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赤川次郎 ふたり (松竹 1991年)
監督 大林宣彦
脚本 桂千穂
原作 赤川次郎
音楽 久石譲
主題歌 「草の想い」大林宣彦&FREIENDS
撮影 長野重一
配給 松竹
公開 1991年5月11日
動画
https://www.youtube.com/watch?v=4nw0hgzYAxk
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キャスト
北尾実加 - 石田ひかり
尾道女子中学校の2年生。子供の頃から名前で呼ばれるより「(優秀な)千津子ちゃんの妹」と呼ばれることが多々あり存在感が薄い。何かにつけて優秀な姉と比べられるので、自分に自信が持てずにすぐ諦めようとする性分が身についている。良く言えばマイペースでのんびりした性格だが、作中では「ドジでグズでマヌケな私」と自他ともに認めている。部屋は散らかっており、よく忘れ物や無くし物をしており少々だらしない性格。時々空想にふける夢見がちなところがある。趣味は小説のようなものを書くこと。千津子からは「自分のことを客観視できるのがあなたの取り柄」などと言われている。いつしか智也に淡い恋心を抱くようになる。
北尾千津子 - 中嶋朋子
実加の姉。高校2年生の秋のある朝、たまたま忘れ物をして家に取りに戻ろうとしたところ事故に巻き込まれ亡くなる。その後、しばらくして実加にだけ千津子の幽霊が見えるようになる。実加とは対照的にしっかりもので小さいころから近所では有名だった。学校に入ってからも成績優秀、ピアノも上手く、中学3年生の頃にはマラソンで活躍し、高校生の頃は演劇部で主役を務めるなど周りから一目置かれる存在。作中では万里子から「尾道女子中学校が創立して80年の歴史の中で伝説的な秀才」と言われる。また、実加により「あんなになんでもよくできて明るくて綺麗で、誰からも愛されてこの世で一番幸福だと思える姉」と評されている。ただし本人は「(優秀なのではなく)器用で目立っているだけ」だと自己評価している。
北尾治子 - 富司純子
実加の母。作中ではいつも和装で過ごしている。元々おっとりした性格だったが、千津子が亡くなったことで精神的に弱くなっている。千津子がいた頃はしっかりものの千津子を多分に頼っていた。
北尾雄一 - 岸部一徳
実加の父。落ち着いた物腰の性格。家族想いで千津子を失ったこともあり、情緒不安定気味の治子やマイペースで子供っぽい実加を気にかけている。実加の学校行事やピアノの発表会にも夫婦で見学に来ている。サラリーマンで出張も多く、その後小樽への転勤により単身赴任した。
神永智也 - 尾美としのり
広島工科大学船舶工学科の3年生。生前の千津子の恋人だった。毎年行われている第九の演奏会に来ており、千津子が亡くなる前の年にここで会う約束をしていた。千津子が死んだことを知らずにこの年も演奏会に来て、ここで実加と知り合い、親しくなる。
長谷部真子 - 柴山智加
実加の親友。クラス委員を担当。明るく素直でさっぱりした性格、曲がったことが嫌い。実加に対しては友情に厚く、いつも彼女の味方である。万里子が実加へ嫌がらせをした時は、わざわざ万里子の家まで「討ち入り」と称して実加を連れて押しかけた。
前野万里子 - 中江有里
智也とは、いとこ関係。お互い一人っ子で兄妹のように仲良く育てられてきたため、智也を実の兄のように慕っている。生前の千津子に嫉妬して邪魔に思うようになり、その妹である実加を敵視するようになった。
中西敬子 - 島崎和歌子
実加が高校1年の時に入った演劇部の上級生。
長谷部真子の父 - ベンガル
由緒ある旅館兼仕出し屋を切り盛りしていて、料理を作っている。一人娘の真子をかわいがっている。
長谷部真子の母 - 入江若葉
旅館兼仕出し屋の女将。
前野万里子の母 - 吉行和子
担任の先生 - 奈美悦子心配な実加のことを相談に来た治子に対し、実加は問題無いとした上で「千津子さんはしっかり者だがまだ子供なので気をつけてあげてください」と助言するなど教師として生徒をしっかり見ている。
国語の先生 - 奥村公延
真子の従兄弟の僧 - 林泰文実加を襲う男 - 頭師佳孝街で何度か見かけたことから実加を気に入り、ある時、夜道にあとをつけて襲った。しかしこのことがきっかけで、亡くなった千津子が実加の前に現れるようになった。
運転手 - 大前均
重い木材を積んだトラックの運転手。事故により千津子を死なせてしまう。
治子の主治医 - 竹中直人
明るいキャラクターの医者。母親が入院した時に世話をしに来ている実加のことを「親孝行娘」というアダ名で呼んでいる。
内田祐子 - 増田惠子
坂道の婦人 - 藤田弓子
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北尾実加が中学2年の時、高校2年の姉・千津子は、成績優秀でピアノが上手くスポーツも得意で、高校の演劇でヒロインを務め、教師や同級生からも慕われていて、実加も憧れていた。しかし、ある日の登校中に交通事故に巻き込まれ、突然この世を去ってしまう。ところがその後、死んだはずの姉の声が実加の頭の中に聞こえてくるようになった。姉の声は自分にしか聞こえないけれど、自分を確実に見守ってくれていた。
千津子の死で精神的に不安定になった母、突然単身赴任する父、親友の父の死や心中騒動など、実加の周りでは様々な事件が起こる。姉が得意だったピアノやマラソン、演劇での活躍、そして、恋と友情。姉のアドバイスもあり実加はそれらの困難を乗り越えて次第に精神的にも成長していく。様々な経験を通じていつしか実加が姉の年齢に近づいたとき、父の浮気が発覚。激高した母、家庭崩壊の時、実加が感情的に発してしまった一言で姉の声が聞こえなくなってしまう。
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1991年に映画化された。「新・尾道三部作」の第1作。NHKのテレビドラマとして製作され、テレビ放映後再編集して劇場公開された[4]。当初から劇場公開を想定しており、外部演出家である大林の起用や35ミリフィルムでの撮影などNHK作品としては異例の要素が多い[4]。
原作者の赤川次郎は本作を映画化して欲しくない作品としていたが、大林がそれを承知で交渉に来たと知るとこれを承諾した[4]。映画は原作にほぼ忠実で、赤川自身でさえ限りなく近いので驚いたという。原作では千津子は声のみの出演で姿は現さない設定であるが、映画では千津子が幽霊として姿を現すという設定(ただし実加にしか見えない)になっている。
ハイビジョンの合成による映像も用いて撮影された。駅伝のシーンではフィルムとビデオでの1秒間のコマ数の差を利用した実験的な映像が使われている[4]。
撮影の逸話
福本渡船、浄土寺、千光寺や尾道駅など、尾道の風景が映画の随所に使用されている。北尾家は実在する家が撮影に使用されたが、屋内の撮影についてはロケセットが使用された[5]。
千津子が事故にあうシーンは尾道市の海徳寺下の小さな路地で撮影された。事故を起こすトラックは、あまりに狭い路地のために、トラックの右側半分だけを切断して用いた。落下する木材は発泡スチロールで、千津子はスタントの女性が演じた。本撮影場所は映画公開後も長年花束を備えるファンが絶えなかった[5]。
駅伝マラソンの撮影場所としては、岩子島のトンネルや橋、向島の海岸路などが使用された。
千津子の死を神永智也に伝えるシーンでは、マリンパーク境ガ浜の海上水族館が選ばれ、生演奏のベートーヴェン交響曲9番のコンサートが開催され、その風景と花火大会の映像がデジタル合成された[5]。
スタッフキャスト100人で、千光寺道、大林監督の実家前に撮影で訪れた際、『濹東綺譚』のワンシーンを撮影中の新藤兼人監督の撮影クルーと鉢合わせた[6]。20人ほどのこぢんまりとしたスタッフで淡々と表現できる新藤組に「さすが『裸の島』を撮られた方だ」と大林組一同畏敬の念を抱いたという[6]。
石田ひかりは、NHK朝ドラのヒロインオーディションを落ちたところで、スタッフのメイク担当に紹介され、大林が気に入り例外的にヒロインに抜擢した[7]。その後の朝ドラ『ひらり』のヒロインオーディションに受かった[8]。
撮影期間は大林の映画にしては長い2か月間で、尾道でのオールロケーションのため、主演の石田ひかりは、18歳の夏のまるまる2か月間尾道に住んだ[7]。撮影のない日は自転車で尾道の山坂を駆け回ったり、大好きな海で海水浴やって楽しく過ごせると思っていた。ところが撮影期間はひと夏でも、四季を通じた三年間の物語なので、日に焼けてはいけない。海に入るのもダメ。街へ出る時は日陰を歩きなさいと指示をされた。最初は酷いところに来てしまった、がっかりしたと思っても、あるとき北尾実加としてなら生きられるということに気づいて、喜びを感じ始めたときを待って撮影をスタートさせた[7]。
大林は撮影を通じて石田ひかりに惚れ、19歳の石田ひかりを見てみたいと『はるか、ノスタルジィ』のヒロインに起用した。しかし『はるか、ノスタルジィ』のヒロイン・はるかは北尾実加とは全然違う役で、難しい撮影になった[7]。
中江有里も本作がデビュー作。この映画で苦手のマラソンを克服して長野オリンピックでは聖火ランナーの一人として参加した[9]。
主題歌を歌うのは「大林宣彦&FRIENDS」となっているが、これは大林と音楽の久石譲とのデュエット。作詞は大林が、作曲・編曲は久石が担当している。元々は主演の石田ひかりに歌わせる予定であったが、石田の演技を見た大林が石田を女優として最後まで通させようと考え、自身がピンチヒッターとなった[4]。この曲は劇中でも北尾姉妹たちも歌われており、編曲は異なるが中嶋朋子によるシングルカット版もパイオニアLDCから発売された。
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『ふたり』は、赤川次郎の小説。1989年1月新潮社刊。事故死してしまったしっかり者の姉と、姉に頼ってばかりいた妹との、奇妙な共同生活を温かくつづる。大島弓子がカバーイラストを手がけた。
発行部数は2003年時点で約230万部[1]。赤川次郎の代表的作品であり、本人も名刺代わりの作品であると述べている[2]。本作の後半では父親の不倫話も扱っているが、子どもの読者層に配慮して書かない方がいいのではないかという意見もあったという[2]。しかし子どもだからファンタジーというのは間違いであり、実際に子どもの身にも起こりうることは小説の中で経験しておいてほしいという赤川の思いからそのまま執筆された[2]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B5%E3%81%9F%E3%82%8A
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