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アメリカの軍事基地化するギリシャはイスラエルの天然ガス利権の真ん中に
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201810130000/
2018.10.14 櫻井ジャーナル
ギリシャのアレクシス・チプラス政権は自国をアメリカの軍事的な属国にしようとしている。すでにアメリカやイスラエルとEMA(東地中海同盟)を結び、今年(2018年)春からギリシャのラリサ空軍基地はアメリカ軍のUAV(無人機)、MQ-9リーパー(死に神。プレデターBとも呼ばれる)の拠点として運用されているが、カルパトス島にアメリカ軍とギリシャ軍の基地を建設、アメリカ軍のF22戦闘機の拠点にしようと計画しているという。この島はエーゲ海のデデカネス諸島に属し、ロードス島とクレタ島の中間にある。
軍事的なつながりだけでなく、チプラス政権はギリシャの東北部、トルコとの国境に近いアレクサンドルポリをイスラエルから天然ガスを運ぶためのハブ基地にしようと目論んでいるようだ。
イスラエルの沖で天然ガス田に関する調査が始まったのは2001年。その8年後には地中海の東側、リビア、エジプト、パレスチナ(ガザ)、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャを含む地域に天然ガス田が発見された。
この調査に関わった会社のひとつがノーブル・エナジーで、ビル・クリントン元米大統領は同社のロビイストだった。2016年の大統領選挙でこの会社はヒラリー・クリントンに多額の寄付をしていたとされている。
ノーブル・エナジーは2010年、イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模ガス田を発見したと発表したが、USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。
ヒラリー・クリントンをジョージ・ソロスが操っていることは2016年に漏れた電子メールで明らかになったが、そのソロスはロスチャイルド金融資本と結びついている。イギリスのロスチャイルドを率いているジェイコブ・ロスチャイルドが戦略顧問として名を連ねている会社、ジェニー社は、イスラエルが不法占拠しているシリア領のゴラン高原で石油開発を目論んでいることも知られている。
こうしたことを念頭において、ギリシャの出来事を振り返ってみよう。第2次世界大戦や軍事クーデターで破壊されたギリシャだが、地獄への門を通ったのは2001年。通貨をドラクマからユーロへ切り替えたのだ。
こうしたことはギリシャの財政状況から本来はできないことだったが、その道へ誘い込んだのが。ゴールドマン・サックス。財政状況の悪さを隠す手法をギリシャ政府に教え、債務を膨らませたのだ。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを使い、国民に事態を隠しながら借金を急増させ、投機集団からカネを受け取る代償として公共部門の収入を差し出すということが行われていたという。借金漬けにした後、「格付け会社」がギリシャ国債の格付けを引き下げて混乱は始まった。ヤミ金の手口にほかならない。
そうした操作が続けられていたであろう2002年から05年にかけてゴールドマン・サックスの副会長を務めていたマリオ・ドラギは06年にイタリア銀行総裁、そして11年にはECB(欧州中央銀行)総裁に就任する。ECBが欧州委員会やIMFと組織する「トロイカ」がギリシャへの「支援』内容を決めてきた。
その「支援」とは危機の尻拭いを庶民に押しつけ、債権者、つまり欧米の巨大金融資本を助けるというもの。緊縮財政だ。
ギリシャに対するESM(欧州安定メカニズム)の第3次金融支援が終了し、8年間におよぶ支援を脱却したのだと報道されたが、予定通り進んでも債務の返済にはあと半世紀は必要だとされている。
「支援」の過程で経済は4分の1に縮小、若者や専門技術を持つ人びとを中心に約40万人のギリシャ人が国外へ移住、メンテナンスを放棄したことからインフラを含む700億ユーロ相当の資産が失われた。ギリシャ危機が終わったのではなく、ギリシャという国が終わったのだと言う人は少なくない。
西側支配層が目論んでいることを理解していたギリシャ人は「支援」を拒否、2015年1月に行われた総選挙では反緊縮を公約に掲げたシリザ(急進左翼進歩連合)に勝たせ、7月の国民投票では61%以上がトロイカの要求を拒否した。トロイカの要求に従うと年金や賃金がさらに減額され、社会保障の水準も低下し続け、失業者を増やして問題を深刻化させると考えたからだ。
選挙で勝ったシリザはアレクシス・チプラス政権を成立させるが、それに対してアメリカのバラク・オバマ政権は2015年3月にビクトリア・ヌランド国務次官補を派遣する。この人物はチプラス首相に対し、NATOの結束を乱したり、ドイツやトロイカに対して債務不履行を宣言するなと警告、さらにクーデターや暗殺を示唆したとも言われている。イギリスのサンデー・タイムズ紙は7月5日、軍も加わったネメシス(復讐の女神)という暗号名の秘密作戦が用意されていると伝えていた。
ギリシャ政府にはもうひとつの選択肢があった。ロシアのサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムでチプラス首相はロシアのウラジミル・プーチン大統領と会談、天然ガス輸送用のパイプライン、トルコ・ストリームの建設に絡んで50億ドルを前払いすると提案されているのだ。
結局、チプラス政権はギリシャ国民を裏切り、欧米支配層の利益へ奉仕することになった。ギリシャは現在、イスラエルが支配しようとしている天然ガス利権の真ん中にいる。その利権が庶民のために使われることはないだろう。
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