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ビン・サルマーンを居すわらせれば、トランプ中東政策は傷つくだろう
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2018年11月23日 マスコミに載らない海外記事
2018年11月21日
The Moon of Alabama
諜報機関からの助言に逆らい、トランプ大統領が、事実上のサウジアラビア支配者、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子をそのまま残すことに決めた。この動きが彼のより広範な政策計画に役立つ可能性は少ない。
元CIAの高位アナリスト、ブルース・リーデルは、ムハンマド・ビン・サルマーンに賭けることに長い間警告してきた。ジャマル・カショギ殺人の前でさえ、リデールはサウジアラビアが、ここ50年で最も不安定だと書いていた。 (ここでも)
若き皇太子の判断と能力がますます疑わしくなるにつれ、サウジアラビアの安定性は一層脆弱になっている。ムハンマド・ビン・サルマーンには、王国の未来に疑問を投じさせる、国内、国外での衝動的で無謀な判断の実績がある。 |
リーデルは、トランプ政権が、ムハンマド・ビン・サルマーンに賭け、一枚の疑わしいカードに全てを張ることに警告した。MbSは不安定で、彼自身には多くの内部の敵がいる。もしサルマーン国王が突然亡くなれば、おそらく指導部問題が生じよう。サウジアラビアの混乱状態で終わりかねない。そうなれば、主にMbSを巡って構築されたアメリカ中東政策は崩壊してしまうだろう。
彼がムハンマド・ビン・ナーイフMbN皇太子と交替したため、CIAはMbSが嫌いだった。MbNは折り紙つきの協力実績がある長年のアメリカ資産だ。MbSはどこからともなく出現し、CIAは彼を支配できていない。おまけに彼は実に衝動的で無謀だ。カショギ大惨事の前でさえ、MbSが面倒を意味するのをCIAが懸念していたことが、カショギ殺人に対し、なぜCIAが、MbSを無罪にしようとするトランプの試みを妨害しているかの説明になる。
リーデルがサウジアラビアの危険について書いている間、まずい皇子と提携していた長年のサウジアラビア諜報員ジャマル・カショギは、サウジアラビアにおける政権交代のための広報インフラを作るべく、イスタンブールに向かった。
多作な作家で解説者のジャマル・カショギは「アラブ世界のための民主主義」と呼ばれるグループを立ち上げるため、知識人や改革主義者やイスラム主義者と密かに動いていた。彼は報道の自由を記録・追跡するメディア監視組織の設立を望んでいた。 宣伝ではなく、本物のニュースを強く望んでいるアラブの人々に、厳しい現実を知らせるべく、国際報道をアラビア語に翻訳する、経済に焦点を当てたがウェブサイトの立ち上げも彼は、計画していた。 カショギの手法には、彼が民主主義構築と考えているものの中に、政治的なイスラム至上主義者を含めることもあった。 ・・・。 1月、カショギはデラウェアに民主主義擁護団体DAWNを設立していたともう一人の友人ハリード・サフッリは語っている。プロジェクトは、変化のため、イスラム主義者とリベラル派両方を代表するジャーナリストやロビー集団と連絡することを予定していた。 |
カショギのプロジェクトは伝えられるところでは、カタールに資金供給されていたが、おそらくCIAの支援も受けていただろう。
MbSがそれを嗅ぎつけた。彼は自分の個人事務所のトップ、バデール・アル・アサケルに、カショギ殺害のため、彼のボディーガードを派遣するよう指示した。10月2日に、彼らはイスタンブールのサウジアラビア領事館でそうした。だがそれは余りに大規模で、複雑な任務だった。彼らサウジアラビア工作員連中は余りに多くのミスをした。彼らはトルコ諜報機関も過小評価していた。
トルコはサウジアラビア領事館を盗聴しており、全ての電話会話の記録を持っている。彼らが、エルドアンの公正発展党共同創設者に有力なコネがある、カショギの婚約者から、カショギが行方不明だと知らされると、彼らはテープを巻き戻し、出来事を解明した。殺人者は、報告のため、アル・アサケルに、4回電話をしていた。通話の一つで、任務代表者は彼に「あなたの上司に言ってください」「行為は実行されました」と言った。エルドアン大統領はこのような贈り物を受け取って大いに喜んだ。それが彼に、戦略競争相手に身のほどを思い知らせるのを可能にしたのだ。
サウジアラビアは危険を認めるのが余りに遅かった。彼らの領事館で何が起きたかに関し、彼らはあらゆる種類の信じ難い主張を思いついた。トランプはポンペオ国務長官を派遣し、十分高位の身代わりを探すよう言わせた。
計画は、最上位の連中を安全に絶縁するため、サウジアラビア人ジャーナリスト殺人の責任を、支配者サウド家の無辜のメンバーに負わせるオプションを含んでいたと関係筋はMEEに語った。 |
サルマーン一族はその助言に従わなかった。サウジアラビア検察官は小物連中だけを非難し、起訴した。
トランプは事件の扱いをしくじった。彼は皇太子を訴えることを明らかに望んでいなかった。だが、CIAが機先を制した。公式に、彼自身が命令を与えたと言ってMbSを非難したのだ。
CIAの評価にもかかわらず、トランプはサウジアラビアとの関係を弁護し続けている。トランプ自身が口述した、実にへんちくりんな声明で、ホワイトハウスは殺人に関してムハンマド・ビン・サルマーンの無実を晴らしてはいないが、本質的に「我々はちっとも気にしない!」と言ったのだ。
サウジアラビアを支持するという声明はこれで始まる。
アメリカ・ファースト!
世界は非常に危険な場所だ! イランという国は、例えば、イエメンでの、サウジアラビアに対する血まみれの代理戦争に責任があり、民主政治へのイラクの脆弱試みを不安定にしようとし、レバノンでテロ集団ヒズボラを支援し、シリアで(自身の国民を何百万人も殺した)独裁者バッシャール・アサドを支持し、まだ他にもある。同じく、イランは、中東全体で、多くのアメリカ人や他の無辜の人々を殺した。イランは公然と、しかも大変な勢いで「アメリカに死を!」と「イスラエルに死を!」と語っている。イランは「世界のテロの主要スポンサー」と思われる。 |
トランプ声明は、更にこうしたことを主張している。
・サウジアラビアは、我々に多くの金を約束している!
・何人かのサウジアラビア人がカショギを殺した。
・彼らは連中は悪人だったと言っている!
・MbSはそれを命令したかもしれない。していないかも知れない。
・サウジアラビアとアメリカの良い関係はイスラエルのためになる!
・私が彼らに要求すると、サウジアラビアは石油を汲み出し続けた。
・アメリカ・ファースト!
声明はサウジアラビア王に言及しておらず、ただサウジアラビア王国についてのみ語っている。それは確かに、MbSのための体裁の良いごまかしではない。トランプは、国王のためではなく、サウジアラビア国を支援している。それが、彼らがおそらくそれを憎むだろう理由だ。
事件をこのように隠蔽することに対し、トランプは外国政策提唱者からの多数の批判を受けるだろう。だが、その批判は、実体ではなく、スタイルに関してのものだ。血まみれの独裁者に対するアメリカによる支持は、例外ではなく、決まりなのだ。
だが、トランプが、中東政策全体を、サウジアラビアとの彼の関係に賭けていることは課題を残している。しかも一部は既に失敗しているのに、彼はそうし続けている。
トランプの中東の優先事項はこうだ。イスラエルのための「世紀の取り引き」、イランに対するアラブ統一戦線、武器輸出、安い石油や、アメリカによるシリア占領用の資金調達や、イエメンに対する芳しくない戦争を終わらせることのようなと取るに足らない問題。 これら問題のいずれも成功していない。
-トランプは、女婿ジャレッド・クシュナーを通して、サウジアラビアが彼らを買収する中、パレスチナ人から、あらゆる国家の権利を剥奪するという、イスラエルのための究極の取り引きをまとめることを望んでいる。計画は、トランプが、MbSとの口約束で、アメリカ大使館をエルサレムに移動させた時に失敗した。サルマーン国王が介入し、問題に関するあらゆる更なる協力を止めた。少なくとも彼が生きている限り、「和平案策」に対し、それ以上、いかなるサウジアラビアの支持を得られるかは疑わしい。
-トランプ政権は、サウジアラビアに、カタールと仲良くし、アメリカ指揮下の「アラブNATO」を設立するようしきりに促した。サウジアラビアはそれを拒絶した。カタールは湾岸の専制君主たちが、彼らの支配にとって最大危険と見なしているムスリム同胞団という形の、政治的なイスラム教徒を支援している。
-トランプはサウジアラビアがたくさんのアメリカ武器を買うことを希望した。彼は自分がまとめたと主張する1100億ドル取り引きを自慢している。だが今年の最終的販売はわずか145億ドルだった。MbSが今の地位に出世して以来、サウジアラビアはアメリカから何一つ、値の張る物を購入していない。これをCIAのみならず、国防総省と武器産業も懸念している。
アメリカ当局者は、カショギ殺人における、彼の推測される役割のせいだけでなく、MbSに関しては冷めていた、とサウジアラビアの情報提供者は語った。皇太子が最近サウジアラビア国防省にロシアから代替兵器の供給を検討するよう、しきりに促していることにも、彼らはいらだっている、と情報提供者は語った。 ロイターが見た、5月15日付けの手紙で、皇太子は、国防省が、「最も緊急の分野で、兵器システムと装置を購入することに焦点をあて」、ロシアのS-400地対空ミサイルシステムを含め、それらに対する研修を受けるよう要求していた。 |
-アメリカがイランを制裁する中、市場を安定に保つため、サウジアラビアは石油生産を増やした。だがトランプはイラン原油購入国を免責し、石油価格はバレル当り80ドルから60ドルまで下落した。サウジアラビアはこれに激怒している。彼らは彼らの予算を均衡させるには少なくとも80ドルが必要だ。これで、彼らは生産を削減するだろう。
「サウジアラビアはトランプに非常に腹を立てている。彼らはもはや彼を信頼しておらず、削減に非常に強く反発している。彼らは免責について何の警告も受けなかった」と、ある関係幹部筋がサウジアラビア・エネルギー政策について説明した。 |
サウジアラビアは石油生産を削減するだろうし、トランプはイラン石油購入国に免責を再開しないと、アメリカ経済に損害を与える非常に高い石油価格という危険を冒さなねばならなくなる。
-アメリカの圧力にもかかわらずイエメンに対する戦争は依然続いている。フダイダ港周囲での戦いが、数日間の中休み後、昨日再開した。トランプは最終的に戦争を終わらせるよう、議会から更に圧力を受けるだろう。
-米国による北東シリア占領のため、2.5億を要求されると、サウジアラビアは、わずか1億ドルを渋々支払った。
トランプのリストには、サウジアラビアが本当に首尾一貫して完遂したものは何もない。MbSと彼の同盟は彼には、何の利益もなく、多くの懸念をもたらした。
トランプの主要中東プロジェクトは、イスラエルを支持してのイラン政権転覆だ。彼の主要選挙運動スポンサー、シェルダン・アデルソンはそれを要求している。より強力なサウジアラビアの全面的支援なしでは、プロジェクトは失敗する可能性が高い。
すると、彼はなぜ、まだサウジアラビアとの関係を推進しているのだろう?
サウジアラビアを支持すれば、影響力を得られると与えるとトランプは信じているのだとアサド・アブハリル教授は言う。
ドナルド・トランプは自分の政権に最善のものを欲しがっていると私は感じています。彼は誰でも、最も活用できる人を利用すのです。彼はモハンマド・ビン・サルマーンの首根っこを押さえているのです。もし彼が生き残れば、2人が彼に味方して、彼が破綻しないようにしていたのですから、彼、ムハンマド・ビン・サルマーンは、トランプと、ネタニヤフに大いに恩義を感じるでしょう。その状況ゆえに、ムハンマド・ビン・サルマーンは、政治的、軍事的、財政的に、アメリカ、そしてイスラエルに実に多くの譲歩をするよう義務づけられるでしょう。そうしたものの一部は、今いっそう直接的でしょう。多分彼はイスラエルが占領した国家さえ訪問するでしょう。 |
だが、解放されてしまったら、なぜMbSがそんなことをするだろう? 彼はなぜ強制されているように感じるべきなのだろう? 実際、彼は一体何に「義務を負っている」と感じなければならないのだろう?
もしそれがトランプの計算なら間違っている可能性が高い。MbSがいつかトランプの命令に従うだろうという兆しは皆無だ. MbSは無情な男だ。彼はトランプがそうであるよう要求する従順なポチには決してなるまい。それはアメリカ諜報機関査定でもある。
アブハリル教授はさらにこう続ける。
一方、諜報機関は、ムハンマド・ビン・サルマーンが、政権の一層の安定性に役立つ方向に政権の舵をきることができるとは思っていないのです。結果として、彼らは体制を救うため、むしろ体制を変更したいのです。ビン・サルマーンが、地域におけるアメリカの権益を危険にさらすほど、あまりにも無謀で、考えがあまりにも不安定と判定されることを心配しています。 |
拷問女王、ジナ・ハスペルCIA長官は彼女による評価を議会に提出するだろう。議会に、MbS退陣を要求する多くの激怒する声がある。シオニスト圧力団体は、彼ら全員の買収はできるまい。
トランプ同盟者の一人、リンジー・グラハム上院議員さえ厳罰を要求している。だがグラハムの動機は、思われるほど純粋ではないとフランスの民間諜報メディアは、主張している。
リンジー・グラハム上院議員とMBSに対する彼の絶えない苦情に関し、Intel_Onlineは「彼は上院内のロッキード・マーティンの手の者」だと説明し、技術移転について同意しないため、武器企業が「サルマーン一族」から大きな反対を受けているとしている。サウジアラビア政府系ファンド、PIFにより立ち上げられた国営軍事企業Saudi Arabian Military Industries(SAMI)社が、サウジアラビア王国が技術移転を望んでいるのに、アメリカが拒否しているため、過去2年間、アメリカの貿易提案を拒絶していると同紙は説明している。 |
サウジアラビアと、トランプに対する圧力は減るまい。CIAはその評価に沿って行動するよう強く要求するだろう。軍産複合体は、本物の兵器販売を必要としている。メディアの猛攻撃も同様に継続するだろう。カショギが記事を書いていたワシントン・ポストは、今日、サウジアラビア刑務所の女性活動家たちに対する拷問について報じている。
トルコには既に手持ちテープから新たな詳細を漏洩しており、更なるテープを公開すると脅している。
殺人犯同士の会話、殺人を実行した後のリヤドと彼らの会話 皇太子が直接命令したことを証明するだろう会話、事件における、アラブ首長国連邦(UAE)とエジプト諜報機関の役割、そして実際問題、イスラエル諜報機関「専門技能」、あるいはアメリカ殺人装置についての会話の情報が明らかにされるかも知れない。 |
MbSは、11月末、アルゼンチンでのG20サミットに参加すると発表した。大きなミスだ。トルコもG20メンバーだ。エルドアンは、出席する国家指導者に、そして世界メディアにテープを聞かせる機会として利用しようとするかもしれない。出席者全員が、MbSに距離を置かねばなるまい。それはサウジアラビアにとって、もう一つの広報活動上の大惨事だろう。
トランプは、ムハンマド・ビン・サルマーンをそのまましておくことで、ミスをしている。トランプは、より大きい計画に必要な支持を、サルマーンから決して得られまい。
アメリカは確かに彼を脇に押しやるに十分な影響力を持っている。もしトランプがそうしなければ、他の連中がする可能性が高い。結果は不確実だ。結果は厳しいものかも知れない。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2018/11/keeping-bin-salman-in-place-will-hurt-trumps-policies.html#more
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