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ドル体制が揺らぐ中、米国は打つ手が裏目に出てトルコの米国離れは止まらない
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2018.08.11 櫻井ジャーナル
トルコでは、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に近い弁護士がアメリカ空軍のインシルリク基地にいる同空軍の将校何人かを起訴する準備を進めていると伝えられている。2016年7月15日にトルコでは武装蜂起があったのだが、エルドアン政権はその黒幕をフェトフッラー・ギュレンの一派だとしている。
それだけでなく、その背後にはアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいたとトルコ政府は主張している。ボーテルは特殊部隊の出身で、大統領選で勝利したドナルド・トランプに対し、2016年12月にアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を支援し続けるように求めていた。
言うまでもなく、この武装蜂起はエルドアン政権の打倒を目指していた。2011年3月にシリアへの侵略戦争が始まったときからトルコは侵略勢力、つまりアメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、カタールなどと手を組んでロシア軍機を撃墜したりしていたが、戦争が当初の見込みと違って長引き、16年6月下旬にロシアのウラジミル・プーチン大統領に対してロシア軍機の撃墜を謝罪し、7月13日にはトルコの首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆している。武装蜂起はその2日後だった。
クーデターの動きを最初につかんだのはシリアの北部に駐留しているロシア軍の通信傍受部隊。武装蜂起した部隊はエルドアン大統領が滞在しているホテルへ数機のヘリコプターを派遣、大統領を拉致、あるいは殺害しようとしていると、ロシア側はトルコ側へ伝えたとされている。
サウジアラビアから流れてきた情報によると、同国の副皇太子で国防相でもあったモハンマド・ビン・サルマンもクーデターに関与していた。この副皇太子は2017年六月に皇太子となる。この人物と連携しているひとりがアラブ首長国連邦のモハンマド・アル-ナヒャン皇太子。この人物はアメリカへ亡命しているフェトフッラー・ギュレンと関係があり、クーデターを始めるために2億ドルを提供したと主張する人がいる。
かつてギュレンとエルドアンは手を組んでいたが、1999年、ビル・クリントン政権の時にアメリカへ渡り、CIAの保護下に入った。その後、トルコとアメリカとの関係は悪化、西側有力メディアのエルドアン批判も激しくなる。ギュレンはCIAが操る傀儡のひとりということだ。
その一方、エルドアン政権はロシアのウラジミル・プーチン政権とエネルギー・プロジェクトに関する交渉を再開しようとしている。天然ガスを運ぶパイプライン、トルコ・ストリームの建設も昨年(2017年)5月に再開された。
バラク・オバマ政権はロシアへの軍事的な圧力を強め、ロシアとEUとの関係を断つため、ネオナチを使ってウクライナでクーデターを実行したが、その結果、ロシアと中国を接近させることになった。今、両国は戦略的な同盟関係を結んでいる。オバマ政権はリビアやシリアでアル・カイダ系武装集団やムスリム同胞団を使って侵略戦争を始めたが、その過程でトルコとアメリカとの関係は破綻寸前。
ドナルド・トランプ政権はイスラエルやサウジアラビアの圧力でイランを潰そうと計画、ロシア、中国、イランと関係を壊すためにロシアへ接近しようと試みたが、これはオバマ政権やヒラリー・クリントンの背後にいたネオコンに潰された。
支配システムの根幹であるドル体制が崩れ始めていることを認識しているアメリカの支配層は焦っているはず。そうした中、支配層の内紛で状況が悪化するスピードは加速しているようだ。
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