#WSJも共和党不利予想だトランプが、手をこまねいているとも思えないから 日米FFRは、かなり厳しいことになりそうだ https://www.agrinews.co.jp/p44816.html 日米貿易協議 自動車分野焦点に FTA交渉巡り攻防か 2018年08月09日 農政 TPP報道2018年8月 日米両政府は9日午後(日本時間10日午前)、米ワシントンで、新たな貿易協議(FFR)の初会合に臨む。米国側は自動車分野の貿易赤字削減や、2国間の自由貿易協定(FTA)交渉入りを求めてくる可能性がある。日本側はFTA交渉には否定的だが、米国側は自動車の追加関税をちらつかせて、日本側に強硬に譲歩を迫ってくるとみられ、初日から激しい駆け引きも予想される。 茂木敏充TPP(環太平洋連携協定)担当相と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表によるFFRの初会合は、9日午後2時半(同10日午前3時半)に始まる。 焦点は、米側が問題視する対日貿易赤字の8割を占める自動車や自動車部品だ。6月の日米首脳会談で、トランプ米大統領が名指しで不満を示していた。 トランプ政権は、安全保障を理由に輸入自動車への追加関税を検討している。発動されれば、日本経済に甚大な影響が予想されるため、日本政府は「世界経済に破壊的な影響を及ぼし得る」と警戒するが、米国側はこうした措置を取引材料に譲歩を迫る構えだ。 トランプ政権は11月の中間選挙に向けて成果をアピールするため、農業分野でも厳しい要求を突き付けてくる恐れがある。日本は米国産農産物を大量購入している“得意先”で、米国の貿易収支に大きく貢献している。日本側はこうした点を説明して理解を得たい考えだ。 両政府は今後、数回のFFR会合を経て、9月の国連総会時に想定される日米首脳会談で成果を確認する段取りを描く。 ただ、直前になっても初会合の議題は固まっておらず、茂木、ライトハイザー両氏の「現場での交渉になる」(茂木氏)見通しだ。日米の思惑の違いは大きく、協議は10日まで及ぶ可能性がある。 協議内容を注視 全中会長 JA全中の中家徹会長は8日の臨時総会後の会見で、9日から米国で開かれる日米FFRについて、農家には不安があると指摘し、これに配慮するよう求めた。今後の協議内容は不透明だとし、注視する考えを示した。JA自己改革は着実に進展しているとした上で、組合員との対話運動にも力を入れるとした。 FFRに関連し、中家会長は「農家は、FTAにならないかなど、いろいろな心配があるだろう」と述べた。JAグループとして6日、斎藤健農相に加え、茂木敏充TPP担当相と意見交換したと説明。農家の不安について伝え、茂木TPP担当相から「そのことを理解した上で協議する」との返答があったとした。 安倍晋三首相が、対米交渉でTPP以上の譲歩はしないと明言していることを指摘し「そのことを大きな力として、どのような協議になるかを注視していきたい」とした。 JA自己改革は「着実に進展しているという感触を持っている」とした。一方で、JAと組合員の認識に差があると指摘。訪問や業務中の話し合いなど、引き続き組合員との対話運動を展開する必要があるとした。 おすすめ記事 増す農畜産物輸入 官民一体で国産振興を 農畜産物の輸入攻勢が止まらない。財務省の貿易統計によると上半期(1〜6月)の輸入量は野菜、食肉ともに過去最高水準。野菜は春先の作柄不良が響き、食肉は需要の増加分を輸入に奪われた。輸入物の定着が心配だ。実需者と産地の連携強化や、官民一体となった国産振興が必要だ。 米国を除く参加11カ国による環太平洋連携協定の新協定(TPP11)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の合意で、日本農業は一層の市場開放が待ち受ける。国内への影響については、国会の議論が深まらないまま。だが、輸入農産物の脅威は確実に顕在化している。 上半期の生鮮野菜の輸入量は54万7381トンと、2001年の55万トンに迫る高水準。昨秋から今春にかけて国産の品薄高が長引き、飲食店や加工業者が結球野菜を中心に輸入物の調達を大幅に増やした背景がある。 さらに最近の猛暑などで国産の夏秋野菜が高値で推移しており、輸入業者は「通年で輸入量が100万トンを超える可能性もある」と指摘する。例えば秋冬レタスは、国産の不作を機に台湾産が定着しつつある。 食肉輸入も増えている。前年同期比2%増の101万7634トンと過去20年で最多。統計のある1988年以降では2度目の100万トン超えとなり、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意で輸入が異常に増えた96年と同水準となった。 問題は、国内の食肉消費が拡大する中で、低価格と安定供給を売りにした輸入肉が国産の需要を奪っている点だ。総務省の家計調査によると、ここ10年で食肉の年間支出額は21%増、購入数量は18%増えている。輸入量は10年間で31%(49万トン)増え、国内の需要増と輸入の伸びが重なる格好だ。 政府は、TPPも日欧EPAも輸出のチャンスと位置付ける。だが、農畜産物の2017年の輸出入実績を見ると、日本からの輸出額(林水産物を除く)約5000億円に対し、輸入額は10倍をはるかに超える6兆4000億円。日本では人口減が進んでいるにもかかわらず、輸入は右肩上がりの高水準となっている。 これが実態だ。産地が規模拡大に取り組み、コスト削減を進めても、供給面や価格面で優位性のある輸入物に太刀打ちできていない。スケールの違う海外と価格競争をしていては、産地は持たない。 政府は「食料・農業・農村基本計画」で国内生産の維持拡大による自給率向上を掲げる。だが現状は逆方向に突き進んでいる。中でも豚肉の17年度自給率(重量ベース)は、輸入増が響いて49%と過去最低を記録した。 求められるのは生産基盤の維持・拡充と、業務・加工向けに対する中間業者との連携だ。実需の求める「定時、定量、安定価格」にどう応えていくか。自給率向上へ、政府の支援と消費者の理解促進が欠かせない。 2018年08月07日
WSJ社説】
米共和党支持の「大きなうねり」は幻想 中間選挙での共和党大敗を予兆する証拠が積み上がっている オハイオ州の下院補欠選挙に出馬した共和党のボルダーソン氏(左)とその応援にかけつけたトランプ大統領(4日) 2018 年 8 月 9 日 15:21 JST 米共和党は、今のままでは11月の中間選挙で下院の過半数と多数の州知事ポストを失うことになるだろう。これは7日の補欠選挙が示す明確なメッセージであり、しかもそれを裏付ける証拠は増える一方だ。有権者の間では大統領の政策実績より、大統領自身の人物像のほうが影響力をもっており、流れを変えるようなニュースや戦略の変更がなければ、米国が左に傾く(つまり、民主党が優勢になる)結果になる公算が大きい。 オハイオ州での下院の補欠選挙は、暫定投票や期日前投票の開票作業が続いているものの、共和党が僅差で勝利を収めたようだ。だが従来、共和党が強いはずの地域でその差が1%未満というのは、ほとんど強さを示したことにならない。民主党の得票率は、今年の他の全ての補選と同様に急上昇し、共和党候補のトロイ・ボルダーソン州上院議員は、州都コロンバス周辺を含むフランクリン郡(選挙区の一部)では2対1で負ける結果となった。 共和党にとって不吉なのは、このオハイオ州の選挙区ほど共和党が強くない選挙区で現在保持している下院の議席が68ほどあることだ。この大半の選挙区は郊外で、共和党の地盤ではあるが、ドナルド・トランプ大統領の人をいら立たせるやり方や二極化させる政治手法を嫌う有権者が少なくない。民主党は2010年に失った下院の過半数を取り戻すためには、11月に議席数を23伸ばす必要があるが、その3倍ないし4倍の議席が激戦となる可能性がある。 7日には、ワシントン州でさらなる証拠が示された。共和党が議席を保持する2つの選挙区で、期待通りの成果を上げられなかった。下院共和党指導部の一員であるキャシー・マクモリス・ロジャース議員は、混戦模様のスポケーンを含む地区の予備選で47.5%の得票率にとどまり、民主党のトップ候補を大きく引き離せなかった。7期務めている現職の同議員は、依然として秋の中間選挙の有力候補ではあるものの、勝つためには多くの費用を投じる必要があろう。 州レベルでは、知事予備選での民主党の得票数が、共和党を13万7000票上回った。ミシガン州の司法長官ビル・シュエット氏は共和党の知事予備選で、同州副知事のブライアン・カレー氏を打ち負かすために、トランプ氏に取り入った。しかし、マリスト・インスティチュート・オブ・パプリック・オピニオンの最新の世論調査によれば、同州でのトランプ氏の支持率は35%である。一方の民主党は、バーニー・サンダース氏のお気に入りの左派候補よりも、経験豊富な政治家のグレッチェン・ホイットマー氏を知事候補に選出した。共和党のリック・スナイダー州知事の下で州経済が目覚ましく回復したにもかかわらず、州都のランシングは今や、秋の選挙で民主党が獲得できる可能性のある主要地となった。 事もあろうに、カンザス州も同様の状況になりそうだ。知事選の共和党予備選でトランプ氏が支持するクリス・カバ氏が、現職のジェフ・コルヤー氏に対する191票のリードを維持した場合のことである。コルヤー氏は、サム・ブラウンバック前知事がトランプ政権に参加するため辞任した後に知事になった。カバ氏は、カンザスシティー郊外のジョンソン郡の共和党員らに対し、不法移民を国外追放することよりも彼らのことを気にかけていると訴え、彼らを納得させなければならない。 7日の選挙は、この選挙をトランプ大統領に対する信任投票と位置付けるという現在のホワイトハウスの戦略に疑問を投げかけることになった。トランプ大統領は同日遅く、ボルダーソン氏のオハイオ州補選での勝利を自らの功績だと表明した。トランプ氏が4日夜に同州を訪問したことは、恐らく一部の共和党支持者の投票を促しただろう。しかし、まさにこのトランプ氏の訪問が民主党員の行動の誘因となり、一方ではトランプ氏を嫌う穏健な共和党支持者や無党派層の行動をためらわせる要因となったかもしれない。 世論調査会社タランス・グループのエド・ゴイーズ氏によると、同社の調査では有権者の約31〜33%がトランプ氏を明確に支持しており、さらに11%前後はトランプ氏の人格に幾分疑念を持ちながらも、彼の政策とこれまでの成果をより重視しているという。これが、44%前後というトランプ大統領の支持率の説明となる。しかし、別の10%の有権者は、トランプ氏の成果には満足しているものの、人格面をより重視するため、職務評定面で不支持に回っている。 この最後の10%のグループは、下院議席の過半数を維持する上で、共和党候補が郊外地域で確保する必要がある浮動票となる。彼らは、トランプ氏の中傷や、マスコミとの論争、レブロン・ジェームズ氏へのあざけりなどを好ましく思っていない。彼らは、ホワイトハウス内の移民規制強硬派によって引き起こされた家族分断の大失態を嫌っている。 貿易保護主義も、大企業で働く共和党支持者、そしてこうしたスイング選挙区で生活している同党支持者たちのためにはなっていないうえ、関税の負担を感じ始めている。経済と租税に対する共和党政策の数々の成功は、トランプ氏の引き起こす不協和音によってかき消されている。 この政治的な環境の中で、共和党の上院でも占める過半数議席は盤石ではない。共和党議席のうち激戦になるのは3つか4つだけだが、ネバダ、アリゾナ、テネシーの3州を失う恐れがある。共和党は上院過半数を堅持するため、民主党の現職を破る必要がある。それは、こういう年には簡単ではない。 *** 我々が感じているのは、共和党がどれほど危機にあるかを、同党を支持する有権者たちが認識していないということだ。そうした有権者の多くは、自分たちが安心できるメディア報道だけを視聴することで満足している。それは、「レッドウェーブ(共和党の赤い大きなうねり)」という幻想を繰り返し報じ、トランプ氏は勝利できないとメディアが決めつけていた2016年の大統領選挙を思い起こさせるような報道のことだ。だが実際には、メディアのほぼすべては民主党が再び勝つことを望んでいる。16年のサプライズから我々が学んだ教訓の一つは謙虚さだった。 しかし、それは共和党が陥っている苦境の証拠を無視する口実にならない。トランプ氏は16年に、マイケル・デュカキス氏以来の最も弱い民主党候補のヒラリー・クリントン氏を相手にかろうじて勝利した。そのヒラリー氏は今年、(中間選挙に)立候補していない。ミシガン州知事選の予備選で敗退した前出のカレー氏は8日、弁明のつもりで、「これはトランプ大統領の共和党だ」と述べた。11月に答えがでるのは、共和党が過半数を維持した与党でいられるかどうかである。 関連記事 オハイオ州下院補選なお僅差、決着は18日以降に持ち越しへ トランプ勝利州の民主候補、中間選挙どうなる
共和党に警告灯、中間選挙に向けた課題浮き彫り オハイオ州第12選挙区の下院補欠選挙で勝利宣言する共和党のトロイ・ボルダーソン候補
By Reid J. Epstein and Andrew Duehren 2018 年 8 月 9 日 16:36 JST 【ワシントン】全米5州で7日に実施された各選挙は、共和党が郊外でますます苦戦を強いられる状況を浮き彫りにした。11月の中間選挙では僅差の争いになる選挙区が増える可能性がある。 オハイオ州第12選挙区の下院補欠選挙では、共和党のトロイ・ボルダーソン候補が同日夜、僅差で勝利したと宣言した。その差はわずか0.9ポイントだ。ボルダーソン氏は準郊外・地方部で広く支持を集めたが、一方、州都コロンバスとその郊外では民主党のダニー・オコナー候補が大きくリードする結果となった。 ボルダーソン氏は、共和党が使える限りの戦術を全て繰り出したうえで辛うじて優位に立った。オコナー氏と民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務を関連づける広告に500万ドル(約5億5000万円)以上をつぎ込んだほか、投票前には共和党の支持基盤を勢いづけようとドナルド・トランプ大統領も駆けつけて演説した。 それでも最終的には再集計となる可能性がある。共和党内には、数十の選挙区で激戦が予想される中間選挙では同じ作戦が通用しないと警戒する声が出始めている。 一方、オコナー氏の善戦は民主党にとって追い風となる。2016年の大統領選ではトランプ氏が同選挙区を11ポイント差で制しており、同時に実施された下院選でもパット・ティベリ氏(共和)が36ポイント差をつけて再選されていた。 クック・ポリティカル・リポートの8日の分析によると、共和党の現有議席のうちオハイオ州12区よりさらに動向の不確かな議席が68ある。中間選挙で民主党が下院の過半数を奪回するのに必要な議席数は23だ。 ティム・ライアン下院議員(民主、オハイオ州)は「共和党にとってこの結果は(いち早く危険に気づいて人間に知らせる)『坑道のカナリア』だ」と語った。 オコナー氏の選挙戦に関わった民主党関係者は、トランプ氏が4日夜の集会に登場したことが、共和党支持者の投票率上昇につながったと指摘する。ただ、共和党指導部は、トランプ氏が何十もの連邦議会選挙区で同じパフォーマンスを繰り返すことは難しく、全ての激戦区に数百万ドルずつ投じることもできないと危機感を示す。 オハイオ州以外では、大統領の影響力はさほど顕著ではなかった。カンザス州知事選の共和党予備選では投票前日にトランプ氏がツイッターで口を挟んだ。現職ジェルフ・コルヤー氏の対立候補で、州務長官を務めるクリス・コバチ氏を支持するコメントを投稿したのだ。 予備選前の世論調査では両候補がほぼ肩を並べる戦いを演じていた。現時点でコバチ氏がわずかにリードするものの、勝敗の予測はつかない状況だ。 ニュースレター購読 AP通信はオハイオ州下院補選もカンザス州知事選の共和党予備選も、接戦で予断を許さないとして勝者を報じていない。 コバチ候補は以前からトランプ氏との関係が深い。大統領選でトランプ陣営の移民政策の助言者を務めたほか、2016年の選挙で数百万人分の不正投票があったとするトランプ氏の主張に基づく大統領諮問委員会(すでに解散)を率いていた。 カンザス州議会のステファニー・クレイトン下院議員(共和)は、トランプ氏の支持表明の効果は最小限にとどまったと話す。コバチ氏とトランプ氏がかねて親しい関係にあることを有権者は十分承知していたからだ。 「トランプ氏のツイートが事態を好転させるのに役立ったとは全く思わない」と同氏は語っている。 関連記事 【社説】米共和党支持の「大きなうねり」は幻想 トランプ勝利州の民主候補、中間選挙どうなる
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