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コラム2019年2月8日 / 18:19 / 2時間前更新
下がり続ける労働分配率、需要鈍化で企業の価格転嫁の妨げに
田巻一彦
3 分で読む
[東京 8日 ロイター] - 付加価値に占める人件費の割合である「労働分配率」が、低下傾向を続けている。企業が過去最高益を更新する中で、利益の拡大テンポほどには、賃金を上げていないためで、消費が盛り上がらない大きな要因の1つと言えるだろう。需要の高まりが弱いことで、企業の価格転嫁が進まず、物価が上がりにくい構造を作っている。
賃上げにメリットを感じる企業経営者の「意識改革」が起きないと、所得─消費─設備投資という内需エンジンが動き出すのは難しい。
労働分配率は、財務省が発表する法人企業統計のデータから割り出すことができる。2018年9月発表の2017年度データによると、労働分配率は66.2%と43年ぶりの低さとなった。
同統計で示される人件費、支払い利息等、動産・不動産賃借料、租税公課、営業純益を合算して付加価値を割り出し、賃金や福利厚生費を含めた人件費の割合を弾き出す。
ただ、このデータは1年に1回しか発表されないので、最新のデータは2018年7─9月期の同統計から導き出すことになる。
しかし、四半期データには、支払い利息等や租税公課などの項目がないため、売上高から売上原価を差し引いた額を「簡易の付加価値」とみなし、同じ7─9月期のデータを使って、最近の”労働分配率”のトレンドを見ることにした。したがって、絶対的な水準に関しては、年度のデータとの連続性はない。
それによると、18年7─9月期の付加価値は82兆4332億円。これに対し、役員の報酬や賞与を含めた人件費は46兆0897億円。労働分配率は55.9%だった。
2年前の16年7─9月期の付加価値は75兆9921億円、人件費は42兆8733億円で、労働分配率は56.4%。
第2次安倍晋三内閣が発足した直後の13年7─9月期は、付加価値が70兆8724億円、人件費が40兆7621億円、労働分配率は57.5%だった。
労働分配率は、57.5%、56.4%、55.9%と低下傾向を描いている。
企業の利益が大幅に伸びている割合に比べ、賃金上昇率が伸び悩んでいるのはなぜか──。
大きな要因は、企業経営者の「将来不安」だろう。日本国内の少子・高齢化は進展のスピードが緩和するどころか加速する兆しをみせ、幅広い業種で国内市場の規模縮小が顕著になっている。
固定費増につながる人件費の引き上げには、「二の足を踏む」経営者が圧倒的に多い。
また、国内市場の縮小に伴って、製造業では海外での生産・販売比率が高まっており、国内で新たに設備投資を展開するインセンティブが低下。それに伴って国内での人員を縮小する企業が目立ち、国内で人件費を大幅に増やす選択は「論外」と言う声も少なくない。
しかし、バブル崩壊以降の30年近く、人件費を固定費として見続けた結果、優秀な人材をリストラの対象として放出した電機業界は、1980年代の「黄金期」が過去となり、黒字の稼ぎ頭の地位から滑り落ちた。
マクロ的にみれば、労働分配率の低下によって、国内の個人消費のパワーは活力を失い、国内総生産(GDP)成長率が2%を超えることは望めなくなった。
この状況を打破するには、企業経営者の発想の転換が必要だと考える。18年7─9月期に利益剰余金を過去最高の453兆円まで積み上げ、せっかくの好業績の「果実」を生かしていないのは「怠慢」のそしりを免れないだろう。
国会では、実質賃金や総雇用者所得などを巡り、政府・与党と野党との見解がすれ違っているが、労働分配率の低下傾向が続く限り、最終消費市場に活力が戻ることは難しいだろう。需要の弱さは、価格設定での「強気」の見方を企業から奪い、値上げに臆病な取引慣行がはびこるという現実につながる。
上がりにくい物価の背景には、人件費への見方を変えない日本企業の経営者の「思考回路」が厳然と存在する。
https://jp.reuters.com/article/cmpny-labour-idJPKCN1PX0KU
銀行融資、危うい復調 20年ぶり500兆円台
世界で「ゾンビ」台頭、成長に影
2019/2/9
日銀が8日まとめた貸出金統計によると、邦銀による2018年末の国内貸出残高は504兆3974億円と、1997年末以来となる21年ぶりの高水準になった。景気回復と低金利を追い風に中小企業への融資が伸びた。だが現場では、返済能力が乏しく延命するだけの「ゾンビ企業(総合2面きょうのことば)」にすら低利で貸す競争が過熱している。長期の金融緩和とカネ余りは経済の新陳代謝を遅らせ、効率の悪い資金の循環を温存している。
西日本の地方銀行で融資を担当する男性は苦しそうに語った。「本当に限界が近づいている」
低金利競争が過熱
多数の地銀があり「激戦」とされる地域では融資の競争が激しく、経費を考えると赤字になるほど金利が下がっている。東京商工リサーチのデータから算出すると国内行の18年3月期の貸出金利ざやは0.25%。5年前より0.28ポイント低い。98年末以来、20年ぶりとなる500兆円台の融資があっても、収益は1兆4千億円ほど少なくなる計算だ。
設備投資17%減
融資の緩みは日本だけの問題ではない。国際決済銀行(BIS)は昨年9月、「ゾンビ企業の台頭」と題した報告書を公表した。日本を含む14カ国では上場企業のうち12%が過去3年以上にわたり債務の利払いを利益でまかなえていない。こうした「ゾンビ企業」の比率は1980年代後半には約2%に
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41108440Z00C19A2MM8000/
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- 原油市場、ベネズエラ制裁でも平静な訳 米政府、ベネズエラ国軍と直接連絡 離反促す 米国、特恵関税対象からインド除外 うまき 2019/2/09 13:17:51
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