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イギリスの対ロシア推定有罪は対立と混乱を招く
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2018年3月17日 マスコミに載らない海外記事
Finian Cunningham
公開日時: 2018年3月14日 15:06
編集日時: 2018年3月14日 15:13
RT
イギリスによる適正手続きの放棄は、危険で無謀な飛躍となり、テリーザ・メイは、ロシアがスクリパル毒ガス攻撃を巡る疑惑に答え“損ねた”かどで、経済制裁と外交官追放を宣言した。
スパイ交換取り引き後、2010年以来、イギリスで暮らしていたロシア人二重スパイ、セルゲイ・スクリパル殺人未遂に、モスクワが関与しているというイギリス政府によって突きつけられた非難に“回答”するのに、モスクワは、挑発的に、24時間の期限を与えられた。
3月4日、彼の第二の故郷ソールズベリーでの公園散歩中に、スクリパル(66歳)と33歳の娘ユリアが、致死性の神経ガスで攻撃されたとされている。以来、二人は集中治療を受けている。
今週始め、イギリス首相は、使用された化学兵器は、ソ連時代の神経ガス、ノヴィチョクだと主張し、それを根拠に - ロシア国家が元スパイの殺人未遂に関与していると述べた。スクリパルは、イギリス諜報機関MI6のための二重スパイのかどで、反逆罪で有罪判決を受けた後、2010年に、ロシアから国外追放されていた。
水曜日メイ首相が庶民院で発表した新たな対モスクワ経済・外交制裁は、イギリスとNATO同盟諸国と、ロシアとの間の対立に向かう無謀なエスカレーションだ。
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モスクワは、イギリスの制裁措置に決して同意するつもりはなく、報復措置をとると誓った。
ワシントンとヨーロッパ諸国は、イギリスの先導にすぐに従い、ロシアに対する敵対的言辞を強化し、“団結”声明を発表した。ロシアとNATO諸国間の関係は既に未曾有の冷戦の深さに急落した。
更なる混乱と対立の促進は法的諸原則や基準順守のあらゆる装い放棄と平行している。
イギリスと、その同盟諸国は“推定無罪”とは逆の“推定有罪”というあべこべの原則に頼っている。セルゲイ・スクリパルと彼の娘に対する明らかな毒ガス攻撃からわずか数日のうちに、イギリス当局もマスコミも、攻撃とされるものは、過去の裏切りに対する報復行為としてのロシア国家のしわざだという判断に飛びついた。この動機は精査に耐えないと、元イギリス大使クレイグ・マレーは語っている。
しかも、イギリス当局が特定した仮説のソ連時代の神経ガスは、独自検証されていないのだ。我々はイギリスの公式説明だけが頼りだ。化学物質とされるものは、攻撃で使用されたのかも知れないし、使用されていないのかも知れない。
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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が明らかにした通り、証拠としての毒物とされるものを入手するモスクワのあらゆる要求をロンドンは拒否したのだ。そのような拒否は、申し立てられた事件の合同調査を命じている化学兵器禁止条約違反だ。
だから、挑発的な非難に“回答”しろというイギリス政府がロシアに押しつけた最後通告モスクワには、これらの非難を調査する公平な機会を与えずに。この卑劣な適正手続きの欠如を基に、イギリスは、NATO同盟諸国に、対ロシア制裁措置をエスカレートさせるよう呼びかけているのだ。
攻撃を受けていると見なされる他の加盟国を防衛することを要求するNATO軍事協定の第5章を、イギリスが行使するというイギリス・マスコミ報道さえある。
インデペンデント紙は、あるイギリス幹部閣僚の匿名発言をこう報じている。“これから起きるのは経済戦争で、経済措置がとられるだろう。ロシア経済はイギリスの半分に過ぎない… 我々にとって決して楽しいことではないが、我々ヨーロッパ諸国は、悪党のようにではなく、法の支配の枠内で行動することが必要だ。”
論理は錯乱している。イギリス当局は、ロシアの“悪党”に対して、法の支配の枠内で行動していると主張しているが、実際は、適正手続きという法的基準を強圧的にやりこめているのはイギリスなのだ。
適正手続きで最も重要なのは、国際法と国連人権憲章の根幹である推定無罪だ。
カナダを本拠とする戦争犯罪被告側弁護士クリストファー・ブラックは言う。“推定無罪は現代刑事司法の礎石です。これはあらゆる裁判で極めて重要な要素です。主張されている通りの犯罪が行われ、被告人がそれを行った人物で、それを行う意思があったことの疑いようの無い証拠が確立しない限り、確立するまで被告人は無罪と見なされます。”
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イギリスにおける最近の毒ガス攻撃事件とされるものを巡るイギリスの主張に関して起きていることと、これは真逆だとブラックは言う。弁護士は更に、欧米諸国の政治的都合のせいで、ここ数年間、標準的な法律原則の浸食が進行中だ。旧ユーゴスラビアやアフリカ内の政敵に有罪宣告するためにアメリカ合州国と、そのNATO同盟諸国が推進した様々な臨時戦争犯罪裁判を彼は指摘した。
ロシアと、特にウラジーミル・プーチン大統領指揮下の政府を悪魔のように描き出すことについて、2014年、ウクライナ領空でのマレーシア旅客機撃墜を含む多くの事件で、欧米諸国は“推定有罪”の原則を利用してきた。ウクライナ紛争へのロシアの関与。スポーツ選手のドーピングを巡ってのロシア中傷。ロシアのオリンピック参加禁止。アメリカとヨーロッパの選挙に対するロシアによる“干渉”疑惑。シリアにおける“戦争犯罪”のかどでのモスクワ中傷。
どの場合でも、疑惑は証拠を提示すること無しに主張され、嫌になるほど繰り返されている。実際、時に、もっともらしく思われる反証があるにもかかわらず。
クリストファー・ブラックは更にこう言う。“MH-17マレーシア旅客機から、クリミア、ウクライナ、選挙干渉等々のロシアに対する非難は、全て、世界におけるロシアと、その友人や同盟国の威信を貶めることと、戦争に備えるよう頭が条件付けられている欧米諸国民に対して、ロシアを‘悪の連中’として描き出すことを狙って入念に画策されたプロパガンダ戦争の一環です。”
対ロシア推定有罪は、今や化学兵器とシリアを巡って集中している。
ワシントンとヨーロッパの同盟諸国によるイギリスの“経済戦争”支援の呼びかけで、今週イギリスのボリス・ジョンソン外務大臣は、フランス外務大臣との会話についてこう述べた。“フランス政府は、シリアの残虐なアサド政権支持で明らかなように、ロシアによる他の場所での化学兵器の使用について特に懸念していると強調した。”
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ホワイト・ヘルメットのようなテロリストとつながる集団の何の証拠も無い、うさんくさい風聞や、ご都合主義の推定有罪を根拠に、イギリスと、そのNATO同盟諸国は、シリアでの戦争に進んで参戦しようとしているのだ。
今週、アメリカ国連大使ニッキ・ヘイリーが、それに対し“アメリカが軍事行動をとる用意がある”化学兵器攻撃を、シリアと同盟国ロシアが行っていると非難した。
こうしたこと全て、国際秩序保全のために、一体なぜ法的基準や適正手続きなどが存在しているのかの実例だ。ある国々が他の国々に対して“推定有罪”の主張を始めてしまえば、法と秩序の順守というあらゆる主張は崩壊し、混乱と対立へと下落してしまう。
クリストファー・ブラック弁護士は更に踏み込んでいる。イギリスとそのNATO同盟諸国は法律を守る義務を怠っているだけでないと彼は主張する。“イギリスにおける毒ガス攻撃疑惑に関するロシアに対する最近の無謀な声明と同様、イギリスとその同盟諸国は、戦争のための条件を煽り立て、実際、戦争犯罪を行っていると論証することも可能です。”
最後に、誰も質問していないように見える極めて明白な疑問が一つある。それは、スクリパル毒ガス攻撃とされるもののタイミングに関するものだ。大統領選挙の一週間前で、ワールド・カップの三カ月前に、一体なぜロシアが今そういうことをするだろう?
それはモスクワ側が完全に心神喪失であることを示唆する。そのような行為で、ロシアがどうして恩恵を得られよう? スクリパルは過去ロシアで拘留されており、イギリスに長年暮らしてきた。イギリスが想像しているように、もしロシアが彼を毒殺したいのであれば、もう数カ月待てたはずなのだ。
都合の悪い時期の事件で、誰が恩恵を受けるのか明らかではないが、ロシアでないことは確実だ。
本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまでは、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務。彼は音楽家で作詩作曲家でもある。彼は20年以上、ミラー、アイリッシュ・タイムズ、インデペデントを含む主要マスコミ企業で、記者編集者として勤務した。
記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/421291-skripal-uk-russia-may-poisoning/
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