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トランプ・金正恩会談は狐と狸の化かし合い
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9698.php
2018年3月9日(金)15時35分 ジョシュア・キーティング ニューズウィーク
アドバイザーの言うことを聞かず、はったりをかますトランプも不安のタネ Leah Millis-REUTERS
<史上初の米朝首脳会談は大きな前進だが、北朝鮮の真意はもちろん制御不能のトランプの言動も不安要因>
ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮の最高指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長の招待を受け入れ5月までに米朝首脳会談に応じる。韓国大統領の特使として訪朝した鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家保安室長は、8日夜にホワイトハウスで会見し、そう明らかにした。一方サラ・サンダース米大統領報道官は、会談は実施されるが「時期と場所は未定」と語っている。
3月5日に金正恩と会談した鄭義溶は、金正恩からの招待状をトランプに自ら手渡した、と言う。隔世の感がある。かつてトランプは金正恩をバカにして「若造のロケット・マン」と呼び、反発した北朝鮮の国営メディアはトランプを「精神錯乱したアメリカの老いぼれ」と嘲っていた。
事態はそこから大きく展開した。現職の米大統領が北朝鮮の最高指導者と会談したり、北朝鮮を訪問したりしたことはこれまで一度もない(ジミー・カーターとビル・クリントンが訪朝したのは大統領退任後だ)。もし会談が北朝鮮国外で実施されれば、金正恩が最高指導者となって以降、初めて出国することになる。
また、つい最近まで北朝鮮との交渉を「時間の無駄」と決めつけていたトランプも、劇的な変身だ。
■北朝鮮を安心させるのは不可能
今月3日の時点でトランプは、米朝会談を検討する前提として北朝鮮が「核放棄」しなければならない、と語っていた。韓国側の説明では、北朝鮮は会談が継続する限り、核実験もミサイル実験も中断する意思だというが、これは核開発の放棄と程遠い。
北朝鮮は過去にも似たような約束をしては核開発を再開している。トランプにとっては、北朝鮮が非核化の意思を示しただけでも十分な説得材料だったようだ。
それでも不安はつきまとう。金正恩は、南北会談で韓国側に非核化の意思を伝えたが、それは「北朝鮮が安全を保障されたと感じれば」という条件がついている。これはかなり高いハードルだ。北京のシンクタンク「カーネギー清華グローバル政策センター」の研究員で北朝鮮の政府関係者とも接触しているトン・チャオは、「近い将来、アメリカが安全保障面で(在韓米軍の撤退など)北朝鮮を安心させることなど不可能。つまり非核化に関する北朝鮮の姿勢は以前と変わっていない」と、指摘している。
北朝鮮が米朝会談を提案した目的はおそらく、「国際社会、そのなかでも特にアメリカに、核保有の現実を受け入れさせ、北朝鮮の首を締めあげている経済制裁を緩和させること」だと、チャオは主張する。
例え北朝鮮の核・ミサイル開発問題を早急に解決することがほとんど不可能であっても、ほんの数週間前まで米朝戦争が間近に迫っているかのような緊迫感であったことを考えれば、米朝会談は明るい展開だ。
しかしトランプ側にも不安のタネはある。トランプは事前に専門家の話も聞かずに会談に臨み、相手を喜ばせるようなその場限りのでまかせを言いたがる。今、鉄鋼とアルミに高関税を課そうとして世界を激怒させているのと同じトランプが、昨年11月に訪中したときには「アメリカの巨額の対中貿易赤字は中国ではなく歴代の米政権の責任だ」と言っているのがいい例だ。
米朝会談の発表前に米ABCニュースの番記者とジョークを交わしたトランプは、「(自分を)信用して欲しい」と言った。もしリスクの高いこの大きなギャンブルに勝つことができれば、トランプは間違いなく信用を得るだろう。
しかし北朝鮮にとってはここ数十年間、米朝会談に持ち込むことが外交政策上の大きな目標だった。そう考えればここまで、実際に実利を得たのは金正恩の方だ。
© 2018, Slate
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