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西側の有力メディアが情報源にしてきたSOHRへ英外務省が20万ポンド近く支援したと同省が認めた
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201805180000/
2018.05.19 櫻井ジャーナル
西側の有力メディアがシリア情勢に関する情報源にしているSOHR(シリア人権監視所)へイギリス外務省が約19万5000ポンド相当の支援をしていることを同省が認めたとイギリスのデイリー・メール紙が伝えている。言うまでもなく、イギリスはアメリカの侵略戦争に加担してきた国であり、SOHRは侵略を進める仕組みに組み込まれていると言えるだろう。
SOHRはラミ・アブドゥラーマン(本名オッサマ・スレイマン)なる人物がイギリスで個人的に設置した団体で、スタッフはひとりだと見られ、その情報源は不明だ。シリアで戦争が始まった2011年にスレイマンはシリア反体制派の代表としてウィリアム・ヘイグ元英外相と会ったと報道されている。
アメリカは繰り返しシリアを属国化しようと試みて失敗、2011年3月にジハード傭兵を使って始めた侵略戦争も思惑通りには進まなかった。そこで化学兵器の使用を口実にしてアメリカ軍が配下の軍隊を引き連れて直接の攻め込もうとしている。すでにシリア北部には20カ所、あるいはそれ以上の場所に軍事基地を建設済みだという。
2011年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィの体制は倒されたが、その際にNATO軍がアル・カイダ系武装勢力のLIFGと連携していたことが明確になった。その後、戦闘員が武器/兵器を一獅ノシリアへ運ばれたこともわかっている。そして2012年からシリアでの戦闘は激化するのだが、そこで西側の政府や有力メディアは「独裁者による民主化運動の弾圧」というシナリオを宣伝しはじめた。
そこで使われた「情報源」はシリア系イギリス人のダニー・デイエムやSOHR(シリア人権監視所)だが、デイエムが偽情報を流していることが発覚、SOHRはイギリス政府との関係が指摘されても有力メディアは「情報源」にしている。デイエムが消えたあと、登場してきたのがシリア市民防衛(白いヘルメット)。この団体がアル・カイダ系武装勢力と一心同体の関係にあることは明らかにされている。
シリアのような国が国民を敵に回し、大量虐殺したなら体制は持たない。かつてラテン・アメリカで軍事独裁政権が維持できたのはアメリカの巨大資本、その手先であるCIAが後ろ盾になっていたからだ。カネと暴力だ。アメリカの支配階級は自分たちがやっていたことをシリア政府が行っているかのように描き、それを受け入れる人が西側には少なくないらしい。支配システムから出たくないということだろう。出ないで住む口実を求めている人がいるように見える。
ローマ教皇庁の通信社は2012年6月の段階でシリアにおける戦争の実態を正しく伝えていた。市民が虐殺された場所へ入って調査した修道院長の報告を掲載したのだ。その修道院長は虐殺したのは政府軍と戦っているサラフィ主義者や外国人傭兵だとしたうえで、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている。」と語っている。侵略戦争を侵略戦争だと伝えれば戦争はすぐに終わると言っているのだ。
西側の有力メディアが実態を知らないとは思えない。知っているからこそ、自らが取材せず、デイエムやSOHRや白いヘルメットのような怪しげな存在を通した話を伝えているのだ。誰かに聞いたことにしておけば、嘘を認めざるをえなくなっても「騙された」と言い訳できると考えているのだろう。
ところで、ドゥーマのケースでは西側の記者が現地を取材、西側の政府や有力メディアの主張を否定する報告をしている。例えば、イギリスのインディペンデント紙が派遣したロバート・フィスク特派員は攻撃があったとされる地域へ入り、治療に当たった医師らに取材しているが、そこで患者は毒ガスではなく粉塵による呼吸困難が原因で担ぎ込まれたという説明を受けている。毒ガス攻撃があったことを示す痕跡はないという。アメリカのケーブル・テレビ局、OANの記者も同じ内容の報告をしている。ロシア系のRTは西側の有力メディアが化学兵器の被害者だとして報道した子どもとその父親を取材、やはり化学兵器が使用されたという話を否定した。ほかの有力メディアもその気になれば取材できる。
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