http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/218.html
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本当にアメリカの株価が大暴落すると日本の年金は蒸発するのか?
日銀が日本政府の借金分だけ日本円を増刷すれば財政破綻は起こらないので間違っているのは明らかです。
円が暴落したら日本の輸出企業の一人勝ち、欧米とアジアの競合企業はすべて倒産します。
日銀は債務超過になっても全然困らないのです。
日本は大昔から供給過剰の国で、生産施設がすべて焼き尽くされた終戦直後でもハイパーインフレにすらなりませんでした:
GHQ とユダヤ金融資本は戦後の日本を共産化しようとして農地改革、人為的インフレ生成、預金封鎖、日本国憲法制定を行った
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/146.html
生産設備が無傷な今の日本では、円安で原材料価格がいくら高くなっても輸出価格は原材料価格に付加価値をプラスした価格にできるので確実に儲かります。
円安で日本の輸出企業がアメリカ市場を独占してどんどん売れるので輸出総額も増えます。
中国や韓国と同じで、円が暴落すれば日本の輸出企業の一人勝ちになります:
年金運用が失敗しても日本政府が財政破綻しない理由
「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と経済成長ー
平成30年3月7日 講師: 中野剛志 - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=PIVG7XDGrH4
第2回「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と租税ー
平成29年4月27日 講師:中野剛志 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=Zc9-Y5jiIO4
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まず、財政破綻論者の吉田繁治さんの説
年金運用が失敗すると日本政府は財政破綻するという妄想学説ですね:
米株が下がれば日本の年金は蒸発する〜増え続ける世界の負債が経済をダメにする=吉田繁治 2018年9月2日
https://www.mag2.com/p/money/520934
現在の世界の経済問題の基底に、増え過ぎた負債があります。これが様々な現象(通貨の下落、金利の上昇、物価の上昇、GDPの増加率の低下)として現れています。
米国株と運命をともにする日本の年金、この先の世界経済は…
諸悪の根源は「負債の増加」
現在の経済問題の根源には、世界の負債の増加があります。対外負債が、外貨準備より大きな新興国の通貨が、ドルの引き揚げ、つまり、「新興国通貨売り/ドル買い」によって下落し、物価インフレと債務危機を招いています。
ドル建て債務の金額が、価値が下がる自国通貨によって、増えたようになっているからです。
日経新聞の小さなコラムで、世界の負債(政府債務+企業債務+世帯債務)が2京7000兆円に増え、世界のGDP(約8500兆円)の3倍になっているという記事がありました(国際金融協会の集計)。
リーマン危機後の、金融対策費としての通貨増発は、米国FRB、欧州ECB、人民銀行、日銀の合計で$20兆(2200兆円)でした。そのマネーが、比較的金利の高い新興国の債券(国債)の購入になり、新興国の債務を増やしてきたのです。
新興国の国債が売られ、ドルに回帰すると、経済規模が小さい新興国は、簡単に通貨が下がって金利は上昇し、輸入物価が高騰するインフレの危機になって行きます。
GDPが1500兆円(2018年)と、日本の約3倍になった中国の人民元も、経済成長の減速から、元の売りの超過があり、2018年6月の1元17.4円から16.3円(18年8月29日)にまで、6.3%下がっています。
ただし中国では、過去の経常収支(いわば国の利益)の黒字から$3.11兆(342兆円)の、外貨(推計80%はドル債)があり、人民銀行が管理しています。当局が想定していない元安(元の売りの超過)に対しては、外貨準備のドル売りで対抗できるため、元は暴落していません。
重要なことは、中国では、常に「元売り/ドル買い」の動きがあり、何かをきっかけに吹き出すことです。
2015年の、世界の株価の暴落をもたらした元安がこれでした。※筆者注:このときは、1元20円の元高(15年4月)から、15.2円(16年8月)の元安にまで、対円で24%も下げています。通貨の下落は資本集出です。
※参考:http://ecodb.net/exchange/cny_jpy.html
「米利上げ」が新興国を谷底へ突き落とす
トルコのリラ(50%下落)、アルゼンチンのペソ(40%下落)、ブラジルのレアル(30%下落)、インドのルピー(10%下落)、南アフリカのランド(15%下落)では、・政府、中央銀行がもつ外貨準備が少なく、・対外負債の増加になる経常収支は赤字です(下落率はいずれも対ドル:8月14日時点)。
こうした新興国の通貨下落が、2018年6月の、米国FRBによるわずか0.25%のドルの利上げによって起こったのです。
理由は、新興国を含む世界の負債が、特に2008年のリーマン危機以降、GDPの増加率を超えて大きくなってきたからです。(筆者注:FRBは、トランプの意見に反して、18年9月と12月に、0.25%ずつ利上げの予定を言っています)。
企業でも、GDPに当たる売上収益(粗利益)より、負債の増加率が大きすぎることが続けば、利払いと返済の危機から、倒産にも至ります。世帯も、所得より負債の増加が大きいことが続けば破産します。これが負債の意味です。
借り入れが増えることができる間は、いい。信用の一定線を超えて、借り入れと、国債、社債、株券などの債券(=いずれも債務証券)の発行を増やすことができなくなれば、襲ってくるのは返済と利払いです。
もともと足りないから借りていた。マネーが足りない中で、返済と利払いになるので、一挙に金融危機から経済危機になって行く、というわけです。
世界の経済問題の基底は、大きくなりすぎた負債
現在の、世界の経済問題の基底に、2008年以降、増え過ぎた負債があります。これが、様々な現象(通貨の下落、金利の上昇、物価の上昇、GDPの増加率の低下)となって、現れているのです。
日本では、財政赤字から発行が増え続けている国債の問題です。中国では、リーマン危機以降の、輸出急減の中でとられた内需対策の、高い住宅建設を増やした企業債務の大きさの問題です。
米国では、経常収支の赤字の増加からきている対外債務($35兆:3850兆円:2017年)の大きさの問題です。
トランプが、世界に対して輸入課税策(25%課税)を取っているのは、国内の減税(10年で$1.5兆:150兆円)と軍事支出の増加(7兆円増加して73兆円)から、米国の経常収支(貿易収支+所得収支)が、1年に$1兆レベルと大きくなり、対外負債が$40兆に向かっているからです。
対外債務が$40兆になると、3%という低いドル金利でも、利払いが$1.2兆(132兆円)になって、今度は、利払いによる債務の増加になって行くからです。
高い株価は、米国経済の弱点になっている
もう1点、米国の弱点は、リーマン危機以降で3倍に上がった「高すぎる株価」です。
アップルの株価時価総額は100兆円を超え、アマゾンも100兆円に達しようとしてます。米国株の時価総額は、$34兆(3740兆円)にもなっています。
(※筆者注:野村證券 世界の株式市場の時価総額。日本の株価時価総額〈東証一部:17年12月〉は、647兆円であり米国の約1/6です。証券業界は、米国を基準にして日本の株価が出遅れて低すぎとしていますが、本当は米国株が高すぎると認識しています)
根本の原因は、リーマン危機以降の、米国FRBの3度のQE(慮的緩和:$4.4兆)での、マネーの増発です。増加部分が新興国のグローバル生産になった消費財は、輸出原価が低いため、上がらなかった。
たとえば、日本の衣料は1枚単価が、1990年の1/3に下がっています。米国でも同じです。住関連商品と家電、PCも、同じです。上がったのは、株価(3倍)と不動産価格(+50%)です。
※参考:http://www.nicmr.com/nicmr/data/market/stock.pdf
株式は劣後債の負債
株式は、株主による法人の所有権を示す金融資産です。金融資産になるのは市場で売れるからです。この株式は会社にとっては、返済の要らない劣後債の負債です。利払いは、株主からの配当要求分です。
株価が高くなると、高く買った株主は、大きな配当を要求します。これは銀行借入金の金利を、はるかに超える率です。株価には預金保険と日銀が保証している預金(銀行の負債)とは違い、下落のリスクがあるからです。
大きな配当をするには、会社のROE(資本利益率)が高い必要があります。株式は、会社の資本を株主から借りたものであるという認識をもつべきですが、この自覚がある経営者は、実に少ない。
一般に、自己資本という、まやかしの言葉を使っているからです。株主資本であり、会社の自己資本ではない。資本以外の利益準備金も、所有権は株主です。配当を、将来に猶予しているものが、企業が稼いだ利益準備金です。赤字のときの補填金になるので、準備金と言う。
米国株では、個人株主が50%、内外の金融機関・ファンドの持ち株が50%と推計されます。米国の株価が、仮に30%下がると、金融機関とファンド含む株主の金融資産が、「3740兆円×30%=1122兆円」減ってしまいます。
米国株が下がると、日本の年金が蒸発する
わが国の年金も、米国の株価が下がると、一挙に、「年金が消えた」という不安を、国民に引き起こすものになります。一定額を支給する公的年金(年間56.7兆円:2017年)は、国債で運用すべきであり、株のように、価格が大きく騰落するリスク資産での運用は、行ってはならない。
その騰落率は、30%以上になる時期もあるボラティティ部分です。日経平均(225種の株価の単純平均)のボラテリティは、現在は14.48%です。1年で14.48%下がる可能性が68%はあるという意味。14.48%上がる可能性も68%です(18年8月29日)。
※参考:https://www.mof.go.jp/budget/fiscal_condition/related_data/201803_00.pdf(16ページの社会保障給付金の、年金と医療費の項)
しかしもう遅い。国債を日銀に売って、年金基金の50%のマネーで、日米の株を買ってしまったからです。
この問題は、麻生内閣時代の、支給漏れを起こした年金管理の不手際より、はるか大きい。年金問題をもっとも大きな原因として、自民党内閣が吹き飛んだことは、まだ記憶に新しい。その後の、民主党内閣は、2011年3.11の原発事故への対処で嘘を言って、転びました。首相は菅直人氏、官房長官が枝野幸男氏でした。
※参考:http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h29_q4.pdf
公的年金基金のように、大きな金額のポートフォリオ投資では、値動きが反対になるものに、分散投資しなければならない。ところが、米国株が上がれば日本株も上がります。米国株が下がるときは下がります。
年金基金のポートフォリオは、リスクを大きくしている運用であり、公的年金では決して行ってはならないものです。5年後には「なぜこんなことをしたのか」という、大きな責任問題になるでしょう。株価が下がると、年金が蒸発するからです。
年金だけじゃなく「財政全体」が危機に
日米の株価の下落により年金基金が減れば、政府は、もともと、34兆円が赤字の一般会計(2017年度)から、補填しなければならない。
34兆円の新規分の国債発行は、50兆円、60兆円、70兆円に増えて、金利が上がり、財政破産を促進する要素になって行くのです。
日本政府の財政は、金利の上昇だけではなく、日米の株価の下落に対して、耐性がなくなってしまったのです(筆者注:リーマン危機の時、世界の株価は約50%下がりました。これが、金融機関とファンドの資産縮小になったのです)。
株価と運命をともにする日本の年金
金融機関とファンドに預託されている米国の年金基金の金融投資額は、$41兆(4510兆円)と巨大です。世界の年金基金は、$15.7兆(1727兆円:2017年)と大きく、世界中の国債と株にもっとも多くのマネーを投資している主体です。
日米欧が高齢化し、年金保険への掛け金が増えたためです。日本の公的年金の運用機関であるGPIFは、総資金量が、世界の11分の1の156兆円です(2017年)。
わが国のGPIFは、日米の国債と社債、そして株の買い手です。日本株が25%、米国株が25%の運用で、合計50%。株価が上がっているときはいい。GPIFは、利益確定のために、売ることはできません。大口の持ち手になったGPIFが売れば、株価は下がるからです。少しは売っても、ほとんどの株をいつまでも持ち続けるのがGPIFです。
下がるときの損は、大きくなります。GPIFは、今はまだ、10年間の運用で63兆円の含みの保有利益(2017年は10.08兆円)を上げたと誇っています。
しかし米国の株価が下がると、含み利益は吹き飛び、年金不安になって行きます。この収益は、株を高く売って確定した利益ではないからです。
個人の株式運用は、少ない。しかし年金資産を預かるGPIFが、2014年以降、公的資金による株買いのアベノミクスの一環として、株式投資を2倍に増やしたのです。
※参考:http://www.gpif.go.jp/operation/state/pdf/h29_q4.pdf
金融資産の中で、株価が肥大している米国では、株価が30%下がると、株主資産の下落から金融危機になります。
株価の傾向は「上がる」「下がる」のどちらか一方である
2018年、19年、20年、21年と上昇が続くのか、下降するのか。
株価は、長期で、同じ価格で維持されることはありません。「上がる傾向か、下がる傾向か」です。長期の株価を見れば一目瞭然です――
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2019年秋、世界株式市場のバブル崩壊!?いまはまだ認識されていない世界バブルの要因=吉田繁治 2019年1月18日
https://www.mag2.com/p/money/623424
リーマンショックから11年目を迎える今年、バブルの崩壊は間近に迫っているのでしょうか。世界と日本の経済状況と現在の株価について詳しく解説していきます
2019年はリーマン危機から11年目、バブル崩壊のリスクへの考察
2019年秋の危険
現在の投資家の期待との、「認識のズレ」が明らかになって来ると、秋の暴落(S&Pで30%安)があるかもしれません。
現在の株価は(=投資家の意識は)18年7月に始まった米中貿易戦争から、まず中国の経済成長の低下があり、複雑な経路を通ってそれが、世界のサプライチェーンに波及していく実体経済のファンダメンタルズをまだ織り込んでいないからです。
バブル崩壊の始まりは、資産(株価、不動産)の高値の中で、些細に見えることが、自己強化して波及し、ダムの決壊に至るものです。米国のサブプライムローンの不良化も、リーマン危機に至る1年前の2007年には、小さなものでした。
バブルとその崩壊はいずれも行き過ぎる
今回のように、中央銀行が増刷したマネーから生じた過剰流動性の中にある株価は、高くなるときも下がるときも、「行き過ぎ」が起こります。
投資家の期待で売買され、取引市場で日々の価格が決まる株価には、理論価格はあっても「適正価格」はありません。
「現代ファイナンス論」では、理論価格を下の式に示すように考えています。(1997年のノーベル賞のロバート・マートン等、オプション価格を計算するブラック・ショールズ方程式の正当性を証明)
理論価格にも投資家の、将来の期待金利、純益実現の期待リスク率、企業の期待利益という、将来への予想が入っています。実現した純益や金利データからではなく、株を売買している投資家集合の予想が入ってるのです。
わが国の経済紙・アナリスト・証券会社はしばしば、日本の株価は米国に比べて「出遅れている」と論評します。米国に比較したときの予想PERの倍率(株価÷次期予想純益)が11.67倍と低く、PBR(純資産倍率=株価/純資産)も1.08倍と低いからです(19年1月:日経平均225社)。
※参考:日経平均PER 日経平均比較チャート
しかし、この株価は、
・日本の企業の利益と金利の結果ではない
・日経平均225社の将来利益に対する、投資家の予想値が低いことを示す。これが、日本より高い期待値の、米国のPERとの差
この意味で「出遅れ」はありません。
理論株価=(企業の期待純利益の累積額)÷(期待金利+純益のリスク率)
=(企業の期待純利益の累積額)÷期待収益率
=次期予想純益×PER倍率
(注)PER=現在株価÷次期期待純益
(1)企業純益への期待が上がり
(2)予想金利が下がって
(3)GDPへの成長率期待から、利益の実現リスク率が下がると株価は上がる。逆なら株価は下がるというのが、理論株価の方程式の意味するところ
投資家の集合的な心理である将来への期待純益と、その純益の実現のリスク率は、高くも低くも行き過ぎます。日本では、ソフトバンクがそれです。米国の代表はアップル、アマゾン、グーグル、中国ではテンセントやアリババグループです。
これらの企業では、いずれも現在の純益ではなく、将来利益への過剰な期待から株価が作られています。この集合的な心理は、個人の思いとかけ離れることも多い。「集団心理」と表現してもいいでしょう。
価格を決める市場は集団心理
人は集団になると、違った心理になります。国と国の戦争や、チームスポーツを想定すれば、集団心理のありようが分かります。
心理は、自発的で能動的な理性と違い、現象に対する受動的な感情であり、行動を促すものです。同じく行動を促す意思は、理性の領域のものでしょう(カントに基づくものですが、用語は変えています)。
株価・不動産の資産バブルと、バブルの後100%の確率で起こる崩壊も、集団心理が引き起こします。人は影響を及ぼしあって、社会を作っています。国外には脱出できても、社会からは遁走ができないため、バブルとバブル崩壊は一定の時間をおきながら「繰り返し」ます。
交易のない孤島に1人なら社会はなく、本能で食をとる動物のように自然のものはたタダで、資産バブルも崩壊もない。もともと価格がないからです。経済の価格は所有者があり、それを人が買うときのものです。
商取引と価格は、心理が影響し合う社会の中で生じます。経済は、人が影響し合っている社会で起こる商取引です。人の心理は「社会と組織の場」で交流し合っています。組織の空気、社会の空気がそれです(山本七平)。その状態を書くのが経済紙です。
<20世紀から21世紀のバブルの崩壊>
資産バブルの大きな崩壊は、
(1)まず、米国の1929年からの大恐慌
(2)世界大戦(経済的には蕩尽と大規模破壊)を挟んだので61年間起こらず
(3)戦後は、日本の1990年から崩壊した資産バブル
(4)その10年後は、米国の2000年に崩壊したIT株バブル
(5)8年後の2008年は、米国のサブプライムローンの不良債権(デリバティブ)から始まったリーマン危機
いずれも、利下げによる過剰なマネーが資産バブルを引き起こし、不良債権の増加から崩壊しています。
GDPの成長率に対して、マネーの総量(世帯と企業の預金であるマネーサプライ+中央銀行が発行するベースマネー)の増加率が高いことが続くと、過剰になったマネーは、資産(株と不動産)に向かいます。
日本以外の世界では、今、不動産バブルの最中です。日本は、人口減の予想から、ゼロ金利の体制でもさして上がっていない。空き家も820万戸もあり(2013年)、1年に13万戸は増えるので、現在は880万戸〜900万戸でしょう。
そして、数年から10年は、株と不動産が経済非合理的な価格に上がっても、買われ続けてバブルになります。
そのバブルは、(1)金利の上昇、(2)マネー量の縮小、(3)あるいは、高すぎたGDPの期待成長率の低下、といういずれかの要因によって、100%の確率で崩壊します。
マネーは資産であり、負債である
マネーは持ち手にとっては資産です。しかしそれは、借り手にとっては収益からの利払いと返済が必要な、負債です。このため、マネーの過剰な増加は誰かの負債の過剰になり、借り手の収益にとって大きすぎる負債が返済と利払いができず、不良化し、バブルを崩壊させます。
…そして、次のバブル崩壊は、米国と中国の2019年から2020年になるでしょうか。
以前、バブル崩壊を想定していた2021年から22年より、トランプ大統領によって、早まったように思います。資産バブルとその崩壊が、8年から12年のサイクルになっているのは、1990年からはGDPの伸び率より、「資産=負債」の構造をもつ信用通貨の量の増加率が過剰に大きいからです。
(注)世界はいま、株長者だらけです。たとえば、株価の時価総額が、アップルとマイクロフトを超えて1位になったアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスの資産は、時価総額の約15%の15兆円です。今度の離婚で50%分割なら、7.5兆円。想像を絶しますが、1万円札で750トン。大型トラックの10トン車で75台分(!)です。カルロス・ゴーンの偽装報酬もオプション株が多いのですが、検察が誤魔化したとする80億円が可愛く見えます。所得格差の時代であり、これは、株価の高騰が生んだものです。
「過剰な警戒だ」と考える人々も多いかもしれません。立ち直れないくらいの損をしないための、心の準備を述べています。副次的には、ロスチャイルド家が行ってきたように、長期サイクル的な底値で買う機会を見極めるためでもあります。
資産バブルの中では、バブルとは認識されない
資産バブルは、高騰のただ中ではバブルには見えないのが特徴です。1992年までの、地価高騰の狂乱の中で体験しました(東京約4倍)。100人のうちおそらく99人は、「土地は、まだ上がる」と思っていたのではないでしょうか。親族も、バブル末期の土地投資が原因で破産しました。
土地神話という空気に支配されていた財務省は、1992年から地価が下がり始めても、1994年まで「土地はまた上がる」としていました(西村銀行局長など)。「日本は他国とは違い特別だ」というのが土地神話です。今、郊外では「畑も維持できない空き地だらけ」ですが…。
公的年金を160兆円運用しているGPIFの資産リスク(米国株、日本株)が案じられます。理事は、株神話に支配された運用をしています。GPIFの160兆円の所有権は、年金保険金を払っている国民です。GPIFは、運用を委託されているにすぎません。
日米の株を買い過ぎてしまったため(合計80兆円)、今も今後も売るに売れません。大株主になったGPIFが売れば、暴落するからです。世界のどこも行ったことのない日銀による、株ETFの買いの目的と同じです。価値を減らさない運用のためではなく、株価上昇が支える安倍政権の方針を受け、株価を上げるために買ったからです。
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日銀の量的緩和政策は失敗に終わった…目的を果たせなかったのはなぜか=吉田繁治 2018年12月25日
https://www.mag2.com/p/money/612611
日本には現在、4,099兆円の金融資産があります。この資産はどこでどのように使われているのでしょうか。その内訳の詳細から今後の展望について解説します
日本にある4,099兆円のマネーは、どのように投資されているのか
すべての金融資産は、国内と海外の誰かの負債である
当メルマガでは前回、資金の供給源になる世帯(1,848兆円)、企業(1,176兆円)、政府が管理する金融資産(572兆円)と、日銀の負債(503兆円)の内容を見て行きました。
わが国の合計では、現金、預金、株式、証券の合計で4,099兆円のマネーがあるのです。後編では、この4,099兆円が、どの主体に、どんな理由で貸し付けられているのか(=投資されているのか)を見て行きます。
(注)株式も、企業にとっては返済の順位がもっとも低く、解散のときに純資産から返済される「劣後債の負債」です。株の利益配当は、借り入れの金利に相当します。株主にとっては、持ち株は金融資産ですが、企業にとっては預かり資本になる負債です。国債を含む証券は、返済順位が高い優先債です。株も証券も、その持ち手から発行元への貸付金です。この貸付金は、持ち手にとっては金融資産、借り手にとっては負債です。預金は持ち手の金融資産ですが、銀行にとっては負債です。
「すべての金融資産=国内と海外の誰か負債」という構造をもっています。金融資産が価値をもつには負債が返済できるものであり、利払いもできることが必要です。
返済できない負債は、価値の低い不良債権になります。4,099兆円になった金融資産が価値を保ち続けるには、借り手が、増えた負債の返済ができ、利払いができるという条件がなければならない。
この点で、政府の負債である国債はどうでしょう。国債が増えたため、政府は1%以下の低い金利しか払えない。普通の金利は3%から5%ですが、その金利になると、政府は利払いのための借り入れが増えるという「破産の過程」にはいります。
企業は、1985年からの日銀の金融緩和を起点とした土地バブルの時期、返済できない借り入れを増やして、土地を買いました。担保だった土地は1992年から下落し、銀行の貸し出しが、銀行の自己資本合計を超える不良債権になった(約200兆円)。この不良債権のため、1998年の金融機関が倒産する金融危機に至ったのです。
政府の対抗策は、ゼロ金利と国債を買う量的緩和と、銀行への資本注入でした。2008年の米国のリーマン危機と同じです。
企業はその後、借り入れによる増加設備を抑え、借り入れの返済をしました。一方で、負債がどんどん膨らんだのが、政府部門です。
わが国の負債
(1)世帯の負債は318兆円(2018年6月末)
世帯の負債は、住宅ローンと自動車ローン、カード、消費者ローンなど318兆円です。住宅ローンは、2018年で193兆円と集計されています(住宅金融支援機構)。1年に21兆円(130万件)くらいが貸し出されています。平均残存期間は約10年です。
日本の世帯の負債は少ない。一方で、世帯の金融資産は、1,848兆円ですから、「1,848兆円−318兆円=1,530兆円」が負債を引いた純金融資産。1世帯当たりでは2,886万円です。
(2)企業部門の負債は1,736兆円
世帯の貯蓄を借りる企業部門の負債は、借入金と証券(株式を含む)で1,736兆円です。
借入金 396兆円
証券 1,031兆円(うち上場株式589兆円)
その他負債 307兆円(買掛金など)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
負債合計 1,736兆円
負債総額は1,736兆円です。ただし企業は金融資産を1,176兆円持っているので、純負債は560兆円(平均2.2億円)と少ない。
前述したように、土地バブル崩壊以降、設備投資を抑えて、キャッシュフロー(=減価償却費+利益−税金−配当)で、借入金の返済をしてきたからです。
国の資金循環では、GDPの成長期の正常な姿は、
・世帯の預金の増加分を、
・企業が銀行から借り、
・設備投資をすることです。
1980年年代までの資金循環がこれでした。
【世帯の預金と国債発行】
1990年代からは、世帯の預金は1年に約40兆円も増えているのに、企業は借り入れをしない。
誰が預金増加を吸収したのか?政府の国債です。政府が国債を発行して預金増加を吸収し、資産バブル崩壊後のGDPが減少する経済への対策としての公共投資を行った。90年代の10年で400兆円の公共投資というおおきなものでした。90年代から、政府の国債の増発が1年に40兆円と大きくなっています。
・1990年代の10年は、公共投資のための国債発行
・2000年代からは、増えた社会保障費(特に年金、医療費)の支払いが主目的の国債発行
政府の負債は1,291兆円
1990年代から、企業に代わって30兆円から40兆円/年で増えてきたのが、政府の負債です。
【GDPの原理】
「所得=消費+貯蓄」です。「GDP=消費+投資=需要」です。「貯蓄=投資」にならないと貯蓄に見合う投資がない。ケインズが指摘した需要不足から経済は不況になり、失業が増えます。つまり、貯蓄の増加に見合う借り入れがあり、借り入れが投資にならないと、経済は不況化します。
2000年代は企業の借り入れ増は減り、設備投資が減りました。企業は、資金不足の部門から資金余剰のある貯蓄の主体になったのです。
世帯と企業の貯蓄の増加(30兆円〜40兆円/年)を吸収したのは、正常な経済のときの企業ではなく、財政が赤字の政府部門でした。
政府は、国債という負債証券を発行して余剰貯蓄を吸収し、それを財政支出(政府需要)に使いました。
毎年、30兆円から40兆円も大きくなった政府の負債は、2018年6月時点で以下です。
【政府の負債】
借入金 159兆円(金融機関からの借り入れ)
国債残高 1,087兆円(日銀所有が471兆円:営業毎旬報告)
その他負債 46兆円
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政府負債合計 1,292兆円
前稿で述べたように、政府は572兆円の金融資産を「管理」しています。この金融資産は、例えば年金基金(残高170兆円:18年9月末)のように、国民が保険として給料から天引きされて納めてきた国民の所有資産です。政府のものではない。政府はそれを管理しているだけです。
政府管理の金融資産572兆円を政府の負債1,292兆円から引いて、政府の純負債は720兆円とするエコノミストがいます。これは、「所有と、管理での専有」を区分できない誤りです。政府の負債は、1,292兆円から自治体と政府の日銀当座預金を引いたものとみるべきでしょう。
税収を上回る財政支出で、政府負債は年30〜40兆円の赤字に
<政府負債の問題は、償還がなく増え続けること>
政府負債の問題は、税収を上回る財政支出のため、構造的な赤字が1年30〜40兆円で続くことです。
政府の借り入れは毎年30兆円から40兆円は増えていきます。1%分が2.2兆円になる消費税に換算すると、財政赤字は16%分に相当します。
現在、日銀のゼロ金利策のため国債の利払いは9兆円と、とても少ない(2018年度)。残高となっている既発国債の、平均の約定金利が0.9%に低下しているからです。
<利払い額はむしろ減ってきた>
1990年から、国債の残高は6倍に増えましたが、日銀の金利の低下策のため利払い費は変わっていないのです。
政府が国債発行の抑制をしないのは、国債の残高が増えても金利低下のため、一般会計からの国債の利払い額が増えないためでもあります。借金を6倍に増やしても金利が下がって利払いが減った企業と同じです。
<日銀の保有国債は43%>
2012年4月からの量的緩和(日銀が金融機関から国債を買って通貨を発行)のため、国債の1087兆円(地方債を含む)のうち、日銀の保有が471兆円に増え、日銀の構成比は、43%に増えています。
日銀は2019年も、国債を40兆円買い増すでしょう。日銀の国債所有は「471+40兆円=511兆円」になる。毎年の新規国債の発行分に相当する国債は、日銀が買い取っているのです。
新発債分の国債は、事実上、市場引き受け(金融機関の買う受け)ではない。日銀が全額を買い取っているため、金融市場の資金収支では、国債が発行されいないことと同じです。
<出口政策は不可能>
リーマン危機のあとの大きかった金融緩和からの出口政策として、利上げをしている米国FRBと、量的緩和を停止したユーロのECBの方針に反して、日銀は国債の買いを停止して「出口政策」に向かうことはできない。
日銀が国債の買い上げ額を順次減らすテーパリング策を採ると、
・マイナス金利(8年債以下)
・0.093%の金利(10年債)
・0.347%の金利(15年債)
・0.953%の金利(40年債)
である国債の金利が高騰します
(注)国債価格は、金利1%の上昇につき8%(80兆円)下落します。
民間金融機関は日銀が買ってくれない限り、マイナス金利、0.1%の金利、0.3%の金利の国債を発行額分、買うことはない。
<ゼロ金利の国債への入札がある理由>
現在、例えば0.1%の約定金利の国債に金融機関が入札しているのは、直後に、日銀がそれより低い金利で(=国債価格は額面より高く)買ってくれる量的緩和を続けているからです。この買いがあるので、低い金利の国債を買っても日銀への売りで利益が出るからです。
日銀が出口政策に転じ、国債を増加買いしなくなれば、利下げによる国債価格上昇の利益はなくなります。逆に、金利上昇による国債価格の下落リスクが、高まります。国債の利益は、発行金利のみになります。マイナス金利の国債は、買った側が利払いをしなければならない。直接に損をする国債を買うことは、ない。
現在のマイナス金利と超低金利の国債は、もっていれば日銀が買ってくれるという期待から売れているのです。試みに、日銀が国債の買いを2019年4月から停止と発表してみて下さい。
市場の金利は、ほぼ1か月で3%に向かって上がり、国債価格は平均で24%下がるでしょう。
<金利の上昇と既発国債の下落:1%で81兆円>
さらに、出口政策で金利が上がると、1,087兆円の既発国債は1%の金利の上昇につき、7.5%(=81兆円)は価格が下がります。
国債の持ち手(儀日銀と金融機関)には、金利1%上昇につき81兆円の国債時価の保有損が生じるのです。
既発国債の価格下落と金利の上昇(借換債と新発債(合計149兆円:2018年)、利払いの増加による政府財政の破産を避けるためには、日銀は国債の買い増し(=量的緩和)を続けねばならない。
<政府の予定>
政府が語らない予定は、物価の上昇と所得の上昇(=税収が増える)、および消費税の増税により、次第に40兆円の財政赤字を減らして年度予算の国債依存を低下させていくことでしょう。
2019年には、円金利の大きな上昇はない。あっても、わずかでしょう。財政破産もない。2020年はどうか、2021年は?となると怪しくなります。政府財政は、金利が3%になるだけで破産に向かうからです。
対外純投資324兆円(2018年6月末)
日本は、
・貿易収支は時々赤字になっても、年間では黒字である(4.0兆円:2017年)
・海外投資の利回りと海外生産からの所得が約20兆円(2017年)ある
・ほぼ、両者を合計した額である、経常収支は22兆円の黒字です(2017年)
※参考:財務省 国際収支の推移
<国の経常収支と、資本収支の関係>
経常収支の黒字分が、資本収支(現金の流れ)では出超になって赤字になります。経常収支+資本収支=国際収支=0、です。海外の国債の買い、証券・株の買い、海外工場へ投資は資本(=マネー)の海外流出であり、国の資金収支では赤字になります。
(注)メディアや評論家が時々、国際収支が黒字というのは、経常収支というべきことの間違いです。
日本は経常収支の黒字のため海外へ資本を流出し、その資金の赤字の結果が対外資産の残高になっています。株を買うと現金が減る(現金収支は赤字)ことと同じです。一方、借り入れは、資金収支ではお金が入って来るので黒字になります。貸付は現金が減るので、資金収支では赤字です。
海外から日本への投資は、日本にとっては対外負債です。以下のような内容です。
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対外資産 998兆円 対外負債 674兆円
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海外証券 574兆円 円証券 392兆円
対外貸付 156兆円 借入金 181兆円
その他 286兆円 その他 101兆円
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対外純資産 324兆円
この対外純資産の残高324兆円が、資金上では円の海外流出分です。これは対外純貸付といっても同じです。ドル国債を買うことは、米国政府に対する貸付と同じことです。
<円の海外流出>
1995年以降の日本は、世界で一番金利が低い。このため、比較金利(イールドスプレッド)の高いドル国債、ユーロ債を買って来ました。
株も同じです。米国株の値上がりが大きかった。このため、銀行と投資家が米国株を買った。これらの合計が、上表の海外証券574兆円です。
海外貸付の増加も、国内の貸付金利(0.6%)より海外の金利の高いからです(三大メガバンク)。
その他の主なものは、工場の直接投資です(174兆円)。国内の生産コストが高いので、海外生産をするようになってきたのです。
トヨタでは、国内の生産が319台、海外生産が582万台と、1.8倍です。日産はもっと多い。国内生産は102万台、海外生産は4.7倍の474万台です。ホンダも、海外生産が5倍です(2017年)。
これが工場の直接投資です。海外の販売が大きな自動車では、海外工場での生産がはるかに多くなっています。
※参考:自動車産業ポータル 2017年 日系メーカー世界生産台数
2000年以降、国内の設備投資を増やさず、海外に工場投資をしてきたのが日本です。
対外資産998兆円、対外負債674兆円の結果が対外純資産324兆円です。金利の低い円は、海外に324兆円純流出したのです。
長期金利は、「実質GDPの期待成長率+期待物価上昇率」です。1995年以降の23年間、円の金利は世界1低い。これは、日本GDPの成長期待と物価の上昇予想が、主要国で一番低いということです。
(注)タックスヘイブン目的の、海外からの資本流入が多いため、利下げしてスイスフランの買いを抑制しているスイスと並んで低い。スイスの10年債の利回りは-0.159%です。
<海外(特に米国)のための異次元緩和だったのか>
このゼロ金利のため、円は海外に流出しました。日銀の量的緩和の目的は、国内の銀行貸し付けを増やして、企業の投資と世帯の商品需要を増やして、物価を上げることでした。
しかし、国内の貸付の増え方は、異次緩和前の2%〜3%増と同じであり変化がない。異次元と銘打った量的緩和は、2%の物価上昇という政策目的の達成には、完全に失敗しています。
代わりに、経済成長力が日本より高いために、金利のつく海外への貸付と証券購入が増えました。「日銀は海外(特米国)のために量的緩和を行った」と言えるくらいでした。
ここまでは、日本の資金循環の2018年6月時点での残高と、内容の動きです。
次回メルマガでは、金利と国債価格のカギになっている日銀の異次元緩和の先行きを予想します。通貨変動(円高、円安)を含んで、日本経済のカギにもなるものがここにあるからです。米国FRBとECBの金融政策も関連します。
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年金の株運用が失敗しても日本政府が財政破綻しない理由
2019年2月4日
年金運用が赤字でも公的年金が大丈夫なワケ
塚崎公義(久留米大学商学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15259
今回は、久留米大学教授の塚崎公義が、公的年金の運用等々について考えます。
公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、10〜12月期の運用実績が14.8兆円の赤字だったと発表しました。
なんと、運用利回りがマイナス9%だったとのことですが、私たちの年金は大丈夫なのでしょうか。
問題の本質を正しく認識しよう
結論を先に言えば、大丈夫です。
今回の発表は、3カ月間の運用の成績についてのものです。年金運用は長期間にわたって行われているもので、アベノミクスによる株高等々を反映して、運用開始以降で見れば問題なく利益が出ていますので、一喜一憂せず、安心しましょう。
「本稿は以上です」でも良いのですが、せっかくですから、本件に関連する事柄について、いろいろ考えてみましょう。
「そもそも少子高齢化で年金は大丈夫なのか」
「公的年金でリスク資産を持って大丈夫なのか」
「GPIFが儲かった時も同じように大きく報道すべきではないか」
といった所でしょう。
公的年金の基本は賦課方式
日本の公的年金制度の基本は、現役世代が高齢者を支えるというものです。現役世代の払う年金保険料を中心として、毎年の税金も投入して、一部をGPIFの運用資産からも出す、ということですね。GPIFの運用資産は151兆円と巨額ですが、それでも今後何十年間に支払われる年金総額と比較すれば、わずかなものだ、というわけですね。
したがって、年金の将来を考える時に最も重要なのは、GPIFの運用状況ではなく、少子高齢化で現役世代と高齢者の人数比が変化してしまうことです。少数の現役世代が多数の高齢者を支えるのは辛いからです。
これについて筆者は、70歳までを現役とすれば万事解決する、と考えています。皆が70歳まで働いて年金保険料を払い、70歳から年金を受け取るようになれば、年金問題は一気に解決するでしょう。それを「政府による年金制度の改悪だ」と批判することは容易ですが、それは建設的ではありません。
批判している人々を含めて皆が長生きをしてしまうから悪いので、本当に批判されるべきは皆が元気で長生きするような良い薬を開発してしまった医薬業界なのでしょうね。もちろん冗談ですが。
ちなみに、公的年金が破綻しない事については、拙稿
『公的年金は破綻しないから、しっかり頼ろう』
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14470
を御参照いただければ幸いです。
公的年金でリスク資産を持って大丈夫か
「公的年金は国民の重要な資産であるから、安全資産である日本国債で全額運用すべきだ」と考える読者も多いかもしれません。日本人の金融資産の多くが銀行預金等の「安全資産」であることを考えると、「私の金は安全に運用しているのに、政府が我々の年金を危険なものに投資しているのは許せない」と考えている人もいるかもしれませんね。
しかし、銀行預金はインフレが来ると目減りしてしまうので、リスク資産なのです。銀行預金も日本国債も国内株も外貨も外国株もリスク資産なのですから、様々なリスク資産をバランスよく保有する「分散投資」が資産全体としてのリスクを減らすために有効なのです。
世界経済は、長い目で見れば今後も成長を続けるでしょうから、世界中の株に投資しておけば、資産が増えていく可能性が高そうだ、ということも、分散投資を正当化するかもしれません。
日本の場合、遠い将来はドル高になる可能性が高そうだ、ということも外貨の保有を正当化するかもしれません。少子高齢化が進むと、「現役世代は全員が高齢者の介護をしていて製造業で働く若者が確保できない。仕方ないから製品類はすべて輸入する。そのための外貨を大量に購入する必要があるからドル高円安になる」といった可能性があるからです。
ちなみに、銀行預金がリスク資産であるということについては、拙稿
『銀行預金はリスク資産だと認識せよ』
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13008
を御参照いただければ幸いです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15259
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