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イスラエルやサウジアラビアの要求もあり、アメリカの好戦派はイランを恫喝
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201805060000/
2018.05.07 櫻井ジャーナル
アメリカ、イスラエル、サウジアラビアがイランに対する恫喝を強めている。現在、イランの大統領を務めているハッサン・ロハニ大統領は2013年の選挙で当選したが、その際、西側ではその結果を歓迎する声が少なくなかった。この人物はハシェミ・ラフサンジャニ元大統領の側近と言われ、欧米では「改革派」、あるいは「穏健派」と見なされていたからだ。
ラフサンジャニはイラン・イラク戦争後の1989年から97年まで大統領を務めたが、その間に新自由主義的な「経済改革」を実施、新たな経済エリートを生み出す一方、庶民を貧困化させた。1979年のイスラム革命後、イランはアメリカやイスラエルから武器を秘密裏に購入、これはイラン・コントラ事件として発覚した。
イスラム革命が成功した直後、テヘランのアメリカ大使館が占拠されて機密文書が押収され、館員など52名が人質になるという出来事があった。その翌年、1980年にはアメリカで大統領選挙があったのだが、現職のジミー・カーターに不満を持つシオニストは激しい反カーター宣伝を展開した。
共和党の有力候補はCIAの非公然オフィサーだと見られているジョージ・H・W・ブッシュとFBIに近いロナルド・レーガンだったが、ブッシュ陣営とレーガン陣営はイスラエルのリクードと手を組み、人質解放を遅らせる秘密工作を実施した可能性がきわめて高い。大統領選の前に人質が解放されるとカーター大統領にとって追い風になるからだ。この工作は成功、レーガンの大統領就任式に合わせて人質は解放された。
人質の解放を遅らせる代償として共和党側が約束した条件はアメリカからイランへ5200万ドルを支払うほか、イランへの武器売却を保証し、アメリカの銀行が行っているイラン資産凍結を解除することだった。
秘密交渉が行われている最中、1980年9月にイラクがイランを攻撃、イランでは武器/兵器の需要が高まる。アメリカやイスラエルが提示した条件の魅力を高める環境が生まれ、イランとアメリカ/イスラエルの関係は深まった。こうした環境はラフサンジャニが大統領に選ばれる一因になった。
イラクのサダム・フセインはアメリカ側の意向を受けてイランと戦争を始めたと見る人もいる。フセインはシオニストから敵視されていたが、CIAの手駒として権力を握った人物。副大統領時代のブッシュはフセインを擁護していた。
ラフサンジャニが推進した新自由主義的な政策は当然、庶民を怒らせることになった。そこで、2005年の選挙ではそうした政策に反対するマフムード・アフマディネジャドが当選、パールシヤーン銀行にメスを入れようとしたのだが、成功しなかった。そうした中、イランでは不動産バブルが膨らみ、2008年に破裂している。
2013年の選挙でアフマディネジャドに近い人物が当選していたならアメリカは経済戦争を仕掛けたと見られているが、ロハニが勝ったので話し合いに入った。この年の9月上旬にアメリカ主力軍はシリアに向かってミサイルを発射するが、地中海に落下している。その直後にイスラエルは発射実験を行ったと発表したが、事前の警告はなく、シリアに対してアメリカ/NATOがリビアと同じように空爆を始めるという情報が流れる中でのことだったため、開戦の第1撃だったとも見られている。それがロシアのECM(電子対抗手段)で落とされたという見方だ。そして同年11月にイランはP5+1(国連安保理常任理事国5カ国とドイツ)とジュネーブ暫定合意、2015年7月にはJCPOA(包括的共同作業計画)が発表された。
現在、アメリカはイランに通貨戦争を仕掛けているという。その目的は新自由主義の恩恵を受けた人々に「蜂起」を促すことにあるのだろうが、アメリカとの話し合いは無駄だと考える人が増えれば、アフマディネジャド時代に戻る可能性がある。
イスラエルやサウジアラビアの要求通りにアメリカがイランを武力で攻撃した場合、イランの安全保障が自国の安全保障に直結していると考えているロシアの反撃はあり、中東全域に戦乱が拡がると覚悟する必要がある。そうなれば全世界が大混乱になる。経済戦争で勝負したなら、ドル離れを加速させそうだ。ドル体制から抜けなかったことが経済的な攻撃を受ける原因だからである。アメリカ側の思惑通りに進まなかった場合、ドル体制の崩壊が早まってしまいそうだ。
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