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(回答先: 音楽の時代は終わった _ 音楽大学卒業生の悲惨な就職事情…オーケストラ、1名の求人に200名以上殺到も 投稿者 中川隆 日時 2019 年 1 月 20 日 14:03:50)
なぜクラシックオーケストラは、「ドレミ」を使わない?ビールも音楽もドイツからの輸入モノ
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28254.html
2019.06.08 文=篠崎靖男/指揮者 Business Journal
青島ビール(「Wikipedia」より)
僕の父親は、昭和10年に中国の青島で生まれました。とはいえ、篠崎家は福岡・博多の家系です。当時、日本軍の支配下にあった青島で、貿易の事業をしていた裕福な家で父は生まれたそうです。
「青島」と聞くと多くの皆さんは、中華料理店でお馴染みの「青島ビール」を思い浮かべるかもしれません。実は、その青島ビールを最初につくったのはドイツ人です。日中戦争の後、欧米の大国が入り込んで来たどさくさのなか、1898年にドイツは青島を含む膠州湾を以後99年間にわたる租借地とし、ドイツ海軍の軍港やヨーロッパ的な街並みをつくりましたが、ドイツ人にとって無くてはならないビール工場もつくったのです。
その後、第一次世界大戦の敗北によってドイツが中国を去ってしまったのちも日本、そして第二次世界大戦後の中華人民共和国と、国は変われども青島ビールをつくり続けてきたのです。2017年にケニアでも販売を始めたことで、世界100カ国・地域で飲まれるビールとなりました。
ちなみに、青島でドイツからそのまま工場を引き継いだ日本のビール会社、大日本麦酒は事業を拡大し、サッポロビールとアサヒビールを製造したこともよく知られています。1999年、アサヒビールと青島ビールが合弁会社をつくり、中国国内で主力商品の「スーパードライ」を現地生産、出荷していることを考えると、歴史の面白さともいえます。
つまりは、日本のビールはルーツをたどれば、ドイツのビールに行き着きます。そのため、日本ではラガービールが一般的になっているのです。最近、流行っているエールビールはイギリスのビールですが、イギリスビールが入ってくる前にドイツビールが日本を席捲してしまったわけです。
日本は長い鎖国時代を経て開国し、待ったなしの状況で富国強兵に取り組んでいました。欧米の列強国の植民地主義により、日本は無理やり開国させられたわけで、いつ、どこの国の植民地になっても不思議ではありませんでした。実際に、インドを含めた東南アジアの諸国は、第二次世界大戦終結までは植民地として大国に搾取し尽くされていたわけで、それから逃れることができたのは日本とタイだけでした。
当時の日本は、欧米諸国のさまざまな技術や文化を急速に取り入れていましたが、ドイツからは医学や法律だけでなく、陸軍システムも取り入れました。ただ、ドイツと違い日本は海に囲まれているので、海軍の充実も必須になります。そこで、同じ島国でもあるイギリスの海軍のシステムを取り入れたのが、現在にも続いています。
もともと、イギリスのヴィクトリア女王が王室ヨットの船乗りの制服として採用したセーラー服が、のちに英国海軍の制服となり、今もなお日本の若い海上自衛隊員が着ているのは、こういう経緯があるのです。ちなみに、日本の国民食ともいえるカレーライスも英国海軍から伝えられています。インドの代表料理のカレーが、当時インドを植民地としていたイギリスに渡り、辛さが抑えられてイギリス風になったものを、英国の海軍兵が軍艦の上で食べていたのです。それが日本海軍にも伝わり、今でも海上自衛隊員は金曜日には必ずカレーを食べるそうです。これが日本全国にカレーライスが広まった経緯とされています。そのため、同じカレーでも、本場インドのカレーとは似ても似つかないものになりました。
■音楽の世界もドイツが席巻
ドイツから日本に伝わったのは、法律、医学、陸軍システム、ビールだけではありません。実は、音楽の専門教育もドイツからの輸入ものです。たとえば、小学校の音楽の授業では、音名を「ドレミファソラシ」と習いますが、オーケストラでリハーサルをする際には、指揮者や演奏者同士で「ドレミ」を使うことはありません。「ここのC(ツェー)の音を短めに」「そこはD(デー)でなく、E(エー)の間違えでは?」と知らない方々には、なんのことかわからない単語が飛び交うのです。この「ツェー、デー、エー」というのは、ドイツ語の音名で、それぞれ「ド、レ、ミ」のことです。
このドイツ語の音名はプロの音楽家だけが使うのではなく、日本全国のアマチュア・オーケストラでも普通に使用しています。実は「ドレミ」は、イタリアやフランスで使われる音名です。そんな経緯もあり、かつてフランスの植民地だったベトナムでは、プロの演奏家も「ドレミ」を使います。
ところが、日本の小中学校の義務教育における音楽教育は、イギリスをルーツに持つアメリカのシステムを取り入れているのです。4月20日付本連載『「君が代」、“国歌”は誤訳?特殊なメロディーの秘密』でも書きましたが、アメリカ人音楽教育者のルーサー・ホワイティング・メーソンが明治政府に招聘されて、音楽教員の育成や、教育プログラムをつくったためです。メーソンは日本の子供たちに西洋音楽を親しんでもらおうと、スコットランドやアイルランドの民謡を教科書に取り入れました。
しかし、音楽専門教育の場でアメリカやイギリスの音楽を教材に使うことはほとんどないでしょう。日本で専門的にピアノを習う場合、教材は「バイエル」「チェルニー」「ソナチネ」「ソナタ集」と進んでいくのが一般的です。このバイエルやチェルニーは、ドイツやオーストリアのピアノ教師の名前がそのままタイトルになっています。ソナチネ、ソナタ集の中身もドイツ系作曲家の曲ばかりです。スコットランドやアイルランド音楽を弾くことはなく、フランス音楽やポーランドの代表的な作曲家であるショパンを弾くようになるまでに、ドイツ音楽をしっかりと叩きこまれます。
これから暑くなるシーズン、時にはクラシック音楽をBGMに、ドイツをルーツに持つビールや、今流行りのイギリスのエールビールをお楽しみ頂くのはいかがでしょうか。おススメはドイツの作曲家・メンデルスゾーンの交響曲第3番『スコットランド』です。ドイツとイギリスが音楽でひとつになっています。
(文=篠崎靖男/指揮者)
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