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ゲノム編集ツール現実化、経済格差が「遺伝子の格差」に繋がる未来
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190128-00000005-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 1/28(月) 16:00配信 SAPIO2019年1・2月号
昨年11月、ヒトゲノム編集国際会議にてゲノムを編集した双子が誕生したと報告された(AFP=時事)
いま、世界的に「知識社会化」が進行している。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などのグローバルIT企業では、世界中から優秀な人材が高額な報酬で集められている。知能の高い者が経済的にも優位になり、格差社会が進行する。「労働市場は高収入と定収入の職種に二極化し、『バーベル経済』に変わっていく」──作家の橘玲氏はそう指摘している。そして橘氏が、もうひとつ格差拡大に大きな影響をもたらすと指摘するのが、「ゲノム編集」だ。新刊『もっと言ってはいけない』が話題の橘氏が解説する。
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中国で受精卵のゲノム(遺伝子)を編集した双子が誕生したというニュースが話題になったが、これからの社会を大きく変えていくもうひとつのテクノロジーがゲノミクス(ゲノム学)だ。ワープロで文章を編集するように生き物のゲノムを編集できるツール(CRISPR-Cas9)が開発され、植物だけでなくブタやウシなど多くの家畜が「機能強化」されている。
当然のことながら、こうした技術は人間にも適用可能で、現時点でも、生まれてくる子供の髪の色(金髪)や目の色(碧眼)を「編集」することは可能だ。知能や性格はこれよりずっと複雑だが、いずれは最適な遺伝子の配列が解明されることになるだろう。
こうした技術は当然、先進国ではきびしく規制されるだろうが、一部の国(たとえば中国)で実施されているとしたら、富裕層は数億円を払って自分の子どもの受精卵を「編集」しようと思わないだろうか?
このようにして、身体的・精神的・知的に優れた遺伝子をもつ上流階級と、ゲノム編集されていない下層階級のあいだで格差が拡大していく。これは「優生学」以外のなにものでもないが、それは独裁者や国家権力ではなく、個人の自由意思によって進められていくのだ。
こうして経済格差は「遺伝子の格差」になり、格差社会は完成する。
私たちはいま、こうした「未来」のとば口に立っている。
【PROFILE】たちばな・あきら/1959年生まれ。2002年国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。新刊『もっと言ってはいけない』(新潮新書)ほか、『朝日ぎらい』(朝日新書)、『80’s エイティーズ』(太田出版)など著書多数。
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