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ドイツとロシアの首脳会談で天然ガス輸送の新パイプライン建設推進で合意
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201808190000/
2018.08.19 櫻井ジャーナル
アンゲラ・メルケル独首相とウラジミル・プーチン露大統領が8月18日、ドイツで会談した。シリア、ウクライナ、イラン、アメリカの関税などの問題を討議、天然ガスのパイプライン、ノード・ストリーム2プロジェクトの推進で合意したという。
ロシアのビボルグからドイツのグライフスバルトを繋ぐノード・ストリームというパイプラインが存在するが、ノード・ストリーム2はそれに並行する形で建設中。この新パイプライン建設を止めようとアメリカの支配層は必死。現在、デンマークが建設の障害になっている。そこで、他の関係国、つまりロシア、ドイツ、フィンランド、スウェーデンはデンマークを迂回するルートを検討していると伝えられている。
バラク・オバマ政権は2014年2月22日、ウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させてビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したが、その目的のひとつはロシアからEUへ天然ガスを運んでいるパイプラインをコントロールすることにあったと言われている。
クーデターの直後、クーデター体制とロシア側との間で天然ガス取引の支払いを巡ってトラブルが発生しているが、EUへの供給を維持する必要からロシアはウクライナ経由のルートを使い続けている。昨年(2017年)、ロシアから西側へ1930億立方メートルの天然ガスが供給されているが、そのうち930億立方メートルはウクライナ経由だった。
ウクライナはポーランドやバルト3国と同じようにアメリカの重要なロシアに対する軍事的圧力の拠点。合法政権との契約を非合法政権に適用する必要はないとする意見もあるが、その契約も2020年まで。ノード・ストリーム2は年間550億立方メートル、建設中のトルコ・ストリームは315億立方メートルを輸送できるとされている。
西側ではロシアがウクライナ経由の輸送を続けていることに疑問を抱いている人がいる。ノード・ストリーム2やトルコ・ストリームに関係なく、ウクライナ経由の輸送をロシアが2020年に止める可能性も否定できない。
オバマ政権が実行したウクライナでのクーデターはアメリカ側が想定していなかった事態を招いた。ロシアと中国の接近だ。現在、両国は戦略的同盟国になっている。この両国はBRICS(ブラジル、濾紙あ、インド、中国、南アフリカ)やSCO(中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタン)の中核。SCOにはアフガニスタン、ベラルーシ、モンゴル、そしてイランがオブサーバーとして参加、正式メンバーへの昇格を望んでいる。そのほかアルメニア、アゼルバイジャン、カンボジア、ネパール、スリランカ、トルコも参加へ前向きの姿勢を見せている。
トルコはシリア侵略でアメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランスなどと手を組んだが、当初の目論見と違ってバシャール・アル・アサド政権を倒せない。2015年9月30日にロシア軍がシリア政府の要請で介入すると戦況は一変、11月24日にトルコ軍のF16がロシア軍のSu24を待ち伏せ攻撃で撃墜するとロシア側は怖じ気づかず、防空システムを強化、シリア領内へ侵入した航空機を撃墜する姿勢を示した。この撃墜があった日にポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問していたこともあり、この攻撃はアメリカ側の命令だったと見られている。
戦争が長引いたことでトルコ経済は破綻状態になり、2016年6月下旬、ロシアに撃墜を謝罪して関係修復を図る。7月13日にはトルコの首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆した。当然、アメリカは怒る。
そして7月15日にトルコでは武装蜂起があった。この軍事行動は短時間で鎮圧されたが、事前にロシアからレジェップ・タイイップ・エルドアン政権へクーデターに関する情報が伝えられていたとも言われている。
このクーデター未遂に関し、エルドアン政権はその首謀者をアメリカへ亡命中でCIAの保護下にあるとも言われているフェトフッラー・ギュレンだとしている。さらに、蜂起の背後にはアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいたとも主張、これ以降、トルコとアメリカとの関係は悪化する。
ジョージ・W・ブッシュ政権もそうだったが、オバマ政権も暴力に頼る政策を推進、裏目に出ている。そうした力尽くのやり方を改め、ロシアとの関係改善を図るべきだとして登場したのがドナルド・トランプだが、大統領に州にして間もない段階で国家安全保障補佐官に就任したマイエル・フリン元DIA局長を解任するなどヒラリー・クリントンを担いでいた勢力に押されている。
トランプ政権も力尽くの政策を採用することになり、前の政権と同じで、裏目に出ている。この点だけを取り上げ、トランプが強硬策でアメリカの置かれた状況を悪くしているのは彼がロシアのスパイだからだと主張する人がいる。1992年2月、アメリカが唯一の超大国になったと考えたネオコンが国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成して以来、単独で力尽くの政策を推進、裏目に出ているのだ。
アメリカの支配層は状況判断を誤り、間違った政策を推進してきた。その苦境から暴力によって脱出しようとして泥沼の中でもがいている。アメリカが負けるはずがないと信じている人びとは、わざと負けているのだということにしたいのだろう。アメリカ信仰は捨てなければならない。アメリカ支配層は自分たちの敗北が避けられず、地獄へ落ちると確信したとき、人類を道連れにしようとする可能性がある。それが最大の懸念材料だ。
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