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<この記事のポイント>
●北朝鮮の金正恩が要求する米国による体制保証は、それを実効的に担保する術が無い。従って、これを前提とする核放棄もほぼ無いだろう。
●韓国の文在寅は、南北統一を悲願としている。統一するなら非核化を求める理由は無くなり、むしろ日本から統一資金を引っ張るためにも核入り統一を目指すと考えるのが自然だ。
●トランプは、米本土に届くICBMを除いた限定的核容認か「北爆」かの選択を迫られる。朝鮮半島処理後には、中国との覇権を掛けた冷戦が待っているため、半島のみならず日本からの米軍撤退等にも結び付きかねない前者ではなく、後者を選ぶ可能性が高い。
◆米朝首脳会談と核放棄◆
トランプが金正恩からの打診に乗って、5月末迄に米朝会談が行われる見込みとなった。
会談が行われた場合に北朝鮮の金正恩が要求する米国による体制保証は、それを実効的に担保する術が無い。イラクのフセインやリビアのカダフィーは、西側の要求に応じて大量破壊兵器を放棄したが、結局は殺害されて終わった。
体制を保証するためには、非核化と同時に中朝同盟の拡張版として、北朝鮮と米中露との間で「北朝鮮非核化・不可侵安保条約」でも結び、例えば米国が北朝鮮を攻撃した場合、中露が直ちに米国に宣戦布告するようなスキームを作る必要がある。しかし、たとえそのようなスキームが出来たとしても、確実に機能するとは限らず、金正恩は体制が保証されたとは考えないだろう。
また、金正恩は尊属である叔父と義理の兄を殺している。核を失った金正恩を頂き続ける事を儒教文化が強く残る南北朝鮮社会は、許容しないと思われる。従って筆者は、体制保証を前提とした核放棄もほぼ無いと考える。
◆核入り南北統一か北爆か◆
また金正恩と同じく韓国の文在寅は、南北統一を悲願としている。統一するなら非核化を求める理由は無くなり、善し悪しは別として、むしろ日本から統一資金を引っ張るためにも核入り統一を目指すと考えるのが自然だ。
統一は、体制の違いと経済格差等を考えれば連邦制を取るだろうが、そうした上でも南北対立の歴史を乗り越える共通目標と価値観の統一は必要であり、それには反日感情より強力なものはない。
こうして、核を捨てない北朝鮮及び統一を見据えた韓国に対し、トランプにとって米本土に届くICBM容認の選択肢は当然あり得ず、それを除いた限定的核容認か「北爆」かの選択を迫られる。
トランプにとって、朝鮮半島処理後には、中国との覇権を掛けた冷戦が待っている。彼のキャッチフレーズ、MAKE AMERICA GREAT AGAIN(米国を再び偉大へ)は、主に経済について想定しているのだろうが、一定以上の地政学的譲歩はその前提を崩すため容認できない。また習近平を含めた内外にも弱いリーダーと見做される訳には行かないだろう。
そのため筆者は、トランプは半島のみならず日本からの米軍撤退等にも結び付きかねない限定的核容認ではなく、「北爆」を選ぶ可能性が高いと考える。
◆日本への着弾に備えよ◆
その時期は、5月と言われる米朝首脳会談直後から米中間選挙の秋口まで、その内容は絨毯爆撃による軍事施設等の殲滅戦、或いは限定的に核施設を叩く「鼻血作戦」からの殲滅戦への切り替えの2択だろう。
それが行われる前の金正恩のロシア等への亡命が最善のシナリオであり、その模索は国際社会の中で図られるべきではあるが、残念ながら希望的観測に近い。
国際政治学者の三浦瑠麗氏は、筆者とは異なる北の限定的核容認論者からの立場からではあるが、米朝開戦後に日本で破壊活動をするであろう北の工作員「スリーパーセル」について警告を発しネット上で炎上したのは記憶に新しい。しかし、そんな三浦氏でも昨年のバラエティー色の強いTV番組の中ではあったが、北のミサイルに備えた畑の畦道に伏せ頭を抱え込む防空訓練のビデオを見て、「何の意味もない」と発言していた。だが、直撃は別として畑の真ん中でミサイルが飛来する場合に何の対処もしなければ爆風で倒され、背中ではなく顔を焼かれる。
政府、自治体には、防空体制、防空施設の設置、避難体制の拡充を重ねて要請すると共に、個人、職場、家族間に於いても、少しでも被害を軽減するため、常在戦場の構えが必要だろう。
佐藤総研 http://blog.livedoor.jp/ksato123/
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