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トランプ、トルコが米牧師釈放しなければ「大規模な制裁発動」(ロイター)
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/554.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 7 月 27 日 12:04:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

トランプ、トルコが米牧師釈放しなければ「大規模な制裁発動」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/07/post-10676.php
2018年7月27日(金)09時00分 ロイター




 7月26日、トランプ米大統領(写真)は、トルコがテロリズムやスパイの罪に問われている米国人牧師を釈放しなければ同国に対し「大規模な制裁」措置を発動すると述べた。米アイオワ州ペオスタの集会で撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

トランプ米大統領は26日、トルコがテロリズムやスパイの罪に問われている米国人牧師を釈放しなければ同国に対し「大規模な制裁」措置を発動すると述べた。トルコ政府は反発しており、ともに北大西洋条約機構(NATO)に加盟する両国間の緊張が高まっている。

焦点となっているのはトルコに20年以上在住している米国人のアンドリュー・ブランソン牧師。2016年のクーデター未遂事件を起こしたグループや反政府武装組織のクルド労働者党(PKK)を支援したとして起訴され、今月18日にトルコの裁判所が同氏の収監継続を決定している。

トランプ大統領は「偉大なキリスト者で素晴らしい人物であるブランソン牧師を長期にわたり拘束しているため、米国はトルコに対し大規模な制裁措置を発動する」とツイッターに投稿。「ブランソン氏は大変苦しんでいる。信仰心が篤く無実のブランソン氏は直ちに釈放されなければならない!」とした。

これに先立ちペンス副大統領も同様の見解を表明。国務省が主催した宗教の自由に関するイベントで「(トルコの)エルドアン大統領、ならびにトルコ政府に対し、米大統領からのメッセージを伝えたい。ブランソン牧師を直ちに釈放しなければ、代償を払う用意を整える必要がある」と述べた。

ただ、トランプ大統領もペンス副大統領も米政府が具体的にどのような制裁措置を発動するかについては明らかにしていない。

こうした動きに対しトルコの大統領報道官は、米国のこうした姿勢は容認できず、両国間の関係を悪化させるものと批判。報道官は声明で「米国は自国の利益に加え、トルコとの同盟関係をさらに傷付ける前に方針を再考し、建設的になる必要がある」とした。

緊張が高まるなか、トルコ外務省によると、トルコのチャブシオール外相が米国のポンペオ国務長官と会談を行った。ただ会談の内容については現時点では明らかになっていない。

米政府が制裁措置導入の可能性を示したことを受け、外国為替市場ではトルコリラが一時1ドル=4.89リラに下落。ただその後は4.8420リラに回復した。トルコ株式市場のBIST100種指数<.XU100>も一時1.75%下落した。


 

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コメント
 
1. 2018年7月27日 13:52:51 : CMygpTHY2v : xm95vHgVZ4Q[3]
制裁をもって、トルコを脅迫する行為は、明白な内政干渉だ。

> 2016年のクーデター未遂事件を起こしたグループや反政府武装組織のクルド労働者党(PKK)を支援した

PKKは、トルコ国内で、たびたび爆弾テロを行っている。

テロの黒幕が、米国であったわけだ。

トルコ政府は、牧師の体力が弱っているとして、自宅拘束に、切り替えた。


2. 2018年7月27日 19:55:18 : pJ5jF0oi2A : M_Bvt0pfpZQ[35]

つまり釈放は合意済みというお芝居だ。。


3. 2018年7月27日 21:58:52 : E9dZg1sFJc : 4IE@FJrahzs[7]
焦り見せ ついに牙剥く トルコにも

4. 2018年8月05日 08:01:47 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1112]

#これも愚かな政治家を選んだ自業自得だが、他山の石とすべきだろう


 

トルコの短期債償還、外資のつなぎ留めが鍵に
トルコリラ相場(1ドル当たり)
Source: Tullett Prebon Information
Note: Scale inverted to show the weakening lira

By
Christopher Whittall
2018 年 8 月 3 日 13:47 JST
 苦境に立つトルコの金融システムに必要なのは外国人投資家だ。トルコリラの急落は、多少のことでは動じない投資家を除き、トルコ離れが進んでいることを物語っている。
 トルコは新興国の中でも外貨建て債の発行残高が特に多い。その大半は2019年に満期を迎える。リラ安により償還コストは一段と膨らむ見通しだ。
 年初来下落率が25%に達していたリラの対ドル相場は、8月1日と2日にさらに下げた。トルコ政府が米国人牧師の解放を拒否したことを受け、ドナルド・トランプ米政権がトルコの閣僚2人への制裁を発動したためだ。
 トルコへの投資を続けている外国人投資家にとっての問題は、トルコ市場の足元の利回りは高水準だが、それが乱高下相場に見合うかどうかだ。
リラ建てトルコ国債(2019年11月償還債)の利回り

Source: Thomson Reuters
Note: As of 9 a.m ET

  HSBC グローバル・アセット・マネジメントで新興国債券部門の責任者を務めるニシャント・ウパディヤイ氏は、今回の制裁発表前に行われたインタビューで、トルコのせいで「よく眠れない」と明らかにした。
 それでもトルコの債券利回りの高さは、リスクを取ってそれを保有した場合の対価が高いことを意味する。
 これを理由に「当社がトルコから資金を引き揚げるハードルは非常に高い」とウパディヤイ氏は述べた。
 トルコへの投資を続けているのはウパディヤイ氏だけではないが、そうした投資家はますます少数派になっている。海外ファンドの多くはすでにトルコから撤退しており、トルコの各市場ではその形跡が見て取れる。トレードウェブによれば、リラ相場は急落し、ドル建てトルコ国債(2028年償還債)利回りは7.5%へ上昇している。後者は1月時点で5.2%を付けていた。トムソン・ロイターによると、リラ建てトルコ国債(19年11月償還債)利回りは20%を超える(1月時点では13%)。

米国がトルコ閣僚に対する制裁を発動したことで、両国関係は一段と冷え込みそうだ(写真はイスタンブールの船上に掲げられたトルコ国旗、2日) PHOTO: ERDEM SAHIN/EPA-EFE/REX/SHUTTERS/EPA/SHUTTERSTOCK
 今年の新興国は、ドル高や米金利上昇、米中貿易摩擦の激化が重荷となり、総じて厳しい展開となっている。だが、トルコの場合は国内問題も山積している。
 国際通貨基金(IMF)は、トルコの経常赤字の対国内総生産(GDP)比が2018年は5%を超え、20カ国・地域(G20)新興国の中で最大になると予想している。6月のインフレ率は15.4%で、15年ぶりの高水準となった。レジェプ・タイップ・エルドアン大統領による経済掌握が進む中、トルコ中央銀行にインフレを抑えることができるのかと投資家は懐疑的になっている。リラが7月に急落したのは、エルドアン氏が娘婿を財務相に起用するとともに中銀総裁の任命権を獲得したことが背景にあった。
 もう1つの大きな懸念は、トルコの対外債務残高だ。IMFによると、17年末時点でGDP比53%に達している。その3分の1超は1年以内に満期を迎える。40%は変動金利型のため、金利が上昇すれば償還コストも膨らむ。
 トルコの2017年の経済成長率はG20の中でトップだったが、それは部分的な国家保証が付く「信用保証基金」が後押しした面が大きかった。IMFによると、同基金は17年に10倍に拡大され、GDP比でおよそ7%の規模となった。
 こうした債務は国内銀行経由で積み上がったもので、足元では不良債権が増えている。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは、トルコ6大銀行が抱える不良債権は1-3月期に前年比で「大幅に」増加したとし、同6行の資産の質はさらに悪化する恐れがあると警告した。
 トルコの銀行も多くの事業会社と同様、対外債務への依存度が高い。借り換えに失敗した場合、トルコ中銀の外貨準備ではそうした債務も経常赤字も賄いきれないと、アバディーン・スタンダード・インベストメンツのシニア投資マネジャー、ビクター・サボ氏は指摘。「非常に大きな額なので、若干不安だ」と述べた。
対外債務の対GDP比

Source: IMF, World BankNote: As of the end of 2017
トルコ南アフリカメキシコアルゼンチンロシアブラジルインド中国

 サボ氏はトルコへの投資配分をアンダーウエートとしながらも、3年物のリラ建て国債(利回りは20%超)の保有を続けている。今年に入ってからのリラ安で、リラ建て資産の価値はすでに大打撃を受けている。それでもサボ氏は、リラが今後数カ月で20%下落するといった「大暴落」でもない限り、同国債を保有する投資家のリターンが完全に吹き飛ぶことはないと述べた。
 多くの投資家はトルコへの一定規模の投資を続けている。新興大国であるトルコは、投資成績を評価する際の基準となる各種インデックスへの組み入れ比率が高いためだ。これはパッシブ運用のインデックス連動ファンドも同様で、例えばブラックロックのウェブサイトによると、同社が運用する新興国ETF(運用資産135億ドル)の国別国債保有高は7月末時点でトルコが最大となっている。
 HSBCのウパディヤイ氏は、政治危機のさなかにあった数年前のブラジルでの投資を振り返り、ブラジル市場は最終的に持ち直したので、トルコ市場も同様にソフトランディング(軟着陸)するのではないかと期待している。「ストレスというものは、物事に対して高い信念を持つ場合の代償の1つにすぎない」と述べた。


 
 


 

中央銀行の独立は人類の智慧の一つ

シェアする0ツイートする0 2018年08月03日
トルコ中銀の政策金利据え置きでトルコ・リラ安が再燃

中央銀行の金融政策に政治が介入してその独立性を脅かすと、金融市場を混乱させ、国民の利益が損なわれる。そうした実例を今、トルコで見ることができる。トルコ中央銀行は7月24日に開かれた金融政策決定会合で、政策金利の据え置きを決めた。これをきっかけに、為替市場ではトルコ・リラ売りが再び強まったのである。

今回の決定会合は、トルコの中央銀行の独立性を占ううえで、いわば試金石だった。憲法改正で議院内閣制から大統領に権力を集中させた大統領制へ移行した新体制の下、初めて開かれた決定会合であったからだ。6月の大統領選後には、エルドアン大統領は中央銀行の正副総裁と政策委員を大統領が任命すると定めた大統領令を出したうえで、金融政策決定に大統領の権限が及ぶことを強く主張し、また利上げをけん制するような発言を繰り返していたのである。

トルコ中央銀行は、インフレリスクの高まりに配慮すれば政策金利の引き上げで対応するが、大統領の権限が金融政策に強く及んでいるのであれば政策金利を据え置くことを強いられる、と市場は見ていた。


金融政策への政治介入の危うさ

大統領の意向を汲んで中央銀行が今後も政策金利の引き上げを控える場合には、インフレリスクはさらに高まり、それが通貨安傾向を強めてしまうだろう。さらに通貨安が進めば、それが輸入物価を上昇させインフレリスクを高めるといった形で、双方がスパイラル的に進行してしまう。

エルドアン大統領は、政策金利を上げればインフレ率を高める、と発言したことがある。これは、インフレ率が高い局面では政策金利も高い傾向にあるという現象面を捉えたもので、両者の因果関係を取り違えたものではないか。この程度の知識で大統領が金融政策に介入するのは、非常に危険なことだ。

金融政策運営は専門性が高いことから、専門家集団がそれを担い、さらに中長期の観点から通貨価値を守り、国民の利益となるように運営されるのが良い、というのが、中央銀行が政治から独立して金融政策を担うようになってきた歴史の背景にある。こうした認識は長い歴史の中で培われてきた人類の智慧の一端でもある。このような点を踏まえれば、国ごとに制度が異なるとはいえ、一般的に、政府は金融政策の独立性を尊重すべきである。


トランプもいよいよ金融政策に言及

中央銀行に対する政治の関与という観点から、最近もう一つの事例があった。トランプ大統領が、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを好ましく思っていないことを語ったのである。トランプは大統領選の際にもFRBあるいは当時のイエレン議長を明確に批判していた。むしろトランプ大統領が就任後今日まで、金融政策に直接言及しなかったのは不思議なほどだ。それは金融政策以外の分野、例えば税制改革、貿易政策、安全保障政策、移民政策などに関心が向いていたためだろう。

しかしトランプにとっては普通の言動であっても、これは、政府は金融政策に直接意見を言わないという長年の不文律を破るものだ。特に今の局面では、これはかなり危険なことではないか。トランプが乱発する追加関税は、少なくとも一時的には物価上昇率を高める可能性がある。このような局面でFRBの利上げが政治的に妨げられるとの観測が市場に広がれば、それは金融政策がビハインド・ザ・カーブの状況へと陥り、中長期的なインフレリスクを高めてしまうとの見方につながるだろう。それは長期金利の上昇をもたらし、現在フラット化している米国のイールドカーブを一気にスティープ化させてしまう。こうした動きは、新興国からの資金の引き上げなどを通じて、グローバルな金融市場の安定性を大きく損ねてしまう可能性を秘めている。

政府が中央銀行の独立性を尊重するという長い歴史から形作られてきた慣例には、明確な経済合理性がある。政治はこれを十分に理解して、慎重な言動を心掛けねばならない。

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Writer’s Profile

木内登英Takahide Kiuchi
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
専門:内外経済・金融

研究員プロフィール

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ブラジルから逃げ出す富裕層、欲しいのは安全
国民的スターや銀行家、目指すは米国やポルトガル
リオデジャネイロの海岸をパトロールする武装警官 . MAURO PIMENTEL/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By
Samantha Pearson and Luciana Magalhaes
2018 年 8 月 3 日 10:26 JST
 【リオデジャネイロ】ブラジルの俳優、チアゴ・ラセルダさん(40)のライフスタイルは、誰もがうらやむものだ。
 国民的スターであるラセルダさんは、ブラジルでトップクラスの人気を誇る連続ホームドラマに出演している時以外は、リオデジャネイロの楽園のようなビーチでくつろいでいる。
 それなのに国外移住を考えているという。何千人ものテレビスター、銀行家、弁護士などの裕福なブラジル人が国外移住を図っているのと同様に、である。
 政治、経済両面での自国の未来に対する悲観論に加え、銃による犯罪の急増を受け、国外に移住するブラジル人の数は大幅に増えている。彼らは、リスボンの西に位置する高級海浜リゾート、ポーチュギーズリビエラや米国のオーランド、マイアミなどの富裕層の住宅地区に居を移しているのだ。

チアゴ・ラセルダさん PHOTO: RAFAEL MARTINS
 ラセルダさんは「ブラジル国内、特にここリオデジャネイロで起きていることに、ひどくおびえている」と語る。まだ小さい3人の子供の安全を確保するため、一家で欧州に移住すべきかどうか、何カ月も悩んでいるという。「数年後には、子供たちは、銃撃されることを心配せずに外出したい、デートをしたいと思うようになるだろう」
 ブラジル政府は、海外で暮らすブラジル人の数を把握するのに苦労しているが、最近の一連の調査結果は惨めな状況を映し出している。政府統計によれば、10月の大統領選挙を控え、在外投票の登録者数は2014年と比べ41%増えている。
  一方、連邦税務当局に国外移住通知を提出したブラジル国民の数は昨年2万1700人に達し、当局が移住データを集計し始めた2011年の3倍近くに膨らんだ。
 中米諸国では、犯罪組織による暴力から逃れたり、職探しをしたりするため米国に逃れる不法移民が多いが、ブラジルでは海外に移住しようとするのは同国のエリートであるケースが多い。「それは、まさにブラジルを変えられる立場にある人々である」と、サンパウロにあるビジネススクール「Insper」の公共政策センター所長を務めるナエルシオ・メネーゼス・フィリォ氏は指摘する。
人口10万人当たりの殺人事件の件数

連邦税務当局に提出された国外移住通知の数

国を出たいと考えている人の割合

出典:ブラジル地理統計院(殺人件数)、連邦税務当局、ダッタフォーリャ社の世論調査(5月9日〜14日実施、対象2090人、誤差プラスマイナス2.0ポイント)
注:月収2500ドル(約28万円)を上回る世帯
56%5243高等教育の学位保持者富裕層(注)ブラジル国民全体

 ブラジルの世論調査機関ダッタフォーリャが6月に発表した調査結果によると、月間世帯収入が2500ドル(約28万円)を超える富裕層のうち国外移住を希望しているのは約52%で、高等教育の学位保持者では56%に達した。回答者全体では海外に移住できればそうしたいと望んでいる人は43%に上っている。
 「ブラジル人がかつてこの国に抱いていた希望は消えてしまった。多くの人は今や、これから数年間、状況は変わりそうもないとの結論を下している」。メネーゼス・フィリォ氏はそう分析する。
 国民の最大の懸念は暴力で、とりわけリオデジャネイロではそうだ。破産状態の州政府は基本的な装備をした警官を配備するのに四苦八苦している。ゲートのある塀に囲まれた高級住宅地に住み、ボディーガードに守られ、防弾ガラスのスポーツカーの中にいても、もはや安心できないと富裕層は言う。 
 麻薬組織と治安部隊との撃ち合いによる流れ弾で、多数の負傷者も出ている。3月には、リオ市内の有名私立学校の校内で、母親の腕に抱かれていた赤ちゃんに流れ弾が当たる事件もあった。地元市民が日没を見に行く場所として知られる高級住宅地のウルカ地区では最近、岩の上に6人の遺体が打ち上げられていた。
 市内で電子商取引のマネジャーを務めるマルセロ・カイオ・コヘア・デ・メロさん(37)は、今月末に妻と2人の子とともにポルトガルに移住する予定だが、その一番の理由が治安の悪さだと話す。
 「今年初めにオフィスにいたところ、突然外で大きな爆発音がして、誰もが飛び上がった。警察から逃走中の犯罪者が放った手りゅう弾だった」と言う。それから2、3カ月後には、父親が銃を持った複数の男たちに銃を突き付けられた。
 ブラジルの経済・政治の見通しが暗いことも、若者たちの心理的重荷になっている。今年の経済成長率は1.5%になる見通しだが、失業率は12%を超える。世論調査のダッタフォーリャによると、16歳から24歳の若者たちのうち、およそ62%は可能なら移住したいと述べている。
  UBS ブラジル部門のチーフエコノミスト、トニー・ボルポン氏によると、ブラジルの若者たちは、高い税金を払わなければならないが、政府から恩恵をほとんど受けていない。政府支出の大半が年金に使われるからだ。高学歴の人たちにとって、同国を去ることは、「良い選択のように見えている」と同氏は指摘する。
 米国は依然として、ブラジル人の最大の移住先となっており、ブラジル外務省によれば、国外に住む推計300万人のブラジル人のうち、3分の1以上が米国に住んでいる。
 ブラジル南部生まれのビニシウス・バルボサ・ダシルバさん(20)は「そこ(米国)では物事がうまく行っている。インフラは(ブラジルよりも)良いし、物価はそれほど高くない」と述べ、数年後に米国に移住するつもりだと語った。
 しかし、ブラジル人たちのいわゆる「プランB」(次善の策)の移住先に急速になっているのが旧宗主国のポルトガルだ。ポルトガル移民・国境局によれば、同国には現在、8万5000人のブラジル人が住んでおり、外国籍の住民の中では最大規模だ。
 日系ブラジル人は先祖の国である日本に戻るのがしばしばだ。英国はもう一つの移住人気国で、スイスも同様だ。特にスイスは、ブラジルで最も裕福なホルヘ・パウロ・レマン氏の第2の故郷だ。同氏がスイスに移住したのは1999年のことで、サンパウロで学校に行く途中だった同氏の子どもたちを、銃を持った複数の男たちが誘拐しようとしたためだった。
 ブラジル人たちが先を争って出国を急ぐ中、同国の労働市場における移民の数が2016年に減少した。この10年で初めてのことだ。8年前にブラジルに移住した米国のビジネスマン、ジョゼフ・ウィリアムズさんはブラジル人たちから「なぜここに来たのか」と尋ねられるという。
 サンパウロで不動産助言会社と投資会社を経営しているウィリアムズさんは、「(ブラジルは)問題の多い市場だが、さまざまな機会も提供されている」と述べた。
 前出のメロさんは、ポルトガルでの生活を楽しみにしていると述べた。それは例えば、路上で携帯電話に出ることができる生活だ。リオでは、携帯を盗まれる恐れがあるため、路上では通話しないという。

リオデジャネイロのコパカバーナビーチで警備に当たる治安部隊(4月) PHOTO: ERBS JR./AGIF/ASSOCIATED PRESS
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https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/07/post-10638.php
インフレ率100万%、ベネズエラの失政スパイラル
Venezuela Inflation to Hit 1 Million Percent This Year

2018年7月25日(水)17時58分
デービッド・ブレナン


ハイパーインフレ進行中というのにマドゥロ大統領は紙幣を刷り続ける(首都カラカス、2018年3月)

<IMFの予測ではベネズエラのインフレ率は年内に100万%に達する見込み。すでに生活条件の悪化から、100万人以上が国を捨て、近隣諸国へ逃げだしている>

高い失業率、食料不足、減少する燃料備蓄、基本的な医薬品の欠如......すでにたいへんな苦境にあるベネズエラ。国際通貨基金(IMF)はこのほど、同国のインプレ率は2018年末までに100万%に達する可能性があると警告した。

ベネズエラのインフレ率はすでに高水準で、通貨ボリバルの価値は今年、史上最低にまで下落しかねない。危機的状況にもかかわらず、ベネズエラ政府は原油価格の急落による国家予算の穴を埋めるために、紙幣を印刷し続けている。

IMF西半球部門のアレハンドロ・ワーナー局長によれば、現在のベネズエラの状況はハイパーインフレにより国内通貨の価値が失われた1930年代のドイツや2000年代初めのジンバブエに匹敵する。

史上最悪の月間インフレ率を記録したのは、1946年のハンガリーのハイパーインフレだった。当時の通貨ペンゲーのインフレ率は4京1900兆%、物価は15.3時間ごとに倍増した。

ワーナーはブログで、ベネズエラの2018年の経済成長率はにマイナス18%で、2019年はさらにマイナス5%になると予測した。ワーナーは現在の状況を「深刻な経済・社会的危機」と評した。

「経済活動の崩壊、ハイパーインフレ、公共財の供給不足、補助金つきの食料の不足が、大規模な国外への移住につながっている。近隣諸国にも大きな影響を与えるだろう」と、ワーナーは指摘した。

経済統計の公表は停止
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、生活条件が悪化し、経済は回復の兆しを見せないため、すでにベネズエラから100万人以上が脱出した。UNHCRの推定では、ベネズエラを出国する移民は1日約5千人に達し、その多くが隣国コロンビアに向かう。

ニコラス・マドゥロ大統領は経済改革の実施を拒み、現在の危機を、国内の反政府派がアメリカやその他の競争相手国と手をくんで仕掛けた「経済戦争」のせいだとしている。政府機関は、国の崩壊の本当の姿を隠すために、経済統計の公表を停止している。

2015年12月以来、公式のインフレ率は公表されていないが、野党主導の国会は、5月のインフレ率は2万4600%を超えたと発表した。

ブルームバーグは独自に、ベネズエラの首都カラカス東部にあるベーカリーのコーヒー1杯の値段を調査し、経済指標として使っている。「カフェ・コン・レチェ指数」と呼ばれるこの指標によれば、過去12カ月間でインフレ率は6万%上昇した。上昇はさらに加速しており、過去3カ月のインフレ率は年率で30万%を記録した。

通貨の崩壊により、海外からの食糧や燃料、医療品の輸入もままならず、もともと低い生活水準はさらに悪化している。国の保健当局に適切な予防や治療のための資源がないため、麻疹やマラリアも流行している。

国民を飢えさせないため、マドゥロは今年4回、最低賃金を引き上げた。ロイター通信によれば、最低賃金は月300万ボリバルに達しているが、闇市場の為替レートではわずか1.14ドルだ。マドゥロはまた、食料価格の高騰に対抗するため労働者に追加の食事券を配ると約束した。


180731cover-200.jpg<本誌7/31号(7/24発売)「世界貿易戦争」特集では、貿易摩擦の基礎知識から、トランプの背後にある思想、アメリカとEUやカナダ、南米との対立まで、トランプが宣戦布告した貿易戦争の世界経済への影響を検証。米中の衝突は対岸の火事ではない>

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https://jp.reuters.com/article/venezuela-barter-idJPKBN1JV0SW
2018/07/06 - [リオチコ(ベネズエラ) 5日 Reuters] - カリブ海に面したベネズエラ北部の町リオチコでは、真昼の太陽の下、十数人の漁師が近くのラグーンでその日捕った魚を売ろうと客を待っている。だが、彼らは現金を手に入れようとしているのではない。


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3 時間前 - ベネズエラのインフレ率はすでに高水準で、通貨ボリバルの価値は今年、史上最低にまで下落しかねない。 ... IMF西半球部門のアレハンドロ・ワーナー局長によれば、現在のベネズエラの状況はハイパーインフレにより国内通貨の価値が失われた1930年代の ...


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2018/07/10 - カリブ海に面したベネズエラ北部の町リオチコでは、真昼の太陽の下、十数人の漁師が近くのラグーンでその日捕った魚を売ろうと客を待っている。だが、彼らは現金を手に入れようとしているのではない。 捕ったボラやタイを、小麦粉や米、食用油などと交換しよう ...


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経済危機のベネズエラで国民がやせ細っていく | ワールド | 最新記事 ...
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9660.php
2018/03/03 - 石油依存経済が破綻して物質不足が深刻化。飢えに苦しむ国民の体重が11キロも減少している>. 経済破綻と食料不足にあえぐベネズエラで深刻な数字が明らかになった。17年の1年間で国民の体重が平均11キロ減少し、貧困率は90%にも上るというのだ。


また、1人。赤ちゃん「餓死」の国、ベネズエラの絶望|「粉ミルクさえあれば ...
https://courrier.jp/news/archives/110868/
2018/01/30 - 父親が夜明け前に家を出て、病院の霊安室に向かった。骨と皮だけのようになった息子の遺体を引き取り、自宅の台所に持ち帰った。そこには葬儀費用を出せないベネズエラの貧困家庭を助けている葬儀師がいて、遺体にエンバーミング処置をほどこしてくれた。


ハイパーインフレで物々交換経済状態のベネズエラ。国主導で仮想通貨を ...
diamond.jp/articles/-/162268
2018/04/02 - 今回は、深刻な経済危機下で国主導で仮想通貨「ペテロ」を発行したベネズエラで活動する日本人、本間敬人さんとの対談の後編 ... それなので貧困層はもちろん、一般のベネズエラ人も、外貨を持ってない人などは、必要な物さえ手に入れることが困難です。


焦点:ベネズエラに経済崩壊の危機、原油減少に歯止め掛からず | ロイター
https://jp.reuters.com/article/venezuela-oil-idJPKBN1F80K3
2018/01/19 - 南米の産油国ベネズエラは、経済を支える原油の生産量が昨年28年ぶりの水準に落ち込んだ。 ... ベネズエラは既に貧困層が日々の食べ物を手に入れるのに苦労しているが、原油生産が減少すれば景気後退とハイパーインフレは一段と厳しさを増すだろう。

ベネズエラ大統領「国民が貧困で平均9 も体重落ちてる!せや、食用 ...
gabareki.blog.jp/archives/18685064.html
2017/09/16 - 1: 風吹けば名無し@\(^o^)/ 2017/09/15(金) 19:08:54.30 ID:BDUo808p0 なおベネズエラの国民は配られたうさぎを名前付けたり一緒に寝たりして可愛がってる模様 2: 風吹けば名無し@\(^o^)/ 2017/09/15(金) 19:09:15.72 ID:UdDTflOy0かわいい5: ...

【ベネズエラ】貧困地区に食用ウサギを提供するもペット化する事態に ...
pcci.jp ? Youtube全般
2017/09/17 - sssp://img.2ch.net/premium/6931153.gif 「肉不足」で平均体重激減のベネズエラ、国主導でウサギ繁殖計画. 2017/09/14 17:29(カラカス/ベネズエラ) 【9月14日 AFP】未曽有の経済危機に見舞われている南米ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas ...


ベネズエラ経済危機:一杯のカフェオレが1年半で100倍以上の価格に ...
agora-web.jp/archives/2031732.html
2018/03/22 - ベネズエラの全国民が貧困に喘いでいるのである。 ベネズエラのハイパーインフレの推移を理解するのに、アルゼンチン紙『iProfesional』は首都カラカスのカフェテリアでのカフェオレの価格を例に挙げている。 2016年9月に450ボリバルであったものが、1年 ...


【国際情報分析】中南米一豊かだったベネズエラで「難民」急増 かつての ...
https://www.sankei.com/world/news/180331/wor1803310007-n1.html
2018/03/31 - ベネズエラでは13年3月に反米左翼の急先鋒として鳴らしたチャベス前大統領が病死し、後継指名されていたマドゥロ氏が副大統領から大統領に昇格。貧困対策として公共住宅の大量建設などに取り組んだが、バラマキ政策に加えて外貨収入の9割を依存する ...


大混乱のベネズエラ経済 深刻な食料不足、市民に直撃:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASK8G6CYKK8GUHBI01T.html
2017/08/16 - 国会の権限を上回る制憲議会の招集が強行された南米ベネズエラで、経済の混乱が深刻化している。政府の経済政策の ... ベネズエラ、新憲法めぐり混迷 選挙強行で衝突、死者も ・ 混迷ベネズエラ、逃れる人々 先住民ら貧困層、徒歩で隣国へ. 今、あなたに ...


“食べ物が手に入らない” 混迷深めるベネズエラ | 国際報道2018 [特集 ...
https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2017/10/1024.html
2017/10/24 - 松岡「ベネズエラは歴史的に富裕層と貧困層に国が二分されてきましたが、チャベス前大統領とマドゥーロ大統領は富裕層を敵視して『自由競争の経済』に背を向け、貧困層に手厚い『社会主義的な経済』を目指しました。 まず、貧困層もモノを買えるように、政府


 


飢えるベネズエラ、壊れた豊かな国(前編)インフレ率720%、食料輸入は70%減り栄養失調がまん延する
栄養不足で入院した1歳のジャン・ピエールちゃんを抱く母親のマリアさん(4月5日、カラカス)MIGUEL GUTIERREZ FOR THE WALL STRET JOURNAL
By
Juan Forero
2017 年 5 月 9 日 12:54 JST 更新
 【ヤーレ(ベネズエラ)】ジャン・ピエール・プランチャールちゃんは1歳。しかしその顔は老人のようにやつれて、すすり泣くような泣き声しか出ない。肋骨が浮き出た体はたった11ポンド(約5キロ)の軽さだ。
 母親のマリア・プランチャールさんはごみの中からやっと見つけた食べ物――鶏肉やジャガイモのかけら――で子どもに栄養を摂らせようとした。プランチャールさんは今、カラカスの病院で、コメと牛乳のスープが息子の命をつないでくれるようにと祈っている。
 「息子は眠り続け、どんどん弱っていった。体重は減り続けた」とプランチャールさん(34)は言う。「ベネズエラがこんなふうになるなんて考えたこともなかった」
 ベネズエラはかつてラテンアメリカで最も豊かな国のひとつで、食料も輸出していた。だが今では民間農場の国有化と価格統制、通貨統制で身動きが取れなくなり、国民を養うための成長率も確保できない。

A Mother’s Struggle to Feed Her Son in Venezuela

ジャン・ピエールちゃんの母親マリアさんはごみをあさって子どもの食べ物を見つけようとした。ベネズエラ国民の多くはいま飢えと栄養不足に苦しんでいる(スペイン語音声、英語字幕あり)Photo: Miguel Gutiérrez for The Wall Street Journal
 ベネズエラのインフレ率は世界で最も高く、国際通貨基金(IMF)の推計では今年、720%に達するとみられている。これでは家庭が収入の範囲で生活することはほぼ不可能だ。投資銀行トリノ・キャピタルによると、2013年以降、同国経済は27%縮小し、食料輸入は70%減った。
 子連れを含む多くの人々がごみをあさっている。1年前にはほとんど見られなかった光景だ。地方に住む人たちは夜になると、木になっている果物から地面で育っているかぼちゃまで農場にあるものはなんでも盗み出し、種や肥料の不足に苦しむ農家に追い打ちをかけている。食料品店は略奪の被害に遭い、家庭では冷蔵庫に南京錠をかけている。
 社会科学者が毎年実施している生活水準に関する全国調査によると、昨年、体重が減ったと回答した国民は4人に3人。平均減少幅は19ポンド(約8.6キロ)に上る。人々は怒りとユーモアを込めてこれを「マドゥロ式ダイエット」と呼んでいる。同国のニコラス・マドゥロ大統領にちなんで命名されたものだ。
 ベネズエラ国民は1カ月以上前から、専制主義を強めるマドゥロ政権に対する抗議デモを続けている。報道によると、今月5日までに35人を超える市民が混乱によって死亡した。食糧省や大統領府、通信省、外務省に電話や電子メールで本稿のためのコメントを要請したが、回答はなかった。
 医師で子どもの栄養失調の専門家リビア・マチャド氏は「政府にとって、ベネズエラに栄養失調の子どもは存在しない」と話す。「現実には栄養失調がまん延している。誰もがこの状況に注目すべきだ」
 カラカスのドミンゴ・ルチアニ病院に運ばれてくるやせ衰えた子どもは劇的に増加している。マチャド氏ら医師チームはその目撃者だ。
 政府の左翼運動が長らく人気を集めていたヤーレなどカラカスの南に位置する町でも、事態は変わらない。11歳のセルジオ・ヘスス・ソルハスくんは「食べるためにときどき肉屋に行って、『もらえる骨はありますか』と言うんだ」と話す。
 セルジオくんは教区の司祭から栄養ミルクやベネズエラ伝統のトウモロコシパンを受け取っている。肉は何カ月も口にしておらず、「何も食べないときもある」と語った。

赤ん坊が重度の栄養失調状態にあると母親に話す医師のマチャド氏(4月5日、カラカス) PHOTO:MIGUEL GUTIERREZ FOR THE WALL STRET JOURNAL
 カトリックの慈善団体カリタスとスサナ・ラファリ氏率いるグループはベネズエラの状況を注視している。ラファリ氏は中米のグアテマラやアフリカなど飢餓に苦しむ地域で働いてきた食糧緊急事態の専門家だ。カリタスがヤーレなど4つのコミュニティーで5歳未満の子ども800人を対象に行った最新の調査によると、死に至る可能性のある重症の急性栄養失調に苦しむ子どもは今年2月の時点で全体の11%近くに上り、10月の8.7%から急増した。またおよそ5人に1人の子どもが成長の阻害を引き起こす慢性的な栄養失調状態にあるという。
 「深刻なのはわれわれが危機の入り口にいることではなく、急速に今のような状態に至ったことだ」(ラファリ氏)
 世界保健機関(WHO)の基準では、カリタスの調査で判明したベネズエラの現状は政府による緊急援助の手配が必要な危機に相当する。しかし当局は外国からの食料や支援の申し出を受け入れようとしない。
 悪化の一途をたどる栄養失調に拍車をかけているのは、医療の崩壊と蚊が媒介する病気のまん延、それにベネズエラ薬学連盟によると、深刻な医療品不足だ。
必需品すら手に入らない
 昨夏、ベルキス・ディアスさんの目の前で、生まれたばかりのわが子、ダニー・ナバちゃんは弱っていった。食料不足のせいだった。祖母のアルベルティーナ・エルナンデスさんによると、粉ミルクもなく、ディアスさんは母乳が出なかった。
 「食べ物もミルクも手に入らなかった。(ダニーちゃんは)どんどんやせていった」(エルナンデスさん)
 病院に着いたときには、ダニーちゃんはひどいせきをしていて、その後間もなく亡くなった。「とても小さかった」とエルナンデスさんは言う。
 これまでカラカス南部の農場はニワトリから大豆までありとあらゆる食料をフル稼働で生産していた。
 アルベルト・トロイアーニさん(48)は、イタリアから移民した父親が1970年代に始めた養豚場を今も経営している。価格統制や必需品不足、犯罪集団によって事業は破壊された。
 飼育するメス豚――1頭当たり12頭前後の子豚を生む――は200頭から50頭に減った。今のトロイアーニさんにはこれまで使っていた高タンパクの飼料や薬を買うだけの余裕はない。成長した豚の重さはかつて240ポンドあったが、今では175ポンドしかない。
 それだけではない、豚がときどき互いのしっぽや耳を食いちぎっているのを見かけることさえある。半分空になったおりの横を歩きながらトロイアーニさんが言った。
 「昔は1カ月に120頭から150頭を食肉処理に出していたが、今では50頭から60頭。冗談みたいだ」。トロイアーニさんが手にするのは豚肉1キロ当たり93セントだが、もうけを出すには1.17ドル必要だ。業界関係者によると2012年以降、ベネズエラの養豚業者の82%が廃業し、生産は71%減った。

トロイアーニさんの豚舎は100頭を飼育できるが、いまは空いたスペースが目立つ PHOTO: WIL RIERA FOR THE WALL STREET JOURNAL

トロイアーニさん(写真)の両親はイタリアからの移民で養豚場を営んできた PHOTO: WIL RIERA FOR THE WALL STREET JOURNAL
 トロイアーニさんはベネズエラを出ることを母親のヨランダ・ファクシオリーニさんと話し合った。69歳のファクシオリーニさんも1960年代にイタリアからやって来た。農場の買い手は見つからないだろうとトロイアーニさんは言う。周りはみんな農場を投げ出している。銅線やトラクター、除草剤など残されたものは泥棒が持っていくそうだ。
 経済学者や農業団体によると、政府が接収した農業法人――牛乳工場や肥料や飼料の販売業者も含まれている――は閉鎖されるかほとんど操業していない。
 養豚業者の全国団体のトップを務めるアルベルト・クデマス氏は「われわれが勝てない仕組みになっている」と話す。「政府は生産者や生産ではなく、共産主義こそが生き残る道だと考えている。それが間違いだ」
*記事は後編に続きます(有料)>>
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飢えるベネズエラ、壊れた豊かな国(後編)
食べ物を求めてごみをあさる人々も
パルマさんと11歳の孫のジェルマンくんは、弟2人に多く食べさせるため、自分たちの食事の量を減らしている WIL RIERA FOR THE WALL STREET JOURNAL







By
Juan Forero
2017 年 5 月 9 日 12:55 JST 更新
 ディオジェネス・アルソレイさん(65)は以前、小規模の建設会社2社を所有していたが、その後、タクシーの運転手になった。今は、かつて経営していた小さな店の冷凍庫や自分の本、照明器具、コピー機、タクシーなどを売ろうとしている。
 アルソレイさんと妻のニデア・カディスさんには子どもを養う資金が必要なのだ。19歳を筆頭に16歳、13歳、7歳、2歳と5人いる。
 ある日のメニューにアルソレイさんがつくったのはイワシのフライ。手持ちの食料を長持ちさせるため、家族のうち何人かは1日食事を抜く。そうすれば他の人が十分に食べられるからだ。ベネズエラのトウモロコシパン「アレパ」や野菜、マンゴーを食べることもある。缶詰の魚もたまに食卓に並ぶ。
 アルソレイさんは「逃げることも考えたが、小さな子どもがいるからそれはできない」と話す。「極限状態に追い込まれて泣きたい気持ちだ」
生きるために持ち物を売り、食事を減らす
 生活水準に関する全国調査では、10世帯のうち9世帯が食費を全てまかなうだけの収入がないと回答した。国民の約3分の1に相当する960万人が1日の食事の回数を2回以下と回答しており、その割合は2015年の12.1%から大幅に増加した。今や国民の5人に4人が貧困状態にある。
 セサル・アウグスト・パルマさん(75)は高インフレの中、年金の固定収入で暮らす。1カ月の受給額は約10ドル。買えるのは牛乳4箱ほどだ。

パルマさんと娘、孫のジェルマンくん(右端)ら PHOTO: WIL RIERA FOR THE WALL STREET JOURNAL

木の棒を頼って立つジェルマンくん(左)と弟 PHOTO: WIL RIERA FOR THE WALL STREET JOURNAL
 パルマさんの成人した娘と3人の孫はパルマさんの収入に頼っている。パルマさんと11歳の孫、ジェルマンくんは、ジェルマンくんの弟2人に多く食べさせるため、自分たちの食事の量を減らしている。ジェルマンくんの髪は以前は濃い色だったが、今で黄色に変色しつつある。
 「弟たちのほうが僕より多くの食べ物が必要です」とジェルマンくんは言う。同年代の男の子の平均体重は70ポンド前後だが、ジェルマンくんは50ポンドしかない。近くでは弟のセサル・アウグストくん(10)とアンヘル・ホセくん(4)が手作りのたこを揚げようとしている。

重度の栄養失調で病院に運び込まれた際のジャン・ピエールちゃん(3月) PHOTO: JUAN FORERO
 「おなかが空いた」とジェルマンくんは言う。「おなかが痛いような感じがする」 。好きな料理を聞くと「アロス・コン・ポーヨ」という返事が返って来た。鶏肉と米の料理だ。最後に食べたのは2015年だったという。
 カラカスのドミンゴ・ルチアニ病院。プランチャールさんはジャン・ピエールちゃんら5人の子どもを食べさせるために、まだうじがわいていないトウモロコシやパンのかけらをごみ袋の中から探したときのことを思い出して泣いた。
 「『私にはできない』と思った」とプランチャールさんは言う。近所の人に見られるのではないかと心配したからだ。しかし「『私がやらなければ、子どもたちのところに何を持っていくの』と自分に言い聞かせた」。
 プランチャールさんはレジ係、美容院勤め、調理係とさまざまな仕事をしたが、その後、仕事はなくなった。インフレと食料不足で全てが悪化したからだ。近所の人が犬を食用にしたこともあったそうだ。
 ジャン・ピエールちゃんがどんどんやせて動かなくなると、プランチャールさんは病院でマチャド医師ら栄養失調の専門家に助けを求めることにした。病院には病気の子どものためのビタミン剤も抗生物質も血清もなかった。
 「この病院ではこの子に十分な栄養を与えられていない」とマチャド医師は言う。「このような状態の子どもはバナナとチーズでは回復しない」
 プランチャールさんはジャン・ピエールちゃんを腕に抱いて優しく揺らしていた。2人にとって癒しの時間だ。
 「この子はまだ完全に回復していません」とプランチャールさんは言う。ジャン・ピエールちゃんは今、水ぼうそうにかかっている。「大事なのは体重を増やすことと代謝を正常な状態に戻すことですが、この子は弱いのです」

息子のジャン・ピエールちゃんを世話するマリアさん。ジャン・ピエールちゃんは栄養失調と水ぼうそうから回復しつつある(4月5日、カラカス) PHOTO: MIGUEL GUTIERREZ FOR THE WALL STREET JOURNAL
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ベネズエラ貧困層、空腹で反政府デモできず
マドゥロ大統領はスラム街の支持を失っているが――

スラムに住むレベカ・レオンさんはゴミあさりをして暮らしている(2月、カラカス) PHOTO:FEDERICO PARRA/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By
Anatoly Kurmanaev and Kejal Vyas
2017 年 4 月 21 日 16:35 JST
  【カラカス】ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、かつて故ウゴ・チャベス前大統領を支持していた貧困層の支持を失った。だが貧困層の人々には、過去3週間にわたり国を揺るがせている野党主導の反政府デモに参加する気はほとんどないようだ。
 首都カラカスや他の主要都市の周辺に広がるスラムの住民の多くは、経済危機や食料不足に憤っている。だがベネズエラの政治不安はおおむね中間層の住む地域に限定されたままだ。独裁色を強める政府の退陣を狙う野党が苦戦している様子がうかがえる。
 「私には飢えしかない。人がデモしようとしまいと関係ない」。国内第2の都市マラカイボのスラムで労働者のアルフォンソ・モレロさんはこう話した。「昨日から胃袋が空っぽなのに抗議する力がどこから出るというのか」
 アナリストらは、スラムの住民が決起するまでマドゥロ氏が居座る公算が大きいと話す。
 ベネズエラのスラムに関する著作のあるニューヨーク大学のアレハンドロ・ベラスコ教授(歴史学)は「貧困層の不満が野党に吸い上げられていない」と述べた。
 3週間の混乱で、デモ参加者7人が死亡し、数百人が収監された。政府はヘリコプターから催涙ガスをまくなどしてデモ鎮静を図った。加勢した政府寄りのギャングには武器やこん棒を持つ者も多かった。
 だがカラカスや他地域のスラムでは多くの住民が、デモの様子はよくわからず、生き延びるのに精いっぱいで政権交代のことを考える余裕はないと話す。国内の有力大学3校の調査によると、国民の5人に4人以上は必需品を買うだけの稼ぎがないと述べている。
スマホを持たず、デモの情報わからず
 政府が主流メディアを厳重に管理していることから、スマートフォンを持たずインターネットに接続できない多くの貧困層はデモがいつどこで起きているのかさえ分からないと話している。国の巨大プロパガンダ機関は混乱の詳細をほとんど明らかにせず、おおむね平和的なデモ隊のことを火炎瓶を投げる「テロリスト」と呼んでいるため、スラム住民の多くは恐怖からデモ参加を控えている。
 一部の住民は、反乱の芽を察知すべくスラムを監視する政府派の武装勢力から脅されていると話す。食料配給を失うことを恐れる住民もいる。
 世論調査会社デルフォスによれば、ベネズエラの貧困層のうちマドゥロ氏退陣を望んでいる割合は約3分の2と、同氏が政権を握った約4年前の40%から上昇している。
 多くの野党支持者は現在のデモについて、スラムの支持を得られなければ2014年に起きた前回のデモに似た形で終わるとの懸念を抱いている。中間層が住む地域で決行された当時のデモは3カ月に及び、43人が死亡したが、政治的な変化をもたらすことはできなかった。そうした失敗を受けて、野党側は自信を喪失し分裂している。
 デルフォスのディレクターは「大衆が参加するには、後戻りできないところまで来たと感じることが必要だ」とし、「そこにはまだ程遠い」と述べた。
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