりギリシャの長時間労働は事実でした。 賃金の水準が低いため1つの仕事だけでは生活ができず、2つ、3つと仕事を掛け持ちしている人が多い。労働時間が長いという統計は、ギリシャ人の間で浸透している。だから“怠け者”と決めつけるドイツに対して猛烈に反発しています」 ■楽天的な国民性でイメージ定着
実際、1950年代、ドイツに移住したギリシャ人の勤勉ぶりは、よく知られている。 しかし、どうして「ギリシャ人は怠け者」というイメージが定着してしまったのか。 「公務員があまりにも恵まれているため、ギリシャ人は働かない、というイメージがついてしまったのでしょう。ステレオタイプの報道が多いのも原因です。 ドイツのテレビ局は、ヨットハーバーを映して〈経済危機でもギリシャ人はヨットを保有している〉と報じています。でも、実際にはヨット所有者の多くは裕福なドイツ人でした。 ギリシャ人が楽天的だということも大きいでしょう。気候が良いためか、“まぁ、しょうがないか”と深刻にならない。北ヨーロッパの国からすると、そうした態度が怠け者に見えるのでしょう」(加藤出氏) 怠け者ではないらしいが、あまりの楽観主義が、ここまで債務を膨らませてしまったのは確かだ。 ▲△▽▼ ギリシャの真実 2015-07-09 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12048360210.html 相も変わらずといえば、日本国内のギリシャ問題に関する報道が相も変わらず、
「ギリシャ人は怠け者で、公務員だらけで、財政赤字を膨らませたから破綻した!」 といった嘘八百が流れておりますので、訂正しておきたいと思います。 ギリシャ人の労働時間は、OECD諸国の中では最長です。ドイツ人はもちろんのこと、日本人よりも多いのです。
そして、2014年のギリシャ政府はプライマリーバランス(基礎的財政収支)が黒字化していました。 さらに、パパンドレウ政権までのギリシャの公務員数が妙に多かったのは確かですが、今は激減し、主要先進国の中では「日本に次いで」少なくなっています。 【主要先進国の公務員対労働人口比率(%)】 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-12048360210-13360844829.html http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_50.html#OECD
ギリシャ問題については、当ブログ以外では以下の記事がかなり適切かと存じます。 『【オピニオン】ギリシャ危機、金融メディアが語らない10のこと http://jp.wsj.com/articles/SB1046892646275467470810458108512138 ギリシャ人たちが危機に陥っているのは、彼らが怠け者で借金を踏み倒す連中だからだ、というのは正しいか?
結局のところ、彼らは1年に10カ月間しか働かず、14カ月分の支払いを受け取っている。 25歳で引退し、カフェにたむろしてウーゾ(アニスの香りがするギリシャの蒸留酒)をあおっている。 ドイツからの施しで生活し、税金をごまかす。 欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)のトロイカが繰り返し支援しようとしたが、彼らは聞く耳をもたない。そして今や、極端なリベラルに走り、借り入れたカネをびた一文返そうとしない。 それは正しいか?
全く正しくない。 ギリシャ危機について皆さんが教えられているほとんどあらゆるものは、完全なたわごとである。以下はその理由だ。 1.ギリシャ人は既に要請されている以上に緊縮している。(後略)』9238598 WSJの記事でブレット・アレンズは「1」以外にも、以下のポイントを挙げていました。
2.本当の問題はトロイカの薬が効かなかったということだ。
3.引用される「専門家」の発言は、皆バイアスがかかっている。 4.ギリシャは既に破局している。 5.国というものは、財政緊縮でマネーを「創出」できない。 6.本当は、ギリシャのドラクマ再導入は極めて容易だ。 7.本当は、ユーロ無しでもギリシャはやっていける。 8.ギリシャだけがこの危機の原因だったのではない。 9.パニックになるな。 10.トロイカの提案する「治療薬」は無意味だ。 全て、正しいと思います。 上記が「事実」であるにも関わらず、なぜ、
「ギリシャ人は怠け者で、公務員だらけで、財政赤字を膨らませたから破綻した!」 のようなウソが蔓延するのか。 もちろん、緊縮財政を正当化するためです。日本の場合は、 「ギリシャは破綻した。日本も破綻する。だから、緊縮財政」 という、陳腐なレトリックが相も変わらず報道されています。 この手の「ウソ」からいい加減に目覚めなければ、日本もギリシャも経済の縮小と国民の貧困化から逃れられません。 というわけで、皆様もギリシャについて「ウソ」を語っていたり、書いたりしている人を見かけたら、容赦なく「ギリシャの真実」を教えて差し上げて下さいませ。 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12048360210.html
▲△▽▼
昨日のギリシャに関するレトリックは、実に「理不尽」でございますが、その上、問題解決を不可能とします。
ギリシャが財政破綻したのは、生産性が低い状況で関税自主権や通貨発行権を手放し、さらに国債発行に際し、共通通貨で国際金融市場から政府が資金調達しなければならなくなったためです。 ギリシャ政府は、国債を発行する際にドイツ政府やフランス政府と「競争」を強いられたわけでございます。 結果、ギリシャの金利は高止まりし(現在の長期金利は18.9%)、しかも関税と為替レートという「盾」を失っている状況で、生産性向上のための投資が困難な構造に置かれました。ギリシャの問題こそが、構造問題なのです。
ギリシャの構造というよりは、ユーロの構造ですが、ユーロという構造問題を解決するためには、結局は「ユーロという構造」を壊すしかありません。正しい解決策である「ユーロの構造を壊す」ことを防ぐためにも、全てを「ステレオタイプなギリシャ国民の印象」に押し付け、
「ギリシャ人は怠け者で、公務員だらけで、財政赤字を膨らませたから破綻した!」 などと、嘘つきたちが蔓延する結果になったのだと思います。 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12048719130.html ▲△▽▼ 【青木泰樹】ギリシャ危機は対岸の火事ではない 2015/07/11 ギリシャ危機は対岸の火事ではない。
この手の論評が目に付くようになりました。 確かに、私もそう思います。 しかし、ギリシャ危機から何を教訓として学ぶのでしょうか。そこが問題です。 財務省シンパと思われるマスコミの論調は、概ね一致していますね。 一言で言えば、「身から出た錆(さび)」。 ギリシャ危機を招いたのは他ならぬギリシャ自身の放漫財政の結果であると。 放漫財政のツケは必ず払わなくてはならない。まさに今のギリシャ危機がそれを物語っているのだと。 そして例によって、「翻って、日本の場合はどうなのか」というお決まりのパターンが続くわけです。
今回驚いたのは、ギリシャが2014年度に基礎的収支(プライマリーバランス:PB)を黒字化していたことでした(三橋先生が前にブログで指摘されて初めて知りました)。 「我が意を得たり」と思ったかどうかはわかりませんが、マスコミの論調もヒートアップします。 曰く、「ギリシャは日本より財政は健全であったにもかかわらず破綻寸前。ましてや日本は危機目前。早急に財政再建を」となるわけです。 確かに、ギリシャの政府債務対GDP比は180%くらいで、日本のそれは200%を超えています(もちろん幾つかある政府債務の定義のうちの一つの場合ですが)。 また日本は2020年度のPB赤字解消さえ危ぶまれているとマスコミは報じていますから、国民の危機感を煽るにはギリシャ財政との比較は格好の材料なのでしょう。 「消費税再増税も歳出削減も、日本のためなのだ。財政出動などもっての外だ」と言いたいために。 しかし、財政健全化の指標とされる政府債務対GDP比の国際間比較は、実はほとんど意味はありません。 外国と比較して多い少ないではなく、その比率が中長期的に一定の枠内に収まっていれば問題ないのです。 以前、サラリーマンの住宅ローンを組む時の目安は、年収の五倍程度までと言われておりました。 つまり住宅ローン対年収比率は500%までが健全ということです。 もちろん、まだまだ債務を膨張させられると言いたいのではありません。 あまり目くじらを立てるほど神経質になる必要はないと言っているのです。 以前からお話ししているように、国債問題とは民間保有の国債残高が累増し、利払い費が膨張することです。 本年中に日銀は国債発行残高の3割を保有することになるでしょうから、国債問題は事実上解決したのも同然なのです。 後は適当な時期に政府と日銀間で、すなわち広義の政府部門内で処理すれば良いだけの話です。 政府が新しい債券(例えば長期のゼロクーポン債)を発行し、それと日銀保有の国債を交換すれば済むことです(そうすれば、万一金利が上がっても日銀のバランスシートは痛まない)。 それによって民間の債権債務関係が変更するわけではないので、民間経済に悪影響は及びません。 政府債務対GDP比の国際間比較以上に意味がないというか、逆に経済成長にとって最悪なのが「PB目標」、すなわち基礎的収支を単年度で均衡させる財政目標です。 財務省、そのシンパのマスコミ、経済学者、評論家、政治家たちはギリシャ危機から財政再建の重要性を学ばねばならないと考えているのでしょう。 日本も、2020年度のプライマリー赤字解消に向けて9.4兆円歳出削減をしなければならないと息巻いていた自民党の政調会長もいましたね。 その方たちに是非、ギリシャ危機の本質を学んでいただきたい。 まさに対岸の火事ではないのです。 なぜギリシャ危機が生じたのか。その原因は何なのかを。 それは財政均衡主義がもたらした災厄なのです。
まさしく経済思想が現実経済を潰した事例なのです。 欧州委員会(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)という三者、いわゆるトロイカに押し付けられたPB目標を達成しようとして、ギリシャは忠実に増税と歳出削減を履行し、結果的に経済を破綻させました。 5年間でGDPは25%減少しました(日本に置き換えて考えるなら、日本の名目GDPは約490兆円ですから、120兆円以上が消し飛んだことになります)。 失業率も平均で26%超、若年層に至っては60%超です。 若者が希望の持てない、未来のない国にしてしまったのです。 万死に値する所業です。 ここまで経済を破壊して得たものは何か。 若干のPB黒字だけです。 それによって財政再建はかなったのでしょうか、財政破綻の危機は去ったのでしょうか。 とんでもない、PBを黒字化しても財政破綻寸前です。 PB目標の達成は、国家の安寧も財政再建も、何ももたらさなかったという歴史的事実が残ったのです。 これを教訓とせずして、何を教訓とすべきでしょうや。 PB目標の達成のためには、増税と歳出削減しかありません。
しかし、公的支出を削減すれば、総需要が減り、名目GDPが減り、税収も減る。 増税分を国内で使えばまだしも、対外債務の返済に充てれば、ますます名目GDPは減る。 民需か外需が公需の減少した分を補てんするだけ増加しなければ、国民経済は縮小する。 ただの足し算引き算です。 この誰にでもわかることを財務省も、トロイカも、特にドイツのメルケル首相はわからないのです。
それは、「入を量りて、出を制す」という財政均衡主義の原点である個人の経済感覚に根ざすものなのでしょう。 部分だけを見て全体を顧みない。 財政を均衡させれば、万事うまくいくと思っている。 救いのない頑固脳。 そうした経済通念から脱却しない限り、為政者の思い込みによる経済破壊が続くのです。これは本当に人災です。 果たして、財政均衡主義の犠牲となったギリシャはどうなるのでしょうか。 トロイカは、金融支援の替わりにより厳しい緊縮策をギリシャに要求しております。
増税(付加価値税における軽減税率廃止)によってGDP1%分の増収を、そして歳出削減策(年金制度変更)によってもGDP1%分の増収を目指せと言っています。 他に軍事費も4億ユーロ削減せよと要求しております。 ギリシャの国防にまで口を出してきています。 到底、声は届かないでしょうがギリシャのチプラス首相に二つ助言を送っておきましょう。 先ず財政支援に関して。
歳入=税収+国債収入(国債を中心とする借入金)。
歳出=一般歳出(国債費を除く政策経費)+国債費(利払い費および償還費等) ですね。財政赤字は「税収<歳出」です。
他方、プライマリー均衡は、「税収=一般歳出」です。
ギリシャはプライマリー黒字の状況ですから、問題は国債収入が確保できない(金融支援=借金ができない)ということです。
それゆえ借金の返済(国債費)ができずにトロイカに支援を仰いでいるわけです。 この状況を打開するためにチプラス首相はこう言えばいいのです。 「私が金融支援を仰ぐのは(追加の借金したいのは)、あなたたちに借金を返すためだ。」と。 さらに、あなたの右のポケットにあるカネを貸してくれ。すぐにあなたの左のポケットにそれを入れるから」と言えばよいのです。 つまり、トロイカのカネはギリシャ政府経由でトロイカに戻るのです。 トロイカに損はない。 これによってギリシャの銀行は救われ、実体経済をこれ以上毀損することなく、問題を先送りできるのです。 先送りが大切なのです。 世の中には、先送りを嫌悪する人達が一定数おりますが、それは物事の二面性を理解していないことを表明するに等しい。 先送りの対語は、拙速です。 拙速にならずに、じっくりと時間をかけて解決することが適切な場合も多々あるのです。今回のギリシャのケースがまさにそれです。 経済を立て直して、ユーロからドラクマに移行する時間稼ぎが必要なのです。 もう一つ、チプラス首相は緊縮策を受け容れないほうが良いのです。 これ以上、ギリシャ国民に貧困の淵を覗かせてはならないのです。 メルケルに従って、若者の失業を増やしてはなりません。
その代り、次のように逆提案すればよいのです。 「ギリシャは経済成長を成し遂げることによって、トロイカに債務を返済することを約束する。ついては、成長のための資金を融資してくれ。 これまで、トロイカの要求に素直に従ってきたが、結果は最悪だった。経済を潰してしまった。あなたたちの論理でギリシャを救えないことが分かった。 あなたたちもわかっただろう。成長によってのみ、ギリシャは救われ、ユーロも命脈を保つことができる(ただし、一時的ですが)。ギリシャには世界に誇れる観光資源がある。それを中心にギリシャ強靭化計画を実施することで再生を図りたいのだ」と。 もちろん、なかなか難しいでしょう。 ギリシャはユーロ通貨を導入したことで、先の見えない将来を自ら造ってしまいました。 以前の通貨ドラクマのままでいれば、現況以上に再生は可能であったと思います。 厳しい時期が到来しようと、未来に希望が持てれば生きていけるものですから。 ユーロ圏に留まる限り、ひとたび金融支援が滞るとギリシャの銀行システムは破壊されます。 今後も繰り返し、そうした状況が続きます。 それが実体経済にとって最も厳しいことなのです。決済ができないと商売が成り立たないからです。 http://www.mitsuhashitakaaki.net/
|