2018年4月28日(土) 歴史的南北会談 「板門店宣言」に署名 完全な非核化で核のない朝鮮半島を 朝鮮戦争の終結 年内に 【高陽(韓国京畿道)=栗原千鶴】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(朝鮮民主主義人民共和国国務委員長)は27日、11年ぶりとなる3回目の南北首脳会談を板門店の韓国側施設「平和の家」で行い、「完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現することを確認した」とする「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」に署名しました。署名式では、両首脳が互いに肩を抱き合い、合意を喜びあう姿が見られました。 宣言は「朝鮮半島にもうこれ以上の戦争はないとし、新しい平和の時代が開いたということを8000万の国民と全世界に重く、鮮明にした」と述べ、1953年以来、休戦状態にある朝鮮戦争の終戦を年内に行うとしました。米国、中国も交えた多国間での平和構築にも言及。軍事的な緊張を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するため共同に努力することを約束しました。 両首脳は署名式後に、「平和の家」の前で共同記者会見に臨みました。文大統領は、金委員長を「大胆に、きょうの状況をつくり上げて、宣言に合意した」として敬意を表しました。 金委員長は「民族の分断の悲劇と統一への熱望がつまっている、ここ板門店で開かれる会談に、歴史的な責任感を持って会談に臨んだ」と発言。「この合意が、もう二度と死文化されないように、緊密に話し合いを行い、実を結ぶために努力する」と表明しました。 宣言は「朝鮮半島の完全な非核化」について、両国が「責任と役割を果たす」とし、ともに「国際社会の支持と協力のために積極的に努力することにした」と述べました。 韓国政府側は記者団に「完全な非核化という文言を使ったことに注目してほしい」と述べ、北朝鮮に対し、「非核化の意志をさまざまな経路で確認した」と明らかにしました。 また南北の関係改善に向けては、関係者が常時、駐在する事務所を北朝鮮側の開城に置くことを確認。離散家族の再会事業や民間なども含めた多方面の交流を推進していくとしています。 宣言は「民族経済の均衡的な発展と共同繁栄をなす」とし、2007年に行われた南北首脳会談で合意した事業を行うことを盛り込みました。その第1弾として、南北の鉄道事業を上げています。 記者から、核開発やミサイル発射などによる制裁との関連を問われ、韓国政府関係者は、「経済的な援助などを、いますぐやるということではない。非核化、または米朝韓の交渉のあとに、流れをみて、優先的に南北の間でやる課題が何なのかについて南北で共感したことを確認した」と説明しました。 金委員長は27日午前9時半すぎ、軍事境界線を徒歩で越え、韓国側で待っていた文大統領と握手を交わしました。文大統領は会談で「金正恩氏が軍事境界線を越えた瞬間、板門店が平和の象徴になった」と語りました。金委員長は「対決の歴史に終止符を打ちにきた」と発言しました。 文大統領は、過去2回の首脳会談で、合意を実行できなかったことを振り返り、「一番大事なのは速度だ」と強調。金委員長はこれに対し、頻繁に首脳会談を行うことを提案し、「誤った過去に戻ることはしてはいけない。期待に応えて、いい世の中をつくろう。これから私たちも頑張ります」と応じました。 韓国メディアによると、北朝鮮国内でも同日、会談の開催を報じました。朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、首脳会談が金委員長の決断で開かれたとし、「歴史的な事変だ」と伝えました。 午後6時半から開かれた夕食会には、両首脳の妻も同席しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-04-28/2018042801_01_1.html 2018年4月28日(土) 歴史的な南北首脳会談と「板門店宣言」を心から歓迎する 日本共産党幹部会委員長 志位 和夫 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-04-28/2018042801_02_1.jpg 日本共産党の志位和夫委員長は27日、韓国・板門店で行われた南北首脳会談について、次の談話を発表しました。 一、韓国(大韓民国)の文在寅大統領と、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の金正恩国務委員長が本日、板門店の韓国側施設で南北首脳会談を行った。 金委員長が北朝鮮指導者として歴史上初めて韓国側に足を踏み入れ、文大統領は、そのことによって「板門店は分断の象徴ではなく、平和の象徴になった」と述べた。今回の南北首脳会談は、文字通りの歴史的会談となった。 一、両首脳は、「板門店宣言」に署名し、その中で「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現する」「(朝鮮戦争の)終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で堅固な平和体制構築のための南北米3者または南北米中4者会談の開催を積極的に推進していく」「民族的和解と平和繁栄の新たな時代を立ち起こし、南北関係をいっそう積極的に改善し発展させていく」ことなどに合意した。 「板門店宣言」は、朝鮮半島の非核化と、北東アジアの平和体制の構築に向けた大きな前進である。日本共産党はそれを心から歓迎する。 一、今回の合意が履行され、73年間に及ぶ南北分断と対立が解消に向かい、南北の人々が平和と繁栄のなかで暮らせるようになり、統一に向かうことを心より願う。 文大統領自身が、今回の首脳会談を米朝首脳会談への「道案内」と位置づけているように、南北、米朝の二つの首脳会談は密接につながっている。南北首脳会談の成果を踏まえ、米朝首脳会談が大きな成功をおさめることを、強く期待する。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-04-28/2018042801_02_1.html 2018年4月28日(土) 韓国・文在寅大統領と北朝鮮・金正恩委員長の会見(要旨) 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が27日、韓国・板門店の「平和の家」で会談し、「板門店宣言」に署名した後、2人そろって記者団の前で発表しました。その要旨を紹介します。 文大統領 金委員長と私は平和を願う8000万同胞の貴重な合意を成し遂げた。朝鮮半島にもう戦争はないだろう。新しい平和の時代が開かれていることを一緒に宣言した。長い年月の間に分断の痛みと悲しみの中でも素晴らしい克服ができると信じていた時期に、私たちはこの位置に立つことができた。 今日、金委員長と私は完全な非核化を通して、核のない朝鮮半島を実現することが私たちの共通の目標であることを確認した。北側が先にとった核凍結措置は、非常に重大な意味を持っている。朝鮮半島の完全な非核化のための貴重な出発になる。今後、完全な非核化のために南と北が、さらに緊密に協力していくことを明らかにする。 私たちはまた、終戦宣言と平和協定を通じて朝鮮半島の不安定な停戦体制を終息させ、恒久的で、強固な平和体制を構築していくことに合意した。朝鮮半島をめぐる国際秩序を根本的に変えることができる非常に重要な合意だ。 今、私たちが住んでいる、どこからも、お互いの一切の敵対行為をしないこととする。偶発的な衝突を防ぐ根本的な対策も講じていく。朝鮮半島を横切っている非武装地帯は、実質平和地帯になる。西海の北方限界線一帯を平和水域にして偶発的な軍事的衝突を防止し、南北漁民の安全な活動を保証する。 私は大胆に、今日の状況を作り出し、大きな合意に同意した金委員長の勇気と決断に敬意を表する。私たちは、国際社会の支持と協力のために一緒に努力することにした。 金委員長と私は、平和と繁栄、統一のために定期的に協議と、直通電話を通じて頻繁に議論することにする。 尊敬する南北の国民のみなさん、私は金委員長と一緒に、南北両方の平和、共同繁栄、民族念願の統一を私たちの力で達成するために大胆な一歩を開始する。南北当局者が緊密に対話して緊密に協力することだ。民族和解と団結のために各界各層がさまざまな交流と協力も進める。手遅れになる前に離散家族の出会いを始め、故郷を訪問する。 南と北の当局者が常駐する南北共同連絡事務所を開城に設置することにしたのも非常に重要な合意だ。それぞれ相手の地域に連絡事務所を置くように発展していくこともあるだろう。 今日、金委員長と私は朝鮮半島の非核化、恒久平和、民族共同の繁栄と統一の道へ向かう揺るぎない里程標を打ち立てた。 今日の発表方式も特別だ。これまでの首脳会談後、北側の最高指導者が直接、世界のメディアの前で立って共同発表するのは初めてだ。大胆で勇気ある決定をした金委員長に拍手を送る。 金委員長 民族の分断の悲劇と統一への熱望が、詰まった板門店で歴史的な責任感を持って会談に臨んだ。たくさんの苦労をした文大統領と南側の関係者のみなさんに深く謝意を表する。盛大に迎えてくれた一つの同じ血縁、一つのきょうだいとして温かく迎えてくれた南の同胞に感謝する。 南北がまた手を組むことになるまで長い時間がかかった。実際に会ってみると、やはり、わかつことのできない、ほかの誰とも比べられない、一つの血肉ということを実感した。 対決してたたかう違う民族ではなく、団結して、むつまじく生きていくべき一つの民族だ。一日でも早く、韓民族が平和に暮らすことができるように、私は板門店を越えてここまできた。 私と文大統領は、熱烈に支持してくれた北南のみなさんの応援を受けて、多くの議題を真摯(しんし)に論議した。 この韓民族が戦争のない土地で平和と繁栄を享受するために、実質的な論議をした。 韓民族と世界が見守るなかで署名したこの合意が、もう二度と死文化されないように、緊密に話し合いをしていい結果を出すために努力する。私が通った道を北南のたくさんの人が行き来し、板門店が平和の象徴になれば、民族は限りない繁栄を享受することができるだろう。 固い意志をもって最後まで果たすと閉ざされた門も開くことになる。偉大な歴史は、自ら創造されない。その時代の人たちが努力した決定だ。 私たちがこの時代に、つくり出すべきものを完全無欠にし、作り上げておくことで、歴史的な責任と時代的な義務を果たすことができる。 もちろん逆風試練もあると思うが、苦痛のない栄華はない。きょう難しい出会いと、さまざま挑戦を勝ち抜いて民族の厳しい道をともに乗り切ったことをあとから笑って話し合うことができるだろう。 歩幅をあわせて一緒に前進しよう。きょう合意した板門店宣言が、切実な気持ちで私たちを見ている人たちにせめてもの答えになり、喜びを与えることができることを願う。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-04-28/2018042802_01_1.html
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