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第三次世界大戦への道
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2018年9月30日 マスコミに載らない海外記事
イスラエルの危険な行為は全員を脅かしている
フィリップ・ジェラルディ
2018年9月25日
The Unz Review
先週月曜日、シリア沖でのロシア偵察機撃墜に対する最小限のアメリカ・マスコミ報道は、もちろん、関心の欠如と、出来事にイスラエルが関与していたことの反映だ。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストを撃墜の翌朝に読んだり、朝のニュースを見ていたりすれば、人はこの話題に全く気がつかないはずだ。商業マスコミは、既存の外交政策言説を維持しながら、あらゆる代償を払ってもイスラエルを守るという願いは、アメリカ・テレビ・ニュースの特徴でもあり、誰もこれまで聞いたことのない病気のために薬を服用するよう大衆を促す巨大製薬会社のコマーシャルは五分に一度流される。
もちろんイスラエルは、ロシア軍機を撃墜したのはシリアで、“そこから兵器製造システムがイランとヒズボラに送られると思われている”シリア軍施設をイスラエル・ジェット機は正当に標的にしていたのだから無罪だと主張している。引き起こした面倒を多少修復しようとして、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にすぐさま電話し哀悼の意を表した。木曜日、彼はイスラエルから見て一体何が起きたのかの詳細報告をさせるため、空軍トップをロシアに派遣もした。
だがその話は、どのように構成されようとも、必然的に全体の一部に過ぎない。何が起きたかという説明は既にはっきりしている。ロシア偵察機は、シリア沖の地中海上空で、フランス戦艦と、少なくとも一機の英国空軍戦闘機の活動を監視する任務を終えて基地に帰還するところだった。通常の情報収集任務にあたっていた大型で比較的低速のプロペラ推進の飛行機イリューシン 20には、その存在を隠す理由は皆無だった。apparently飛行機は、出来事が起きた際、シリアのフメイミムにある航空基地に着陸する準備をしていた。シリア防空部隊に、“友軍機”であることを知らせるはずのトランスポンダーを作動させていたのか、いなかったのかはわからない。
イスラエルが前日、ダマスカス近くの標的を攻撃したので、シリア防空部隊は厳戒態勢にあった。その際は、兵器を輸送していたとイスラエルが主張する駐機中のボーイング747が標的だった。ついでに、シリア内で一体何を標的にしているのかに関するイスラエルの主張は、決して、単独で検証可能なものではないことにも留意すべきだ。
イスラエル側は、ロシアが使用している航空基地に近いラタキア近くのいくつかの場所に夜間奇襲をおこなうのに四機のF-16戦闘爆撃機を使用していた。彼らは地中海からやって来て、イリューシン 20は、防空レーダーで、ずっと大きな断面積になるはずなので、自分たちの接近を隠蔽するため、明らかにロシア偵察機を利用していた。F-16のレーダー・システムもロシア偵察機をはっきり見えていたはずだ。
シリアは、少なくとも、そのうちの一機が同盟国ロシアのものだと知っているので、近づく飛行機に向けて発射することはないだろうとイスラエルは予想していたかも知れない。そう予想していたのであれば、それは間違いで、実際、誘導システムで、より大きな標的に向けられたシリアのS-200地対空ミサイルが偵察機を撃墜し、乗組員14人を殺害したのだ。イスラエルは爆撃飛行を完了し、基地に帰還した。この応酬中に、沖にいたフランスのフリゲート艦が、何発かのミサイルを発射したという報道もあるが、確認されてはおらずイギリス軍機も領域内とはいえ、この件の範囲外で旋回していたという報道もある。
これには背景もあった。イスラエルとロシア軍は、まさにより大規模な紛争にエスカレートしかねないイリューシン撃墜のような出来事を避けることを狙って、シリア内のアメリカ軍司令部と使用しているものとよく似たホットラインを設置していた。イスラエルは、ホットラインを使用したが、出来事が起きるわずか一分前で、ロシア軍機が回避行動をする時間的余裕がなかったと報じられている。
ロシア国防省は激怒した。国防省は、イスラエルによる偵察機の利用を、意図的な危険性の高い戦略と見なしている。ロシア国防省は“我々はイスラエルによるこの挑発的な行動を敵対的なものと見なす。イスラエル軍による無責任な行動のために、15人のロシア軍人が死亡した。これは、ロシア-イスラエル・パートナーシップの精神に全く反している。我々は適切に対応する権利を留保する”と警告した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はより融和的に、事件は“一連の悲劇的状況”だと述べた。彼は、これを、2015年の計画的で意図的なものだったトルコによるロシア戦闘機撃墜と比較し、イスラエルは実際にイリューシンを攻撃したわけではないとした。控え目に言っても、プーチン発言は、明らかにロシアのイスラエルとの関係は微妙なことを認めているが、だからと言って彼が何もしないだろうことを意味するわけではない。
イスラエル人の多くはロシアからの移住者で、両国の間には密接なつながりがあるが、そうした人々のシリアに対する見方は実に様々だ。プーチンは、イスラエルを、激しい、かなりの方法で反撃したいと望んでいるだろうが、ロシア軍兵力が集中している周辺の防空を格上げ、強化し、今度“奇襲”攻撃したら反撃すると警告するだけとなる可能性が高い。残念ながら、現地では、トルコは言うまでもなく、アメリカやフランスやイギリスやイスラエルの方が火力が遥かにまさっており、紛争をエスカレートさせかねない強烈な反撃は自分の利益にはならないことを彼は知っているのだ。彼は同様に、トルコの手荒な介入を防ぐため、アンカラと協定をまとめようとする中、同盟国シリアと協調して、テロリストが支配しているイドリブ県を奪還する企てを延期した。
しかし、この話には、国際的メディアが、ほとんど無視することを選んだもう一つの側面がある。それは戦争状態にはなく、いかなる形でも攻撃されたり、脅かされたりしていない国イスラエルが、現在ほぼ毎日シリア空襲をおこなっており、過去18カ月で、200回以上にのぼっていることだ。イスラエルは、攻撃は、シリア自身ではなく、イランやヒズボラに対するものだと主張して、攻撃を正当化している。バッシャール・アル・アサド政府を終わらせ、より“民主的”なものに置き換えることも要求しているアメリカ合州国も繰り返している要求であるイランの完全排除が、シリアにおける平和的解決には必要だと、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は主張している。
第二次世界大戦後のニュルンベルク裁判によって、威嚇していない国に向けられた侵略戦争は、究極的な戦争犯罪だと規定されているが、イスラエルだけが、イランとつながっていると往々にして主張する標的に対する奇襲攻撃で、イスラエルが一般市民や兵士を殺害しても、アメリカ合州国と、そのポチ、イギリスとフランスは大してわめかない。シリア国内に違法に駐留し、標的を年中爆撃し、二回の大規模巡航ミサイル攻撃を含め、少なくとも一度は、わなを仕掛けシリア政府側で戦っている多数のロシア人兵士殺害に成功していると報じられているワシントンは自分の過ちを省みず、真っ先に非難するような立場にはないはずだ。
近隣諸国へのイスラエルの干渉、シリア国内とイラン国内で活動しているテロ集団をイスラエルが支援している秘密の戦争というもう一つの側面もある。ネタニヤフ政府には、シリア国内で活動する武装テロリストがおり、負傷した場合、イスラエルの病院で治療さえしている。一度ISISがゴラン高原のイスラエル占領地域をうっかり砲撃した際、後に謝罪した。だから、一体誰がテロを支援しているのかという疑問に対する答えは、真っ先にイスラエルのはずなのだが、ちなみに、やはりテロリストを守っているワシントンによる保護のおかげで、イスラエルは何のおとがめもなしに、そうすることができている。
もちろんイスラエルの行動に対する別の説明がある。イスラエルが、ロシア軍機を隠れ蓑にして、何のおとがめも無しの攻撃が可能になっても、逆にイスラエル政府を支援するため、必然的にアメリカが参入した後、アメリカ合州国との武力戦争を招く可能性が高いモスクワからの報復を招く出来事を生み出しても、どちらでも利益になるとネタニヤフが考えた可能性がある。いずれの場合でも、イスラエルが望むシリア国内の混乱は続き、悪化さえするが、その結果、戦争が地域的、あるいはより広範なものとして拡大する可能性という危険性があるのだ。
いつものことだ。ワシントンによる支援のおかげで、イスラエルは何の報いも受けないことを知っているので、近隣諸国攻撃のような危険なことを実行するのだ。イスラエルの計略によるロシア軍機撃墜は、モスクワとワシントンを巻き込む戦争に容易にエスカレートしかねなかった状況を生み出した。国境周辺の至る所で混乱を生み出そうとする際、イスラエルが本当は一体何を考えているのかは誰にもわからないが、こうした過程が継続するのを許しても、誰の利益にもならないのは確実だ。シリアでのアメリカの関与をやめ、中東における、一見果てしない戦争の連鎖を終わらせるという選挙公約をドナルド・トランプが実行する時期はとっくに過ぎている。
Philip M. Giraldi、Ph.D.は、中東におけるりよ国益に基づくアメリカ外交政策を求める501(c)3課税控除の教育財団Council for National Interestの事務局長。ウェブサイトは、www.councilforthenationalinterest.org、住所は、P.O。Box 2157、Purcellville VA 20134、電子メールは inform@cnionline.org.
記事原文のurl:http://www.unz.com/pgiraldi/the-path-to-world-war-iii/
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