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露大統領の就任式直後に米大統領はイラン核合意から離脱を宣言(その1)
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2018.05.09 櫻井ジャーナル
ドナルド・トランプ米首相は5月8日、JCPOA(包括的共同作業計画)からの一方的な離脱を宣言した。イランにたいする「経済制裁」も予定しているという。アメリカにイランを攻撃させたがっていたイスラエルやサウジアラビアの政府はこの決定を歓迎している。この両国からの要求にトランプ大統領は応えたということだろう。この発表があった直後、イスラエルがダマスカスをミサイルで攻撃したと伝えられている。
イランの経済や金融は今でも西側の巨大金融資本と結びついた勢力が主導権を握っているようで、最近はアメリカが仕掛けた通貨戦争でイランは厳しい状況に陥っているとも言われている。トランプ政権はもう一押しを狙っているのだろうが、これはイランをロシアや中国の方へさらに追いやることになりかねない。
イスラエルの軍事侵略を受けてきたレバノンで5月6日に行われた議会選挙でイランを後ろ盾とするヒズボラが勝利した。サウジアラビアがイスラエルとの同盟関係を隠さなくなったが、イスラエルと対峙、シリアではアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟やイギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビなどが送り込んだジハード傭兵と戦っているイランの支持は広がっている。かつての力関係ならイスラエル軍がレバノンに侵攻するのだろうが、今はそれだけの力がなく、アメリカを引き込むしかない。
アメリカでは大統領だけでなく議会の大半もイスラエル・ロビーの支配下にある。例えば、アメリカには「1995年エルサレム大使館法」という法律がある。エルサレムをイスラエルの首都だと承認し、エルサレムにアメリカ大使館を設置すべきだとしているのだが、昨年6月5日に上院はその法律を再確認する決議を賛成90、棄権10で採択している。この決議ではバーニー・サンダースも賛成した。トランプ大統領だけがエルサレムにアメリカ大使館を移すべきだと言っているわけではない。
ところで、JCPOAは2015年7月に発表され、翌年の1月に発効した。当時のアメリカ大統領、バラク・オバマは2011年春にリビアとシリアに対するジハード傭兵を使った侵略戦争を開始したが、シリア政府を悪魔化して見せるプロパガンダの仕組みが発覚、2012年8月にアメリカ軍の情報機関であるDIA(国防情報局)がホワイトハウスへ提出した報告書の中で、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI(DIAはAQIとアル・ヌスラの実態は同じだと正しく指摘している)で、オバマ政権が主張するところの「穏健派」は事実上、存在しないとしている。
つまり、オバマ政権の「穏健派」に対する支援はサラフィー主義者(ワッハーブ主義者やタクフィール主義者と渾然一体)やムスリム同胞団、そうした集団のメンバーを主力とするアル・カイダ系武装集団を強大化させることになり、シリアの東部(ハサカやデリゾール)にはそうした勢力の支配国が作られる可能性があるとも警告していた。それは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)という形で現実のものになる。その当時のDIA局長がマイケル・フリン中将。トランプ大統領が最初に国家安全保障補佐官にした人物であり、だからこそ早い段階で排除された。
2012年の段階でオバマ大統領やヒラリー・クリントン国務長官は化学兵器話を口実にしてシリアを直接攻撃すると示唆、翌年の初めにはイギリスのデイリー・メール紙がアメリカ政府による化学兵器話を利用した偽旗作戦の存在を伝えた。
報道から2カ月後の2013年3月にアレッポで化学兵器が使われ、西側はシリア政府を非難する。ところがこの主張に対する疑問が噴出、5月には国連の調査官だったカーラ・デル・ポンテが化学兵器を使用したのは反政府軍だと語っている。
この年には8月にも化学兵器話が流され、オバマ政権は調査が進んで事実が明らかにされる前にシリアを攻撃しようと目論む。シリア沖にはアメリカ軍の艦隊が集結、それに対してロシア軍も艦船を配置した。
9月の初めには攻撃が始まると見られていたが、オバマ大統領は方針を変更して議会の承認を求める。責任が自分に集中することをさけたかったのだろう。そして9月3日に地中海の方からシリアへ向かって2機のミサイルが発射されるのだが、途中で海に落下してしまう。その後もリビアのようなNATO軍の空爆はなかった。このミサイル発射についてイスラエルはテストだったとしているが、事前に警告はなく、攻撃を始めたが失敗したと推測されている。ロシア軍がECM(電子対抗手段)を使ったと見る人もいる。イランとP5+1(国連安保理常任理事国5カ国とドイツ)がジュネーブ暫定合意に達したのはその年の11月だ。9月上旬にシリアが攻撃されなかったことを残念がる人もいたが、そのまま開戦になった場合、アメリカ軍は惨憺たることになっていた可能性が高い。(つづく)
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