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平和だったヨルダンの国民が反政府デモでに立ち上がった
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/06/post-10315.php
2018年6月5日(火)17時30分 クリスティナ・マザ ニューズウィーク
抗議デモから首相官邸を守る警官(6月2日) Muhammad Hamed-REUTERS
<中東では平和な国として知られるヨルダンで激しい抗議に合い、首相が辞任させられた>
中東で最も安定した国に数えられるヨルダンが、5月末から大規模な反政府デモに揺れている。鎮静化のため、アブドラ国王は6月4日、ハニ・ムルキ首相に辞任を求めた。
人々は政府の増税案に怒って街頭に繰り出し、近年まれに見る規模の抗議行動に発展した。武力紛争に揺れる中東において貴重な平和と安定を維持してきたヨルダンだが、エコノミストたちは、本格的な経済改革が必要だと言う。ヨルダン経済は海外からの援助に大きく依存しており、国の借金は国内総生産の約95%に相当する。
国際通貨基金(IMF)は同国に対し、売上税の引き上げや、食料(パン)補助の廃止などの増税策で税収を増やし、財政赤字を削減するよう勧告している。しかし、企業寄りのムルキ首相が進めてきたそうした政策は、国民にことのほか不評だ。増税によって、中間層を構成する労働者たちに過大な負担がかかるという意見もある。
イスラエル紙ハーレツ紙のコラムニスト、ジブ・バレルlは論説で、以下のように述べた。「食品や生活必需品のメーカーが払う法人税は、24%から30%に上がる。だが、最も打撃を受けるのは一般の人々だ。世帯収入の課税最低限はこれまでの4万ドル以上から2万2700ドルに引き下げられ、個人は1万7000ドルから1万1200ドル以上に引き下げられる。政府は、人口に占める納税者の割合を、4.5%から10%に増やそうとしている」
■国民の多くは貧しくて非課税
バレルはさらに、こう続けた。「これは正しい方向への一歩だが、それを信じる人がいるかどうかは疑問だ。表向きには、こうした改革はあまり反対を受けないと考えられていた。増税しても国民の多くは所得が低く、課税されないからだ。しかし一握りの中間層にとっては見過ごせない。彼らは所得税や、法人税の増税による価格転嫁など、数々の負担に直面しなければならない」
新たに首相に就任するのは、世界銀行の元エコノミストで、現在は教育相を務めるオマル・ラッザーズだ。国王は6月4日、ラッザーズに組閣を要請したが、新政府が抗議行動を鎮めるために増税案を廃案にするかどうかは不明だ。
ヨルダンのメディアによれば、議員たちが国王に対して、臨時議会を開催したいと申し出ている。議員たちの多くは増税に反対しており、反対票を投じると見られている。デモ参加者たちも、増税案が廃案にならない限り、抗議行動は止めないとしている。
(翻訳:ガリレオ)
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